「デストロヤー警報! デストロイヤー警報です! 冒険者の皆様は至急、冒険者ギルドまで! 一般人の方は避難してください!」
うん? デストロイヤー警報ってなんぞ?
俺はリビングの暖炉の前で、目の前でワタルがヒミコにこっちの常識を教えているのをぼーっと見ていたところに聞こえてきた警報に、首をかしげる。
「で、ででででデストロイヤー警報!? にげ、逃げなきゃ! みんな早く逃げるのよ!」
「警報が出た時点で逃げられませんよ。どうせ何もかも失うなら、いっそ魔王城に爆裂魔法撃ちこみに行きますか」
アクアが慌てふためき、めぐみんが全てを達観したような目でお茶を飲んでる。
なんぞ?
「おい、アクア。デストロイヤー警報ってなんだ? 詳しく説明してくれ」
「詳しく説明する時間なんかないわよ! デストロイヤーってのは機動要塞のことよ!」
「カズマ。機動要塞デストロイヤーは、それが通った後はアクシズ教徒以外はぺんぺん草も残らないと言われている最悪の大物賞金首ですよ。戦うなんてもってのほかです。まだウィズと向かい合う方がマシですよ」
いやまあ、ウィズもマジで戦うとなったらほぼ100パー死ぬが。
「お前の爆裂魔法でもダメなのか?」
「無理ですね。魔法結界が張られていて、何発も撃ちこまなきゃ傷一つ付けられません」
「ねえ、ところでなんでアクシズ教徒以外のこらないの? むしろアクシズ教徒はなんで残るの?」
「マジかあ……それだと、龍神丸でもダメかなあ、ワタル?」
『え? うーん……どうだろう? 巨大なものだとしても倒せないことはないかもだけど、僕一人じゃちょっと』
『ワタルー? アチシ、幻神丸呼べるよ?』
『え、本当に?』
『うん。父上から旅立つときのお守りって、ペンダントもらってきた。幻王丸は壊れちゃったけど、それで直した幻神丸は二代目だって』
『それなら……いける、かなあ?』
ふーむ。望みはある、かな?
とりあえずここじゃあどうしようもないな。
「ギルドで詳しい話を聞くか……めぐみん、ダグネスを呼んできてくれ。多分――」
「待たせたな! すぐにギルドに行くぞ!」
「あ――行くかあ」
ポリポリと頭を掻きつつ、俺は王者の剣を背中に背負った。
*** このすばワタルっ! ***☆彡
「お、やっぱり来たな、カズマ!」
「おお、きたきた。大物食いのワタル! 今日も頼りにしてるぜ!」
ダストとキースがにこやかに話しかけてくる。
と言ってもこいつらも重装備だ。本気がうかがえる。
あーまあ、あれか。あの店があるからか。
よく見りゃ、相当いかつい奴らも本気装備で集まってるからなぁ。
「――以上がデストロイヤーの能力になります。物理、魔法ともに耐性が高く、ゴーレム部隊が攻撃してきます。それを踏まえて意見をお願いします」
なにそれ。
どんな無理ゲーだよ。
さて……どうしたもんかねえ。
俺が考えている間にいろんな質問が出てくる。
やれ落とし穴はどうか、やれ魔王軍はどうかとか。
だがまあ、今までダメだってことはそういうのは全部だめだったということだろうし、実際そうだった。
散々煮詰まっている会議に、俺の横にいたテイラーがふと俺を見る。
「なあ、カズマ。お前なら何かいい手はないか? ほら、ワタルもいるしよ」
「うーん……とはいえ、そんな要塞にワタルぶつけるのはちょっとな。磨り潰されるのがオチだろ」
『ううーん……聞く限りだとさすがに無理かなあ』
空中で逆さに胡坐をかきながら腕を組むワタル。
それをヒミコがお手玉のように弄んでいる……なにしてんの?
せめて魔法でも効けば……ん? 魔法?
「オイ、アクア。確かお前さんなら魔法結界破れるとか言ってなかったっけ?」
「結界? やってみないとわかんないけど」
「破れるんですか!?」
うおっ!
受付嬢のルナさんが、突如乗り出してくる。
「えーと……多分?」
「やってください、お願いします! そうすれば魔法が……いえ、でも中途半端な魔法じゃ効かないかも」
「いやいや、それは大丈夫じゃね?」
ん? ダスト?
「だってよ、うちには頭のおかしい魔法使いがいるじゃねえか」
「そうか、いたなあ。頭のおかしいのが」
「そうだな。頭のおかしいのがいるな」
「おいこら。それが私のことなら、どれだけ頭がおかしいか、ここで証明してもいいんですが?」
めぐみんがドスの利いた声で冒険者たちを脅すと、一斉に顔を背けた。
「できるか、めぐみん?」
「うっ……い、いくらわが爆裂魔法でも、流石に一撃では無理があるかと」
「むう……」
俺たちが再び頭を悩ませると、そこに声がする。
「すいませーん。ウィズ魔法具店の店主です。私も冒険者資格があるのでお手伝いに……」
「店主さんだ!」
「貧乏店主さんが来た! これで勝つる!」
「貧乏店主さんのおでましだぁー!」
ウオオオオオ!
冒険者が一堂になって歓声を上げる。
おい、やめてやれ。
ウィズは地味に傷ついているぞ。
「ウィズってすごいのか?」
「知らないのか、カズマ。ウィズさんは昔は高名なアークウィザードだったんだぞ。確か、爆裂魔法も使えたはずだ」
「マジでか!?」
そりゃリッチだからすごいとは思ってたけど、生前はとんでもなく有能な人だったらしい。
「ならめぐみんとウィズの二人で双方の足を吹き飛ばして、動きを止めたところでワタルとヒミコでゴーレムを対処でどうだろうか」
「ヒミコ?」
「ああ、俺たちの新しい仲間だ。ワタルと似たような力がある」
「マジか!」
『任せてよ!』
『ニャハハハハハ! 任せるのだ―!』
「他のみんなもハンマーとかで加勢してくれると嬉しい」
「「「 おう! もちろんだぜ! 」」」
「なるほど……それでは!」
ルナがびしっと指を掲げる。
「緊急クエスト! デストロイヤー討伐戦! 開始です!」
「「「「「 おおおうっ! 」」」」」
デストロイヤー開始なんですが……息切れしてきた。