このすばワタル   作:遊佐

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あけましておめでとうございます


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『ねーカズマ? 今日はどうすんの?』

「おう、ワタル。まあ、ぶらぶらと散歩ししつ、冒険者ギルドでクエストを物色かな」

 

天気のいい冬の晴れの日、所々に雪がまだ残る小道の中で。

念願の家を手に入れた俺たちは、休養しつつ、次の冒険を考えていた。

屋敷には、チェスみたいなので遊ぶダグネスとめぐみん、ステータスがカンストしているのに、知力だけが残念で上がる予定のないアクアがのんべんだらりとしている。

 

「冬のモンスターは強い上にタフなやつが多くてなあ。ワタルなら龍神丸で倒せるだろうけど、この近くじゃないと下手すると遭難する羽目になるし」

『あー……雪だらけで方向がわからないもんねえ。僕も創界山の第四界層じゃ苦労したもんなあ』

「へえ。雪山みたいな場所だったのか?」

『そうそう。極寒で雪と氷ばかりですごく大変だったよ。吹雪なんかにあったら、もうどうしようもなくなるし』

「あー……まあこの辺も雪が多いし、似たようなもんだなあ。冬将軍なんていうモンスターがいるせいで雪が多いしな」

 

ワタルなら冬将軍でも勝負になるかな? なんて考えていたんだが――

 

「お?」

 

コソコソと怪しい動きをする不審者発見。

 

「キース、ダスト? こんなところでなにやってんだ?」

「うわぁ!? って、カズマかよ!」

「お、脅かすなよ。全く潜伏スキル持ちはこれだから……」

「いや、使かってないし」

 

だが、俺の言葉も気もそぞろにちらちらと周りを見ている。

 

「どした?」

「いや、その……お前のツレは?」

「ん? いや、ほかのみんなとは別行動だけど……どしたん?」

「いや、それならいいんだ。そうかそうか」

 

ダストがふぅと、額の汗をぬぐっている。

ははーん

 

「そんなにあいつらが苦手になったか? 大丈夫だよ、よほどのことがない限りはもう代わろうとか思わないから」

「いやそれはどうでも――よくはねえか。頼むから手綱を離すなよ。もう二度とごめんだからな」

「まあそっちはともかく、日ごろキレイどころに囲まれるカズマには縁遠い話だよ。俺とダストは――」

「いやいや、キース、まて!」

 

ダストがキースを止める。

 

「こいつは俺たちの仲間だ! あいつらはそういうんじゃない! 苦労しているんだよ、こいつは!」

 

何か知らないところでダストの俺への評価がとんでもないことになっているらしい。

思わずといった形で、宙に浮くワタルと目を見合わせた。

 

 

 

*** このすばワタルっ! ***☆彡

 

 

 

「娼館?」

「いや、娼館じゃねえんだ。一応居酒屋というか飯食うところではある。ただ、ちょっとしたサービスがあってだな」

 

なんでもこのアクセルにはサキュバスが経営する店があるらしい。

そこでは普通に酒や飯が食えるらしいのだが、家に帰って寝静まった頃に、その夢に入ってくるサービスがあるらしい。

男たちは楽しくもエロい夢で、サキュバスは夢を見せることで精気を奪うというWIN-WINの関係らしい。

ははあ、なるほど。道理で、このアクセルの治安がいいわけだ。

そういうところで男たちが健全になっていることで、この治安が保たれているんだろう。

 

「しかも、酒や飯は金がかかるが、サービスは今初回タダなんだよ。行くしかないだろ」

「タダ!?」

 

なにそれすごい。

 

「俺やキースも最近知ったばかりでな。これから始めて行こうとしてたんだが……どうだ、お前も来るか?」

「行――いや、ちょっとまて」

 

ふと。

そう、ふと思ったのだ。

今の俺は――一人じゃない。

 

「なあ、お前らには話したよな。ここに――ワタルがいるんだが」

「「 あっ! 」」

 

そう。

ここにいるのは、ワタルである。

救世主で、小学生の。

 

『……?』

 

話がよくわからないような顔でこちらを見ているワタル。

そうだよな、小学生にゃまだ早すぎる話題だ。

 

「そ、そうか。確かワタルは少年だったな。いや、うっかりしてたわ」

「そ、そうか。俺はまだよく知らんのだが、話は聞いてるよ。なんでも小さい子がすごい召喚獣呼び出せるとか」

「そういうわけだ。残念だが、俺はパスだな」

 

そう残念だ。

すごく残念だが――R12以上はダメなのだ。

パンツぐらいのセクハラはともかく、ナニガチョメチョメなんかは絶対に。

 

「悪かったな、カズマ。じゃあ、俺たちは行くよ」

「おう、楽しんで来い! またな!」

 

そう言って二人と別れる。

あいつらはそのままそのサキュバスの店に行くんだろう。

 

『カズマ? どういうこと? その店にはいかないの?』

「ああ。酒はともかく、女の人がちょっとエッチな格好をしている店らしい。そういう店だから、まあまた今度な」

『ああ……なるほど――いや、別に見たくはないよ!?』

 

ワタルはあたふたと慌てた様子で否定する。

そうだよなあ。

この程度で慌てるようなワタルを連れて行くわけにはいかんよなあ。

 

「あーあ。しょうがない、ギルドに行くかあ」

 

ちょっと残念に思いつつも、なぜかそういう欲求が最近薄れているなとも思う今日この頃だった。

 




ティロン!
何かのフラグがつぶれ、別のフラグが立ちました。
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