ヤマブキの戦いの後・・・。
あれから、数日。ロケット団は壊滅ってことになったみたい。
奪われていたポケモンやロケット団が使っていたポケモン達は今、ジムリーダーが管理しているらしい。
奪われていたポケモンは、順次もとの持ち主へ。
ロケット団が使っていたポケモンはジムリーダーが正しく育て直すんだって。
「あなたにも手伝っていただけませんか?」
ってエリカに言われたけど、私はトレーナーって訳じゃないし。それに、ブルーが見つかったから旅する目的も無くなっちゃったしね。
そもそも、私はポケモンをまともに育てたことなんてない。
きららは最初から強かったし。
ミスタは勝手に強くなった。
私は何もしてない。
そんな私が人のポケモンを育てるのは無理だって。
「そうですか・・・。適任だと思うんですが・・・。」
「エリカ、人の話聞いてた?」
ってな感じのやり取りの後、私はエリカの所に居候することに。
というのも、
「寝たきりだったのに、起きてすぐに動いたんですから 。しばらくは体を馴らす意味でも、ゆっくりしてください。」
ってエリカに言われちゃって。
ってことで、のんびりさせてもらってます。
ミスタも相手が沢山いて嬉しそうだし。
そう思いながら縁側でのんびり日向ぼっこをしていると、エリカが歩いてきた。
「マシロ、あなたにお電話です。」
「え、私に?わざわざ私に用がある人なんていたかなぁ・・・?」
「相手はカツラさんですよ。」
「あぁ、はげのひとか・・・。」
「フフッ・・・。失礼ですよ。」
エリカは口を押さえて笑いをこらえる。
口を押さえている辺り、エリカもそう思ってたんだなぁ・・・。
「もしもし?」
『もしもし、マシロ君か?療養中に済まない。急遽君に頼みたいことがあってね。』
「わざわざ私に?他の人じゃダメなの?」
『ダメ・・・ではないが、適任だと私は思っている。』
「とりあえず、話を聞いてからでもいい?」
『かまわない。ハナダ北西部が壊滅した話は知っているか?』
「話だけならね。」
『それともうひとつ。君は、研究施設で治したあのポケモンを覚えているかね?』
「あんな状態の子、忘れるわけないよね。」
『君に助けられたあの日。あのポケモン、ミュウツーが研究施設を破壊して逃げ出した。』
そっか、あのとき飛び去ったのはあの子だったんだ。施設を破壊できるぐらいに元気になったんならよかったかな。
「それと、ハナダになんの関係が?」
『どうやらハナダ北西部を壊滅させたのはミュウツーのようだ。』
「え!?」
それは流石に元気すぎるでしょ・・・
『だから、君にミュウツーを止めるのを手伝ってほしい。』
「なるほど。治したんだから手伝えってことかな?」
『そこまで言うつもりはないが、君も気になるだろうと思ってね。』
確かに。あの時の子が暴れてるって言うなら気になるね。
「おっけー、手伝うよ。で、止めるってどうするの?処分・・・何て言わないよね?」
『そんなことはしない。ミュウツーを捕獲する。その為に君に声をかけたんだ。』
通信が終わり、エリカに声をかけられる。
「行くんですか?」
「うん。ほっとけないしね。」
「こちらには帰ってきますか?」
「うーん、状況次第ってことで。まぁ、居心地はいいから、また来る・・・かな?それじゃ、行ってくるね。」
「お気をつけて。」
それじゃ、ハナダに向かおうかな。
ーーハナダ北西部ーー
ハナダまでミスタに乗ってひとっ飛び。
怖いのは相変わらずだけど、少しなれた・・・。かもしれない。
えっと、あの人は・・・っと。いたいた。
目立つ頭でギャロップにまたがってる。
「お待たせ。早かったね。」
「ヤマブキの戦いの後から、ずっと追いかけているからな。」
「あれ?あの時ってまだハナダ北西部の事件も起きてなかったのに、どうやって追いかけてたの?」
「少々訳ありでな。この右腕が教えてくれる。」
そう言って右腕の袖を捲る。
その腕はひどいやけどの後のように、ひどく爛れていた。
「どうしたの、それ?」
「私の細胞を移植した際、ミュウツーの細胞に入り込まれたようでな。こいつのお陰で、奴の居場所が分かるんだよ。」
うわぁ、痛そう・・・。なんか蠢いてるし。
と思ったら、ピーンと真っ直ぐになったし。
そして、その真っ直ぐになった先には1つの竜巻があった。
「もしかして、あれ?」
「どうやら、そのようだ。」
しかも、なんか竜巻から「うわぁぁぁぁ」って聞こえるんだけど、気のせいかな?
「なんか、悲鳴みたいなの聞こえない?」
「どうやら、私の空耳ではないようだな。」
「ちょっと見てくるよ。ミスタ!」
私は、ミスタに乗って竜巻の上まで昇る。
竜巻の中ではレッドと6体のポケモンがぐるぐると回っていた。
こんなとこでなにやってるの?
とりあえず、助けないと。
「きらら、起きてる?」
『んー?』
ボールの中で寝てたきららに呼び掛ける。一応起きてたみたい。
「ちょっと手伝ってもらえないかな?」
『んー・・・。わかった。』
ポンと、ボールからきららが飛び出す。
とりあえず、この竜巻を何とかしないとね。
『とりあえず、さんわりぐらいしかかいふくしてないよ?』
「わかった。とりあえず、すごいはかいこうせんの用意をお願い。」
『わかったー。』
きららには、竜巻の上で用意してもらって、と。
「レッドー?聞こえるー?」
「その声、マシロか!?」
「とりあえず、竜巻は何とかするから、後は自分で何とかしてね!」
「え!?なんとか??」
レッドには一応声をかけたし、大丈夫でしょ。
「きらら、用意は?」
『いつでもいけるよー?』
「狙いは渦の中心。とりあえず、1割ぐらいでいける・・・かな?」
『おっけー!』
「それじゃ、発射!」
きららから放たれる一筋の極光。
それは、渦の中心に突き刺さり少しだけ地面を削って竜巻を打ち消した。
そして渦の中心には、あの時に見たポケモン、ミュウツーが無傷で佇んでいた。
「あれを受けて無傷かぁ・・・。」
『すごいね!あのぽけもん!』
感心している私達の下で、竜巻から解放されたプテラがギャラドスを掴み、そのギャラドスをカビゴンとフシギバナの蔓が掴み、そのフシギバナにニョロボンがレッドを掴んでぶらさがり、そのレッドにピカチュウが掴まっている。
確かに何とかしろとは言ったけどね。そんな風になるとは思ってなかったなぁ・・・。
まぁ、カビゴンが重たそうだけど、無事に地上に降りていったから大丈夫でしょ。
とりあえず、ミスタには少しずつ下に降りてもらって。
「それよりも、だよ。」
『あのぽけもん、こっちをみてるよ?』
「だよねぇ・・・。」
竜巻を打ち消したからか、ターゲットがレッドから私達に変わったみたいなんだよね。
なんと言うか、降りてくるのを待ってる?
降りたくないなぁ・・・。
「ギャロップ!」
そう思っていると、カツラさんがギャロップに乗ったままミュウツーに突っ込む。
ミュウツーは突進をバリアで受け止めると、どこからともなくスプーンを作り出し、ギャロップを弾き飛ばす。
私は、ギャロップが吹き飛ばされた先にミスタを着々させると、レッドも駆け寄ってくる。とりあえず、ポケモンはボールに戻したみたい。
「カツラさん、大丈夫?」
「あぁ。それよりもレッド?どうしてここに?」
「あはは、強いポケモンって聞いてつい・・・。」
「全く・・・。今のを見ただろう?複数相手だとエネルギーで竜巻を作り出し、一体だとそれをスプーンの形に収束させる。これでは、普通にミュウツーを捕まえるのは無理だ。」
なるほどね。数で押しきれないし、一対一だとまず勝ち目がないと。
「それじゃ、どうするの?わざわざ私を呼んだぐらいなんだから、何かしらの手はあるんだよね?」
「もちろんだ。それが、これだ。」
カツラさんが取り出したのはマスターボール。ポケモンなら必ず捕まえられるっていう噂のボール。
実在したんだなぁ・・・。
「本当は、私が突っ込んでいる間に、君にこのボールを投げてもらい、君のきららのサイコキネシスでボールをぶつける作戦だったが・・・。」
「なるほどねぇ。」
「でもそれじゃ、カツラさんが!」
「私の事は構わんよ。」
まぁ、あんな竜巻を作る相手に一人で突っ込むとか危ないとは思うけどね。
と思ってミュウツーの方を見ると姿がない。
その瞬間、カツラさんはさっと右腕の袖を捲る。爛れた右腕は後ろを指し示す。
「後ろだ!」
「えぇ!?」
「きらら、受け止めて!」
カツラさんはレッドの頭を押さえてミュウツーとは距離を取るようにかわす。
その間に、きららがサイコキネシスでスプーンを受け止める。
「きらら、いけそう?」
『ちょっときびしいかも~。』
「そっか。仕方ないかな・・・。ミスタは嫌かもしれないけど、二人で攻めるよ!」
「ーーー」
やむなし・・・。って言ってるのかな?ミスタ的には2対1は嫌いだろうけど、今回は我慢してもらうしかないかな。
「ミスタ、一旦押し退けるよ!ハイドロポンプ!」
スプーンを受け止めているきららの横から至近距離で技を撃ち込む。
流石に受けきれなかったのか、ミュウツーはそのまま大きく吹き飛び壁にたたきつけられ、砂ぼこりが舞う。
「カツラさん、その腕!」
「少々訳ありでな。今はそれよりも、だ。」
「ミュウツーはこっちで何とかするから、隙を見て捕獲して!」
後ろで話す二人に叫んで、ミスタに飛び乗る。
「いくよ、きらら!ミスタ!」
ミスタは私を乗せて、ミュウツーに向かって飛ぶ。
その瞬間、砂ぼこりを切り裂いてエネルギー弾が飛んでくる。
「きらら!」
声と同時に私達の前に飛び出るきらら。そのままサイコキネシスで横に弾く。
「そのままスピードスター!」
そして、スピードスターを放つ。
それらはミュウツーに向かって一直線に飛んでいくが、スプーンで全て弾かれる。
その間にミスタがミュウツーに突っ込む。
「痛いかもしれないけど、お願いねミスタ。きらら、援護はよろしく!」
「ーーー」
『まかされたー!』
ミスタは体ごとミュウツーに突っ込むが、スプーンで受け止められる。
拮抗は一瞬でミスタはスプーンで弾き飛ばされる。
「うわっ、とと。」
私は、ミスタにしがみついて落ちないように踏ん張る。
その間にきららはミュウツーをスピードスターの渦に閉じ込めてた。
「ナイス、きらら!ミスタ、あれの用意お願い!」
「ーーー」
軽い機械音の後にミスタはエネルギーを集めだす。今のうちに降りて・・・と。
どうやらミュウツーは、スプーンでスピードスターをはたき落としてるみたいで時間がかかってる。きららさまさまだね!
「ミスタ、用意はいい?姿が見えたら撃つよ?きらら!一発だけのでっかいその2、お願い!」
「ーーー」
『りょうかい!』
二人の返事が重なって返ってくる。頼もしいね。
用意はできてるから、後はタイミングだけ。
そして、最後の星を叩き落としたミュウツーが、こっちに飛びかかってきた。
「今!」
合図と共に、ミスタからすごいはかいこうせんが放たれる。
それは、さっき撃ったきららの技よりも少しだけ強く、一直線にミュウツーに直撃した。・・・でも。
「あれ、バリアみたいなので防いでる?」
『すごいね!このわざふせげたぽけもんもはじめて!』
「きらら、感心している場合じゃないよ。その2、手加減なしでお願いね。加減なんてしてる場合じゃなさそう。」
『いつでもいけるよ?』
「なら、ミスタの技が止まったときに畳み掛けるよ!」
『おっけー!』
話している間にミスタの技が止まる。
「きらら!」
『うん!』
そして、合図した瞬間に空から1つだけ、直径5メートルはありそうな岩がミュウツーに押し寄せる。
それは、少しの間だけバリアーで押し返されたが、少しずつバリアにヒビを入れていく。
「カツラさん!ボールの用意は!?」
「もうできている。バリアが砕けた瞬間を狙う。」
「すげぇ・・・。」
カツラさんはギャロップに乗って、いつでも駆け出せるように準備をしている。
レッドはその後ろでなんか呟いてる。
パリィン!!
ドカーン!!
その時、バリアが砕ける音が響き渡る。
そして、岩を受けきれずに衝突し、砂ぼこりをあげる。
「ギャロップ!」
カツラさんの声に、ヒヒィーンといななくと、ミュウツーに向かって駆け出していく。
「ボールを当てさえすればいい。突っ込め!」
そして、砂ぼこりに突っ込もうとした瞬間、砂ぼこりを引き裂くようにスプーンを振り回すミュウツー。そのスプーンはそのままギャロップを弾き飛ばした。
「しまった!」
「まだだよ、オレが!」
今度は弾き飛ばされたギャロップからレッドが飛び降りる。その手にはマスターボールが握られていた。
「いけっ!」
そのままレッドはミュウツーに向かってマスターボールを投げる。
しかしそれは、ミュウツーのスプーンで上に弾かれる。
「くそっ。ピカ、頼む!」
「ピッカ!」
レッドの背中を蹴り、弾かれた先にピカチュウが飛び出す。ピカチュウはそのまま尻尾を叩きつけてマスターボールをミュウツーに打ち返す。
そして、マスターボールはミュウツーの額にぶつかり、ミュウツーをマスターボールに収めた。
ふぅ。
とりあえず、ミュウツーの捕獲には成功・・・かな?でも、そのかわりに、きらら達に無茶ばかりさせてる気がする。
『ましろ~。さいきんたたかいばっかりで、えねるぎーがたまらないよ~・・・。』
ふらふら飛んでくるきららを抱き止める。
「ありがとう、きらら。ごめんね、なんか最近忙しくて。」
『ちょうききゅうかをしょもうする~・・・。』
「フフッ。どこでそんな言葉覚えたの?」
『えりかのところ~。なんかいっぱいほんがあったよ?』
「そっか。それじゃ、長期休暇をあげましょう!とりあえず1週間!」
『やった~!』
そう言うと、ボールに戻っていく。
確かに。最近は色々とあってずっと戦い続きだったからね。お休みは大事。
流石にもうなにも起きないことを願いたいね。
「マシロくん、無事か?」
「そっちは・・・、大丈夫そうだね。レッドも無事?」
「あ、あぁ。オレは大丈夫だけど・・・。」
ん?なんか歯切れが悪いけど、どうかしたのかな?なんか呆然とした顔してるけど。
「実はマシロって、すごいやつだったんだな・・・。」
「急に何言ってるの?それより、カツラさん?」
「なにかね?」
「その子のこと、任せてもいい?」
「無論だ。」
すぐに言い切るカツラさん。元ロケット団だからって疑いの目で見てたけど、本当に改心したみたい。これなら信用できそうかな。
「それじゃ、私は帰るね。最近はロケット団と戦ったり、ミュウツーを治したりで疲れたよ。」
ミスタもボールに戻しておく。ミスタにも無茶させたからね。とりあえず、帰りは歩き・・・かな?
「それじゃあね、カツラさん。レッドも、無茶ばっかりしないようにね。」
そのまま手を振りながら、私はハナダを後にした。
空の旅に慣れたあとの徒歩帰宅は、結構疲れました。