鏡面のシャングリラ~クソゲーストリーマー、神ゲーに挑まんとす~   作:岩木伊吹

38 / 46
雷の神獣をまだ倒せてないので初投稿です


体は闘争を求める

 さて、ルストという少女と私の関係を説明するために必要なゲーム、ネフィリム・ホロウについて説明しておこう。

 

 それは一部の界隈でカルト的な人気を保ち続けている超高難易度ロボットアクションゲームであり、彼女たち(・・)の巣窟。先ほども少しだけ話したが、ルストちゃんはそこのトッププレイヤーである。世界観もしっかりしており、簡単にいってしまうと、突如空から巨人が落ちてきて、なんだかんだあって文明が半壊したパラレルな地球で、プレイヤー達はかつて空から堕ちてきた巨人を乗りこなし、三勢力と時に争い、時に協力する……というもの。

 

では何故このゲームがクソゲー評価をされがちなのかというと、操作が難しい。という一点で評価が乱れている。操作性が悪い、ではなく操作が複雑なのだ。

 

界隈では「全部俺演奏をリアタイで作る(ぼっちでロックする)ようなゲームにリアルタイムの配信機材管理まで加わってて草」などとコメントがされていたが、確かにその例えはあながち間違いではない。作中におけるロボこと、機衣人(ネフィリム)搭乗席(コクピット)に乗り込んで操作するタイプではなく、文字通り機体と融合一体化するタイプとなっており、それが原因で兎にも角にも操作が忙しすぎる。

 

例えば両肩と両腕にビームサーベルを装備していたとしよう。これが搭乗席(コクピット)タイプであればレバーを引くなり、ボタンを押すなり、タッチパネルを操作するなりで振り回し、起動することになる。

 

だが機衣人(ネフィリム)は一体化型、要するにゲーム内でロボットというアバターにログインするようなもので、4本のアームをまさしく自分の身体のように扱わなければならない。異形の体を使いこなさなければならないのだ。

 

CPUに頼ってオートで武装を動かすこともできるが、対人戦の勝率が代償となってしまう。

 

そんなネフィリム・ホロウが神ゲーなのかクソゲーなのかという談義はコメント欄と掲示板で無限回行われており、最終的に必ずクソと判別される幕末や便秘(一部のゲーム)と違い毎回結論が変わる不思議な状況に置かれている。ルストちゃんみたいに乗りこなせる適応者なら問答無用で神ゲー認定するんだろうけど、私個人としては、プレイヤースキルの練習になる上にロボットに乗れるから好きなゲームではある。その上でクソゲー寄りの評価、かな……?

 

 話が逸れたが、ルストちゃんに出会ったのはそんなネフィリム・ホロウの中。当時から界隈の知り合いとの間でクソゲー寄りの神ゲーと見せかけた良ゲーと話題になっていたが、公式で配信が可能になったという話を聞いてとりあえずランキングに潜っていた時に引き分けてからの仲である。配信が出来るとはいっても対戦中、ネフィリムと呼ばれるロボットに関する他の操作をしながら自分でも動かさなければならないという縛りの上で行われていたので私以外に適応出来た配信者が片手で収まるほどしかいなかったという実績があった。しかもその中で新規は私だけという……。

 

 そんな私の数回の配信を観てネフィリム・ホロウに興味を持った人が片手より少し多いくらいネフィリム・ホロウをプレイした、という実績を知ったルストちゃんが粘着一歩手前くらいの頻度でまたネフホロを配信しろと付きまとい、それを知ったモルドくんが謝りにきて、それに対してネフホロを配信する代わりに情報を集めてもらったり……ということを何度かしていたところ、なんやかんやで仲良くなった。

 

頼みを聞いてもらう替わりにネフホロの配信をする、という言ってしまえば案件みたいな関係だが、それでもプレイのコツを教えてもらったりと仲良くやれていると思う。

 

で、そんなルストちゃんに引きずられている現在なわけですが……

 

「ねぇールストちゃーん?そろそろ離して欲しいなぁって思うわけなんですけど」

 

「日程を間に合わせたいと言ったのはそっちのはず。自分で交渉材料にしたいなら先入りして情報を全部まとめとくくらいはした方がいい。サンラクが以前言っていたこと」

 

「確かに言ったけどさぁ」

 

「それに刻印で弾かれる程度にレベルが上がったのならレベリングをする意味もあまり無い。それまで待っただけ褒めて欲しい。なのでこれから戦うボス、歌う瘴骨魔(ハミング・リッチ)の対策について話しながら進むことにする。オッケー?」

 

「お、おっけー……」

 

最近ネフホロの配信を出来ていないからかルストちゃんの押しが強い。シャンフロに良い感じのロボットでもあればそれをオトリにして話を逸らせると思うのだがどっかに無いものか。

 

「そこのウサギは魔法職のNPCってことでいい?」

 

「お、おう、ダブリュアじゃ、よろしゅうな」

 

「ん、私はルスト。よろしく。歌う瘴骨魔(ハミング・リッチ)は物理攻撃が効かないから、あなたの魔法でバフをかけるか私の魔法弓でのダメージが基本になると思う。でサンラク」

 

「はいな」

 

「回避盾でヘイト稼いどいて」

 

「お荷物……ってコト!?まぁ物理効かないならそうだよねぇ。了解。ところで魔法職必須っぽいのになんでモルドくん置いてきたの?」

 

「……そういうこともある」

 

「(忘れてたな……)」

 

そんな話をしながら対策を練り、私たちはエリアボスの間に続く霧の濃いエリアの前へと辿り着いた。




ルスト/佐備 夏蓮
配信は大会動画のPVを見て満足するタイプ。配信の力を知って広報を他のプレイヤーにさせることを覚えた。
なお自分では配信はしない模様
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。