死神って呼ばないで   作:シュガーstep♪

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覡さんと二宮隊

本日の三門市は快晴、非番なうえ他の用事も特に無く俺にしては珍しく朝から暇な一日ができてしまったので街中を散歩することにした。

見覚えのある道をブラブラと特に目的地も無く歩き進める、意外と顔の広い俺は行く先行く先で知り合いとエンカウントするケースが多い。ボーダーの隊員たちは勿論、上層部の人たちや一般市民の皆々様に至るまで。そして会うと一番最初に言われる言葉⋯

 

「迷子か?基地の方まで案内しようか?」

 

もう何度言われたかなど覚えていない、流石に皆失礼すぎやしないだろうか?いくら俺でも迷子にならない時だってあるし、知ってる道なら流石に帰れる。とは言え多くの人は親切心で言ってくれてるし、何より迷子癖なのは事実なので言い返せない。毎回

 

「あははー⋯」

 

と愛想笑いを返すのが関の山である。

と、ここでやっと俺は思考が止み眼前に広がる景色を認識する。

⋯一体ここはどこだろう、考えに耽っていたら知らない場所に来ていた。

 

 

家を出たのが12時前、途中喫茶店によって昼食を取ってその後に再び歩き始める。迷子に気づいたのがそれから1時間くらい、今5~6時間かけて何とか自力で知ってる道に辿り着けた。場所は以前の迷子の時にも来れたボーダー隊員の多くが来店する焼肉屋、歩きっぱなしで疲労が溜まっていた俺に、店の中から漂ってくるお肉の焼ける匂いが食欲をそそり、グーっと不意にお腹が鳴った。

 

「あれ?死神さんだ」

 

声の方を振り向くと二宮隊の面々かそこにいた。

 

「おや、二宮隊お揃いでご飯?」

 

「あぁ、お前こそこんなとこに1人でどうした、今日は非番だったと記憶しているが」

 

「⋯⋯今日は珍しく暇だったもんで散歩してたんですよ~、もう6時間ぐらいずっと歩きっぱなしで」

 

「⋯迷ったんですね」

 

「⋯⋯⋯⋯チガウ」

 

「なら私の目を見て言ってください」

 

ヒヤが怖い⋯。

 

「ニノさん⋯貴方の隊員が虐めてくる助けて」

 

「お前が迷子癖なのはいつもの事だ、それにどれだけ周りが振り回されてると思ってる。自業自得だ、諦めろ」

 

ですよね⋯貴方はそういう人でした。

 

「まぁまぁ2人とも。⋯あぁでも覡さん、だからさっきお腹鳴ってたんだ」

 

「⋯⋯⋯聞こえてたのね」

 

「そりゃあもうバッチリ」

 

後ろでヒヤとツジちゃん・鳩ちゃんも頷いている、恥ずかしい。

 

「覡、お前も来るか」

 

そして意外も意外、まさかのニノさんからのお誘い。思わずホケーっとしてしまった。

 

「⋯いいんです?部隊水入らずの時間でしょうに」

 

「構わん、俺たちだけならいつでも行ける。思えばお前とはこうして一緒に飯に行くことは今まで無かったしな」

 

「そういうことならご同伴しましょうか、勿論ニノさんの奢りなんでしょ?」

 

「⋯⋯今回だけだぞ」

 

「キタコレ」

 

⋯っとと、忘れるとこだった。

 

「おいイヌカイ、ちょっと来い」

 

「⋯え?なんですそんな怒った顔して⋯」

 

「さっき死神呼びしたろ、シバく」

 

後退りしたイヌカイを秒で捕え、逆エビ固めで処す。勿論一切の手心は加えない、なにか聞こえるが全部無視。

 

「ツジちゃん、悪いんだけどこの光景動画で撮っといてくれる?共通の知り合い全員に送るから」

 

そう言って自分の携帯を投げ渡す、ちょっそれだけは!!とか戯言が聞こえるが気にしない。ツジちゃんのうわ〜って何か物言いたげな表情も気にしない。自分に飛び火して欲しくないのだろう、ツジちゃんは

 

「分かりました」

 

とだけ言って、俺の言う通りに動画を撮り始めた。

 

「ちょっと辻ちゃん!?助け」

 

「お、話す余裕があるのか。ならもう少し」

 

「あ、ちょ、待っっ痛だだだだ!!ストップ!ギブギブ!!」

 

数分後に拘束から解放し、辻ちゃんに撮ってもらった動画は宣言通り拡散した。こいつの自業自得である、暫くはこのネタで周りから擦られるだろう。

因みにこの間、ニノさんとヒヤ・鳩ちゃんは知り合いだと思われたくないのか離れた場所に立っていた、今から一緒にご飯食べるから無駄なのに。だが今の動画を催促してくる辺り2人(ニノさんとヒヤ)も中々意地が悪いと思う、催促どころか聞いても要らないと答えた鳩ちゃんは人間できてると思う。

その後恙無く焼肉を食べ終えた俺は、無事に本部へ辿り着くことが出来るのだが、その本部内で迷子になる事をこの時は知らなかった。

 

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