天まで届きそうな大木と透き通るように綺麗な湖のそばに小さな少女が立っている。
綺麗な白髪は肩下まで伸びており、透き通るような紫色の瞳をしている。だが、その眼はどこか儚げな感じがする。年は12、3歳程だろうか?年の割にはとても落ち着いていて、湖をずっと眺めている。
大木の側には大きなお墓が3つもある。
では、彼女の紹介をしていこう。
彼女の名前は最上優夜。
あまり女の子らしい名前ではないのにはちゃんと理由がある。
彼女は勇者だった。2000年前の約100年続いた人魔大戦を終戦に導いた勇者だった。
そしてその正体は21世紀の日本の男子高校生だ。
「今日もまた、何事もなく過ごしています。あなた達に助けられたこの命、私は大切にしたいと思います。」
これが僕の日課です。一日の初めと終わりに三人のお墓の前で手を合わせる。
そして、午前中はその日の食材を取りに森に行き、午後はひたすら鍛錬をしている。もう、大切な人をなくさないように………
〜2000年前〜
俺の名前は最上優夜。異世界に召喚された勇者だ。
今は仲間四人で魔王城付近まで来ている。
仲間は、剣士ガイアス 賢者マーリン 聖女ユリア。
ガイアスは酒好きの豪剣士で気の良いやつだ。よく一緒に酒を飲んで馬鹿騒ぎをしている。
マーリンは根っからの研究好きで様々な魔法を使うことができる。
ユリアは聖女として世界中をまわり、困っている人を見過ごせない奴だ。
「みんな、これが最後の戦いだ。全力で行くぞ!」
「おう!任せとけ。」
「ええ、殲滅するわよ。」
「はい!支援は任せて下さい。」
そして俺たちは魔王との最終決戦に臨んだ。30分以上もの激戦の後、それは起こった。
「フハハハハ!我もここまでか…だが、ただでは死なんぞ‼︎」
魔王はそういうと、自分の命と引き換えに禁忌魔法を使った。
「な!マーリン‼︎結界を張って!」
ユリアがそう叫んで、神聖結界を張る。それに合わせる様にマーリンも万能結界を張った。
そこから先は記憶が無い。
目が覚めると辺り一面大きなクレーターができていた。
その中心にはガイアスの大剣とマーリンとユリアの杖があった。
認めたくなかった。
「な、なんで…みんな……帰ったらみんなで楽しく暮らそうって………わあぁぁぁぁぁぁ」
もうどれくらい泣いたか分からない。何もせずにずっと泣いていた。泣き疲れて寝ていたみたいだ。
心に大きな穴が空いたみたいだ。しばらく誰とも会いたくない……
俺は魔の森の最深部にあると言われている世界樹まで行った。世界樹に着いたときにはもうボロボロだった。
世界樹の近くは結界で覆われており、魔物ななどが入れなくなっていた。
まずは三人の墓を立てて、武器を飾った。
ここに来てから毎日墓の前で懺悔と一日の報告を繰り返している。
そこで一ヶ月程過ごした後、ふと、マーリンからある薬をもらっていたことを思い出した。それは俺が魔王を倒した後に有名になり過ぎ生活がしにくくなった時に姿を変える薬だ。
「飲んでみるか…」
「がぁ!」
激しい痛みの後、気を失ってしまった。
「あれ?…そうか、薬を飲んで気を失ったのか…」
よく考えればそうだな、体が変わるんだそりゃ痛いはずだ。
自分の体を確認してみると胸の辺りに膨らみがあり、白髪の長い髪があった。
嫌な予感がして、股を触ってみるとやはり無かった。
「なんで女になってんだよー!」
でも、よく考えたらあのマーリンが唯の善意で薬を渡すなんてありえない。絶対何かあるはずだった。あいつの趣味丸出しで美少女になってやがる。肩下まである白髪は左目を隠すくらいあり、眼は紫色をしている。
最初は混乱したが特に不都合はなく、一人で暮らしている。
毎日狩りや、修行をしている。
〜100年後〜
女性の生活の方が長くなり、ここでの生活も慣れてしまった。
今日もまた修行をしている。ここに来てから誰とも会っていない。
相変わらず美少女のままの姿をしている。
一人称は俺から僕に変えた。
だけど、自分の体のことは不思議とよくわかる。
今日も一日が終わる頃、三人の墓の前で一日の報告をする。
「今日も何事もなく過ごせました。多分僕の命はもう長くないでしょう。不思議とそんな感じがします。結局あれから誰とも会いませんでした。やはり僕は弱い人間です。親しい人ができたら、それを失うのがとてつもなく怖い。でもこれでやっとそっちに行ける。そしたらみんなでまた酒でも飲みましょう。今までありがとうございました。」
そして僕は最後の眠りについた
はずだった。
「ここは何処でしょう?」
周りを見渡すと何も無い白い空間が広がっていました。ここがあの世でしょうか?
そんなことを考えていると一人の老人がやって来ました。
「初めまして、ワシは創造神ゼウスじゃ。」
「なぜ僕なんかに創造神様が?それとここはあの世でしょうか?」
あの世界では神の存在している。だからこの人が神だとゆうことにも納得が出来た。
「此処は神界じゃ。そしてワシはお主にお願いがあって来た。」
「その、願いというのは?」
「君には神になって欲しいのじゃ。」
「神に?」
「嗚呼、この世界を管理する神は何人かいる。しかし、神はあまり地上に干渉できんのじゃ。だから、世界で現人神として世界の管理者になって欲しいのじゃ。」
「分かりました。やりましょう。このまま死んでも、あの三人に文句を言われてしまうかもしれませんし。」
「うむ、ありがとう。お主には地上で世界樹の守護をしてほしい。」
「分かりました。そういえばずっと疑問だったのですが何故僕は死んだのでしょうか?あれからずっと姿が変わらなかったので不死身かと思ったのですが?」
「確かに姿は変わらなかった。それはあの体に成長機能が付いていなかったからじゃ。だが、人の魂は寿命がある。だから魂が耐えられなかったのじゃ。だが、お主は神になるから、魂の寿命がなくなり、不老不死になるぞ。」
「そうですか、有り難うございました。」
「では、転生の儀式を始める。どんな神になるのかはなってみるまで分からん。」
「分かりました。お願いします。」
「では、『秘技 転生の儀』」
そんな言葉が聞こえると私の意識は暗転した。