鏡面のシャングリラ~クソゲーストリーマー、神ゲーに挑まんとす~   作:岩木伊吹

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世界線が違うので初投稿です


赤面と能面、素顔はどの面か

 連絡する前に彼女のツブヤイターを確認し、今配信をしていないことを確認する。

 

 ロールプレイを重視している彼女にいきなり連絡をして配信事故をさせるわけにはいけない。まだ学生の身であるが、彼女の友人としてやってはいけないラインは理解しているつもりだ。

 

『今通話大丈夫?』

 

 既読まで0秒。そして返信まで5分。今日はいつもよりも短いな?

 

『はい!大丈夫です!もういつでも!』

 

 許可が出たので通話をかける。ビデオ通話でも良かったのだが、以前師匠に注意されたことを思い出して止めることにした。『君みたいにクソゲーに女子力吸われてるならともかく、普通の女の子はオフの様子をいきなり映されるのは嫌なんだよ』とのことだ。いや師匠にオフなんてあってないようなものでは……?

 

 そんなことを考えながら通話をかけると、ワンコールも経たずに彼女との電波が繋がる。

 

『はひ!斎賀でしゅっ!』

 

「お互いそれはわかってるよ、落ち着いて?」

 

『は、はい……』

 

 電話の相手は斎賀玲(さいがれい)さん。高校の同じクラスの友人で、高校から配信活動を始めた配信仲間(・・・・)の一人だ。クラスで話す時は目を合わすこともできないくらいの恥ずかしがり屋で、でも誠実で優しい良い子だ。

 彼女の配信はシャンフロが中心で、配信中は恥ずかしがり屋な人間とは思えないほど堂々かつ冷静な話し方と行動でギルドのメイン火力として人気をほこっている。

 始めて彼女の配信を観たときは本当に同一人物か疑ったくらいだ。配信を観た感想を伝えたあと顔を真っ赤にして配信を2日休んだので、そのときは本当に申し訳ないことをしたと思っている。

 

「ごめんね、急に電話して。ちょっと聞きたいことがあってさ」

 

『いえっ!わたしも時間は空いていたので!もういつでもなんでも聞いてください!!』

 

「あは、ありがと。実は今度シャンフロを触ってみようと思ってさ、イベントの進み具合とか配信するときの注意点とかあれば教えてほしくって電話したんだ」

 

『ぴっえっしゃっシャンフロですか!?やっと、あ、いえ、でも以前やらないって!』

 

「いやぁこないだクリアしたクソゲーが中々骨太でさ、ちょっとだけクソゲー以外のゲームもやってみたい気分になったんだよね」

 

『あっフェアクロですね。確かに疲れ果てているようには思いましたが、そこまでだったんですか』

 

 斎賀さんにフェアクソをプレイする話をしたかな?と少しだけ疑問に思いつつ私は彼女から話を聞き取る。シャンフロの話をするときはロールプレイが前に出るのか、いつもよりも冷静に話しているように感じる。電話の向こうにいるのがいつもの彼女でないことに少しだけ寂しさを感じるが、事実をしっかりと伝えてくれることにはなんの問題も無いので突っ込みは入れない。

 

「……ふむふむ、今のところユニークは無数にあるけどメインシナリオは進んでないから普通に遊び始めるには問題はない、って感じなんだね」

 

『はい、わたしもいくつかユニークを所持していますが、レベルキャップ解放やメインシナリオの進行が条件とされていそうなものが多く、先に進むことができないのが現状です。上位陣でも通常のプレイを楽しみつつシナリオの進行方法を探っている状態ですね』

 

「なるほどねー配信の設定とかも一通り教えてもらったし、これで大丈夫!ありがとう斎賀さん!ある程度進んだら配信外でもいいから一緒に遊ぼうね!それじゃ!」

 

『はい、こちらこそ……っ!?』

 

 配信すると決めたからにはやることは多い。斎賀さんとの通話を切って、行きつけのゲーム屋(ロックロール)に明日の学校帰りにシャンフロを買う旨の電話をする。何か叫んでいたような声が聞こえたが、時間は有限(タイムイズマネー)、岩巻さんなら間違いなく用意してくれるだろう。

 

 配信用のサムネイルを作りながら、他の配信者達が行っているシャンフロの配信を確認する。いつ撮影してもある程度画になるイベントが発生するからか、録画よりも生配信の形が多いようだ。放送の数も多いので、新しい視聴者よりも今までの視聴者を気にした方が良いかもしれない。

 そして問題の遅延は半分遅延無し、残りは1時間~10分といった所か。たまに3日入れている猛者もいるが、視聴者も多いので有名クランのメンバーか元々有名な人なんだろう。斎賀さんのチャンネルをチラ見したら3日入れていた。まさか超有名人だったりするのか?だとしたら遊びに誘うのも控えた方が良かったりするのだろうか……?

 

 そんなことを考えながらも作業を進め、明日に備える。珍しくクソゲーに食傷ぎみだった今日だが、それでもゲームをしないという選択肢は無かった自分には苦笑するしかない。

 

 話題の神ゲー、シャングリラ・フロンティア。私はこのゲームで視聴者と自分自身を楽しませることができるのだろうか?

 

 そんなことを考えながら目を閉じる。意識が薄くなるのに、時間はかからなかった。




斎賀玲:この二次創作では必ずしもヒロインちゃんとは呼ばれないかもしれないヒロインちゃん。一週間に一回程度共通の話題で会話が出来る現状にとても満足している。そういうとこやぞ

配信者としては新参であるが、トップクランの最前線で戦い、的確な指示を出す彼女の配信は瞬く間にシャンフロ配信でも最前線に立った。最初のころは視聴者を意識するようなことは無く、固い報告書のような配信スタイルであったが、ある時期をきっかけに視聴者へしっかり説明しながら配信するようになったとか。

ちなみに楽羽が通話をかけたタイミングは遅延を入れた配信中。突然スキルをフル活用して周囲の敵を薙ぎ払い「大切な用事が生まれた」といって去っていった彼女に視聴者もクランメンバーも困惑を隠せなかった。

そして一時間後に帰ってきた彼女は妙なやる気を見せていたとか。

あとしばらく更新は無いよ

あなたのシャンフロはどこまで?

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