ワイルド・スピード/X(クロス)ファイア   作:タチガワルイ

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毎日チャレンジ6日目!!!!!間に合ったぁ!!!
話がだんだん進展しつつあるのに展開がなかなか進まない悪病におかされつつあります。やべし。
今回は会話と状況整理メインになります。俳優の演技ってこう言うときが光りますよね。

これ文章やけどな!!

登場人物
ワイルドスピード
・ドミニク=トレット(ヴィン=ディーゼル)
・ルーク=ホブス(ドウェイン=ジョンソン)

バックトゥーザフューチャー
・エメット=ブラウン(クリストファー=ロイド)

トランスポーター
・フランク=マーティン/デッカード=ショウ
(ジェイソン=ステイサム)

登場車輌 
DMC-12 デロリアン(タイムマシン仕様)
アウディA8




チャプター6.

ロサンゼルス、1327番地。

かつては白く美しい家があったが、今は無骨な足場に包まれ、とても住める状態ではない。鈍い灰色の雲からは滝のような雨が車の窓を叩きつけてくる。

そんな昏い夜中に、デロリアンは一台だけガレージの中で蹲っていた。

 

「.....遅いな」

 

エメットが椅子に座ったままぼやくが、それに対して答える気になれないまま、ドミニクはスマホの番号に4度目のコールをする。

誰も出ないのだ。まさか、という思いと、まさかな、という思いがせめぎ合う。

 

「....ドミニク=トレット、」

 

「やめてくれ。レティは来る。ローマンも、テズも、ラムジーも....リトルBも、来る」

 

「しかし」

 

「来るッ!」

 

食い下がるエメットを怒鳴り付け、黙らせる。

居心地の悪い間が支配する。

 

「....すまん」

 

「いや、私も踏み込みすぎたようだ。申し訳ない」

 

雨の音だけが、沈黙を紛らわせるが、わだかまる澱は濁り行くばかりだ。

 

「....丁度良い機会だ。いい加減、話してくれないか」

 

ドミニクはゆっくりと切り出した。

 

「....何をだね」

 

「全てだ」

 

ドミニクはエメットの向かいに椅子を置く。

エメットは外を向いたまま、苦々しく返す。

 

「君は....関わりたくないのではなかったのかね?私と君は本来無関係だ」

 

「もう関係を持ってしまったろう。俺のファミリーも巻き込まれた。ホブスが来なきゃ聞く気はなかったが....こうなったら手遅れだ」

 

しかし、エメットは頑なだった。

 

「それは...申し訳なかったと思う。しかしだ、君とは"ここまで"のはずだった。君にこれ以上迷惑はかけられないのだ、あの『手紙』が届きさえすれば、私は世界を元に戻せるのだから」

 

「俺にも分かるように話せ」

 

そこで初めてエメットは顔を上げた。

その瞳には、炎が、狂気と執念の炎が宿っていた。

 

「....君は、『バタフライエフェクト』というものを知ってるかね」

 

ドミニクは答えず、続きを促した。

 

「『北京で蝶が羽ばたけば、アメリカで竜巻が起こる』...ともいわれるが、時空の中のある一点での小さな改変が、巡りめぐって大きな歪みになることがあるのだ。私は....タイムマシンを作ったとき、未来が見たかった」

 

自分の両手を見つめる。この手で産み出した、世紀の大発明、タイムマシン・デロリアン。

自分の招いた事態で、何度か歴史が変わる事態に陥ってきた。

しかしそれも全て解決『出来てしまった』ことで、どこか驕っていた。

 

「私は...どこか、信じていた。気を付ければ、危機を考慮に入れれば、対処できるとな。しかし現実はどうだ....私の対処は今、全て裏目に出ているではないか!」

 

エメットは震える手で一台の車を指差した。タイムマシン・デロリアン。彼の功罪の象徴。

 

「あのタイムマシンのせいで、今世界は滅亡に向かっておる。原因を解決せねば、私は降りることは出来ん、君に頼ったのは、君が適役だと、教えられたからだ。未来でな。だがこうなってしまった以上、これ以上君らを巻き込むわけにはいかん、私と君は....ここまでだ」

 

ドミニクはゆっくりと腕を組んだ。

彼が思うことはたった一言だ。

 

「今さらだな。言っただろう、爺さん。俺のファミリーは、既に巻き込まれた。もうアンタと無関係だと言い張ることはできない、アンタも、俺もだ。....これからどうするつもりだ、エメット=ブラウン。あのホブスが『逃げろ』といってる事態だぞ。何が起きてる?」

 

「恐らくは....」

 

エメットが尚も迷いながら口を開いたときだった。

待ちに待った着信が、ドミニクのポケットを震わせる。

しかしそれはレティの着信音ではなく、ノーマルな呼び出し音。

すがる思いで電話を開く。着信画面には『ルーク=ホブス』の名があった。

ホブス?なぜヤツが。

 

「俺だ」

 

『トレット、悪いニュースだ』

 

第一声に、ひゅ、と息が詰まる。

聞きたくないと、思った。

時は、運命は残酷だ。良い予感は裏切られ、悪い予感は必ず当たる。

それも常に、最悪の予感がだ。

 

『──お前のファミリーが、全員死んだ』

 

稲妻の咆哮が、ガレージを突き抜けた。

ドミニクは返事が出来ない。心臓だけが、煩い。

 

『俺達とは別に、米軍までも駆り出していやがった。テズもローマンも、...レティの車も全てミサイルの餌食になった』

 

 

「.......誰がやった」

 

声が震えていた。悲しみだとか、憎しみだとかそんな言語では言い表せない激情が、ドミニクを支配していた。

それを分かったのだろう、ホブスは醒めた声で静かに言った。

 

『....トレット、今は冷静になれ。教えることは吝かじゃあないが、今は俺の話を聞くんだ』

 

「黙れッ!誰がやったそれだけ教えろ!!」

 

『トレット!黙るのはそっちだ、話を聞けと言ってるんだ、話を聞け!』

 

「知ったことか!!こっちは既に我慢の限界だ!一体全体どうなってる!エメットは何者で、デロリアンはなんなんだ!俺は一体何を直した?何故ファミリーが狙われる!何故.....なんで、なんでレティがまた死ななきゃならないッ!?」

 

電話に怒鳴ってもしょうがないことなどドミニク自身も百も承知だ。

エメットは彼の背後で椅子に座ったまま、沈痛に項垂れる。

 

電話の向こうのホブスは、あくまでも静かだった。

 

『.....俺は所詮、組織の人間だ。言えることは少ない。だがお前は友人だ。だから分かる範囲でだけ情報を教える』

 

言われなくても分かっている。

何度か肩で息をしていたドミニクだが、息をなんとか落ち着ける。怒鳴ったところでどうにもならない?次の一手を考えなくては。

 

「.............分かった。教えてくれ」

 

『よし冷静になったな。まず俺達はデロリアンとエメット=ブラウン博士の確保を命じられた。何故かは知らん。だが大統領の勅命だったようで....つまり国家最優先事項と言うヤツだ。そして同時に、ドム、お前らの確保も指示された。こっちは『凶悪犯を捕まえるのが仕事だろう』と尤もらしい建前を頂いたが....俺としちゃ、今更としか言いようがないな』

 

「それで」

 

『この命令はてっきり俺達DSSにのみ与えられたものだと思ったが...知人によればCIA、FBIにも同じ命令が飛んでいて、挙げ句軍にも同様の極秘任務が飛ばされていた。米国の暴力機関を総動員してお前さん方を片付けにかかってるって訳だ』

 

「つまり....俺の敵は国か」

 

『そう早まるな。『脅されている』と言ったろう。元来米国にお前らをどうこうする意図はない。それを政府にやらせているヤツがいる』

 

「それは誰だ」

 

『それをこれから調べるところだ。だから俺が言いに来たのはひとつ。

なんだか知らんが、そのヘンテコなデロリアンと、爺さんが全ての鍵だ。守れるのはお前しかいない。....博士とデロリアンを守れ、トレット』

 

通話は一方的に切られた。通話時間は59秒。

一分経てば逆探知されるからだ。

ドミニクは、エメットに向き直った。

 

「.....俺のファミリーが死んだ」

 

「なっ....っ、そうか」

 

「ホブスはこう言った.....アンタが全ての鍵だと。これで言い逃れはできないぞ、エメット=ブラウン。俺を巻き込んだ件について全て話せ」

 

エメットは目を見開いたまま、口を動かし、なんとか取り繕う素振りを見せたが、それももはや限界だった。

力なく項垂れ、彼は白旗を上げた。

 

「....そう、だな。その通りだ。しかしドミニク=トレット、今はまだ....まだそうするわけには行かん。私にもプランがある。"彼"と合流できるまで、待ってはくれんか」

 

「彼とは?」

 

「それは──」

 

エメットが口を開いたとき、まぶしいヘッドライトがガレージの外から差し込んだ。

エメットが身を固くする。

ドミニクはすぐさまショットガンに手を掛けた時、怒鳴り声がガレージへ届いた。

 

「何度も銃を向けるんじゃねぇ!俺だ、フランク=マーティンだ!!」

 

言うや否や、傘を差したスーツの男がガレージのなかに入ってくる。

フランク=マーティン、エメットの雇った運び屋だった。

 

「デッカード、なんでここに?」

 

「フランク=マーティンだ、それで通せと言ってるだろ。何度も言わせるな」

 

「フランク....どうしたのかね?報酬なら」

 

「あぁ、連絡もしてねぇのに前金払った翌日に残りを突っ込むバカがいたな。だから今日はその『返却』に来た」

 

フランクのその言葉に、エメットは固まった。

返却だと?

 

「返却....だと?仕事はどうなったのかね?」

 

フランクは懐から、一枚の洋封筒を取り出した。

それは、エメットが渡した手紙そのものだった。

 

「今回の仕事は"失敗"した。受取人不在、行方不明。だからこの手紙は渡せなかった。郵便局は、受取人のいない手紙は差出人に送り返す。──マーティ=マクフライは居なかった」

 

エメットはその言葉を呆然と聞き、やがてゆっくりと頭を抱えた。

 

「なんてことだ....なんてことだ!マーティが居ない?そんなはずはない!」

 

彼がここまで感情的になるのを、ドミニクは初めて見た。

エメットは、手紙を握ったままのフランクの肩を掴んで怒鳴り散らした。

 

「彼が消えるのは今日のはずだ!君に手紙を託した時点ならば十分に間に合う!いつだ!いつマーティは消えた!?」

 

「....爺さん、離せ」

 

「いいや離さん、彼がいつ消えたのか、それを言わん限りはな!」

 

フランクはため息をついた。

 

「....六年前、日本に出向したのが最後だそうだ。妻から話を聞いた」

 

「ジェニファーか」

 

「そう名乗ってたな」

 

そうか、とエメットは俯きながら肩に込めていた力を抜いて、手を離した。

 

「....手紙を返してはくれんか」

 

「そのつもりで来た。ついでに、これもな」

 

手紙と一緒に渡されたのは、茶封筒。

 

「どんな事情だろうが失敗は失敗だ。100万きっちり入ってる。確認しておけ」

 

「あぁ....」

 

エメットが封筒を受け取る。その背中はひどく小さい。

ドミニクはフランクを呼んだ。

 

「デッカード」

 

「フランクだ、何度言わせる?」

 

ドミニクは無視して話を続けた。

 

「....今アメリカがおかしなことなってる。なにか知らないか」

 

「そうらしいな。が、俺には関係ない話だ」

 

「.....ホブスの話では、米政府は何者かに脅されていて言いなり状態らしい。俺のファミリーも殺された。その脅してるヤツを殺す、調べてくれないか」

 

「......お前のファミリーが死んだ?」

 

冗談だろう?と眉を潜めるフランクに、ドミニクは首を横に振って応じた。

 

「....たぶん事実だ。俺に着信も来ない」

 

「.....」

 

しばらく、フランクは考え込むように顎に手を当てていた。やがて腹をくくったのか、短く瞑目すると、顔を上げる。

 

「.....つい一ヶ月前、アメリカの保有する人工衛星全てが何者かに乗っ取られ、米政府の秘密兵器の制御コードが何者かに渡った。同じく英国でも同様の事件が起きている。俺はその調査も兼ねてアメリカ入りしていた。人工衛星を乗っ取ったヤツを調べろってな。

まさかお前さんとかち合うとは思わなかったが....良いだろう、情報が入ったらお前にも教えてやる、だが俺がやるのはそこまでだ。ソイツを焼いたり煮たり、食わずに捨てるのは俺の仕事だからな」

 

「いいや、お前は焼くのも煮るのも出来ないさ。その前に俺が切り刻んで川に捨てる」

 

「そうかよ」

 

俺の持ってる情報はそこまでだ、そう言って彼は会話を切り上げた。

傘を広げ、帰ろうとしたフランクを、エメットが呼び止める。

 

「フランク、最後に教えてくれたまえ」

 

「....なんだ?」

 

「六年前、2015年にマーティは日本に出向したと言ったな?日本のどこの都市に行った?

そして、それからも彼のことだ、ジェニファーとは連絡していたんだろう。最後に連絡した日がいつか分かるかね?」

 

「...日本の東京だ。最後に連絡したのは9月12日と言ってたな。それがどうした?」

 

エメットはその問いには答えなかった。

 

「ありがとう、フランク。次に行くべき場所がハッキリした」

 




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