鏡面のシャングリラ~クソゲーストリーマー、神ゲーに挑まんとす~   作:岩木伊吹

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シャンフロのアニメ化&ゲーム化が決定した&9巻発売したので初投稿です。一週間に受け止める分量じゃなくない?


静寂と爆音を繰り返す温度差

 

人型の虹色実態「ノート」を切り裂くと同時に世界が止まる。先ほどまで流れていた軽快な音楽が止まり、世界が静寂に包まれる。

 

世界を再開する。軽快な音楽が再開し、目の前に現れた「ノート」を切り捨て世界が再び無音となる。

 

ポップな音楽が一時停止されながら虹色が拡散していく。

 

 

 

 マグニフィセント・ノートブレイブ。BGMに合わせてマップに点在する「ノート」を破壊していく音ゲーであり、マップ中に出現する無数の「ノート」を破壊することで徐々に攻撃力が高まっていく無双ゲームである。

 

 これだけなら普通のVRゲームだが、ノーツを破壊するまでに必要な時間が、ある1キャラクター以外では僅かに不足しており、通常のプレイで倒すだけだとミスとなりボスキャラの討伐が音楽が終了した後となってしまう無味なゲームとして一度プレイしたあとやめてしまうプレイヤーが後を絶たなかった。しかし音楽の出来は非常に良く、ラストアタックと音楽のラストが噛み合った瞬間の気持ちよさに中毒となった一部の有志によってより多くのプレイヤーにラストアタックを味わってもらうために様々な検証が行われた結果、ポーズ中にグリッチ移動することで確実にPerfectを取りながらボス面に到達できることが判明した。それによってボス面を攻撃力最高の状態で迎えることができるようになったが、正直プレイしている側としてはボス面までが無味であるかボス面を含めた終盤が無味であるかの違いでしかない。

 

 なら先ほど言った1キャラクターでやれば良いのでは?と思うかもしれないがそのキャラクターが2Dゲームのコラボキャラクターということで動きが移動とその場ジャンプ、発勁(はっけい)の3種類しかないのだ。キャラクターの再現という意味では完璧なその仕様はVRゲームに慣れてしまったゲーマーにとっては鉛の重しでしかなく、「それなら普通の音ゲーやればよくないか?」の一言でヘッドセットを外すプレイヤーが後を絶たなかった。

 

 とはいえ全く人気が無いかというとそんなことはなく、以前動画サイトに投稿されたプレイ動画がバズったことから覚えている人もいる、程度の知名度となった過去がある。三人称視点のゲーム内カメラプログラムによって撮影されたその動画は、音楽に合わせて瞬間移動しながらノーツを破壊していくストレスフリーの無双プレイとなっており、多数の賞賛のコメントが寄せられた。なおその後投稿された主観視点の動画には困惑のコメントが寄せられたという。

 

 まぁここまで説明しておいてなんだがつまりこのゲームでやることとは単純である。

 

 グリッチ移動に必要な秒数を数えながら蹂躙する、それだけだ。

 

 

「うおぉLaaaaaaaaaAAAAAAAAAAAAA!!!!」

 

 

『鼓膜ないなった』『すげ』『肺活量よ』『鼓膜の予備買っててよかった』『薬局の鼓膜売り切れてたんだけど』『草』『音ないなった』『すご』『鼓膜はダース単位で買っておけ』『実質歌枠』『びびった』『うお』

 

 ノーツを破壊して溜まったゲージを確認した直後、雑魚ノーツが集合している中心に瞬間(グリッチ)移動して奥義を放つ。

 

 

 私が今使っているキャラクターはマイク機能付きナイフを両手に一つづつ携えたスピードタイプのキャラクター。攻略するだけならノーツへの攻撃回数が少ないパワータイプの方が楽だが、スピードタイプは倒さなくても問題ないクリア・ノーツが配置されている関係で攻撃力が最大になる効率が良い他、攻撃回数が増えてセッションとしての爽快感が大きいので配信でやるときはスピードタイプを使うことが多い。そんな裏事情を脳裏に(よぎ)らせながら吹き飛ぶノーツに追撃を加えていく。

 

 右手のナイフをハウリングさせながらクリア・ノーツに叩きつけダッシュの体制に入った瞬間に一時停止する。音が奪われた世界に音楽を取り戻すという世界観であるにも関わらず音を奪うのはプレイヤーという矛盾から目を逸らしながらポーズ画面の裏で動いていく背景を秒数を数えながら眺める。

 

 

 3(さん)2(にぃ)1(いち)....0(ぜろ)。ポーズが解除され、世界が音で満たされる。二本のマイクがハウリングを再び叫び始め、左手のナイフは眼前に現れたノーツの首を叩き虹色のエフェクトと共に音を吸い込み世界に響かせる。体制を整え次のノーツを視界に捉え、ダッシュの瞬間にポーズを行う。世界は再び無音に包まれた。

 

 

「ねぇ、これ本当に鼓膜に悪いゲームだね……みんな替えの鼓膜は大丈夫だと思うけど、それはそれとしてボリューム控えめにしてね?」

 

 

 マイクに囁きかけるような小さな声で画面の向こうに語り掛ける。この小声に合わせて音量調節した視聴者(リスナー)がこの後再開されたライブの音量に押しつぶされてネタコメントが流れるのだろう。よくあるプロレスであり、お互いに理解した上で楽しんでいることだがそろそろどこかの配信で本当に耳をやられる視聴者が現れるんじゃないかと戦々恐々としている。

 

 

「それじゃあ最後まで最大音量で飛ばしてくよぉ!!!」

 

『音量調節バーないなった』『ASMRどこ……ここ……?』『爆音ライブ会場ASMR』『なんも聞こえん』『住んでる寮に響いてて草』『猫がどっかいったんだけど』『草』『風邪ひくわ』『目キンキンに冴えた』『閃いた』『鼓膜の替え足りねぇw』『通報した』

 

 私はそのままリスナーとのセッションを夜まで楽しんだのであった。あと切り抜きがASMRタグで投稿されて謎の小バズリを見せたらしい。知らんがな。

Glitch。ゲーム界隈では「バグがらみの裏技」のことを指す




クソゲーでも神ゲーでも許されるシャンフロのゲーム版、正直ズルだと思う。普通くらいが一番評価に困るので兎に角突き抜けて欲しい。

忘れてなければアニメ化後に表現箇所を主題歌に差し替えます。それまではニコニコに挙がってる「おまえら外道節」を流しておいてください。神曲。

Q.なんでノーツ叩くの間に合わないの?開発中に気付かないの?
A.攻撃をする前後の動きを計算に入れてなかった。2D発勁おじさんは社長の肝要りということでテストプレイされていたが最速で近づいてノーモーションで寸勁を繰り出すことが特徴の為他キャラの時間調整に活かされなかった模様。

あなたのシャンフロはどこまで?

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