先日車のことはゆるふわ食感だと言いましたが、よくよく考えればそれは映画の時系列に対しても言えることが分かりました。
実は2021年を『ワイルドスピード/ジェットブレイク』の数ヵ月前、として書いています。
そして2015年はスカイミッション/東京ドリフト時空として想定しており、2021年ショーンはドイツに行く前のショーン君です。
(ジェットブレイクにてロケットフィエロをぶっとばしてたのはドイツのケルンだったことが判明。ショーンてめーDK業はどうした!?)
なので、Xファイア終了後ドイツに飛ぶ予定、というわけですね言い訳完了!
その他突っ込みどころ、矛盾点があれば感想に突っ込んでいただけると作者興奮してIDと顔を真っ赤にしちゃいます。
登場人物
ワイルド・スピード
・ドミニク=トレット(ヴィン=ディーゼル)
・ジゼル=ヤシャール(ガル・ガドット)
・ショーン=ボズウェル(ルーカス=ブラック)
バックトゥーザフューチャー
・エメット=ブラウン(クリストファー=ロイド)
登場車両
・DMC-12デロリアン(タイムマシン仕様)
※廃車
───日本 羽田空港。
ずんぐりと黒く、大きな輸送機は旅客機の発着場から少し外れた広い格納庫へと潜り込んだ。
係員の誘導のもと格納庫の一番奥へとたどり着くと、ずっと続いていた地響きのような振動がやむ。
輸送機後部の蓋が、口を開けるように降りていく。
ドミニクとエメットは輸送機が開けた口から降りてきた。
出迎えてきたのは、濃いめの髭と、短く苅り込んだ短髪の、笑顔の似合う青年だった。
「長旅お疲れ、ドミニク」
「あぁ、久しぶりだな.....ショーン」
がっちりと握手を交わす。
「六年ぶりになるか」
「そうだね。それで、彼は....」
ドミニクのとなりに立つテンガロンハットの老人を見る。
「彼が"そう"だ。爺さん紹介しよう、彼がガレージを貸してくれるショーン=ボズウェルだ」
ショーンは、ドミニクが『"人"を連れていく』と電話で言っていたことを思い出した。
「ショーン=ボズウェルです。彼の仲間に、よくしてもらいました」
「エメット=ブラウンだ。こう見えて科学者だ。今日はよろしく頼む」
「科学者?.....彼の車、だよな?」
「あぁ、だがあともう一人いる」
そう言ったドミニクが後ろを振り返った。
一番最後に降りてきたのはブロンドの美人。
ショーンは、その顔に見覚えがあった。
ハンの遺品にあった、写真。ハンがたまに、懐かしそうに見つめていた相手。
驚きに目を見開いて、ドミニクを見つめる。
「.....彼女は、」
「あぁ、そうだ。.....ジゼルだ」
「ジゼル=ヤシャールよ。初めまして」
ジゼルの伸ばされたしなやかな手に、なぜかショーンは緊張した。つい、無意識でズボンに掌を擦り付ける。
「ショーン、ボズウェルです。....初めまして」
「ハンがお世話になったって?」
「えぇ、はい。とてもよくしてもらいました。ガレージも、引き継いで」
「そう。東京での彼は....どうだった?安らかに、過ごせていた?」
そう聞かれて、ショーンは困惑した。
ハンは彼女についてはなにも語らなかったが、愛していたのだろうことは何となく分かった。
東京に来なかったと言うことは、なにか事情があったんだろうか?
「あぁ、えぇと彼は....とても無口な人でした。無口で....遠慮がない、けれどそれと同じくらい、気配りにも余念がなかった。とても穏やかな笑みをいつも浮かべていた」
「.....そう。それが聞けてよかった。彼はたどり着けたのね」
なぜか、その言葉は遠い地に別れた友人に対しての追憶にしては、あまりにも"遠すぎる"と、感じた。まるで、死に別れた恋人の故郷を想うような。だからショーンは半ば頭が働かないまま、尋ねかけてしまった。
「....それは、どういう....「ショーン」
ハッ、とショーンの意識が戻る。
見れば手汗まみれの手でずっとジゼルの手を掴んでいた。
「あ、あぁすみません!」
「いいのよ、気にしないで。....ドムが呼んでるわ」
「えぇ、そうですね、それじゃ、また...」
気まずさを愛想笑いで誤魔化して、ドミニクの方へ走る。
ドミニクはタラップからショーンと共に輸送機へと戻っていく。
その様子を眺めながら、エメットは呆然とするジゼルへ声をかけた。
「......ジゼル」
「........理解と実感は、やっぱり違うものね」
ため息のような掠れ声だった。
「ショーンにとって、ハンは....過去の人。そしてたった今、私にとっても過去の人になった。ドムは....あぁ言ったけど。そんなこと出来るの?」
「......わからんよ。なるようになるだけだ」
エメットは、煮え切らない呟きを漏らしながら、着陸前のやり取りを思い出していた。
※
「ハン...の、弟子?後継者?どういうことよドム、東京にいるのはハンじゃないの?」
ジゼルには珍しい、怪訝そうに片眉をあげて首をかしげた。
ドミニクは無表情で応じた。
これから話すことは、ジゼルにとっては多大なショックになると分かっていたからだ。
「ハンも東京にいた」
「..........過去形?」
「あぁ、そうだ。───ハンは、東京で死んだ」
音が一瞬、消えた。
しばらくして輸送機のうるさいエンジン音が帰ってくる。ただのジェットエンジンの轟音だ。なのになぜかそれが心臓の鼓動に聞こえて仕方がない。
ジゼルは緩く頭を振る。どこに顔を向ければいいか分からない、という風に。
「死んだ?....ハンが?どうして?なにがあったの」
「俺達があの輸送機で対決したオーウェン=ショウ、ヤツには兄がいた。デッカード=ショウというヤツだ。そいつが、オーウェンのリベンジに俺のファミリーを狙った。ハンは....その犠牲の第一号だ」
「あり得ない」
ジゼルは強く言い返した。
「オーウェンに兄がいたのは分かる。それがリベンジ?それでなんでハンが狙われるのよ?」
「そうやって順に俺のファミリー全員を殺していこうとしていたんだ」
ジゼルは前髪をかきあげる。いや、かきあげる振りだ。額まで上がった腕は一向に降りてこない。
「............それで、ハンを殺したヤツは殺したの?デッカードはどんな死に様だった?」
ドミニクは沈黙した。
ジゼルはその意味を察した。ただ、受け入れられなかった。
「こたえてドム」
観念したように、ドムは口を開いた。
「........................生きてるよ。今は....同盟関係だ」
「どうしてっ!!」
輸送機を震わせる雷が炸裂した。それは、ジゼル本人すら驚くほどの怒号だった。
ドミニクは覚悟して、受け止めた。ジゼルにとっては受け入れがたい8年間だということを知っていたから。
「.......デッカードは、逮捕した。ホブスがな。それから色々....あぁ、本当に色々あって、ヤツは俺にとっては恩人になった」
「恩人!?誰のよ。ハンを殺してあなたのなんの恩人になったのよ!」
「息子のだ」
ジゼルは息を呑んだ。
「息子......レティとの?」
「いや。........俺と、エレナの息子だ」
知らない女の名前が出てきた。
ハンが死に、殺した相手はドミニクと知らない誰かの息子の恩人で、今は仲間になっている。
八年という歳月は、ジゼルの理解をとうに越えた展開を見せていた。
額を覆っていた手は、いつの間にか右目を塞いでいた。
絞り出すような声が漏れた。
「.....っ、はぁ.....本当に、色々あったのね」
「......あぁ。だがハンは俺にある出会いを遺してくれた」
「出会い?」
「ショーン=ボズウェル。東京で世話になるヤツの名前だ。彼は...ハンの遺品を預かっていた。そしてガレージもな。デロリアンはそこで修理する」
ジゼルはそこで顔を上げた。
「ショーン?」
「聞いた話だと、アイツからドラテクを学んだらしい。レースをしたが....ドリフトは速かった」
ジゼルは初めて小さく吹き出した。
目に溜まった涙を指でぬぐいながら、呟く。
「....ハンもドリフトが上手かった」
「あぁ。ガソリン強盗でトラックをターンさせるのはヤツの十八番だった」
「そうだった。........私は出来なかった」
「君はバイクがあるだろう」
「そうね....。ねぇ、ドム」
「なんだ」
「しばらく、一人にさせてくれない?....私にも、泣きたい時はあるのよ」
「わかった」
そう言って立ち上がる。黙って聞いていたエメットも、おもむろに立ち上がった。
背中を向けて、しかしドムはそこで一度立ち止まった。
「ジゼル、俺も悲しい。だが悲しいまま、終わらせるつもりはない。今から行く時間は、2015年だ。ハンが死んだのも、2015年だった。......──俺はそこで、ハンの運命を変える」
その一言にジゼルは顔を上げ、エメットはなにか言いたげに口を開いた。
だが、貨物室を出ていくドミニクの背中を見て、彼を呼び止めることはついぞ出来なかった。
※
「ドミニク、彼女があの『ジゼル』なのか?」
羽田空港、格納庫。
ドミニクに呼ばれたショーンは、彼と共に輸送機へ向かいながらそう尋ねた。
ドミニクは輸送機の方を向いたまま首肯した。
「あぁ、ハンの写真の女だ。彼女もハンの死はショックを受けていたが、立ち直ってくれた」
「....東京に来れなかったのは、なにか事情が」
「まぁ、そんなところだな」
タラップを並んで上る。話はデロリアンへと変わった。
「"ヤバイ車を一台運ぶ"と言っていたから、コンテナトラックを用意した。日本の道は狭いから、アメリカのよりは小さいけど」
「あぁ、助かる。だが....事情が変わってな」
「事情?来る車が変わったとか?」
「いや、変わった事情は、『状態』の方だ」
二人はタラップを上りきる。ショーンはドミニクの方を向いて、困ったように笑いながら尋ねた。
「それってどういう.....」
ドミニクは顎をしゃくって視線を促す。
ショーンは半笑いのまま輸送機の奥を見て、
その頬から笑顔が抜け落ちていった。
視線の先には妙な機械を車体後部にこれでもかと詰め込んだ、前輪のない廃車が燻って蹲っていた。
両手から地からが抜け、呆然とその惨状を見つめている。
心が抜けたショーンに、ドミニクは肩を竦めて改めて頼んだ。
「運んでほしいのは、この車だ」
読んでいただきありがとうございます!!
いよいよ日本編となりました!!
Part1.も折り返し地点、ここまでは主にドミニクとエメットの二人芝居という要素が強かったですが、ここからじゃんじゃんコラボキャラが登場します!!お楽しみに!!
あと感想と投票くださると、作者小躍りして話がもう少し面白くなるかもしれません!!
え?需要がない?映画でやれ??
........じゃあ俺にハリウッド行きのチケットと600億円くらいの映画予算寄越せ!!!!!!!!