鏡面のシャングリラ~クソゲーストリーマー、神ゲーに挑まんとす~ 作:岩木伊吹
断末魔とともに、ユザーパー・ドラゴンが地面に倒れ伏す。とっくの昔に遅延配信なんて切れてるし、ラビッツ観光に対する「お疲れ様」「楽しかった」のコメントだって流れ終わった。今はただのサンラクとしてパーティープレイを
「ルストちゃんいて助かったぁ」
「『遮那王憑き』でも届かないなんて聞いてないよぉ!前あんなに高く飛んでたっけ?またヤらなきゃ……私一人でも負けないし……」
「またやるの!?でも今はフィフティシアに行くことを優先しないと」
「ん、いいから向かう。フィフティシアに行くまではやりきってもらう」
「魔法が届かんほど高く飛んで逃げるとは、
戦闘の様子は一応録画していたけど、流石に泥沼過ぎたし画が面白くない。お蔵行きです。武器盗むのは流石にボスとしてどうなんだお前。今度やるときはガンメタ張って行こう。投げナイフもっと欲しい。
でフィフティシアにまもなくつくわけなんだけど……改めて動画回しちゃおっか!
シャンフロのカメラこと
なんて、誰に告げるでもない事を一人考えながら
「うーん、潮風が気持ちいいね!というわけでサードレマからフィフティシアの直前までやってきました!現在の日付は7月21日、こちらのダブリュア君と行ったラビッツ観光の配信の直後!ここまで色々あったりなかったりしましたが、これから録画していくものに比べたら雑談で済ませて良いくらいのことだしカットカット!そしてそんな情報を流したら集合場所で待ちきれずに手前の町まで飛び込んできたのがこちらのゲスト1人目です、どうぞ!」
カメラを動かしてカリントウさんにフォーカスを当てる。ぱっと動かしてぱっとピントを合わせるのがコツだ。
「みなさーん、こんととー♪徹夜騎士カリントウですっ。サンラクちゃんに情報を貰っていてもたってもいられませんでした!この動画が公開されているころには別のコラボでご一緒してると思うので、そちらも見て行ってくださいね~」
割と雑に録画を始めたのにもう適応してくれてる。これが陽の配信者の力か……。
「今この場にいるのはあと二人、私の配信を追ってくれてる方なら知っているでしょう、ネフィリム・ホロウのNo.1コンビことルスト&モルドにも来ていただいています!実は今回の情報は二人から聞いたんですよね~」
「ど、どうも~」
「……ん」
流石に二人は顔と言葉が多少硬いね。二人とも
「なんて言っていたらフィフティシアに到着です!時間も相まってプレイヤーが少ないですが、The・港町って感じの所ですね。もっとコンテナがあれば現代っぽくなるんですかね?」
「集合場所はこっちの酒場兼宿屋だよ~。オンラインには……え、みんななってる!集合時間までログアウトだと思ったけどこれは受注までできそうだね~」
集合場所の建物は木製らしい二階建ての宿屋。一階が酒場になってるタイプだ。いつも思うけど二階だけでよく宿泊者全員入れられるなシャンフロ……。
扉を開けると、見覚えのある顔が見える。
「いきなりだけど自己紹介してもらいましょう!じゃあまずはおじさんから」
「配信回してるのかよ……非公開なのは確認してるから良いけどさ。どうも、カイ速特急チャンネルのカイソクです。」
「ピあ、はい。0ちゃんねるのサイガー0です。今日もよろしくお願いします……」
「というわけでもはやいつものお二人です!メンバーにいない某コラボの方々はシャンフロやってない人と裏で出来るほど余裕が無いとのことです。諸々終わったら参加出来るかも、とも言われてるのでお楽しみに!」
「……って感じで良いかな?あとはルストちゃんとモルドくんにユニークの説明をしてもらう様子と実際の受注までやれば良いけど、そのままだと船に乗っちゃうんだよね?」
「そう。そこから先は不明だけど、多分航海が始まると思う。しばらくログアウト出来なさそうだから一度休憩。私もごはんがある」
「じゃあまた夜に!流石に今日はもう寝たいなぁ」
「じゃあ私はユザーバー・ドラゴン倒しに行ってくるから!」
「え、ちょ、パーティー組みっぱなしだから参加確定じゃん!?」
「昼は外食だからそれまでに戻ってくればいい。私は落ちる」
「ルスト!?ねぇ待ってルスト!」
「じゃあモルドくんいこー!」
「いやまって僕もまぁまぁ疲れて……あぁSTR高い……」
約一名が犠牲になったけど大丈夫だろう。カリントウさんをフィフティシアに連れ戻す役目も必要だからね、うん。
「来たばかりだけど戻るまでずっと待機してるのもあれだし僕たちも休もうか、サイガー0さん。……サイガー0さん?」
「ハナセタ……ヨカッタ……」
「固まってる……バグかな?」