ワイルド・スピード/X(クロス)ファイア   作:タチガワルイ

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すでに毎日チャレンジが瓦解してきててやばしと思ってる私ですこんばんわ。
頭文字D編が終わりまして、ワイスピへと空気感を戻していきたいなってところなんですが。
いつも通り約束通り。タイムマシンが走ると、カーチェイスが始まります。

登場人物
ワイルドスピード
・ドミニク=トレット(ヴィン=ディーゼル)
・ジゼル=ヤシャール(ガル=ガドット)

バックトゥーザフューチャー
・エメット=ブラウン(クリストファー=ロイド)

車輌
トヨタ・AE86-"D"スプリンタートレノ(タイムマシン仕様)
通称『ハチロクD』

スバル・フォレスターAdovance

NISSAN・フェアレディZ A-S30型

その他ワゴン車


チャプター15.

『車を降りろ』

 

男の口元は再度、そう動いた。三度目はないと、銃口がゆらりと揺れる。

 

ドミニクは信号をちらと見る。未だ赤。

交差点の向こうでは、無数の車がドミニクらを塞ぐように右へ左へ往来していた。

突っ切るのは不可能だろう。それほどまでに車通りは多く、交差点は長い。

しかもこの車は友人から譲り受けた一品ものだ。こんなところで車にぶつけて壊すわけには行かないのだ。

では言われた通りに車を降りて、野郎の言うことを聞くのか?

論外だと断じる。相手は国など関係なく銃を向けられる連中だ。アメリカの非正規組織か何かか、この動けない状況で脅しにかかるのはプロと見て良い。

後数秒もアクションがなければ、次の一手に出るのは明白だ。相手が車を降りて、この車を奪う。

だからドミニクは無視した。無視して、車の動きに注視する。

 

まだ厚い。まだ動けない。

 

銃口が引っ込み、代わりにフォレスターのスライドドアが開く。

 

まだ、もう少し。

ドミニクの右足がアクセルに触れる。反射的クラッチを踏もうとして、空振り。この車にはクラッチペダルが無い。──なら、もっとやりやすい。

 

スライドドアからフルフェイスのヘルメットをつけた二人組が現れる。

身をのりだし、未だ動かないハチロクDに向かおうと地面を足につける。

その瞬間だった。

 

───ここだ。

 

「捕まってろ」

 

「「え?」」

 

ドミニクがアクセルペダルに全体重を載せる。

ハチロクDの後輪が猛回転してアスファルトを削る。

電気自動車は、始動した瞬間から最大トルクを発揮する。いきなり六速でかっ飛ばすスポーツカーに放り込まれたような、内燃機関車ではあり得ないゼロ距離加速を産み出すのだ。

まさにつんのめるようにして、ハチロクDが信号を無視して、左右を行き交う車の川へと飛び込んだ。

しかし、ドミニクは臆さない。

川を突っ切ようとするから、激突の憂き目に遭うのだ。

 

川は流れるもの、ならば流れに身を任せなければ。

 

ハチロクDが左へ後輪を滑らせながら体を向ける。

まさに、紛れ込むように。

ハチロクDは大通りを往く車の群れの中へとドリフトで侵入し、そのまま流れに乗ったのだ。

 

「.....っ、は、ぁ!?何をするのかね!?」

 

悲鳴すらあげる余裕がなかったエメットが唾を飛ばしたのは、通りの車の間をすり抜けながら爆走している最中だった。

 

「追手だ」

 

ドミニクの答えは極めて簡潔。ジゼルは既に拳銃のスライドを引いて弾を確認している。

 

「敵は?」

 

「まさか日本でドンパチやる気かね!?」

 

「相手はその気よ」

 

ガシャン、とスライドが戻る。

ドミニクがバックミラーを覗いて、尾行を確認すると後ろからそれらしい車が二台、やってくる。

ワンボックスワゴンだ。普段なら相手にならないが、ここは天下の大通り、東京だ。70以上がろくに出せない交通量なら、ワンボックスも充分脅威に入る。

 

「飛ばすぞ。...爺さん、相手を撒く。この近場で一番飛ばせる道を探せ」

 

ドミニクの要望にエメットは目を剥いた。

 

「アウトバーンのようなものかね、この国にはそんなものないぞ!」

 

「あるだろう。ここは日本だぞ」

 

まるで当然のようにドミニクは言い返した。

彼はこの国にアウトバーンが無いことも、速度制限が100を越す場所がないことも知ってる。

だが同じくらい、その規制にあって尚走ることをやめられない人間がいることも知ってるのだ。

 

「高速道路、湾岸線。日本のアウトバーンはアウトローだ。そこに入る最短ルートを出すんだ」

 

エメットは何かを言いかけて、やめた。

ここまで付き合うと、こういう場合、言うことを聞くのが一番生き残りやすいと学んでくる。

 

「.....わかった、ルートを検索しよう。だが捕まるなよ?大事なタイムマシンだ」

 

「当然だ。ジゼル」

 

「敵は四台、三台がフォレスターのワンボックス」

 

「一台は?」

 

聞いたときにはわかった。

バックミラー越しに、猛然と迫る一台の車。

紺色の、まるで地を這う悪魔のような咆哮が、車の群れを掻き分けながらこちらに迫ってくる。

 

「どこから持ってきたのやら───フェアレディZ、それも初期型S30よ。正直イカれてるわね」

 

 

 

 

ハチロクDは、乗用車、トラックを右へ左へ避けながら大通りを疾駆する。

しかしそれも限界が近い。

目に見えて車の密度が増えてくる。

まだフェアレディZは追い付いてこないが、確実に影は大きくなっている。

ドミニクは大通りに見切りをつけた。

一番左の車線に滑り込み、ウィンカーもそこそこに。

一番手近にあった脇道に後輪を滑らせながら、飛び込んだ。

早い朝だ。通りは賑わっていても、裏道一本入れば閑散としている。

ハチロクが路地裏に飛び込むのと、Zが路地裏にたどり着いたのは同時だった。

僅かな一瞬、ドミニクとZがバックミラー越しに睨み合う。

振りきって、ドミニクは90°の角を曲がり、路地裏を疾駆する。

 

フェアレディZは暫くそれを見送って──自分は通りに戻る。

代わりにワゴン車が一台、ドミニクを追って路地裏へ飛び込んでいった。

 

「追ってくる!」

 

「数は」

 

「一台!」

 

「振り切る」

 

 

ジゼルがバックミラー越しにワゴン車を確認する。

車幅が狭い。それゆえ窓を開けて射撃はできないと踏んでいたが、敵が顔を出したのは天井からだった。

ガガカン!!と小刻みなノックがハチロクDの天井を走る。

 

「またかね!?こんどはケーブルが切れても修理できんぞ!」

 

エメットが喚くが、ドミニクは気にせずジゼルへ尋ねた。

 

「タイヤは狙えるか」

 

「この状態じゃ無理ね。窓も小さいし、ヒンジドアからガルウィングになってらから扉も開けられない」

 

「なら、扉を開けられれば撃てるか」

 

ジゼルは一瞬怪訝そうにドミニクを見るが、その瞳はすぐに期待のそれへと変わる。

まるで次のいたずらを尋ねるように、彼女は楽しげに返した。

 

「当然。けど、どうやって扉を開ける隙間を開けるの?」

 

ドミニクも、楽しげに頬を歪める。

 

「今から見せるさ。───ドアに手を掛けて待機しろ」

 

「りょうかい」

 

こんなやり取りの中、たまったものではないのは文字通りジゼルの尻に敷かれながらカーナビをいじるエメットだ。

 

「ドミニク、ジゼルも何をする気か知らんが、車は大事にだな!」

 

「口を閉じていろ。舌を噛む」

 

ワゴン車とハチロクの車間はぐいぐい縮まる。

相手は見境がない。家の軒をバックミラーでめくりあげながら、ライフルを乱射して道路やハチロクDの屋根を好き勝手に跳弾させる。

対するこちらはジゼルの持ち込んだ拳銃一丁。

好機をドミニクは捉える。一車線あるかないかの路地裏から少し大きめの通りへ繋がったらしい、幅員が十字路を境に一車線分広がっている。

 

「準備しろ」

 

「出来てるわ」

 

ジゼルの二つ返事と同時だった。

ハチロクDが二車線の十字路へ、わずかな段差をジャンプ台にして"跳ねた"。

その瞬間、ドミニクはサイドを引き、思い切りブレーキを踏む。

ハチロクDは空中で緩やかに放物線を描きながら、車体を左へ、向いの路地裏へ"横向き"に突っ込む。

四輪が進行方向から全く違う横Gにより軋み、悲鳴を上げる。

同時に跳ね上げられたのは、左側の扉、ガルウィングだ。その扉の中から突き出されるのはジゼルの拳銃。

射線の先には十字路へ差し掛かったワゴン車だ。

交錯は刹那。 

僅か一発の発砲が、ワゴン車の前輪を抉りとった。

つんのめるように前へ倒れたワゴン車が、先ほどハチロクDが跳ねた段差に引っ掛かり。

 

派手に車が倒立した。

ボンネットごと運転席を潰しながら、車がゆっくりとひっくり返り、天地を逆さに頽れる。

その時にはハチロクDも停車していた。

残るのは銃口から漂う硝煙と、僅かに放心した三人だ。

 

「.....や、やったのかね」

 

「えぇ、やったわね」

 

ジゼルはワゴン車から人が出てこないのを確認すると、ガルウィングの扉を閉じた。

 

全く生きた心地のしない瞬間だ。

エメットはうんざりしたように吐き出した。

 

「撃ち合いはこれで打ち止めにしてはくれんかね」

 

ドミニクはハンドルを切りながら、いとも簡単に答えた。

 

「俺に言うな」

 




湾岸世界にちょっぴりお邪魔し始めましたワイスピX、ここまできたらもう混ざるもん全部混ぜちまえの精神です。
湾岸ミッドナイトはアニメをYou○uberでチラ見程度の知識しかないので湾岸キャラを登場させる予定はないのですが、車輌がとにかくかっけーので積極的に聖地と車は借りていく気概でいます。
あのZ、結局爆発炎上してたのに、2021現在誰が乗ってんだろ....
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