鏡面のシャングリラ~クソゲーストリーマー、神ゲーに挑まんとす~ 作:岩木伊吹
「バーチャル学園祭?」
それは、game∞の広報担当であるアヤさんからもらった連絡が最初だった。
「そう!学園祭。サンラクちゃんせっかく高校生で配信者なんだから、それを活かしてみるのもいいと思うのですよ!」
「いやでも私もれいちゃんも若さを活かした配信とかしてないしキャピキャピ(死語)を求めるならもっと別の配信者がいるんじゃない?」
「あやや、現役にしか出せない空気ってやっぱりあるのですよ……」
割と悲痛な声が通話ごしに聞こえてくる……何か若さにトラウマでもあるのだろうかアヤさん?まだ若かった記憶があるのだが。
「まぁアヤさんから来たイベントなら安全面は問題ないんだろうけど、バーチャルってことはVRサロンでやるの?どこの奴?」
VRサロン。それは没入型VRが開発される前から開発され続けている、アバターを用いてオンライン上の他者と体感でコミュニケーションを取れるソフトウェアの総称である。過去には立体視を利用していたらしく、当時の体感型VRゲームには操作性の面で怪しいクソゲーが多い。閑話休題。オンラインゲームほど複雑な行動を取る必要が無く、メインとなるのは感情表現と通話であるので発展がゲームよりも早かった没入型VRサロンは、その方向性から多様な発展を遂げている……らしい。らしいというのは私がそちらの界隈にあまり詳しくないからだ。バイバアルの話を聞く限り魚臣慧の掲示板が上澄みに感じる本当の魔境らしいので、少なくとも成人してからにしようとは思っている。
「フフフ…聞いて驚かないようにするですよ?今回はなんと、先行体験で"The 会議室β"を使用できるのですよ!」
「ざ、かいぎしつべーた……?」
「あ、聞き覚えない感じ……?」
私の脳内に無いということはクソゲーでも配信関係でも無いということだろう。アヤさんの説明を促す。
「オホン!"The 会議室β"とは、シンプルさと拡張性の高さから20代のシェア80%、学生でも48%のシェアを持つ"The 会議室α"の後継として発表され、あのシャンフロシステムとバベルシステムを搭載する初めてのVRサロンなのですよ!」
「VRサロンにシャンフロシステム、要るんですか……?」
「敬語ガチトーンやめて!年代の差を感じるのです!……動きやすさというのは結構大切なのですよ?普通の会議でもそうですし、あと"The 会議室"は若者が友人同士で集まってボードゲームをしたりするのにも使われてるのです。その幅が広がって、レトロゲームをインストールして一緒に遊んだり、バベルを使用して国外の友人と遊んだりもできると良いこと尽くめなのですよ」
「あ、けっこういいかも」
「さらにさらに!この"The 会議室β"では大手企業複数社と提携して現実の約100分の1のお値段で家具やその他実用品を購入可能!舞台装置の仮組や寝具の寝心地のお試しもできるのです!」
「正気????」
いやデータなのだから複製できるとはいえ、シャンフロシステムでそれができるならそれは実際に買うのと同じだろう。しかもそれがバベル込みで可能なら海外のものも気にせず買えるわけだ。社会人でない私でもわかる。これはヤバい奴だと。
「本来なら6人掛けの会議室程度の広さを使用できるVRサロンなのですが、今回は特別に有料コンテンツである10人掛け版、30人掛け版、そして体育館版を複数使用して現実と差異の無い、あるいは現実以上の学園祭を作り上げよう!というのが今回の概要なのですよ!あ、これ企画書のPDFです」
アヤさんから送られたPDFを開く。流石は国内最大級のゲーム関連メディアといったところか。参加者の数は1000人を超え、三日間常に放送が行われメインステージでは豪華ゲストを呼んだパフォーマンスも行われる。
「それで私は参加者の一人として放送すれば良いってこと?」
「いえ、もちろん参加者としても楽しんでもらいたいのですが、サンラクちゃんにはこちらのブースで出展して欲しいのですよ!」
「『(仮題)有名NPCも続々登場!シャンフロ喫茶スペース』……ユートピア社によく許可取れましたね?」
「そこはその……同期の歌姫狂いの広報担当が大立ち回りをしたらしく……」
アヤさんは遠い目をしている。game∞も大変なんだな。そんなことを考えながらも、私はPDFの概要に目を通すことにした。
から始まる合法学園祭編。シャンフロシステムを導入したことで兎も蛇も偶像もきっと来れる。多分このペースだと4年後くらいの導入部分ですがこの設定はフリー素材なのでシャ二次に自由に使ってください。ミラシャンでこの続きを見たいって方は……耐えろ。頑張れ。俺も頑張る。