てなわけで仕込み編part2.というわけで、色々新手と過去のシーンが交錯し始めましたね!!
今回は一部『ワイルドスピード/TOKYO DLIFT』のワンシーンをそのまま文字起こししています。
運命のハン回、さてさてどう転びますことやら。それでは、刮目して、どうぞ!!
登場人物
ワイルドスピード
・ドミニク=トレット(ヴィン=ディーゼル)
・ジゼル=ヤシャール(ガル=ガドット)
2015.
ショーン=ボズウェル(ルーカス=ブラック)
ニーラ(ナタリー=ケリー)
トゥインキー(バウ=ワウ)
タカシ(ブライアン=ティー)
子分※モリモト(レオナルド=ナム)
・ブリクストン=ロイ(イドリス=エルバ)
・サイファー(シャーリーズ=セロン)
バックトゥーザフューチャー
・エメット=ブラウン(クリストファー=ロイド)
登場車両
・NISSAN
フェアレディZ Z33(ヴァイルサイド仕様)
GT-R R34
スープラ80系
・三菱・ランサーエボリューション
・マツダ・FD3S RX-7(ヴァイルサイド仕様)
・ホンダ・シビック タイプR 2015年式
「一体どういうことですっ!」
閑散とした資材倉庫の真ん中で、怒号が響き渡った。
山積みされた段ボールの合間に紛れて、モニターの前に一人の男が立っていた。
体格にフィットしたライダースーツを着込み、小脇にはフルフェイスのヘルメットを抱えていた。
黒い肌の精悍な顔立ちが、今は焦りで歪んでいる。
彼はノートパソコンをにらんでいた。『Sound only』とだけ映された、面白味のない画面を。
ノートパソコンが喋った。
『通達した通りだ。速やかに準備を整え、本部へ帰投したまえ、ブリクストン=ロイ』
「納得が行きません!マーティ=マクフライの連行は私の任務のはず、それがなぜ今突然......」
『
「.....薬の予備は既に発注しています。明日にもこちらへ届く、作戦行動には支障ありません」
『それが"ある"と、
「........っ」
ブリクストンは歯噛みする。
"テクノロジーによる人類の進化"を標榜するエティオンの最高指導者であり、最高権力者。声しか知らないが、ブリクストンにとっては無二の恩人であり、また崇拝対象であった。
しかし今だけはその指導者が恨めしい。
パソコンの声は続けた。
『代わりの人間がそちらへ合流する。引き継ぎを済ませたらすぐに帰投しろ。飛行機は羽田からチャーターで出る』
「.....私では、役者不足と?」
ブリクストンの沈んだ呟きに、パソコンの声は珍しく不憫に思ったのか、「そうでは──」といいかけた。
「ええ、その通りよ」
パソコンが勢いよく閉じられる。
弾かれたようにブリクストンが顔を上げると、女が不敵な笑みを浮かべていた。
長いブロンドの髪をたなびかせるその美女は、蒼の瞳の奥からしっ、とブリクストンを見据えて微笑む。
「誰だ」
ブリクストンは直立不動のまま問う。だがブリクストンは解っていた。
彼女が敵ならばシステムが反応しないはずがなく、また反応しないということはこちらの身内、しかし誰かはわからない。となれば回答は一つ。
「"おそらく、こいつが俺の後釜"──えぇ、正解よ。ブリクストン=ロイ」
「っ、思考を読むな」
「読むなと言われても。解りやすいのだから仕方ないじゃない。頬がひきつり、目が据わって右腕の上腕筋が蠢いた。反射的に銃を抜こうとしてやめたわね。.....さすが歴戦の敗北者と言ったところかしら」
「.....なんだと?」
滔々と口上を垂れる女の言い種に、ブリクストンのこめかみに血管が浮く。
敗北者だと?この俺が?
「えぇ。MI6で負け、デッカードに負け、主義に負け、挙げ句手管で負けてる....あなた、かつて一度でも勝ちたい相手に勝ったことがあるかしら?」
「黙れ、口を閉ざせ、でなければ」
「なに?私を殺す?倒せそうだから?楽な仕事ね、ただしその瞬間、あなたは理想に負けることになるけれど」
「何を言ってる?」
女は愛おしそうにノートパソコンを撫でながら続けた。
売らなくて良い喧嘩を、相手が買えないと承知の上で言い値で吹っ掛け続ける。
「あなたの推測通りと言ったでしょう。私が、あなたの仕事を、継ぐのよ。あなたは指導者から『不合格』と言われたわけ。つまり現時点で、指導者からお墨付きを貰ってるのは私の方。プライドに少し
もしも、彼が『エティオンのエージェント』という立場にたいしてさほど執着がなければ今すぐこの女の顔に穴を空けてそこにナニを突っ込んでいただろう。
そう思えるほどに、ブリクストンの腸は煮えくり返っていた。
しかし、それは悔しいかな彼女の言い分に一理あるからだ。
こんなところでそんな理由で人を殺しては、なんのために自分がサイボーグになったのかまるでわからない。
大きな──肺を空にするほど大きなため息をついて、ブリクストンは心を整えた。
「....それで?アンタは冷やかしに来たのか?仕事をしに来たのか?回答如何では俺にアンタを殺す理由が生まれるが」
冷やかしに来たのならば『仕事の邪魔』としてこいつを殺し、代わりをエティオンに要求できる。自分はまだ指揮権を渡していない、つまりこの瞬間まではまだ自分が現場の指揮官だ。
女は楽しそうに目を細めて、「いいわ」と両手を掲げて見せた。ポーズの降参だ。
「仕事をしましょう。現状は?」
「マーティ=マクフライに関するデータはそこのノーパソに一式。帰投は俺だけのようだから、部下は好きに使え。銃は?」
「あるわよ、自前だけど」
「なら制式銃に取り替えておけ。敵味方識別信号を兼ねたID銃だ。認証はこの手袋」
テーブルの上に、黒い拳銃と、指貫グローブが放り出される。
女は一瞥だけして無視することにした。
ブリクストンは不機嫌に鼻を鳴らすが、それ以上はなにも言うことはない。
「質問は?」
「ないわ」
「なら俺から一言」
質問者が質問を出すことが意外だったのか、女は首をかしげた。
「最初の問いに答えて貰ってない。アンタは誰だ、名乗れ」
女はおかしそうに破顔する。誤魔化すように首をに三度振ると改めてブリクストンを見つめた。
「私に名前はないわ。私は個人であり、主義であり、組織だから」
「ならなんと呼べば?」
女は右手を差し出す。どうせ二度と会わないのだから、惜別に一つ握手でも。
「──
※
ショーン──もとい、ハンのガレージは闇に沈んで、静かに主の帰りを待っている。
しかしガレージのまえにやってきたのは主人ではなく、全くの赤の他人三人組であった。
「やはりさほど変わらんな」
そうこぼすエメットは、両手に紙袋を抱えていた。
「さっさとはじめよう」
そういうドミニクは台車に大きい工具箱2ケースと、複雑な形に板金された一枚の鋼板。
「少し待ってて」
そう言ってドアにとりついて錠前をいじりはじめたジゼルの腰にはウェストポーチがさがっていた。
ほんの数秒で、錠前から小気味良い解錠音が鳴る。
扉の隙間から滑り込み、懐中電灯をつける。
ショーンの頃にはレストア待ちの軽や普通車が多く台に載せられていたが、ハンの時代は本当に趣味でやっていたらしい。見覚えのあるシルバーのGT-R以外にもホンダ・シビックや、NISSAN・スープラなど日本の名だたるスポーツカーが並んでいた。
「ハンは何に乗ってたの?」
ジゼルが懐中電灯で辺りを照らしながら尋ねる。ドミニクは一直線にある車へと向かいながら口を開く。
「オレンジと黒に塗装した、FD3S.RX-7。....こいつだ」
彼がライトで指し示した先に、その車は鎮座していた。
思わずジゼルもため息が漏れる。
「.....いいセンス」
「....さて、取りかかるぞ。爺さん、ライトを固定しろ」
「わかった」
ドミニクが懐中電灯をエメットへ手渡すと、エメットは紙袋から三脚を取りだし、手際よく組み立てる。
傍らでドミニクは工具箱を広げ、鋼板の緩衝材を取り払う。一方ジゼルは車のキーをこじ開けた。
「跡が残らないようにな」
「わかってる......開いたわ」
ガチャン、とくぐもった解錠音が静かなガレージではいやに響く。
「これでいいかね?」
エメットがRX-7を取り囲むように、かつ外へ光が漏れないように覆いを被せてライトを設置する。
「よし、爺さん、見張っててくれ」
「構わんが、逃げ道は?」
「俺達は勝手に逃げる。アンタもそうしろ」
「なるほど、自己判断かね。集合場所は」
「ホテルだ」
「よろしい、ではな」
委細承知とエメットはテンガロンハットを被り直して入ったドアから出ていく。
見送って、ジゼルとドミニクは改めてRX-7に向き直った。
「事故当時、白いセダンがRX-7の運転席側を横から激突、ひっくりかえり、ガソリンがエンジンに引火して爆発炎上したらしい」
「横から叩かれたのね....」
「あぁ、そうだ。ショーンが車を停めた時にはひっくり返り、近づこうとして爆発したそうだ。同時に、白いセダンとやらでハンをひっくり返したデッカードも、RX-7から背を向けて離れていった時に車が吹っ飛んだ」
「誰も近くにいなかったってこと?」
「道の真ん中だったしな。つまり、ハンを爆発から守るには....」
ドミニクは持ち込んだ鋼板を撫でた。
それは本来、エンジンルームと運転席のあいだにあるべき内張りの鋼板だったが、些かそれより小さいものだった。
「エンジンルームの爆発が運転席へ届かないようにする。そして、ハンをトランクから引っ張り出す、この二点だ」
「それで、その板を?」
「あぁ。これをボンネットから差し込んで固定する。ついでに、シートの稼働範囲を150°から200°まであげて、完全に倒れるように改造、加えてトランクも内装ごと引っこ抜く」
そこまで徹底して弄り回すとは思わなかったのか、ジゼルは片眉をあげて意見した。
「バレないかしら?」
「そのままやればバレるだろうな」
いともあっさり認めたドミニクに、ジゼルの疑問は深まる。
だから、とドミニクは続けた。
エメットが置いていった紙袋のうち、もう一方から"あるもの"を取り出して、ニヤリと笑った。
「だから、"トリック"を使う」
それを見たジゼルは目を見開いて、やがてドミニクに同調するように頷いた。
「なるほど、"トリック"ね」
※
その頃、エメットは。
「よしよし、かわいい猫ちゃんだ、パン屑はいるかね?ホテルの美味いやつだぞ、ほれ」
なー、と鳴く黒猫と夜な夜な戯れていた。
───三日後、9月9日、夜。
ショーンは連れ込んだニーラとガレージでお茶を飲んでいた。
未だにこの陶器の小さな湯飲みが慣れないが、彼女といられるだけで少し安心する。
だが、ニーラは俯いたまま笑わない。
彼女がガレージにやってきた時、泣いていた。
その涙の理由を語らないが...おそらく、彼女の彼氏であり、同時に負債でもあるタカシ絡みで、彼に目の敵にされている俺絡みなのだろう。
D.Kことタカシとは、ニーラを巡って喧嘩をしている。
ただの野郎同士であればなんの問題もなかったものを、ニーラの許嫁、もとい彼氏のタカシはジャパニーズマフィアの組長の甥だといい、ニーラはその家で育てられている謂わば"囲われている"というやつで、その上タカシは自分の仲間であるハンの相棒だというのだから、全く因果はややこしい事態になっていた。
なんとかしてやりたいが、あいにく自分がタカシに先日殴られたばかりで、なんと言ってやればいいか分からない。
不意に目が合った。その瞬間だった。
甲高いエンジン音が響き、弾かれたようにニーラが音の方を向く。
ショーンもつられてそちらに目を向け──悟った。
もう来たのか。
漆黒のNISSAN・フェアレディZ:Z33が子分をひきつれてガレージ前へと滑り込んでくる。
Zから降りたD.K─タカシ─は、怒りに狂った焔を瞳に宿して、真っ直ぐにハンの元へ肩を怒らせながら大股に歩いていく。
「よお、どうした──」
両手を広げて歓迎してみせたハンにタカシが叩き込んだのは、出会い頭の拳であった。
そのまま勢いに任せてタカシはのけ反ったハンの肩を突き飛ばす。
「裏切り者!信じて叔父貴に紹介したのに!」
タカシの脳裏に、叔父貴とのやり取りが浮かぶ。
怒りと失望で、脳みそが焼ききれそうだった。
アガリを誤魔化して着服してただと?冗談じゃない!
「パートナーだろう!?」胸ぐらを掴みあげる。瞳には涙すら浮かんでいた。
「コソ泥みたいな真似しやがって!!」
その一言を聞いて、ようやくハンは彼が何で怒ってるのかを理解した。
その上で、「離せよ」と。
冷たく突き返す。
これだから日本人は困ると言わんばかりに。
「ガキじゃあるまいし、常識だろうっ」
アガリを他人に丸投げするのが悪いのだ。相棒だろうがなんだろうが、しっかり手綱を握らないから漬け込まれる。
ハンはそう言う社会で生きてきた。そういう世界で生きてきたのだ。
「タカシっ!」
横から咎めるような鋭い声が飛ぶ。見れば、ニーラが目尻をあげてタカシを睨んでいた。
タカシは戸惑う。
なぜ彼女がここに?いや、そうか。
そうか、そういうことか。
タカシは笑いとも、悲しみとも言えない感情のまま、徐に拳銃を引き抜き、ハンに突きつけた。
「で、どうするよ。ぁあ!?」
突然引き抜かれた拳銃に、ガレージの皆は怯え、しかしショーンは駆けつけようとして、子分に邪魔される。
「こうするしかねぇか!」
突きつけたまま、タカシはハンに怒鳴る。返答次第では殺す、これは最後通告だった。
だがハンは、尚も笑っていた。
「.....俺がいなかったら、未だに
だから恩を仇で返しても文句はないよな、そう言われた気がした。
わかった、こいつは殺す。
怒りに任せて銃のスライドを引く。
「タカシ!やめてっ!!」ニーラが騒ぐが「うるせぇ!」と一喝する。
緊張が最高潮に達した時だった。
突然、けたたましいブザーと共にガレージ中のシャッターが降りる。
小柄な黒人の少年トゥインキーが、非常ボタンに拳を叩きつけたのだ。
突然の事態にタカシと子分の視線が宙を泳ぐ。
その一瞬の隙を見逃さず、ショーンとハンはそれぞれ一発叩き込むと、車に向かって走り出す。
ショーンはニーラの手を引いて、辺りに叫んだ。
「車に乗れっ。みんな逃げろ!早く行け!!」
我先にと一斉に動き出す。
ショーンは手近にあった三菱ランサーエボリューションにニーラと乗り込み、ハンは追手を連れて店の裏手に停めていた黒とオレンジのRX-7を走らせた。
ショーンがエンジンをかけたとき、目の前に人が躍り出る。
先程殴ったあの子分だった。
はは、と気色の悪く笑って、バンパーをけとばす。
「やるかテメェ!」やれるわけないよなぁ!?
ショーンの回答は、躊躇いゼロのフルアクセル。
子分を正面から撥ね飛ばし、シャッターに挟まれた車が開けた隙間から、脱兎の如く走り出す。
それを追って、タカシも子分も、それぞれの車に飛び込み、ハンとショーンを追いはじめた。
────そんな一部始終を、双眼鏡で確認していた人影が、トランシーバーに声を吹き込んだ。
「ドミニク=トレット、ハンが動いた。──始めたまえ」
一読ありがとうございます!!
ここまでこれたか~!って気分です今。
あと4~5話ほどでpart1.畳みたいと思います、まとめきれるかって?
纏めるんだよぉ!!
面白い!続きが気になる!って方は感想、投票してくださいますと、作者喜んで毎日投稿がんばります