ブルーアーカイブ ゆっくり実況風プレイ   作:hook arm

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 ドまぞの方はちょっと一休みしたい気分なので初投稿です。




日常編
シャーレにて


 「なあ?先生」

 「うん?」

 

 ある日、シャーレのオフィスの執務室にてソファーにだらしなく寝っ転がっているユウジが急に先生に対して質問をしてきた。

 

 「ゲーテっているだろ?」

 「あの詩人の?」

 

 「それ。そいつが言った名言に『前身しない人は後退をしていることなのだ』っていう言葉があるけどよぉ」

 

 「あれってつまり、後ろ向きで前に歩けば進んでいるってことにならないか?」

 

 「……ぅ……ん?う~ん?」

 

 

 「いや、前が見えないでしょ……」

 

 ユウジが振り向くとそこにはセミナーの会計、早瀬 ユウカがいた。

 

 「お前、何しに来た?」

 

 「先生の様子見に来ただけよ。―――というかあなたの方が何やってるのよ……?」

 

 「聞いて驚くなよ?ダラダラしてる」

 

 「賞金首追わなくていいの?」

 「今は雑魚はしかいねぇんだよ」

 

 「じゃあ、その雑魚を捕まえ続ければお金になるんじゃないの?」

 「今日は休む」

 

 「マトモに答える気ないでしょ?いや、そもそもなんであなたがここにいるの?」

 「……うっせぇなぁ」

 

 絶えず、質問してくるユウカをうっとおしく思ったユウジは頭髪をガシガシ掻きむしり上体を起こす。それから一息吐いて、首を垂れながら答えた。

 

 「俺ん家のベットが壊れたんだよ……」

 

 

 

 

 

 

 それは、昨日の夜の出来事だった。賞金首を相当追い回したためもうへとへとだった。シャワーを浴びるのもめんどくさい。そんなところまで体力を消耗させてベットに倒れこんだ。

 

 ―――――その瞬間、ベットはギギギ……と音を立ててバダン!その衝撃によって、ベッドガードに思いっきり頭が衝突した。当たったところは頭蓋骨の真上、つまりは……脳天。あまりの痛みと疲労によって意識は闇の中に―――

 

 

 

 

 

 

 

 「スッゲェ痛かったんだぞ」

 

 ユウジはその時のことを思い出しながら、頭をさする。

 

 「いや、そもそもここ(オフィス)寝床じゃないから……」

 

 「私が許可を出したからさ。大目に見てあげてよ」

 

 「正気ですか!?先生はこいつに甘すぎです!!うち(セミナー)がこいつにいくら賞金差し出しているのか、知らないんですか!?」

 

 騒ぐユウカを尻目にユウジは、ソファーから立ち上がりゆっくりと歩きだした。

 

 「わーったよ……じゃあ、コーヒー淹れてやるからもううるさく言うな」

 

 身体をゆらゆら揺らしながら歩いて奥の部屋の給湯室へ消えていく。

 

 「……やりたい放題ね、アイツ。しかも、先生に断りなくここのコーヒーまで……」

 「ユウジの私物のコーヒーだから大丈夫だよ」

 

 「ああ、そうなんですか?じゃあ、大丈―――――」

 

 大丈夫、そう言い切る前に見慣れないものが目に止まり、部屋を見渡す。

 

 アレ?こんなに物多かったっけ?ついこの前まではなかったはずのキャリーケースにそこにかかっている衣類。それに先生が読まないジャンルであろう本とか工具箱とか……もしかして―――――その可能性にハッとなった瞬間、先生に問う。

 

 「あの……まさか、彼―――――」

 「うん、しばらく泊めてくれって……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「―――――あんの!!バカ男!!」

 

 ―――――彼女は自前の銃を構えて給湯室に突撃していった。

 

 ちなみに幸いにして壁が穴だらけになることはなかったのでそのことに安堵する先生の姿があったとかなかったとか。

 

 

 

 ♦

 

 

 

 「あなたねぇ……こんなに私物を持ち込むって非常識過ぎない?」

 「キヴォトスは非常識の塊みたいなとこだろ、私物の一つや二つでギャーギャー言うな」

 「一つや二つどころじゃないんだけど!?」

 

 給湯室から戻ってきた後、ユウジが淹れて来たコーヒーを飲むため3人でテーブルを囲った。マグカップに注がれたコーヒーからはゆらゆらとした湯気が立っていてとても熱そうだ。

 

 「そもそも賞金あるなら、新しくベット買うとか……そもそも布団とか敷いて寝れば――――」

 

 「じゃあ、お前はゴキブリやムカデが沸く部屋で直に布団しいて寝れるか?アレらとお友達になれる人間がいるなら紹介してくれ」

 

 その言葉にぞわりと背筋が凍りつく。

 

 黒光りする上に動きも素早いアレ。足が多くて噛まれたら激痛がする多脚の虫。それらが蔓延る彼の部屋がどれほど劣悪な環境か……これ以上は想像したくはなかった。

 

 「に、にしてもホテルとか泊まればよかったんじゃ―――」

 

 ユウカはさっきの話を頭に浮かべつつも顔を引きつらせながら提案した。

 それにだ、彼の腕ならバンバン稼いでガッポリ儲かっているハズ……というのにだ。なぜか、シャーレのオフィスに泊っている。

 

 「……金がねぇんだよ」

 

 「ハァ?」

 

 「金がないって言ったんだよ」

 

 ―――――衝撃の一言。以前、賞金首を捕まえて大金を入手したというのに口から出たのは、金がない。

 

 「ウソでしょ!?あれだけのお金を!?」

 「ほっぺ抓ってみ?これが現実だ」

 「……あなたどんなお金の使い方してんのよ?」

 

 

 「えっと……ユウジはね飛行―――――」

 

 

 

 「―――――おおっと!!先生!?コーヒーが足りないのか!?もっと、追加するぜ!!」

 

 

 

 いきなりユウジが大声で先生にコーヒーが入ったサーバーを片手に立ち上がり先生の席まで一気に近づく。そして首の後ろに腕をまわしてからユウカの方向とは反対に向くと小さな声で話し始める。

 

 「おい、コラ先公。あの事(・・・)秘密にしろっつったろ?」

 「……あーゴメン……」

 

 小声でひそひそ話を始める男二人。その光景に訝しむ表情を浮かべるユウカ。

 

 

 

 

 ユウジの秘密。

 

 それは以前、アビドスにて危機に陥った際に彼はどこからともなく深紅の戦闘機―――スピアフィッシュを駆って敵を蹴散らしてくれた。

 

 その後、先生にだけ自身がそれのパイロットであることを明かし、機体の所有者であることを黙秘して欲しいという密談だった。

 

 しかしだ。悲しいことに兵器というものには金がつきものであり、整備、弾薬、燃料など金銭をつぎ込まねばならない消耗品がいくつもある。彼曰く、解体されたパーツから何とか組み立て、動かせるまでに仕上げたとのことだ。敵をバンバン撃ち落としていくその様は、まさに投げ放たれた槍のようであり―――――勇壮な姿が目に焼き付いた。

 

 ―――とはいえかつてのスペックとまではいかないようで、それを最全盛期までのコンディションに仕上げるのが現在の彼の目的だ。

 

 

 

 

 

 「その上、アイツうるさいだろ?」

 「ユウカは……真面目だからねぇ……」

 

 

 ――――仮にだ。彼女に戦闘機を有している。なんて話が伝わってみろ、真面目な彼女のことだ。税金は払っているのか?やらなんやら聞かれそうでその光景が脳裏に浮かぶとうんざりだ。

 ちなみに先生以外には機体のことは話していないのでもちろん法的には確実にアウトであろうが……。

 

 

 「……さっきから二人で何を話しているの?」

 「男同士で二人っきりの会話っつったら……なあ?」

 

 先生に目を向けるユウジ。それに対して曖昧な表情を浮かべつつ先生は歯切れの悪い返事をした。そのやり取りを見ていた彼女は、納得いかなさそうな目で二人を見ていた。

 

 「……二人して絶対なんか隠してるでしょ」

 「秘密は誰にでもあるもんだろ?」

 「あなたの場合何企んでるか怖いから簡単にかたずけられないわ……」

 

 ユウカは一層ユウジに対して怪しい眼差しを向けたまま、コーヒーを口に含む。

 

 「というか先生!何かこいつに脅されているんだったら何か言ってくださいよ!!」

 「ハ、ハハハハ……」

 

 曖昧な笑いをしながら頭をポリポリ掻く先生。そのやり取りがあった脇でユウジは壁に掛けてあった時計を見ると急いで二人の傍らをすり抜けテレビをつけてチャンネルを変え始める。

 

 「ちょっと何してるの!?」

 「……これから見たいヤツがあるから静かにしろ」

 

 ちょっとしたCMを挟んでその番組は始まった。

 

 テレビの画面には警官風の司会とカウボーイの服装をした二人組が陽気な声を挙げてテレビに映っている。

 

 

 『Heeey!賞金稼ぎのみんなぁ!今日も「Big Hunting!」の時間がやって来たぜ!』 

 

 

 「……なにこれ?」

 「賞金稼ぎの大きな(・・・)お友達だ」

 

 

 『今日、独房にぶち込んで欲しいのはコイツらだ!』

 

 警官風の服装をした司会が背後にあるパネルを叩くとそれぞれ赤、黒、黄、緑、ピンクのヘルメットをかぶった集団の写真が表示される。カウボーイ風の進行役が手に持っているリボルバー銃でパネルの5人をトントンと叩きながら説明を始めた。

 

 『天下非道の悪党!キヴォトスに名前を轟かすこいつらの名はカイテンジャー!!』

 

 『おおっと!忘れちゃならないのが必ず全員そろっての捕獲!』

 

 『それといつも言っているが生かして全員捕縛してくれよな!』

 

 次々に表示される賞金首たちを見ながら、顎に人差し指の側面をあてながらじっくり吟味するしぐさを見せるユウジ。

 

 番組は開始から10分でエンディングに入った。最後に表示されるハイライトに対して指を鉄砲に見立てて、指を一回づつ指を指す。

 

 そして、カイテンジャーの写真に指でっぽうを定めて……

 

 「―――――決まりだ」

 

 そう一言言った後、テレビを消しテーブルに置かれている銃をホルスターに収め部室の出口へ向かう。

 

 「今日は休むって言わなかった?」

 「気が変わったのさ」

 

 手にした拳銃を弄びながら、扉に手をかける。

 

 「いつも言うけど、暴れすぎないようにね?」

 「――努力はするさ」

 

 ―――じゃあな。

 

 と、一言残してオフィスを後にした。

 

 

 

 ♦

 

 

 

 「先生……彼っていっつもああなんですか?」

 「まあ、ね」

 

 ユウジを見送った後、残された二人は再び席について空になったマグカップを再びコーヒーで満たす。少し冷めてしまったコーヒーだが味はまだ保証できる。彼の腕がいいからなのだろうか。

 

 「ユウカはユウジのことを厄介者みたいに思ってるかもしれないけどさ」

 「それは……そうですけど……」

 

 ユウカの頭の中の彼は、基本やる気なさそうで適当なところをぶらぶらしてて、だらしなく……しかし、それでいて戦闘の時には急に生き生きとしだす。その姿はトリニティの正義実現委員会の委員長―――とは違う。

 

 なんというかあれは――――――――生きている意味を見出していると言えばいいのだろうか?

 

 ユウカを見たまま先生は話し出す。

 

 「ユウジはさ、だらしないところとかちゃらんぽらんなところとかあるけどさ、それでも信頼できるよ」

 

 「それって、『先生』だからですか?それとも男同士で通じるものがあるから?」

 

 「うーん……先生だからに近いかな?」

 

 頬をかきながら、返答をする。

 

 「私もだらしないところとかあるからシンパシーっていうのもあるんだけど……」

 

 「単に放っておけない気持ちが大きいかな?」

 

 先生自身はここに来てからはまだまだ日は浅い。これまで交流してきた生徒たちはみんながみんないろんな事情があってそれらを何とか解決できるように努力をしてきた。

 

 一方で、ユウジは先生に戦闘機をもっていることを明かしてはくれた。オフィスにくつろぎに来るほど信頼は……してくれていると思う。

 

 だが、それだけ(・・・・)だ。

 

 

 ―――――秘密は誰にでもあるもんだろ?

 

 

 先ほどの彼の言葉が脳裏に響いた。人間、知られたくないことの一つや2つは誰しも持っているものだ。

 

 どうして、その体になったのか?とかどういう経緯でアレ(戦闘機)のパーツを手に入れたのか?それを知りたいと思ってしまうのは――――行き過ぎたおせっかいというヤツなのだろうか。

 

 

 

 「―――――先生?」

 「え?……ああゴメンゴメン!」

 

 ユウカが心配そうに先生の顔を覗き込む。深く考えすぎのあまり彼女のことさえ一瞬忘れるほど熟考しすぎていたようだ。

 

 「つまり似た者同士だからですか?」

 「まあ、同性同士だからって言うのも間違いではないんだけどね……」

 

 「―――ふーん……」

 

 彼女は身を乗り出すような姿勢をやめ、しっかりと座りなおすと窓の方を向いて頬杖をついた後―――――

 

 「……男の人ってどうしてこうなのかしら?」

 

 小さく、ポツリとつぶやいた。

 





 今回の話は時系列としては2章終了後3章開始前辺りを想定しております。つまり、日常編の時系列はバラバラに書く予定です。


 3/8追加 今回の登場人物

 ユウジ:一応主人公で賞金稼ぎ。自宅のベッドが壊れたためシャーレにて寝泊りすることになった。ユウカのことはウザイやつと思っている。

 先生:ゲーム本編主人公でもあり、画面の前の君だ!ユウジに対して友情を抱きつつも信頼されているのかが不安になっている。というのも数々の事件を解決してきたため、自信がついてきたから。これから大分後、お腹に穴が開く(三章参照)

 ユウカ:ユウジとは一文字違いだが、性格はまったくかみ合わない真面目ちゃん。二人に翻弄されやすい。


次→忙しくなるかもしれないし未定


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