ポケモンリーグが終わり、表彰式のあと。
会場の中でブルーを探していた私は、ちょうどブルーに呼び止められた。
「マシロ、少しいいかしら?」
「あ、ブルー!私も探してたんだ!3位おめでとう!」
まぁ、博士の事は祝わないけどね。今でも根に持ってるし。子供のトラウマを抉るのは大人のすることじゃないよ。
「あ、ありがと。まぁ、博士が棄権してからの繰り上げ3位だから、めでたいものじゃないのだけれどね。」
「人のトラウマに付け込む人のことは気にしないほうがいいよ。」
「あなた、博士に対しては辛辣じゃない?」
なんだかんだ、長い付き合いだからね。そんな感じにもなるよ。
「いいのいいの。それで、私に用事?」
「あ、そうだった。マシロにお願いしたい事があるのよ。」
「いいよ、何をすればいい?」
「話が早いのは助かるのだけれど・・・。せめて話を聞いてからお願いを聞きなさい。そのうち悪い人に騙されるわよ?」
「大丈夫だよ、無条件で助けるのはブルーだけだから!」
何故か溜息をつくブルー。なんでだろう?
「まぁいいわ。マシロ、あなたも覚えてるわよね?アタシをさらった大きな鳥の事。」
「うん。忘れたことなんてないよ。」
「あれを操っていたトレーナーを探してるの。」
「あれ、操ってるトレーナーがいたの?はた迷惑な・・・。」
「そうなのよ・・・。で、アタシが連れていかれたのはジョウト地方。そこであなたにジョウトで調査をお願いしたいのよ。」
「おっけー。ジョウトに行けばいいんだね?ところで、ブルーはそのトレーナーについて何か知らないの?」
「それがね、変な仮面を付けてたし、アタシ達も変な仮面付けられたしで詳しくわからないのよね・・・。」
ふーん、変な仮面をつけてたのかぁ・・・。それだと、顔もわからないか。それを自分達にもつけられた・・・ん?
「達?他にも誰かいたの?」
「ええ。他にもいたんだけど、今はそれは置いておきましょう。とにかく、そのトレーナーの事を調べる為にお金も貯めたし、力もつけた。」
「あ、だから色々やってたんだ。」
「そういうこと。あいつのお膝元であるジョウト動いたら、せっかく逃げ出したのに見つかるかもしれないしね。」
なるほどねぇ。だからわざわざカントーで写真を売ってたのかぁ・・・。
「という事で、お願いできるかしら?」
「おっけー。」
「話は終わったか?」
私がブルーのお願いを聞き終わったぐらいにグリーンが話しかけてきた。
あ、そういや控え室で挑戦するとか言ってたっけ?
「ちょっとグリーン?今はアタシの話の途中なんだけど?」
「だから終わったか、と聞いただろう?」
「終わってないわよ。長くなりそうだし、そっちの用事を先に済ませていいわよ?」
「助かる。マシロ、いつかのリベンジマッチだ。外に出ようぜ。」
そう言うと、背中を向けてさっさと歩いていく。その後ろを少し離れて追いかける私とブルー。
「リベンジマッチって・・・。マシロ、グリーンに勝ったことあるの?一応リーグ準優勝者よ?」
「あー・・・。ちょっと前、リザードンがまだヒトカゲだった頃にね。」
「そう。ま、細かいことはいいわ。あなたがグリーンよりも強いなら、さっきのお願いもあてにさせてもらうわよ?」
「任せといてよ。ブルーのお願いなら全力だよ?」
「フフッ、ありがと。」
ーーーーーー
会場の外に出た私達。
会場の近くだと未だに人が多いから、道を外れて適当な場所に行く。
「まぁ、この辺でいいだろう。」
グリーンが振り返る。
リーグ会場自体が山の麓だし、遮蔽物なんてないから、どこでも良さそう。
「それじゃ、始めるか。マシロの手持ちは何体だ?」
「2体だよ?」
「に・・・?え、2体?本当か?」
「ほんとほんと。お陰で色々と苦労したよ。」
何故か驚いてるけど、ホントなんだからしょうがないじゃん。まぁ、捕まえなかった私が悪いんだけど・・・。
「それじゃあ、2対2の入れ替え制でやるか・・・。マシロも、それでいいか?」
「いいよ。先に2体とも戦闘不能になったら負け?」
「あぁ。それじゃあ、いくぞ!」
「お前からだ、キュウコン!」
「お願いね、ミスタ。」
同時に繰り出したのはキュウコンとミスタ。
相性は有利だけど、グリーンはどう出るかな?
「タイプは不利だが、やれるな?」
「コン!」
グリーンの声に気合いの入った返事をするキュウコン。なにあれかわいい。
「いけっ!かえんほうしゃ!」
「ミスタ、ハイドロポンプ!」
キュウコンの炎とミスタの水がぶつかり合う。結果はまぁ、当然のようにミスタのハイドロポンプが押しきる。
そのまま命中し、キュウコンが少しだけ怯んだ。
「ミスタ、休ませないで!十万ボルト!」
畳み掛けるように攻撃を浴びせる。
「キュウコン、堪えろ!9本分を全部まとめて撃ち出す!」
しかし、攻撃を受けながらキュウコンは9本の尻尾の炎を1つにまとめ、大きな炎を作る。
「今度はこっちの番だ。だいもんじ!」
そして、キュウコンは電撃を受けながらも、だいもんじを放つ。9本分の炎の塊は技を出し続けているミスタに命中すると、大の字に広がりミスタを焼きつくそうとする。
しかし、キュウコンは技を出し終わるとドサッとその場に崩れ落ちた。
「よくやった、キュウコン。・・・あっちはどうだ?」
グリーンはキュウコンをボールに戻す。
炎が収まると、そこでは少しだけ焦げたミスタが体を振っている。すすを払ってるのかな?
「こっちは大丈夫だね。」
「効果はいまひとつ、か。なら次は・・・。」
グリーンが2体目のボールを構える。そして、そのボールを投げようとした時。
「グリーン。姿が見えないと思ったらこんなとこにいたのか。ん?マシロとポケモンバトルしてるのか?いいな、オレも混ぜてくれよ。」
と、叫びながらレッドが会場の方から走ってくる。なんか増えた。
「今はオレの番だ。戦いたければオレの後にしろ。」
「わかった。マシロ、後でオレともやろうぜ?」
「え、いや。連戦はしんどい。」
「そんなこと言うなよ。」
増えたと思ったら何故か対戦を申し込まれた。嫌だよ。
「それじゃ、ダブルバトルでいいんじゃないかしら?」
「「「え?」」」
唐突に挟まったブルーの言葉に、3人の声が重なった。
「レッド・グリーン対マシロでちょうどいいでしょ?それに、私もマシロに用があるから、あんまり長くなるのも困るしね。」
「よし、それでいこうか。ブルーが困るのは困る。」
「「え?」」
一も二もなく同意する私に、今度は二人の声が重なる。
ブルーを待たせてるんだから、グリーンの後にレッドの相手なんかやってられないや。
「グリーンも、それでいいよね?」
「いや、オレは前回のリベンジを」
「い・い・よ・ね?」
「はぁ・・・わかった。レッド、オレの足を引っ張るなよ?」
「そうこないとな!頼んだぜ、グリーン!」
物分かりがよくて助かるよ。
あれ?これって、リーグ優勝者と準優勝者のコンビとのバトル?
「レッド、二人がかりで勝てないなんて事になったら笑い話にもならないぜ?」
「わかってる。グリーンも、1人だからって油断するなよ?」
うーん、ブルーが困るからってダブルバトルを受けたけど、普通に負けそう。
1人なんだから、手加減ぐらいしてほしいなぁ・・・。
でも、受けちゃったものは仕方がない。
「お前とのタッグなら、こいつしかないな。行けっ、リザードン!」
「だったら当然。いけぇ、フッシー!」
グリーンとレッドがそれぞれ、リザードンとフシギバナを繰り出す。あの2体は博士のところにいたポケモンだね。
博士の所に居たときに比べたら、すっかり大きくなっちゃって。
「ミスタ、大丈夫?」
「ーー」
うん、元気そう。むしろ、いつもと違う相手だからかウキウキしてる。
「連戦、お願いね。あとは・・・。おいで、きらら!」
きららをボールから出す。
今日は人混みに行くから、ボールのなかでおとなしくしてもらってたんだけど、どうしてこんなことに・・・。
私のせいだよ、ごめんなさい。
「きらら、今日もミスタとタッグでお願い。」
『りょーかい!あ、もりでたたかったひとだー!』
「そうそう。そのトレーナーのリベンジマッチだって。何故かダブルバトルになったけど・・・。」
『ふーん?よくわからないけど、わかったよー。』
私の前にはミスタときらら。
グリーンとレッドの前には、それぞれリザードンとフシギバナが並ぶ。
「レッド、スターミーは任せるぞ。リザードン、いつかの雪辱戦だ。」
「OK。引き受けた。」
言うやいなや、リザードンがきららに向かって突っ込んでくる。
まぁ、前回も遠距離攻撃は全部当たらなかったからね、そうなるか。
「ミスタ、迎え撃つよ!」
きららの前にミスタが飛び出す。そして、リザードンに技を出そうとしたとき。
「フッシー、邪魔をさせるな!」
フシギバナのつるがミスタに巻き付いて、フシギバナの方には引き込まれる。
「ミスタ!?」
「フッシー、畳み掛けろ!はっぱカッター!」
「ちょっと、横やりはずるいでしょ!れいとうビーム!」
引き寄せられながら、はっぱを凍りつかせて防ぐ。。ついでにつるも凍らせていく。
「余所見してていいのか?リザードン、ほのおのパンチ!」
「あぁ、もう忙しい!きらら、サイコキネシスで投げ飛ばして!」
拳を構えたリザードンをサイコキネシスで押し返し、そのままフシギバナの方に投げ飛ばす。
「フッシー、リザードンを!」
「こっちも畳み掛けるよ。きらら、スピードスター!」
フシギバナの方に飛んで行くリザードンの足につるが巻き付く。
そして、フシギバナを中心に円をかいて
遠心力でもう一度きららの方に向かって投げ飛ばす。
すれ違ったスピードスターはフシギバナに命中し、凍ったつるを断ち切る。
「リザードン、炎を纏え!」
「ミスタ、用意はできてる?きららもいいね?」
「フッシー、オレ達も!」
きららに向かって炎を纏ったリザードンが飛んでくる。
ミスタとフシギバナは共に光をためている。もっとも、太陽と星の光の違いはあるけどね。
「突っ込め、リザードン!」
「フッシー、ソーラービーム!」
「きららは加減してよ!すごいはかいこうせん!」
きららのビームとリザードンがぶつかり合い、その向こうではミスタとフシギバナのビームがぶつかり合う。
その結果、リザードンはフシギバナの隣まで吹き飛ばされ、逆にミスタはきららの隣まで吹き飛ばされた。
「ちっ、あれでも押し負けるか・・・。リザードン、まだいけるか?」
「よくやった、フッシー。」
「あの技が押し負けるの初めて見たかな?ミスタ、大丈夫?」
きららの隣で倒れるミスタに声をかける。
ミスタはその場で立ち上がると、機械音をならす。ん、あっち?
「あぁ、フッシーの花が!?」
レッドの声を聞いて、フシギバナの方を見ると、フシギバナの花が根元から半分程凍ってる。上の方はソーラービームで溶けたのかな?
というか、凍ってたのに押し負けたってことはかなり強いね、あのフシギバナ。
それに今日は天気がいいから、ソーラービームもかなり強化されてたかな?
その横のリザードンは、一応起き上がったけど飛ぶのは無理そう。
「レッド、こっちは後一発が限界だ。」
「フッシーも花とつるが凍ってるし、できることは少ない・・・。あっちはスターミーにはダメージを与えたけど、もう一体の方はノーダメージ、か。ところで、グリーン。」
「なんだ?」
「もう一体のあのポケモン、何て言うんだ?」
「知らん。というか、マシロもわからんらしい。」
「そうか・・・。あれ、強すぎない?」
「それは知っている。でも、だからといって尻尾巻いて逃げられるかよ。」
「そうだな、勝つぞグリーン!」
あっちは作戦会議かな?
うーん、ミスタもただではやられてないけど流石にもう無茶はできなさそう。
きららは全然元気そうだから、きららに頑張ってもらうしかないね。
「マシロ、次で決着をつけるぞ、真っ向勝負だ。レッド、用意はいいか?」
「あぁ。と言っても、ソーラービームしか撃てないからな。」
「いつでも来なよ、二人とも。」
返事を返し、私はミスタときららに声をかける。
「ミスタ、後一発だけ頑張って。きららもよろしくね。」
「ーー」
『うん、まかせといて!』
うん。気合いは十分だね。
それじゃ、最後だ。
「かえんほうしゃ!」
「ソーラービーム!」
「ハイドロポンプ!」
炎と草のエネルギーがハイドロポンプとぶつかり合う。このままじゃ、押し負ける・・・けど!
「きらら!お願い!」
『まかされたー!』
ぶつかるハイドロポンプをサイコキネシスで渦を巻くように動かす。
渦を巻いたハイドロポンプは相手の技を飲み込んでそのまま押し返す。
そして、そのままフシギバナとリザードンを
飲み込んだ。
「なんだと!?」
「これは、ミュウツーの竜巻と同じ!?」
そう、先日戦ったミュウツーの使ってた技を真似てみたんだけど。
なんか、思ってたよりも強いね。
遠心力に絡めとって技を無力化して、そのまま相手に押し返してるし。さしずめ、ハイドロウェーブってとこかな?
収まったときには目を回したフシギバナとリザードン。ってことは。
「私の勝ち、かな。」
「そして、オレ達の負けか。」
「ちくしょー、やっぱりマシロは強かったんだな!」
2体をボールに戻して歩いてくる二人。
お疲れさま、ミスタ、きらら。私もボールに戻しておこう。
「これで2連敗か。これでは、借りを返すのもいつになるのかわからんな。」
「返さなくていいって言ってるのに。」
「マシロ、すげぇじゃん!ミュウツーの技を真似するなんて!」
「大体きららのお陰かな。」
二人と話していると、バトルを見ていたブルーが駆け寄ってくる。
「ちょっと、マシロ!あなた、そんなに強かったの?」
「いや、強いのは私じゃなくてきらら達だし。」
「そんなのどっちも同じじゃないのよ。とにかく。グリーンもレッドも、用が終わったならマシロを借りてくわよ?」
「あぁ。マシロ、次は負けないからな。」
「そうだな。はぁ、ジムリーダーまでの道は遠そうだ・・・。」
ふーん、レッドはジムリーダーになりたいのか。ミスタのあれに押し勝ったんだから、実力は申し分ないと思うけどなぁ。
「それじゃ、マシロ。乗って?」
隣でブルーがプリンをボールから出す。
「ん?ここじゃダメなの?」
「あのね、あなた達が派手にやったから目立ってるわよ?」
そう言われて周りを見ると、道を外れてる割にはちらほらと観客が・・・。いつの間に。
「はぁ。リーグ優勝者と準優勝者が2対1で負けてるなんて、話題性抜群じゃない?リーグにも出てないあなたにはあまり目立ってほしくないのよ。アタシの切り札としてね。」
そう言うと、膨らむプリンの上に私を押す。
私はプリンの上に抱きつくように乗っかると、ふわふわと浮き出す。ブルーはプリンの足に捕まった。
それにしても、ブルーの切り札・・・。フフッ・・・。
思わず顔がにやける。
ブルーに頼られると、やっぱり嬉しいなぁ。
ーーーー
上の方まで飛ぶと、下からブルーが上ってきた。
「よいしょっ・・・と。ここまでくれば、野次馬もいないでしょ。それで、どこまで話したっけ?」
「ジョウトに行ってほしいって所。」
「そうそう。ジョウトで色々と調べてほしいんだけど・・・。まず、大前提。さっきみたいに目立つことはしないように。」
「うん。わかった。」
確かに、大会直後に優勝者と準優勝者が敗北なんて目立つよね。それも、無名の人だと尚更。
「それで、調べてほしいことは1つ。ジョウトで起きる事件について。」
「事件を?」
「そう。さらわれたのは1人じゃなかったって言ったでしょ?だから、組織だって動いてる可能性もあると思うのよ。だから・・・。」
「だから、ジョウトでもロケット団みたいな組織が暗躍してるかもしれない・・・。ってこと?」
「そゆこと♪話が早くて助かるわ。」
そう言ってウィンクするブルー。かわいい。
「だから、そういった組織に目をつけられないように、目立たないように立ち回って情報を集めてもらいたいのよ。」
「わかったよ、ブルー。その仕事、任された。」
「頼りにしてるわよ、マシロ。」