『異世界召喚術アカデミー』、通称『ガチャアカ』にようこそ! 作:あきしょう
オリジナル小説に挑戦します!
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ある日のことだ。
あなたは自分の部屋で身もだえていた。
完全なプライベートな空間で他人の目がないとはいえ、あまりにも見苦しい光景であった。それだけでなく声も上げている。奇声といってもいいかもしれない。悲鳴にさえ似ていた。
なぜそんなひどい状態にあなたが陥っているのか、それはあなたが持っているスマホの画面を見れば想像がつく。
そこに映し出されていたのはあるソシャゲのガチャ排出画面である。
いや、よくよく見るとただの排出画面ではない。
R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)、R(レア)・・・・・・・・・・・・・・・
そこにあるのは尋常ではない数のR(レア)という文字の数。
ここまで言えばもう説明する必要はないだろう。
――そう、あなたは爆死したのだ。
※
あなたがはまっているソシャゲは、界隈ではかなり有名だ。
ストーリーは重厚で素晴らしく、キャラにはいい絵師をそろえている。そういう意味でも人気は高い。
だが、そのソシャゲを有名たらしめているのは、ガチャの排出の渋さであろう。
そもそも高ランクキャラの排出確率が他ソシャゲと比べても異様に低いうえに、キャラクターとウェポンのガチャが分かれていないのだ。これではよほどの幸運が味方しない限り、特定のキャラを狙っても当たらないほうが自然だろう。
爆死ししばらく身もだえていたあなただったが、さすがにそんなことは分かっている。しかし…
――どうしても欲しいキャラがいた。
しかもそれは期間限定のキャラで、期間を過ぎれば二度と引けない。もしかしたらガチャが復刻されるかもしれないがいつになるかわからないし、そうなる保証もない。今を逃せば最悪そのソシャゲがサービス終了する日まで引くこともできないかもしれない。
時間をかけてコツコツと集めてきた無料石はすでに尽きている。追加の配布石をもらえるあてはない。ならばどうするか。
そう! 課金である!
出るまで引くのだ! 出るまで引けば外れはないのだ!
・・・ゴミのような思考である。おそらく爆死し過ぎてあなたの脳に大きなダメージがあったに違いない。
そうしてあなたはバイトをすることにした。
就職と違い、ただのバイトだ。条件をあまり高望みしなければ特に労することもなくすぐ働けるだろう。
そう軽く考えたあなたは実際スマホ片手に適当にいくつかの選バイトに申し込み、その中の一つに見事採用された。
・・・これまでが、半年前の出来事である。
※
「遅いぞ全く! 弱いんだからせめて呼んだら早く来いこの低レアッ!」
そして今、あなたは遠い異世界で、自分より年下ではるかに小さい少女に罵倒を浴びせられている。
別に趣味でやっているわけではない。
この異世界があなたのバイト先であり、あなたの目の前にいる少女が雇用主なのだ。
異世界に召喚され、自身を喚んだものを主人として仕える。
それがあなたが採用されたバイトである。
給料即日払いなら何でもいいやと碌に仕事内容を確認していなかったのがあなたの不幸の始まりであった。
ちなみに主人は完全にランダムだ。主人側も喚ぶ相手も選べないし、喚ばれる側も主人を選べない。だがランダムなのは最初だけで、次から喚ばれる主人は最初の主人に固定される。
つまりそれは、年上のはずのあなたに対して召喚して早々偉そうにしているその少女が半年前あなたを召喚した主人であり、半年間あなたは彼女を主人として仕えてきたということを意味している。
あなたは顔を上げ、遠い目で空を仰ぎ見た。
――異世界に行く覚悟がないなら課金をするべきではない。
それがあなたがこの世界に来て最初に得た教訓である。
(なお主人の許可が出るか、一定時間がたてば元の世界に戻れます。
どれだけ異世界にいても、召喚された時点に戻れるので実生活に影響はありません)