このすばワタル   作:遊佐

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草木も眠る丑三つ時――ではなく、12時を回るかどうかという夜半過ぎ。

俺たちはそれぞれ自分の部屋を割り当て、装備を脱いでベッドでくつろいでいた。

ワタルが言った幽霊も、でるとしたらこの夜半なんだろうが――

 

「どうせ誘蛾灯のような存在がいるしなあ」

『それってアクアさんのこと?』

「そそ。あいつの周りには勝手にアンデッドが集まってくるから、片っ端から浄化してれば俺たちがやることはな――」

「あああああああああああああーっ! わあああああああああああああああああああああああああああ!」

 

思わず響き渡った目下、対アンデッド決戦兵器の泣き声に俺はベッドからずり落ちた。

 

 

 

*** このすばワタルっ! ***☆彡

 

 

 

「なんだあ!? なにがあっ……た?」

「カぁズマぁさああああああああああん!」

 

部屋の中央で、空の酒瓶抱えたアクアを見て半眼になる。

 

「お前、仮にもアンデッドが出る屋敷で酒かっくらうって……」

「ちがうの! 私が飲んだんじゃないの! 大事にとっておいた高いお酒が、私がお風呂入って帰ってきたら空だったのぉぉぉ!」

「………………」

『飲もうとはしたんだ……』

 

そうだよな。ワタルも呆れている。

 

「ゆ、許せないわ! これは悪霊、悪霊の仕業よ! おのれ、悪霊めっ! ちょっと私、しばきたおしてくるわっ!」

 

そう言うなり、空の瓶を抱えて走り出すアクア。

 

「………………」

「お、おい。今、アクアがすごい形相で廊下を飛び出していったんだが、何かあったのか!?」

「なんか鬼気迫ってましたけど……」

 

ダクネスが剣を、めぐみんが杖を持って部屋に入ってきた。

俺は溜息を吐きつつぼやく。

 

「……寝よ」

 

 

 

*** このすばワタルっ! ***☆彡

 

 

 

今度こそ、草木も眠る丑三つ時。

俺はふと目を覚ました。

そう――重大な出来事があったからだ。

主に、俺の膀胱に。

 

……トイレに行くか――ん!?

 

あれ? 俺の体……動かない?

なんだこれ!?

――あ、もしかして、ワタルと入れ替わった?

 

『……グー』

 

って、ワタルも寝てる……つか、幽霊みたいなのに寝るんだ。

ご丁寧にパジャマ姿で布団に寝てる――つか、どっから出した!

いや、それより声もだせんっ!

やばい、漏らす!

 

――カタンッ

 

ふと音がした方を見ると――そこにいたのは人形だった。

青白い顔した西洋人形が、ゴシックロリータの恰好でこっちを見ている。

 

えっ……いや、えっ?

 

一体だった人形が二体、二体だった人形が三体。

思わず目を閉じるが、物音がどんどん増していく。

と、不意に音がしなくなった。

 

――?

 

うっすらと目を開けると――そこには山のように増えた西洋人形が――

 

「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

 

 

 

*** このすばワタルっ! ***☆彡

 

 

 

俺は誰もいない廊下を全力疾走していた。

 

「アクアーっ! アクアさまーっ! たぁすけてぇぇぇぇぇっ!」

 

背後に何かが迫っている。

怖い怖い、ちょう怖い!

ふと、アクアの部屋を見つけて、思わず扉を開き、そのままバンッ、っと閉めた。

そしてカギをかけると同時にドアに何かが大量にぶつかる音。

 

「あ、アクア――」

 

俺が助けを求めるように振り向くと――

赤い目が――

 

「ぎぃやぁあああああああああああああああああっ!」

「きゃあああああああああああああああああああっ!」

 

と、叫んで気が付く。

 

「あれ? めぐみん? 脅かすなよ!」

「それはこっちのセリフですよ! なんですか、いきなり!」

「あ、あれ? ここアクアの部屋だよな? なんでめぐみんが?」

「ギクッ! いや、そのぅ……人形がですね、あちこち動いていまして。それでアクアに……ついでに、私のトイレにも付き合ってもらおうかと……」

 

ああ、お前も膀胱案件でしたか。

 

「でもアクアいないようですし……多分、ダグネスと除霊に出ているのかと」

「ああ、そういやあいつもクルセイダーだったな」

 

ただの騎士でなく聖なる力をもっているなら除霊でも力になるだろう。

聖なる、ではなく性なるに近いけど。

 

――ぶるる。

おっと。

 

「あーめぐみん? 悪いんだけどドアの方向いて耳塞いでいてくれ。なに、すぐにベランダから――」

 

はしっ!

 

「……なにしてんの?」

「行かせませんよぉ? 何一人ですっきりしようとしているんです? 私たち……仲間じゃないですか(ニコッ)」

 

いい……笑顔です。

じゃない!

 

「ええい、HA・NA・SE☆ お前、紅魔族はトイレ行かないとか言ってただろ! 何ならその辺に空いた酒瓶が――」

「い、今、とんでもないことを言いやがりましたね!? その酒瓶でナニをしろと!? させませんよ! 私でもカズマがしている、ところ、を……」

 

 

めぐみんがだんだんと蒼白になっていく。

主に俺の後ろを見て。

ふと、俺はそちらを見た。

みて、しまったのだ。

 

そこには――ベランダの窓に雲霞の如くぎっしりと西洋人形が!

 

「「 うきゃぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ! 」」

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