鏡面のシャングリラ~クソゲーストリーマー、神ゲーに挑まんとす~   作:岩木伊吹

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これが僕の答えだ


7 Days for Live
貴方は何のために配信を観ますか?


 世界中の精霊達を捕らえていた邪神グラトーニエが斃れる。

 

 その巨躯の内側から爆ぜるようにして色取り取りの光が世界中に散らばっていく。その様子を涙を流しながら見つめていた少女が喜びの涙と笑顔でこちらへと振り向く。

 

 

『ああ、精霊達が解放されていく……世界に色が………貴方のお陰よ、本当にありがとう………!!』

 

 

 本当に長い旅だった。共に戦ってくれた皆もそう思っていることだろう。彼らの気持ちに答えるべく、()は満面の笑みを浮かべながら彼女へと駆け寄っていった。

 

 

 

「まずはシステムに感謝しろやこのクソビッチがよぉぉぉぉ!!!!!!」

 

『草』『それはそう』『俺らの代わりに頼むわ』『草』『どうしてボスを素手で殴らないといけないんですか』『報酬の三分間……実在したのか……』『実感こもってんねぇ!』『草』『草』

 

 

「ストーリー上でそうなったから」という世界(ゲーム)の理不尽を体現した理由でそれまでのあらゆる武器が効かなくなったラスボスにダメージを与えるために新規に取得した格闘スキル……「断罪飛び蹴り(パニッシュメントドロップ)」を全ての元凶(クソアマ)に叩きつけ、彼女が吹き飛ぶ様子をしっかりと画角に納める。

ストーリーシーンであるからこそ彼女にはダメージ判定は無く、彼女の口からはこれまでの物語の総括が紡がれてゆく。壮大なBGMの中で息を切らしながら彼女の命を狙う勇者()の姿はあまりにも不毛に映るだろう。

 

 

 

「なんで五時間かけて集めた武器全てダメージ効率0.1%にしてんの!有志の計算が無かったら私三倍の時間かけて削ることになってたが!?というかなんでラスボスに一番効く装備がよりにもよって4番目の街のネタ防具なんだよおかしいでしょ!せめて初期装備にしろや!そもそもお前さっきまでどこにいたんだよ声だけ響かせやがって補助魔法くらい使えやぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

『みんなとの旅は大変だったけど、楽しかった……!!』

 

 

 

「シナリオもサブクエも全部元凶お前だったけどなぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

『それもそう』『楽しんでたのはお前だけ定期』『草』『邪神さんウキウキで草』『フェアクソ真顔で刎ねられてて笑う』『報酬の三分間楽しんでね』『こっちは苦しかったよ』『殴られながら余裕の表情で総括……やはりこいつがラスボスでは?』『草』

 

 

 壮大な雰囲気などありもしないかのように叫びながら打撃スキルをぶん回す私。ここから観始めた視聴者(初見さん)がもし今来たら、この不審者はこのゲームを楽しめているのか?と不安になってしまうような姿を見せているが、安心してほしい。

 

 私はこれを観せるためにこの配信(・・・・)をしているのだから。

 

 

 

『フェアリア・クロニクル・オンライン〜妖精姫の祈り〜』、通称『フェアクロ』味方NPCが無能で敵は超有能、そして唐突なバグで進行不能になる箇所が数百箇所。しかもこの仕様の数々の全てを仕様であると言い張っているという本当に売る気があるのか怪しいゲームである。まぁ私は買ったのだが。

 

 

 それまでの全ての場面において味方であるヒロインに攻撃することは許されず、少し小突いただけで現実時間の一時間以上と大量のゲーム内資産を費やさなくては元の状態に戻らなくなる上に、そのままではゲームが進行しないというストレッサーたる彼女(ラスボス)に無制限で攻撃できる「報酬の三分間」……ここまで10日にも亘る毎日の配信を観てくれた彼らには感謝しかない。恐らく一人であったらこの苦しみはきっと、コンクリートで包まれた刑期を過ごしていたか、あるいは砂漠に落としたコンタクトを探すようなものであったと思う。

 

 なんにせよこの三分間を終え、戦犯リスト(エンドロール)を背景に映しながら戦友(リスナー)に告げなければならない一言がある。

 

 

「もう二度とこんなクソゲーやりません」

 

『乙』『次のクソゲーは明日?』『いや今日でしょ』『今日は草』『やりかねん』『草』『嘘を吐くな』『い つ も の』『草』『天邪鬼助かる』『乙』

 

 

「いやまじでやらないから!なんにせよ今日は寝ます!お前らも寝ろ!!!!チャンネル登録とグッドボタンを押し忘れるなよ!それじゃあまた次の配信で!じゃあな!!」

 

 

 煽りをやめないリスナー(馬鹿ども)を無理矢理追い出して配信を閉じる。この配信を閉じてコメントが無くなる瞬間が私は四番目に好きだ。一番目はクソゲーを選ぶ時(※例外はある)、二番目はクソゲーを遊ぶ時(※例外はある)、そして三番目はクリアをした瞬間(※例外しかない)である。

 

 

 さて、そろそろ自己紹介をしなくてはならないだろう。

私の名前は【陽務楽羽(ひづとめらくは)】。自他ともに認めるクソゲーマニアで、クソゲーに憑りつかれていている、どこにでもいるゲームストリーマー(・・・・・・・・・)だ。

 

 

 




というわけで一章分の書き留めが出来るか更新が1ヶ月無かった時だけ更新がされる二次創作小説、始まります。

()がやっておらず、楽羽がやっていること
配信業 メイク キャバリー・クライシス ゴースト・ライド ワンソード・ハック

()はやっていたが、楽羽はやっていないこと

■■■・■■■■■■■・オンライン 彼との女帝討伐
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