やりすぎたかな・・・
「いいかしら?」
後ろから聞こえてきた声に立ち止まり、僕は後ろを振り返ると、大きなモニターのような画面が現れた。
その画面には緑色の髪をした女性が映っていた。
「・・・・・どちらさまでしょうか?」
「始めまして。私は時空管理局、時元航行艦アースラの艦長兼提督、リンディ・ハラオウンといいます」
自己紹介をしながら笑顔を向けるリンディさん。
「ハラオウン?そういえば彼もハラオウンって言ってたかな?」
「あ、うん。言ってたね」
「ええ、そうです。そこであなたにやられて気絶しているクロノは、恥ずかしながら私の息子です」
リンディさんはため息混じりに言う。
失敬な、一撃しか殴ってないよ?(明久の一撃=コンクリートを砕く一撃
「それでその提督さんが、なんの御用でしょうか?」
「あなた達に、聞きたいことがあるのです。どうかこのアースラに来て貰えないでしょうか?」
ふむ・・・
「しかし、僕達が子供でも初対面の人間に来てほしいといわれて、はいそうですかと言うとおりにするほど、バカじゃありませんよ?」
「それは・・・信じてもらうしかありません」
そう言って表情を曇らせるリンディさん。
「分かりました。そちらにお邪魔します・・・ただし・・・」
コレだけは言わないといけない。
「彼の魔法のせいでなのはが巻き込まれるところでした。ましてや危険だと言ったジュエルシードも。
それについての謝罪を要求したいのですが」
僕はなのはが危険な目にあいかけたことについてリンディさんに謝罪を求めた。
「その件については、心から謝罪します。本当にごめんなさい。え~っと・・・」
「あ、なのはです。高町なのは」
「なのはさん、本当にごめんなさい」
リンディさんはモニターのむこうで頭を下げ、心から申し訳なさそうに謝罪を口にする。
まだ常識ある人間のようだ。
「い、いえ、大丈夫です。わたしはなんともないですから」
「では、ゲートを開けますね?」
「とりあえず彼を起こしますか」
僕は薬を取り出し、クロノの口にいてた。
「!!!!!!???????」
gaijrem%pk1!#(HJ3!!!!!!!
________________
僕がクロノに飲ませたのは永琳特製の気付け薬・・・ただ・・・
かなり苦い。
目を覚ましたクロノに案内されてアースラに来ていた。先頭を歩くクロノが何か思い出したように立ち止まって振り返る。
「そうだ。もうバリアジャケットを解除してもいいんじゃないか?いつまでもその格好じゃあ落ち着かないだろう?あと・・・」
クロノはなのはの方を向くと、
「頭に血が上ってたとはいえ、巻き込むところだった。
すまない」
そう言うと頭を下げた。・・・一応そこらへんはわかるか。
「明久君が助けてくれたから大丈夫だよ。気にしないで」
「わかった」
なのははすぐに許すと、バリアジャケットを解除し、
「君も、元の姿に戻ってもいいんじゃないか?」
クロノがユーノに言う。
「ああ、そっか。ずっとこの姿だったから、うっかりしてた」
と、ユーノの体が光り始めた。なのはは眩しくて目を瞑る。
光が収まりそこには、なのはと同い年くらいの男の子が立っていた。やっぱり変身魔法だったか。
「ふうっ、なのは達にこの姿を見せるのは二度目だよね」
男の子・・・ユーノはそう言って僕達を見る。
なのはは、ただポカーンとしてしているだけだ。
「え?・・・・ええ?」
不意になのはの口からそんな声が漏れた。
「?・・・なのは?」
怪訝な顔をするユーノ。よし、耳を塞ごう。
クロノ、君も塞ぐんだ
「ふぇええええええええええええええええ!!?」
瞬間、なのはの絶叫がアースラの艦内に響き渡る。
なのはの突然の叫びに驚いたユーノは目をパチクリとさせている。
「な、なのは?どうしたの?」
ユーノが何事かとなのはに尋ねる。
「え、ええ!?ゆ、ユーノくんて、え、ええ!?う、うそ!に、にんげん!?えええーーー!!」
うわぁー、完全にパニクッてるよ。
「え、えーっと、この姿・・・見せたとき・・・無かったっけ?」
「な、ないよー!初めからフェレットだったよ」
「え?・・・あー、そうだったね。ごめんごめん。そういえばそうだったよ」
自分の本当の姿を教えていなかったことを思い出し、謝るユーノ。
「じゃあ改めて、これが僕の本当の姿。二人ともよろしくね」
「うん、よろしく、ユーノ」
「すごくびっくりしたけど、よろしくね・・・ユーノくん」
「あー・・・そろそろいいかな?」
入りづらそうに遠慮がちに声をかけるクロノ。見た感じ置いてけぼりである。
________
僕達はリンディさんの部屋に来た。
「艦長、連れてきました」
クロノがドアをノックする。
「どうぞ、入って」
中から、リンディさんが返事をする。
「失礼します」
まずクロノが入り、僕達も後に続いて入る。
「いらっしゃい。よくきてくれました」
にこやかに俺達を歓迎するリンディさん。彼女は畳の上で正座しながら、緑茶を持っていた。
その部屋は、なんと言うか・・・一部だけ和式だった。もしかしてこの人は日本文化というものを少し勘違いしてるんじゃないかな・・・?(苦笑
「まあ、どうぞ座って」
リンディさんの対面に座る。
クロノはリンディさんの隣に、リンディさんの左のやや後ろに、女性がいる。
エイミィさんと言うらしい。彼女は僕の視線に気づくと笑顔を返してきた。俺は一応ペコリと頭をさげて挨拶をする。
「さて、それじゃあ、話を聞かせてもらえるかしら?」
リンディさんがお茶を一口飲み、今回の事件についての説明を求めてきた。
____________
ユーノの説明も終わり、今回の事件のいきさつを全て管理局に伝えた。
それを聞いたリンディさんは、ユーノに目を向ける。
「なるほど・・・あのロストロギア・・・ジュエルシードを発掘したのは、貴方だったんですね?」
「はい・・・それで発掘者としての責任をとって、僕が回収しようと・・・」
顔を俯けながら話すユーノ。心中は申し訳ない気持ちでいっぱいなんだろう。
「立派だわ」
リンディさんは笑ってユーノの行動を称賛した。
「だけど同時に、無謀でもある」
横から口を挟んでくるクロノ。確かに、彼の言うとおりでもある。
しかし・・・ねぇ?
まあ、悪い人ではないんだろうけど・・・
「あ、あの・・・ロストロギアって・・・何ですか?」
「ロストロギアというのは、過去に何らかの要因で消失、あるいは滅んでしまった世界や古代文明のテクノロジーによって作られた、遺産の総称よ。その多くが現存の技術では到達できないような超高度な技術で作られた物で、使い方次第では世界はおろか、全次元をも崩壊させかねない危険性を持っているものもあるの。それを確保し、管理するのも私たちの仕事なの」
とロストロギアについて解説してくれるリンディさん。
「はあ・・・なるほど。ところで、どうしてリンディさん達は、この世界に来たんですか?」
今度はリンディさん達が地球に来た理由を訊くなのは。
「それは、この世界で次元震の反応が確認されたからです」
リンディさんは簡潔にこの世界に来た理由を述べる。
「次元震?」
聞き慣れない言葉になのはは首を傾げる。
「なのはとフェイトのデバイスが、ジュエルシードにぶつかったときのことじゃないかな?」
「あ・・・」
「うん。あれが次元震なんだ」
なのははちらりと僕を見た。別にもう怒ってないんだけどね・・・
「次元震とは、その名の通り、次元に影響を及ぼす地震のようなものです。小規模なものならまだ安心できますが、中規模や大規模なものになれば次元断層と呼ばれる次元の崩壊をを引き起こし、その世界自体を消滅させてしまう恐れのあるものなんです」
リンディさんの次元震についての説明を聞いたなのはは、顔を青ざめた。あのときのあれがそんなに危険なものだったなんて知らなかったのだから、無理もない。
まさか僕が一人で握りつぶしたことは、普通ありえないことだからね。
しかし思うと・・・幻想郷の皆って・・・
「これよりロストロギア、ジュエルシードの回収については、時空管理局が全権を持ちます」
リンディさんはおもむろに、はっきりとそう言う。
「「え?」」
いきなりの宣言になのはとユーノは間の抜けた顔をする。
「君たちは今回のことは忘れて、それぞれの世界に帰って、元の生活に戻るといい」
クロノが淡々と言う。
でもたしかに間違っても無い言葉だ。ただの小学生の少女が相手をするには危険だし。
しかしもうちょっと言い方があるでしょ・・・
「でも、そんな・・・」
いきなりそう言われても納得できないのか、食い下がるなのは。
「これは次元干渉に関わる事件だ。民間人が出る話じゃない」
しかしクロノはあくまでも冷静に退場を勧める。ま、彼なりに身を案じての言葉なんだろうが。
「まあ、急に言われても気持ちの整理もつかないでしょう。今夜一晩、ゆっくり考えて、三人で話し合って、それから改めてもう一度お話をしましょう」
・・・ふむ・・・
「いえ、結構です」
「えっ?」
「それじゃあ、失礼させてもらいます。なのは、ユーノ、行こうか。あまり遅くなっても問題だ」
僕はなのは達に帰るよう言うと、
「ち、ちょっと待って!」
リンディさんから慌てた様子で、呼び止める。
「な、なにもそんな早急に決めることもないでしょう?もっとなのはさんやユーノくんとも話し合ってからもう一度・・・」
「何故ですか?」
「え・・・?」
遮るように投げかけられた僕の問いにリンディさんは硬直する。
「な・・・何故とは?」
「だから・・・・何故もう一度、話し合う必要があるんですか?」
「君は・・・何を言ってるんだ?」
クロノは理解できていないようだ。いや・・・ここにいるみんなか。
「クロノ、この件は民間人の出る話じゃないって言ったよね?」
「あ・・・ああ」
「そして、リンディさんはこう言った。この件に関しては管理局が全権を持つと。なのは?」
なのはの方を向くと、
「う・・・うん」
頷くなのは。
「つまり、こういうことだよ。民間人の出る幕のない事件に、何故態々もう一度話し合いの場を設けて、僕達にこの事件に関わる機会を与える必要があるのかってことだよ。
危険だから関わるな、って言ってるのになぜ『ゆっくり話し合った』後、『改めて話す』必要があるんですか?」
リンディさんを見ると、段々と顔を俯かせていっている。
「僕が代わりに答えましょうか?・・・僕らを使い潰したいんでしょう?」
「なっ!?何を言っているんだ!?」
「じゃあ、クロノ・・・何故君は一人でやって来たんだ?」
「それは・・・緊急事態だったから。」
「なら、なぜ増援が来なかったの?」
「・・・他の局員は別の任務等があって・・・」
「次元震を引き起こすかもしれない物よりも優先する事があるのか?あれが危険な物だと言ったのは君達だよ?」
「・・・」
「おそらく・・・この艦は圧倒的に人手が足りていない・・・そうでしょう?」
紫の話で、なんとなく予想は出来てたことだ。
「危機感を煽るような事実を聞かせた上で時間をこちらに与える。世界が崩壊するなんて言われたんだからね・・・
そんなことを言われて、大人しく元の生活に戻れると思う?
無理だね。そもそも僕達はジュエルシードを放置するのは危険だと判断して今までやってきました。今さら知らん顔なんて出来るはずがない。
もしかしたら自分にも何か出来るんじゃないのか?大抵の人間はそう考えます」
全員がはっとなる。
「例えばなのはだったらこう考える。家族や友達が危険な目に遭いそうな時、自分にはそれをなんとかする力がある、魔法の力がある・・・ってね」
「・・・うん、私はみんなのためにジュエルシードを集めるって決めたから」
「なら後は簡単だよ。もう一度話す機会が与えられたんだから、その時に協力させてくれと自ら申し込めばいい・・・それが狙いでしょう?」
「・・・」
「タダで手に入れられる協力者、それになのはの魔力はかなりのものだそうですね。さぞかしいい捨て駒になりそうだ・・・」
「か、母さん!! 何か言い返してください!! このままでは我々管理局が誤解されてしまいす!!」
「そうですよ!私達にそんなつもりは無い事を説明してください!!」
クロノと女の人が声を荒げるが、リンディさんは黙っていた。
「ま、まさか・・・」
「ウソ・・・」
「まぁ、とりあえずコレだけ言っときましょう」
「あんまりふざけるのも大概にしてくださいよ?」
「「「「「!!!!!?????」」」」」
次の瞬間、僕の周りの空間が怒気で歪み始める。
というかある意味空間に干渉してるよね・・・これ。
「アンタが騙そうとしたのは9歳の子供だ。
まだまだ未来の可能性を持った子供を、アンタは摘もうとしてたんだぞ?
アンタはそれでも一児を持つ母親か?
仮にも子供を持つ親なら・・・そんな悪い手本を子供に見せるんじゃねぇ!!!」
「・・・」
「どんなに言葉を重ねようと・・・貴女のしたことは・・・詐欺だ。
はっきり言えば犯罪だ。それをちゃんと考えた上で・・・
貴女は僕達に、何を求めるんですか?」
「・・・貴方の言うとおり、私はあなた達の善意を利用しようとしたわ。
ごめんなさい。本当にごめんなさい」
そう言い、頭を下げるリンディさん。どうやら本気で謝っているようだ。
「母さ・・・艦長!」
「私達は立場上、民間人に協力を依頼することは簡単ではありません。ですが私達にはどうしても、貴方たちの力が必要なのです。お願いします、私達に力を貸してくれませんか?」
再度、頭を下げて協力を頼むリンディさん。
「なのは、君はどうする?」
「ふぇ?!」
「向こうは、なのはを利用しようとした。それでも君は管理局に手を貸すかい?」
なのははしばらく悩む素振りを見せた後、リンディさん達に顔を向けた。
「私は、それでも・・・・それでも手伝いたいです。
このままジュエルシードを放っておくなんてできないし、こんな中途半端で投げ出すなんてしたくないし、それにまだ、フェイトちゃんとお話もできない!だから・・・手伝います。手伝わせてください!」
力強く言い放つなのは。
「僕も協力します。こんなことになったのは僕が原因ですから。それに、こんな僕に協力してくれたなのはのためにも、僕はこの事件を解決するために全力で臨むつもりです」
ユーノもまた決然と宣誓する。
「えっと・・・」
うん?
「あの・・・明久君はどうするの?」
「僕?・・・協力するよ。なのはに、だけどね。リンディさん」
「えぇ、でもこれだけは言わせてください」
「なんですか?」
「ありがとうございます。危うく・・・大人として、親として、
最悪なことをする所だったわ。気づかせてくれてありがとう。
そしてごめんなさい」
頭を下げるリンディんさんに、
「いいですよ。気づいてくれたなら。
その気持ちを忘れないでください」
「えぇ」
「あ、そうだ・・・あなた達は大丈夫でしょうけど、もし上層部等がなのはやなのはの周りの人達に手を出して無理矢理従わせようとしたり、僕の家族に手を出そうものなら・・・」
次の瞬間、さっきのがかわいいくらいの凄まじい殺気が迸る。
「僕は本気で管理局を潰しますんで♪」
この時、ここにいたみんなはこう思った。
彼なら、やってしまいそうだと。