ワイルド・スピード/X(クロス)ファイア   作:タチガワルイ

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毎日チャレンジ8日目!!!!

だんだん日付変更間際になってきててやべーがワイルドなスピードしてます。

ところでここまで読んでくださった中には車に詳しい方もいらっしゃるかもしれないのでちょいちょい気づいてるかもしれませんが、あのはい、私車はニワカです。
ワイスピの車種は毎度毎度ググってますし、ダッジチャージャーってあんなに種類あったなんて知りませんでしたし、デロリアンのエンジンとかぶっちゃけwiki覗いてもさっぱりでした。というか『デロリアン』ってタイムマシンの名前じゃなかったんだ.....。
そんな感じで、車のパーツや構造に言及した箇所はかなりふわとろ食感ですが、本当に車好き、ワイスピ好きって方はこんなハーメルンの片田舎を覗く前にカー○ンサーを覗いてると思うので、あんまり気にしても投稿頻度落ちるだけだなと。


......あれ、となるとこの話ってどういう層にウケて、どういう人が読んでるんだ?


登場人物
ワイルドスピード
・ドミニク=トレット(ヴィン=ディーゼル)
・ジゼル=ヤシャール(ガル=ガドット)

バックトゥーザフューチャー
・エメット=ブラウン(クリストファー=ロイド)

登場車両
・DMC-12デロリアン(タイムマシン仕様)
※廃車

輸送機


チャプター8.

「───....っづ、あぁ」

 

ドミニクが目を覚ますと、見慣れない天井だった。

視界が明滅するが、なんとか振り払い、上体を起こした。

 

「大丈夫?ドム」

 

声のする方を見ると、ジゼルはドミニクのそばで何やら作業をしていた。

彼女のそばにはパーツボックスがおいてあり、鉄屑がいくらか入っていた。

 

「なにを....やってる?」

 

「ドクター(博士)のパーツ拾い」

 

「ドク....あぁ、爺さんか。お前達は大丈夫なのか?」

 

「えぇ、覚えてない?輸送機に飛び込んだとき、ドムがデロリアンを横に向けて、自分を盾にしたのよ。....応急手当はすんでるわ」

 

自分の体を見下ろすと、タンクトップを脱がされ、確かにあちこち湿布が貼ってあった。

煩わしいので全て剥がす。

 

「動いて大丈夫なの?」

 

「大丈夫だ。痛みもない」

 

ドミニクは輸送機の両側に並べられた椅子に寝かされていたらしい。

輸送機の中はひどい有り様だった。そこら中に部品が飛び散り、床には黒々しい擦過傷が。

その跡の先を視線で追うと、あった。

 

完全にボンネットが潰れた事故車デロリアンと、その前で座り込む一人の老人の姿だ。

 

「あぁ....これはヘヴィーなことになった...」

 

「.....爺さん、怪我はないか」

 

「あぁ、ドミニク=トレット、....目が覚めたのかね?怪我は?」

 

「あぁ.....大丈夫だ、なんともない」

 

それきり二人の会話が止まる。

理由は明白だった。

目の前で、輸送機の壁に頭から突っ込んだまま踞るデロリアン。左側のガルウィングだけが開いているせいか、なぜか片手を挙げて尻をつき出しているようにも見える。

前輪は両輪ともタイヤはおろか、サスペンションと車軸すら残っていない。

こちらからは分からないが、ボンネットは恐らく完全に潰れているだろう。

 

つまるところ、手の施しようがない廃車だった。

 

幸いだったのは、ボンネットはただのトランクルームで、座席は脱出できるくらいには空間が確保されていたことくらいか。

もしもエンジンが前に積んである一般的なFR(フロントエンジン・リアドライブ)車だったら輸送機を巻き込んで爆発していただろう。

 

「.....人を一人救った代償にしては重すぎる」

 

エメットは弱々しく首を振った。

 

「デロリアンはもう....走れん。2015年へ行くことも出来ん。....マーティも救えん....!」

 

「....また直すさ。日本に着いて、パーツを調達する」

 

エメットはピクリと止まった。

 

「デロリアンは希少車だ。アメリカでも中古車すらろくに手に入らんのに、なぜ日本で手に入る?」

 

ゆっくりと、ゆっくりとだが、彼の言葉に熱が入る。

 

「手に入ったとしてパーツ交換だけで済むと思うか?今度こそはオーバーホールだ。原子炉も一から新造になるやもしれんな、タイヤも探し直しだ」

 

いままでの鬱憤や、葛藤や、焦燥がここに来て一気に膨れ上がる。

なぜ私はあんな紙一枚の導きに全てを委ねるような愚かな選択をしたのか。

 

「パーツが届いて修理するまで何ヵ月かかる?いや、ともすれば何年かもしれんな。その間に世界はどんどん拗れていく!君が君の仲間を救うのはいい、だが私の仲間は、親友はどうなる?君の愚行で私は最後の手段を失った!!」

 

衝動のままエメットはドミニクに掴みかかるが、ドミニクはゆっくりとエメットの手を掴む。

 

「....俺は俺が出来る最善を尽くした。ジゼルを救って、全員で帰ってきた。デロリアンは日本で直す。まだ終わってない」

 

エメットの中でなにかが弾けた。

最善?最善だと?これのどこが、この事態のどこをとって『最善』だと言えるのだ?

もう、どうしようもなく終わっているではないか。

 

「話を聞いていたかね、ドミニク=トレット!デロリアンは大衆車ではないのだよ、私の予測が正しければディーラーに頼んで注文に三ヶ月、納車に半年、機関の載せ変えに一週間だ!これは当然アメリカでの場合だ、日本はデロリアンの天国かね?近所の車屋に行けば置いているとでも!?いいかねドミニク=トレット、我々の敵は『時』なのだ!時間がかかればかかるほど、足踏みが長引けば長引くほど事態は加速度的に悪化していく!『今更影響など考えたところでどうしようもない』と言ったな、これが『影響』だ!これが『結果』なのだ!」

 

突き放すようにドミニクを手放した。

 

「君にこれが....このデロリアンが直せるのかね!?フロントはめちゃくちゃ、前輪は全て脱落し、フロントサーキットはへしゃげて使い物にならん!連中の手は2021年だけではない、2015年にも及んでおる!下手をすればさらに過去にもな!」

 

「だから喚いて終わるのか?爺さん。次をどうするかを考えるべきだろう。ディーラーも無能ばかりじゃない、最悪デロリアンが用意できないなら出来ないなりにやりようもある」

 

「よくそこまで無責任なことが言えるな!君はもう当事者なのだぞ!君のファミリーが死んだと聞かされて自棄になってはいないかね!?」

 

「.....無責任?」

 

ドミニクのこめかみが蠢く。興奮した老人の戯言とうけとめていたが、踏んではならないものを踏みつけた。

 

「俺のどこが無責任だ?俺と、アンタと俺はは、本来無関係だ。車を拾いはした、崖から救いもした、それで終わってればこうはならなかった、違うか!?」

 

ドミニクは上から睨み付けるように一歩踏み出す。

 

「あぁそうだろうな!だが君は踏み込んで、今此処にいるではないか!君の家のガレージで私は言ったはずだぞ、『君と私はここまでだ』とな!それを食い下がったのは誰かね!」

 

エメットも引き下がらない。怒気を孕んだ瞳で睨み込み、一歩踏み込む。

 

「アンタが俺を頼ったんだろう。アンタが俺のファミリーを巻き込んだ!なのに、アンタは俺のしたことを『無責任』と一蹴するのかっ!」

 

ドミニクはさらに一歩踏み入った。あと半歩で"間合い"に入る。

その時だった。

両者の間にジゼルが割って入った。

 

「ちょっとやめなさいよ二人とも!なにを熱くなってるのよ。落ち着いて」

 

「.....どきたまえジゼル。この男の愚行はとどまるところを知らん」

 

「ジゼル、退いてろ。この恩知らずは一発入れて黙らせたい」

 

「恩知らず?礼儀知らずがなにを言う!」

 

「愚行だ無責任だと喚くだけ喚くのを恩知らず以外になんと言えばいい!」

 

「事実ではないか!君は事態を悪化させているだけだ!」

 

「だったら最初から最善手を選び続けるべきだったな!タイムマシンのベースがデロリアン?もっとも頑丈なヤツはいくらでもあるだろう!」

 

「あぁ、もう!....これだから男は」

 

ジゼルの頭越しに全く平行線な罵り合いが飛び交う。

そしてついに致命的な半歩をドミニクが刻もうとしたときだった。

 

ガァン!!と派手に床が震えた。

拳を握っていたドミニクも、懐の拳銃に手を伸ばしかけていたエメットも、双方ビクリと停止した。

 

「───落ち着いた?」

 

音の方を見れば、歪んだ前輪のサスペンションを思い切り床に叩きつけたジゼルがいた。

軽く振って、肩に載せる。

瞳は冷たく、笑みすら浮かべている。

だが、男二人は理解した。

彼女がこの中で、一番怒っていると。

 

「あなた達、喧嘩よりもまず、先に言うべきこと、説明すべきことがあるんじゃないの?」

 

 

「頭が痛くなってきたわ」

 

ジゼルは降下用の椅子に座って、こめかみをおさえていた。

 

「じゃあその....整理するけど。エメット、あのひしゃげたデロリアンは、あなたが作ったタイムマシンで、それをつかって2015年のマーティって人を助けたいと」

 

「.......その通りだ」

 

正面にドミニクとエメットは胡座をかいて座っていた。ジゼルに『座れ』と命じられ、拒否も出来なかったのだ。

 

「そしてドム、あなたはそのタイムマシンで、私を救うために2013年の、あの輸送機の夜に飛んだ、と?」

 

「.....あぁ、そうだ。マーティがどんなヤツかは知らないが、拉致されるのなら救うにも面子がいる」

 

「なるほど」

 

ジゼルはしばらく考え込んで、裁定を下した。

 

「どっちもどっちね」

 

「「なっ」」

 

「まずドム、デロリアンの足回りがダッジほど頑丈じゃないのは分かってたはず。にもかかわらず高速で落ちてくる私を受け止めればどうなるか、分からないわけはなかったでしょう?それをやりきるのが貴方だけど、今回は見通しが甘すぎた」

 

「..............」

 

正論すぎる物言いに、ドミニクも仏頂面で応じざるを得ない。

 

「そしてエメット、貴方はドムに無責任と罵ったけど、それは貴方にも言えること。本当に責任を取ると言うならそもそも一人で全てこなすべきよ。ここまでドムにおんぶにだっこな状況で、今更あなたにどうこう言える権利はないわ」

 

「...............そう、だな」

 

エメットはいつもの三割ましでしょぼくれた返事を漏らす。

 

「私だって、今が"あの時"の8年後の世界だとか、あの潰れたカスタムカーがタイムマシンだとかは信じきれないけど、結果が全てよ」

 

腕を組んで嘆息するだけで全ての消化不良を終わらせたジゼルに、ドミニクは溢した。

 

「.....ジゼル、やっぱり強いな」

 

「男は弱いわね」

 

「言葉もない」

 

そう苦笑したドムに、ジゼルは改めて問いかけた。

 

「それで、ドム。このデロリアンは直せそうなの?」

 

「............エメット爺さんの言う通り、デロリアンは希少車だ。さらに日本となると、車はおろか、パーツすらあるかどうかも分からない」

 

いや、自分が探せる範囲ではまず見つからないとすら思える。

なにせ、最初にガレージでレストアしたときですら、テズは一週間電話番する羽目になったのだから。

しかし、日本にも彼の『ツテ』は生きていた。

 

「だから、探せるヤツに見つけてもらう」

 

「アテがあるのかね?」

 

「あぁ」

 

その人物は、いまも東京で"ドリフトの王"として君臨していたはずだ。

 

「ハンの弟子で、後継者だ」




感想、投票評価してくださった方ありがとうございます!
これからもどしどし来ていただければ作者もう小躍りして頑張って夜更かしします!!
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