ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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13話

ん・・・?あれ、ここは・・・?

目を覚ました私は、見慣れない天井に戸惑う。

辺りを見渡すと、少しだけ見覚えのある雰囲気に気づく。

 

「エリカの・・・ジム?」

 

隣の台を見ると、私の荷物とモンスターボールが2つ。

もしかして私、あのまま倒れちゃった?

後でお礼を言っておかないと。

そう思って立ち上がると、いつもと違う自分の格好に気づく。

あれ?着物になってる。エリカがやってくれたのかな?何から何まで頭が下がる。

その時ガラガラと、ドアを開けてエリカが部屋に入ってきた。

 

「おや、気が付きましたか?」

「うん、ありがとう。これ全部エリカが?」

 

そう言って袖を掴み両手を広げる。

 

「はい。うふふ。随分質素な格好でしたので、着付けがいがありましたよ。」

「あはは・・・」

 

そう言って笑うエリカに、乾いた笑いを返す。

そういえば、マサラタウンを飛び出すように出てきたから、長袖長ズボンのシンプルな格好のままだったんだよね。

それに比べて、今は青を基調にして赤と緑を入れてるのかな?

青。

ブルー。

 

「・・・・・・ヨシ!」

「随分と気に入っているようで、私も嬉しいですよ。」

「え?聞こえてた?」

「ええ、バッチリ。」

 

ちょっと!なんか恥ずかしいんですけど!

私は顔を抑える。真っ赤になってない?大丈夫?

 

「青には少し、思い入れがあって・・・ね。」

「そうですか。白い髪によくお似合いですよ?」

「ア、アリガト。」

 

やめて!今褒められるとニヤけてとまらなくなるから!

とにかく、私は恥ずかしさを隠すように続ける。

 

「それで、おじさんは?」

「彼はグレン島に戻りました。」

「あれ?警察には突き出さなかったんだ。」

「ええ。あなたのお陰ですよ。」

「私?」

 

首を傾げる。特に何かした覚えはないんだけど・・・。

 

「フフッ。わからなくても構いませんよ。そんなあなただから、彼も変わったんです。」

「ふーん、よくわからないけど・・・。」

「それでいいのです。それより、一週間ほど寝てましたが、お身体の方はどうですか?」

 

え?一週間?

そう言われるとなんだかとても。

 

「お腹が空きました。」

「ですよね。昼食・・・には遅いですが用意してあります。食堂にどうぞ。」

「ありがと、エリカ。」

 

そう言いながら先に歩き出すエリカ。

ん?既に用意してあるって事は、一週間毎日用意してくれてたのかな?

 

「ねぇ、もしかして。ご飯も毎日・・・?」

「えぇ。用意しておりました。」

「ごめんね、いっぱい無駄にさせちゃって。」

「いえ、大丈夫ですよ。ただ・・・。」

「ただ・・・?」

 

スゥっと、少し息を溜めるエリカ。

 

少々体重が増えてしまいましてね

「ヒィッ!」

 

振り返り、うしろにゴゴコゴゴと効果音が聞こえそうな笑みを浮かべる。

それってつまり、私の分も・・・ってことだよね・・・。

 

「ゴメンナサイ!」

「別に謝る必要はありませんよ?私が勝手にしたことですからね?」

「ヒィッッ!」

 

怖い!ミスタの上なんか比じゃないぐらい怖い!

これが、ジムリーダー・・・!

戦慄していると、フッとプレッシャーが消える。

 

「申し訳ありません。からかいすぎましたね。」

「あはは〜・・・」

 

いやいや、からかうなんてレベルじゃないって。寿命が縮むかと思った。

 

 

そんなこんなで遅い昼食後。

 

「エリカ、少しパソコン借りてもいい?」

「構いませんよ。どこかに連絡を?」

「うん。ちょっとオーキド博士にね。探し人の足取りが掴めたけど、すぐにわからなくなったって。」

「先日仰っていたことですね?」

「そう。とりあえず報告だけでもしておきたいかなって。」

 

そのままパソコンを操作する私。あれ、いつもなら直ぐに出るんだけど・・・。何かあったのかな?

あ、繋がった。

 

「あ、もしもし博士?」

「その声は、マシロか?」

「え?その声ってレッド?」

 

博士に繋いだはずなのに、何故かレッドが出た。しかも映像がないから、最初は誰かわからなかったし。

 

「なんでレッドがそこに?博士は?」

「博士はロケット団に連れて行かれた。どうやらヤマブキシティにいるらしい。そこでオレをまちかまえているそうだ。グリーンいわく、ロケット団との最終決戦になるって。」

 

レッドを誘ってる?ロケット団に恨みを買うような事をしたのかな?

まぁ、私は心当たりしかないけど、二人も何かしらの因縁があるみたい。

 

「とりあえず、オレはヤマブキシティに向かう。博士に用事なら、オレ達が博士を助け出したあとにしてくれ。それじゃ。」

 

そう言って一方的に通話を切られる。

えっと、ヤマブキシティで大きな戦いがあるってことでいいのかな?

 

「エリカ、聞こえてた?」

「はい。早速、カツラさんにも手伝ってもらいましょう。」

 

見逃したおじさんにも手伝わせるらしい。

まぁ、手を貸してくれるのなら、見逃した意味はあった・・・のかな?

 

 

ご飯を食べ、手早く準備を終える。

さてと、ロケット団との最終決戦がヤマブキシティで待ち構えてる以上、私もここでじっとしてる訳にはいかないよね。ブルーのことも気になるし。

 

「それじゃ私は、ヤマブキシティに向かうけど・・・。ほんとにこれ、着ていっていいの?」

「構いませんよ。それより、お気をつけて。私もタケシとカスミ、それとカツラさんが揃い次第、ヤマブキシティの東西南北のゲートを抑えます。」

「ありがと。そっちも気をつけてね。」

 

そう言ってヤマブキシティのゲートに来てみたものの。

 

「ここは通行禁止だ。ん?いや、ちょっと待て。白い髪の女が来たときは連絡しろって通達があったな・・・。少し待ってろ。」

 

と言って待たされてる。まぁ、心当たりしかないし。

最悪、強行突破しよう。

 

「待たせたな。ゲートを出た所で、待っていろ。迎えが来る。」

「迎え?誰が来るの?」

「知らん。俺の仕事はここの門番であって、子守りじゃない。さっさと行け。」

 

しっしと手を振られたので、さっさとゲートを抜ける。冷たい門番だったけど、門番ってみんなあんな感じなのかなぁ・・・。

さてと。ここで待ってればいいらしいけど誰が来るのやら。

そう思っていると、人影はすぐに現れた。

スーツを着た、今度は髪の毛のあるおじさん。

 

「待たせたな。こちらにも準備があって少々てこずった。」

「言うほど待ってないよ。それより、準備ねぇ・・・。最終決戦前の下準備・・・かな?」

「ほう・・・。タイミングから、偶然ではないと思ったが。やはり、今日を狙ってきたのか。君に招待状を出した覚えはないんだがね。」

「知ったのは偶然だけどね。それで、あなたはロケット団の幹部?」

「フフフ、ハッハッハッハッ!!」

 

聞いたとたんに笑いだす目の前のおじさん。

人が質問してるのに笑うって失礼じゃない?

気持ちが顔に出てたのか、私の顔を見ると笑うのをやめた。

 

「いや失礼。面白い冗談だったものでな。」

「冗談のつもりはなかったんだけどな。」

「そうか。では改めて・・・。我が名はサカキ。ロケット団のボスをしている。」

「なるほど。ボスに対して幹部?なんて聞いたら笑い話にもなるか。」

「そういうことだ。お前の事は、ナツメから聞いている。名前を聞こうか。」

「・・・マシロ。ナツメにはずいぶんひどい目にあわされたよ。」

「フッ。それはお互い様だろう。あそこまで手酷くやられたあいつを見たのは初めてだ。」

 

互いに軽口をたたきあう。ロケット団のボスがなんで出迎えに来たかは分からないけど、口論でも負けたくはないよね。

そう思ったとき、ふと何かが消えたような不思議な感覚がした。

 

「今のは・・・?」

「ナツメのバリヤードがやられたか。どうやら、招待客が来たようだ。」

「レッドのこと?」

「他にも招待していない者もいるようだがな。」

 

そういうやいなや、背中を向けて歩きだすサカキ。

 

「ついてくるといい。私のアジトに案内しよう。」

 

私は、歩きだすサカキの背中を追いかける。

 

「わざわざ案内してくれるのはありがたいけど、どういう意図?」

「一番の理由は、お前を自由にさせておくわけにはいかないからだな。おそらく、三幹部では止められん。」

「あなたなら止められるって?」

「無論だ。」

 

すごい自信。さすがはロケット団のボスってところかな?

 

「それで、一体どこまで歩くの?」

「この町の中央にあるシルフカンパニー。そこが私の、ロケット団のアジトだ。」

 

そう言って黙ってしまったサカキ。そのまま足を進め続けていると、いつの間にか、この町で一番大きなビルが目前に佇んでいた。

 

「ここだ。」

「なんか燃えてない?」

「そのようだな。」

 

しかし、立派なビルも何故か炎上し所々窓から煙が立ち上っていた。

 

「どうやら、もう始まっていたらしい。」

 

そうつぶやくと、こっちに振り返る。

 

「それでは、こちらも始めようか。」

 

そう言ってサカキは上着を翻し、ポケモンを繰り出す。

サイホーン、サイドン、ダグトリオ、ニドキング、ニドクイン、ゴローニャ。

あれが、サカキのポケモン全部・・・かな?

 

「改めて名乗ろう。ロケット団のボス、そして。トキワシティ、ジムリーダー。大地のサカキ!サイドン、じわれだ。」

 

そして、サカキは自分の後ろの道をサイドンで踏み砕く。

 

「さて。これで、君は私を倒さないとシルフカンパニーには行けなくなった訳だ。」

「迂回したり、ポケモンに乗っていけば行けるんじゃない?」

「フッ。私がそんなことを許すと思っているのか?」

 

まぁ、そんな悠長なことできないか。

 

「まさか。それに、ロケット団のボスを無視する理由なんて。」

 

 

 

「こっちにもないんだから!」

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