ネオン   作:アメイジング長なす

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ワールドトリガー3期14話の最後で、思わず泣いてしまったのは誰にも言えない。


大規模侵攻──3

 ──ランバネインが早めに離脱するのは確定。彼らを利用してエネドラを殺してもらうか? ⋯⋯いや、エネドラは彼らが始末してくれるらしい。ならやることは1つ。

 

 

「さあ──始めましょうか」

『来るぞ、ユーマ!』

「わかってる」

 

 放たれる剣による刺突。

 剣の刀身を伸ばしたこともあって、それは遊真の頭を撃ち抜こうとする。

「──ッ」

 それを遊真は横にステップをすることで躱す。

 しかし、剣は躱した先に向かって迫る。

「おっと」

 間一髪、直撃を避ける。

 

「私を早く倒さないと、貴方は未来で後悔することになりますよ」

 更に相手を惑わす言葉。

 その言葉にサイドエフェクトが反応しなかったことで──その言葉が事実と知る。

『相手は恐らく、遠征部隊の中でも指折りの手練だろう。

 それにジンと同じようなサイドエフェクトを持つと思われる』

「ああ、早めに倒さないとダメなヤツだ。けど──」

『短期決戦は無理だな。長期戦でも可能性があるとすれば、全方位から絶え間なく射撃で包囲するぐらいだろう』

 

 こうして話している間でも、ネオンはケシキを見続ける。

 こちら側の戦力は少ない。それに、黒トリガーに対抗出来る戦力も、妨害されて動けなくなっている。

 

「行け」

 ネオンがそう言うと、ラービットは素早くこの場から離れた。

 嵐山たちがそれを防ごうと銃撃するが、ネオンの剣で切り捨てられる。

「あなた達には、時間が来るまでここで遊んでもらいます」

 

 √

 

 ヒュースとヴィザは目の前の敵と対峙していた。

『さあ、どう仕掛けてきますかな?』

『2対2でも問題はありません』

 一方、ボーダーの二人も通信で作戦を立てていた。

『迅、おまえはどっちをやる?』

『どちらかというと、オレが爺さんの相手をしたほうがよさそうだね』

『わかった』

 ボーダーの二人──迅と木崎は分断して戦うつもりだ。

 

 迅はすでに雨取と三雲たちへたどり着けないように、エスクードで分断してある。

 本来なら木崎ではなく、遊真を連れてきたかったが、今はそんなことを言えない。

 

 ──この爺さんは時間稼ぎが目的。だけど、こいつを放っておくと、後で取り返しのつかないことになる。

 

 迅はエスクードをヴィザの足元と、アフトクラフトの彼らの間に生やした。

「ヴィザ翁!」

 空中へ発射されるヴィザ。

「お前の相手は俺だ」

 木崎がレイガストパンチでヒューズに殴り掛かる。

 この時点で、アフト側には一手の隙ができた。

「風刃、起動」

 それを使って迅は風刃を起動し、エスクードを踏み飛んで、ヴィザに接近する。

 

「宙に浮かせるとは、今の玄界の方はなかなかおもしろい考えをしておられる。

 ですが──空中であれば、こちらは気兼ねなく全力をふるえる」

 

『今だ』

 数百メートル離れた地点から、三発の銃弾が飛来する。

「狙撃手による追撃。正確ですが、正確過ぎるが故に、どこを狙っているかが丸わかりです」

 だが、それは剣聖の前に全て切り捨てられる。

 

 風刃を振るい、斬撃をヴィザに放つ。

 当然、彼はそれすらも切り捨てる。

 

 が──未来視はこの程度のモノではない。

 

 ヴィザの背中に向かって、どこからか斬撃が現れていた。

「背後ですな」

「背中に目でもあるの?」

 不可視の斬撃が背後の斬撃を斬り殺し、迅に向かってと放つ。

 

 ──この実力派エリートを、舐めてもらっちゃ困る。

 

 風刃を再度振った後、すぐさま風刃を受けの形に直し、オルガノンの直撃を防ぐ。

 地面に吹き飛ばされる最中、迅は風刃の1発が直撃ではないが当たった事を確認した。

 

 当たったけど、かすった程度か⋯⋯もうこの作戦は使えないから、プランBに移行しないといけないな。

 不敵に笑う究極の老兵。

 おれも真似をして笑ってみると、少しだけ気持ちが楽になった。

 

 ──そうだ、実力派エリートはいつも笑顔でいないと、な。

 

『忍田さん』

 迅はボーダー本部に連絡を取る。

『どうした、迅』

『今、おれがいる所に呼んで欲しい人がいるんですけど──』

 

 √

 

 時間は少しさかのぼり、ランバネインが作戦通り、ラッドのゲートから登場した。

「んー? 二人だけか? 拍子抜けだな」

 ランバネインと向き合うのは、那須隊の那須と熊谷。

『熊ちゃん』

『わかってる、少し引き気味に戦おう』

 ここから付近の部隊まで、距離がある。ゆえに、ここは合流して確実に倒したいところだが──。

 

「数を見て侮るのはよくないな。コツコツと、着実に片づけていこう」

 ランバネインは聞いている。

 今の玄界の兵はなめてかかれる相手ではない、と

『くる!』

 ランバネインの両手から二発の光弾が放たれる。

「バイパー」

 それと同時に、那須はバイパーを撃った。半分ずつに分割したそのバイパーは、ランバネインの光弾に直撃し、相殺──しきれなかった。

 おかまいなしに来る弾は、那須と熊谷に直撃した。

 

「大丈夫か?」

 ──はずだった。

「ごめんね、那須さんたち!」

 那須は彼らの顔を知っていた。

 本来、今はこの街にいなかった彼ら─

「──里見くん!」

「佐伯!」

 草壁隊である。

 

「エスクード二個使ったのに、一個ぶっ壊れて、ヒビ入ったし⋯⋯どんだけ威力あんだよ」

『あんたたちはシールドがないと思って戦った方がいいわ』

『その方がよさげだな』

 草壁隊、隊長の草壁早紀が敵の戦闘力を冷静に見積もる。

『近くにB級の連合部隊が作られつつあるから、彼らと共闘した方がいいでしょうね』

『同感だ。あんなやつの攻撃、何発もくらってられねーよ。

 隼人、ヒットアンドアウェイで援護頼む』

 草壁隊スナイパー、宇野隼人の返事は、たいへん、わかりやすかった。

 なにせ、返事を狙撃で済ませたのだから。

 

「もう1人いたか、今からこれで5人」

 シールドで狙撃を防ぎ、楽しげに笑うランバネイン。

 こちらも、狙撃が防がれることは想定済みだ。

「今だ!」

 その狙撃を合図に、佐伯は殿を務め、エスクードで弾の妨害をする。

「その壁は単体では俺のケリードーンの相手にならないぞ」

 打ち出される光弾と、それに呼応して破壊されていくエスクード。

 ジグザグと移動して、斜線をずらし、弾トリガーで応戦しながら、彼らは連合部隊との合流を急ぐ。

 だが──。

 

「なんだ、もう壁は張らないのか?」

 空を浮遊して、ランバネインは上空に不気味に現れた。

「バイパー!」

 那須はバイパーをランバネインに向ける。が、

「言い忘れてたがな──ケリードーンは遠距離の撃ち合いに自信があるんだ」

 バイパーよりも早く、バイパーよりも力強く、放たれた光弾は彼女を撃ち抜かんとした。

 

 ランバネインの光弾の一部は狙撃によって防がれ、佐伯がエスクードを生やして、被弾を無くす。

「撃ち落としたのは先程の狙撃手か? 誰でもいいが、いい腕だな」

 

『東さんたちが援護に入った。

 目的地にピンを刺すから、あんた達は今のうちに移動しなさい』

 ピンが刺された場所は旧三門大学だった。

 

 √

 

「どっからどう見ても偉そうなヤツとクソガキ二人だが⋯⋯」

 本部基地、南西。

 エネドラはラービットを倒した敵の元に出現した。

『二宮隊、黒トリガー使いと遭遇。これから戦闘を開始する』

 しかし、その部隊はボーダーでも指折りの部隊。

「ラービットを殺すぐらいの腕はあ──」

「隙だらけだね」

 会話をする時間など与えない。

 たとえ、敵が黒トリガーだとしても、やることはいつもと変わらない。

 

「人が喋ってる時は黙って聞くって習ってねえのか?」

 銃弾が貫通した場所がみるみるうちに無くなる。

『ありゃ、攻撃が全然効いてませんね。どうします?』

『手数優先で攻めて、まずは情報を集める。

 犬飼は距離を保って撃ち続けろ。

 辻は引き気味で俺たちの援護だ』

『犬飼、了解』

『辻、了解』

『やることは変わらない──どんなヤツでも撃ち落とすだけだ』

 血の王冠を被った、射手の王が対峙するは──。

「余計なことしやがって⋯⋯てめえら──」

 変幻自在の攻撃法を持つ、泥の王。

 

「皆殺しにしてやる!!」

 地面から飛び出す鋭い棘の数々。

 犬飼と二宮は後ろにバックステップをして躱し、辻が2人に当たるかもしれない棘を全て切り払う。

「メテオラ」

 犬飼が全身に撃ち、二宮がメテオラで身体を吹き飛ばす。

「やれるものならやってみろ」

「ウチの隊長は怒ると怖いよ〜」

「クソ猿が⋯⋯!」

 

 √。

 

「なかなかやりますね。ボク相手にここまで戦える相手は久しぶりです」

 嵐山たちのクロスファイアを冷静にケシキを見て対処し、3人に向けて広範囲の攻撃を仕掛ける。

『弾』印(バウンド)──二重(ダブル)

 遊真は躱してすぐに、ネオンの懐に飛び込む。

 

 ──速いッ! 

 

『強』印(ブースト)!」

 からの強化した拳による一撃。

「危なッ──」

 それはマントにかすっただけで、躱された。

 躱した先に佐鳥のツインスナイプが放たれる。

 だが、頭に向けての一撃は避けられ、供給機関への一撃は剣で切り捨てられる。

「素晴らしいですね、ここまでの連撃を避けるのはかなり難しいです」

「おまえ、つまんないウソつくね」

「バレちゃいました?」

「おまえが言った言葉のほとんどがウソだってわかってる」

 

 ネオンはそれを聞いて少し笑った。

「やっぱり、私には頭脳労働よりも、命をかけたやり取りの方が似合ってます」

 ウソじゃない。

「じゃあおまえは、なんでしなかったんだ?」

「あっちでは頭脳労働が多かったんで」

 ウソじゃない。

「あなた達と戦えて、ボクは久しぶりに楽しいですよ」

 嘘をついた。

「やっぱり、同僚みたいに主人大好きっ! とは思いませんからね。

 1人の主人と100万の国民なら、私は国民を選ぶでしょう」

 部分的にウソをついた。

 

 ⋯⋯ダメだ、コイツの話を聞いていたら。目の前が真っ暗になっていく。

「ん? 今、ケシキが変わったな。

 エネドラが⋯⋯ほうほう。ヒュースが──へえー、そうなんだ。ヴィザさんは──流石です。ランバネインのところはアレ使うか。

 みんな頑張ってくれてるみたいだから、今度は────私の番だね」

 空気が変わった。

 

「今からは本気であなたを殺した方が良さそうなんで、そのつもりでお願いしますよ?」

『気をつけろ、ユーマ』

「大丈夫、仕掛けはもう設置した」

 ネオンは構えを変えた。

 蛇腹剣を左手に持つ。

 

『射』印(ボルト)──二重」

 ネオンの蛇腹剣がネオンを包み込む箱を作り、弾丸を防ぐ。

 嵐山と時枝はクロスファイアで絶え間無く波状攻撃を仕掛ける。

 佐鳥はスコープで隙間を探すが、

『全く隙間がないですよー!』

 どうやら、伸びた蛇腹剣を幾重にも重ねているらしい。

 

「!」

 そう考えたのと同時に、遊真は相手の狙いに気がついた。

 

 まずい、遅すぎた──。

 

「アラシヤマさんたち、そこから離れ──────」

 言い切る前にそれは起こった。

 

 箱は、ネオンの全力の、身体を回転させた、薙ぎ払いで解体された。

 箱を構成していた幾重にも重なった刃が、半円状に、ありとあらゆるものを切り刻んでいく。

 

 嵐山と時枝はバラバラになって緊急脱出(ベイルアウト)した。

 遊真は『弾』印で後方に回避したが、それでも幾度か切り刻まれる。

 それにより、トリオンがかなり漏出してしまった。

「なかなかやりますね。だけど、それじゃあもう虫の息ですね」

 

 声の主は残酷な笑みを浮かべながら、どこか悲しみも含まれていた。

 

 

 ──嗚呼、このケシキは誰も殺さないけれど──誰も救われないじゃないか。

 

 未来の分岐点まで、あと38分24秒。




誤字脱字を発見したら、報告してくれるとありがたいです。
あと今回文字数少なくてごめんなさい。
次からは元通りになってる、と思いたいです。
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