鏡面のシャングリラ~クソゲーストリーマー、神ゲーに挑まんとす~   作:岩木伊吹

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コミカライズ版11巻が発売されるので初投稿です。


宝物は向こうからは歩いてこない

 どうすれば泥掘り(マッドディグ)を倒せるか、という話はすぐに終わった。ぶっちゃけあの強制停止からの突き上げさえなければ順調に倒せるからだ。行動パターンが判明しているので塩試合になることまで想定出来る。では配信としてどのような縛りで泥掘りを倒すか、という話になるんだけど……。

 

「スキル全使用縛り……かぁ……」

 

「使用できる回数は一回だけ、罰ゲームは過不足の数×10本の致命の包丁(ヴォーパルチョッパー)ね」

 

「自爆系のスキルもまだ無かったはずですし、派手で角の無い縛りだと私も思います。サンラクさんが剪定したスキルの御披露目にもなります!」

 

「視聴者的にもそれくらいが良いだろ?計測班も楽しめそうだ」

 

『助かる』『計測は任せろーバリバリ』『ままえやろ』『うんうん』『おk』『うんうん』『了解』『とりあえずスキル一覧見せて?見せろ♪』『かしこ』『りょ』『助かる』『助かる』『草』

 

 踊った会議で出た結論は「スキルを全て一度ずつ使って泥掘り(マッドディグ)を倒す。二回以上使うと罰ゲーム配信」というもの。攻撃をスキルに頼っているわけではまだないので攻略時間はそこまで延びず、攻撃パターンもわかっているので切るべき部分も判明している。まぁ……わからなくもない。

 

「それであの突き上げ行動なんだけど……」

 

「うん、少し先のアイテムになるけどこれを使う。セカンディルでもたまに出回るらしいから問題は無いってのはさっき言った通り。とはいえオークションだと値段がはね上がるから貸しってことで」

 

「アッハイ」

 

 

ฅ^•ω•^ฅ

 

 

 沼が掘り返され画面を揺らす。鯉が滝を昇るかのように、その竜は大地を昇り私の前に姿を見せる。

 

「シァァァァァァァァァッ!!」

 

「まさか鳴き声のパターン1種類しかないとか言わないよねぇ!『アクセル』」

 

 兎狩りで使い続けた結果Lv.4まで上がったSTRとAGIを一時的に上げるスキルを発動させ、距離を詰めて一閃。攻撃力を上げた一薙ぎを、速さを加えた二薙ぎへと変えて致命の包丁(ヴォーパルチョッパー)で火力を突き詰める。傭兵(片手剣使い)の効果で双剣持ちをした時よりも火力の補正がついているが、それでもこの巨体を一連のラッシュだけで仕留めるには程遠い。

 

「それでもっ!」

 

 泥掘り(マッドディグ)は一度離れてこちらへと突進を仕掛けてくる。一回目はこれを弾く(parry)ことから始めたが、今回は前段階のレペルカウンターを簡単に切れない。だからこそ。

 

「並走する自動車だって動くだけの壁判定だろう!?『エッジクライム』」

 

 反重力装置を使った立体レースゲームを頭の片隅に思い浮かべながらこしょたん(湖沼の短剣)を取り出しクリティカルになる眉間に投擲、ダメージエフェクトを片目に一瞬刺さったこしょたんを軸に背中を超えて一閃、さらに『スライドムーブ』でダメージ無く泥掘り(マッドディグ)の反対側に移動する。向こうから向かってくるタイプの飛び箱だと思えば楽な方ではなかろうか。

 

 『エッジクライム』の効果時間は結構長い。戦闘中に積極的に使うスキルではないことと、一瞬で効果が切れると登り切れないからだろう。だがその少し長い数秒が今回は大切だ。なぜならその数秒で

 

「二度目の突進までスキル圏内ぃ……っ!」

 

 連続突進までスキルの効果が続く。それならスキルも一度で良いし、縛りも関係ない。回数に囚われないスキルの良い点である。悪用すべき点ともいうが、今回のは流石に想定内だろう。土竜の背を左手で掴み、右手の武器をしまい幸運を繰り出す。

 

「最初のお披露目、一旦ここで頼むよ!『ハンド・オブ・フォーチュン』!」

 

 セカンディルの特技選定所(スキルガーデナー)でナックルラッシュから派生させたLUC(・・・)をSTRの代わりに計算する打撃スキル。火力が未知数なのであえて中盤に持ってきたが、良い感じだったようで。

 

「そのまま潜って確定行動!このパターンなら『ベストステップ』で地面から距離を取るっ」

 

 不安定な場所でも完璧な(・・・)ジャンプを決めるこのスキルで移動不可を付与する沼から離れる。泥掘り(マッドディグ)の突き上げまであと5秒。当然このままなら自然の摂理に従って落ちるだけだが

 

「ここでっ」

 

 取り出したのは無骨な木の板。ただその用途は空を泳ぐこと。「宙船(そらふね)の甲板」……最前線の生産職が作り上げた、「空中を蹴るスキルがあるなら空中で踏めるアイテムがあってもおかしくないのでは?」という閃きを形にした第一弾。効果は一つ。「3秒間だけ空中に留まる」悪だくみがいくらでもできそうなアイテムだが、カイソクによると複数の使用や高度など色々な制限があるらしい。が、今は関係無い。空中から落ちるまで3秒間の猶予が貰える。これだけで良いのだ。

 

「シァァァァァァァァァッ!!」

 

 泥掘り(マッドディグ)が下から飛びついてくる。最初は弾くための距離が無かったから逆バンジーになった。でも、今なら。ここから生存する(ハック)はある。

 

「『レペルカウンター』」

 

無二の剣による生活術(ワンソード・ハック)

 

弾け(parry)!!」

 

 一匹しか出ないモグラ叩きなら、やる方もやられる方も経験済みだ。引っ込むときよりも出始めに叩きこむ方が威力が高いのは世の常のようで。

 

「シァァァァァァァァァッ!?」

 

ポリゴンとなり、弾ける様子を、隕鉄鏡(カメラ)に映しながら眺め、武器をしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、スパイラルエッジ忘れてた

 




本日12月16日にコミカライズ版シャングリラ・フロンティア11巻が発売です!該当話は深淵のクタおじさん序章とコミックオリジナルの「貴方はなんのためにゲームをしますか?」ペンシルゴンとカッツオの楽しみかた、生き方が活き活きとした表情で知れる最高の話なのでweb版のみの方も是非購入してください!せっかくならエキスパンションパスまで買ってしまうのも良いと思います。カードゲームそれしかやったことない鉛筆かわいいね……。このSSよりも面白いので投げ銭のつもりで気楽に購入しましょうね

スキル把握難しすぎて死って感じなので対策を考えます
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