「カズマ、おかえりなさい! そして喜びなさい! 今日はパーティよ!」
屋敷につき次第、アクアが飛び込んできた。
なんでも、ダグネスの実家から酒とカニが送られてきたらしい。
ほっほう。カニですか。
「あ、一応聞くけど、あんたアレルギーはないわよね?」
「ない! カニは大好物だ!」
高級品のカニは、日本でも何度かしか食べたことはない。
ただものすごくうまかったのは覚えている。
「さあさ、席について! もう準備もできているわよ!」
言われるままに食堂に行くと、すでに料理の準備ができて、ダグネスとめぐみんが目をウキウキとさせながら座っていた。
俺は挨拶もそこそこに、カニの足を取って食べる。
「!? うんまぁ!」
あ、そい! あ、そい!
あまりの美味さに漠々と食べる俺。
「ちょっとカズマ。ここにティンダーくれる?」
「? ほい、【ティンダー】」
アクアの言うとおりに炭に火をつけると、その上に網焼きを置いて、カニの味噌を酒で溶いてカニの甲羅で熱燗にしだす。
そして――
「――ほぅ」
実にうまそうにそれを飲み干した。
なにそれ、超美味そう!
「お、俺も―【ティンダー】!」
俺はアクアの飲み方を再現するべく、炭に火を入れ、カニの殻に酒を注ぐ。
そして沸々となったところで――ゴクリ。
「うんまぁああい!」
「うむ、これは美味いな。実にいい飲み方だ」
俺とダクネスがそろって声を上げる。
「ああああ! ずるいですよ! 私も、私にも飲ませてください!」
「駄目だめぐみん! 若いうちから酒を飲むとパーになるぞ!」
「そうだそうだ! 酒は大人に飲ませろー!」
「ずるい! ずるいですよ! 私だけ飲めないなんて! そ、そうだ! ワタル! カズマはワタルと繋がっているんですから酒を飲んではダメなのでは!?」
「ん?」
『えっ?』
俺はワタルを見ると、ワタルはカニを見ながら指をくわえていた。
「俺、今酒飲んだけど、ワタルは何か変わったことあるか?」
『いえ、別に? おいしそうだな―とは思いますけど、カズマさんが食べたり飲んだりしても、僕には別に何も。というか、今までもそうでしたけど、この姿になってる間は睡眠はともかくお腹減りませんし』
「ああ、そうだよな。俺、何度かシュワシュワも飲んでるし。別に変わったことないから普通に忘れてたわ。というわけで、めぐみん。俺が飲んでもワタルには問題ありませんー♪」
「あああ! ずるいです! ずるいですよ! そうだ、ワタル、ワタルにもカニを食べさせましょう! こんなにおいしいものを独り占めはずるいです!」
「いや、独り占めって、お前らも食ってるじゃん」
「そうじゃなく! ワタルのおかげで強い敵にも立ち向かえるんです! だったらごほうび! ごほうびにカニを食べさせてあげるべきでしょう!」
むぅ……そいつは。
「ふむ……そうだな。カズマ、ワタルと代わってやれ。ワタルにもカニを食べる資格はある」
「そーねえ。お酒は飲めないけど、カニは食べれるでしょうし」
「ふうむ……そうだな。ワタル、カニ食うか?」
『いいの!?』
ワタルがよだれを垂らしながら喜ぶ。
「おういいぞ。ただ、酒はダメだがな。俺の分は一本取っておいて、めぐみんには飲ませんが」
「ああーっ!」
『やったあぁ!』
そうして、俺は王者の剣を抜くと、ぴかっと光って入れ替わる。
「やっほう! これがカニ……いっただきまーす!」
すぐに手を拭いて、カニの足をぱきっと割り、中身を口に入れる。
「うんまああ! 超、うんまああ! ナニコレ、ほんと美味しいです!」
ワタルは初めてカニを食べた用にバクバクとカニを食べていく。
「うんうん。ワタル、どんどん食べるといい。まだまだたくさんあるからな」
「はい、ありがとうございます、ダグネスさん!」
「あ、ちょ、めぐみん、駄目よ! そのお酒はカズマさんのよ」
「いいんです! カズマは今いません。いないモノは私が処分してあげるんです!」
『おう、こらまて! ワタル! めぐみんを阻止しろ! だああ、聞こえてねー!』
皆がワイワイと騒ぐ中、俺はふと、ワタルの隣に目をやった。
……あれえ?
『おい、おい、ワタル? お前の隣にいる子、だれだ?』
「えっ?」
ワタルはカニを口に入れながら隣を見る。
そこには――一人の女の子がカニを食べていた。
「うまうま……おっす! ワタル!」
「なっ――ヒミコぉ!?」
ヒミコ参戦フラグでした。
ちなみに最初は出す気がありませんでしたが感想欄の要望です。