ロケット団の研究施設から戻った次の日。
1日休んだお陰かすっかり元気になった。
反対に、何故かきららは疲れてる様子。
『む~り~』
珍しくきららはボールから出てこずに、ボールにこもってる。そんな気分な日もあるのかな?
うーん、きららがお疲れだからどうしよう。
ブルーはもうこの町にはいないみたいだし、次の町に向かってもいいんだけど・・・。なんか、きららが隣にいないと調子が狂うんだよね。
仕方ない、昨日のイーブイ探しでも手伝おうかな。見つかってなければ、だけど。
「とは言ったものの、あの2人がどこにいるか知らないし・・・。あ、ジムに行けばいいのか。」
たしか、イーブイはジムに挑戦するための条件だったよね?なら、ジムリーダーに聞けばわかるでしょ。
えっと、ジムは町の端っこだっけ?
とりあえず、行くだけ行ってみよう。
「おじゃましまーす。誰かいませんかー?」
「はーい。」
出てきたのは和服の女の人。
そういえば、ここは和服の格好をした人がジムリーダーをしてたっけ?確かエリカって人。その人のやり方なのか、ここのジムトレーナーは女の人しかいないらしい。
とりあえず、この人に聞くよりエリカって人に直接聞いた方が早い気がする。
「ジムリーダーっていますか?」
「挑戦ですか?少々お待ち下さい。」
そのまま奥に引っ込んでいく。
いや、挑戦じゃないんだけど・・・。というか、条件はないの?まぁ、無いならないでいいや。話だけ聞いて挑戦は辞退しよう。
そう思っていた所に、1人の女の人がやって来た。
黒髪のボブの髪型の女の人。この人がエリカって人かな?
「挑戦者と伺いましたが、貴女で間違いありませんか?」
「えっと。実は挑戦じゃなくて少し聞きたいことが。」
「はい。何でしょうか?」
一瞬不思議そうな顔をしたあと、ニコッと笑い首をかしげる。
「イーブイって、無事に捕まったのかなって。」
「どこでその話を?」
イーブイって単語を出した瞬間、笑顔が消えた。一瞬で真顔になり、こちらを睨み付けてくる。
え、なんか地雷踏んだ?
ん?そういえば昨日、はげの人がイーブイを実験に使ったって。
それで、ロケット団の実験施設のある町でイーブイの捕獲依頼。
極めつけは、ロケット団にはジムリーダーも所属してるっていう事実。
え?エリカって人、実は真っ黒?
「どうしました?私の質問に答えられないんですか?」
「ジムに挑戦するためにイーブイを捕獲してほしいって言われたって聞いてね。少し気になって。で、こっちの質問には答えてくれないのかな?」
「無事に捕獲されましたよ。無事にね。」
なんでこの人無事にって笑顔で強調するのよ。むしろ怪しいんですけど?
「ところで、こっちも聞きたいことが増ちゃって。聞いてもいいかな?」
「何ですか?」
「なんでわざわざ、イーブイなんて珍しいポケモン捕まえさせたのかなって。」
「それは、もちろん。実力を計るためですよ。弱い人とは戦いたくありませんから。」
「それじゃ、私は?」
「女性の方の挑戦は珍しいので、無条件で受けますよ。」
「もうひとつ質問いいかな?」
「何でしょう?」
「イーブイが実験台になったって話、知ってる?」
そう言った瞬間、もう一度笑顔が消えた。
そして、いきなりポケモンを繰り出してきた。
「ラフレシア!はなびらのまい!」
「ミスタ!れいとうビーム!」
予想していたから、すぐにミスタを出してれいとうビームで壁を作る。この反応、やっぱり!
「「あなたも、ロケット団!」」
ん?
ーエリカ視点ー
昨日は無事にイーブイも保護できて、レッドの人となりもよくわかりました。カスミが押すだけのことはありましたね。
きっと、彼は私達の力になってくれるでしょう。
「エリカ様、挑戦の方がやって参りました。」
「わかりました。すぐにいきます。」
さて、今日の挑戦者はどんな方でしょうか?
その方は白い髪をツインテールにしている、とても可愛らしい方でした。人は見かけにはよりませんから、こんな見た目でもジムバッジをあつめるトレーナーなんでしょう。
「挑戦者と伺いましたが、貴女で間違いありませんか?」
「えっと。実は挑戦じゃなくて少し聞きたいことが。」
「はい。何でしょうか?」
おや、挑戦者と聞きましたが伝え聞いた者の早とちりだったのでしょうか?
しかし、ジムリーダーに聞きたい事と言うなら、それなりの事情のはず。
私は笑顔で先を促した。
「イーブイって、無事に捕まったのかなって。」
「どこでその話を?」
私の笑みは一瞬で崩れ、目の前の女の子を睨み付けます。その話を知っているのはレッド。もしくは、ロケット団しかいないはず・・・。まさか、この女の子もそうなのでしょうか?
「どうしました?私の質問に答えられないんですか?」
「ジムに挑戦するためにイーブイを捕獲してほしいって言われたって聞いてね。少し気になって。で、こっちの質問には答えてくれないのかな?」
「無事に捕獲されましたよ。無事にね。」
やはり、遠回しに答えてきますね。
なので、私もあえて無事な所を笑顔で強調して揺さぶりをかけます。
まぁ、遠回しに答える時点でほぼ黒と見ていいでしょう。
「ところで、こっちも聞きたいことが増ちゃって。聞いてもいいかな?」
「何ですか?」
「なんでわざわざ、イーブイなんて珍しいポケモンを捕まえさせたのかなって。」
「それは、もちろん。実力を計るためですよ。弱い人とは戦いたくありませんから。」
「それじゃ、私は?」
「女性の方の挑戦は珍しいので、無条件で受けますよ。」
「もうひとつ質問いいかな?」
「何でしょう?」
「イーブイが実験台になったって話、知ってる?」
その事を知っているということは!
やはりこの方、逃がすわけにはいきませんね!
「ラフレシア!はなびらのまい!」
「ミスタ!れいとうビーム!」
私の先制攻撃は、氷の障壁で止められてしまいました。ですが、やはりその反応の早さ!
「「あなたも、ロケット団!」」
え?
ーマシロ視点ー
「いやー。てっきり、実験に使うイーブイを探してるロケット団の1人かと。ごめんなさい。」
「私のこそ、早とちりしてしまって申し訳ありません。」
苦笑いしながら頭を下げあう私達。
「それでは、レッドが無事にイーブイを捕獲できたか気になって訪れただけだということですか?」
「そうそう。少し人探しが行き詰まってね。それで、イーブイ捕獲の手伝いでもしようかな、と思って。」
「友達思いですね。イーブイに関しては先程言ったように無事に保護できました。今はレッドが連れています。彼ならきっと適任でしょう。」
そっか、無事に保護されたなら気にする必要はないかな。それじゃあ、この後どうしようか?
と思ったけど、そうもいかない様子の子が1人。
「あの、ひとつお願いがあるんですけど・・・」
「はい、なんですか?」
「ミスタ・・・、この子の相手をお願いできませんか?」
久しぶりの強敵だったからか、もう一回もう一回と急かすように体当たりしてくる。
こうなると思ったからジムには来たくなかったんだよね・・・。
「それは、ジムへの挑戦でしょうか?」
「いえ、バッジは要らないです。この子、いわゆる戦闘狂みたいなやつで・・・。強い相手だとこんな感じでやる気になっちゃうんです。」
「なるほど。そういうことならお相手いたしましょう。ラフレシア、先程の続きですよ。」
そう言うとラフレシアも乗り気のようで、意気揚々と前に出る。そのラフレシアの前に出るミスタ。
「それじゃ、ミスタ。自由にやっちゃっていいよ。」
「指示は出さないんですか?」
「勝つための戦いならある程度指示は出すけど、今はいいかな。指示を出されるのも多分好きじゃなさそうな子だしね。」
「では、こちらもラフレシアに任せましょう。しかし、指示をあまり出さないトレーナーなんて変わってますね。」
「そう?私はトレーナーなんて柄じゃないからわかんないけど。ただ、あの子が戦うのが好きだから、何故か妙にロケット団が絡んでくるこの旅に誘っただけだしね。捕まえたのも成り行き。」
捕まえたポケモンだからって、命令するのも柄じゃないし。
「いろんな関係があるんですねぇ。ちなみに、何故ロケット団と?」
「たまたま旅の途中でかち合ってね。後、私の探してる人をロケット団が追ってるって聞いて。あ、ところで、ゲームセンター地下にあるロケット団の研究施設って知ってる?」
「どういうことです?」
ロケット団の事になると顔つきが変わるなぁ。ん、もしかして私もそんな感じなのかな?
かくかくしかじか
「なるほど。研究施設にはげた研究者、ですか。」
「なんか、ロケット団をぬけるって言ってたから昨日はそのまま帰ったけど、数日たったらもう一回行ってみるつもり。」
「それがいいでしょうね。その方を信じたいですが、その場しのぎの言葉かもしれませんし。」
ん?なんか含みのある言い方だけど、はげに心当たりがあるのかな?
「だったら、その時に一緒に行ってもらえないかな?あいつら、容赦って言葉を知らないから。何をしてくるかわかんないし。」
「そういうことなら、同行しましょう。」
「ありがと、助かるよ。前に、ナツメにはひどい目にあわされたからね。エリカがいてくれると心強いよ。」
「ナツメって、ジムリーダーのナツメのことですか?」
「うん。やっぱり知らなかった?」
「ええ・・・。マチスがポケモンの輸送を行っていたと聞いて、他のジムリーダーももしや・・・、とは思っていましたが。」
マチスって、クチバシティのジムリーダーだっけ?ジムリーダーのうち、何人がロケット団なのやら。大丈夫かな、ポケモンリーグ。
そうこう話しているとミスタが戻ってきた。
ラフレシアは・・・。ありゃ、こおりづけになってるや。
タイプ的には不利なはずなのに勝っちゃってるよ、すごいねこの子。
でも、傷だらけだから結構ギリギリの勝利って感じかな?
「あらあら、負けてしまいましたか。お強いですね、そのスターミー。」
「まぁ、私が育てた訳じゃないんだけど。」
「そうなんですか?とてもなつかれてるように見えますが・・・」
「まぁ、きららに返り討ちにあったときは毎回私が治してたんで、それのせいかも。あ、きららっていうのは、もう一体の手持ちで、この子の目標・・・みたいなものかな?」
「そうですか。あなたが治したというのはポケモンセンターではなく、きずぐすりを使ったということですか?」
「それは、見てもらった方が早いかな。」
ミスタに手をかざす。すると、ミスタの体を淡い光が包みケガを治していく。
「まぁ、こんな感じ。」
「これは・・・。言葉にならないというのはこういうことなんでしょうね。」
「私自身もいつの間にか使えるようになった能力だから、詳しくは知らないんだけどね。」
「そうですか・・・。そういうことなら、詮索はしないでおきますね。」
「ありがとう。それじゃ、そろそろ引き上げようかな。ミスタも満足したみたいだし。」
ついでにラフレシアも治しておく。ミスタの相手をしてもらったしね。
「ありがとうございます。それでは、また後日会いましょう。その時にはリベンジ、させていただきますね。」
「え?」
「負けっぱなし、というのは嫌いなので。私も、この子も。」
そう言ってラフレシアを撫でる。
え、大和撫子みたいな人だと思ってたら、実は負けず嫌い・・・?
でも、それならミスタの相手にはうってつけかもしれない。
「そういうことなら。」
「ありがとうございます。それでは、お気を付けてお帰りください。」
笑顔で見送られる。
なんか、イーブイの事を聞きに来ただけなのに、大事になった気がする。まぁ、丸く収まったからいいか。
とりあえず、きららが元気になったらもう一度エリカの所に向かおうかな。
あー、ブルーの行き先も気になるけど、ロケット団も放っておけないよね。