だいたいアルセウスが悪い
ルビーの様子を見た後。
私はホウエン地方に向かう船を手配する。
まぁ、私がなんやかんやする必要はないんだけど、女の子も気になっちゃってるんだよね。
とりあえず明日出航らしいから、一応ブルーに連絡しておこう。ジョウトから離れるから、お願いが進まなくなるからね。
プルルル・・・
「あ、ブルー?」
『えらく早い連絡ね。何かあったの?』
「それが・・・。悪いんだけど、少しジョウトを離れることになって・・・。」
『え?なんで?』
「正直、ブルーのお願いとはあまり関係ないかもしれないけど・・・。ちょっと気になる事ができて。」
『んー・・・?まぁ、いいんじゃない?少し離れるだけでしょ?アタシもすぐに手がかりが見つかるとは思ってないしね。そっちの事はマシロに任せるわ。』
「ありがと、ブルー。」
ピッっと、通信を切る。
それじゃ、ブルーの許可ももらったしアサギに戻って船を待とうかな。
出航は明日だし、ミカンの所に遊びに行こうっと。
ーーーーーーーー
次の日。
船着き場で船に乗る前に見送りに来てくれたミカンと話す。
「昨日はありがとね。ミスタの相手してもらっちゃって。」
「いえいえ。こちらこそ、対戦ありがとうございます。ハガネちゃんが負けたの久しぶりです。」
「それは相性の差だよ。ハガネちゃん、すごいタフだったし。」
昨日はあの後、ミカンの所に遊びに行ったらミスタがソワソワしだしたので仕方なく相手をしてもらったんだけど・・・。
ハガネちゃん、スゴイ固かったなぁ。ただのイワークとは思えないぐらいだった。だからハガネちゃんなのかな?
「ジムバッジ、本当に要らないんですか?」
「うん。そういうの、あんまり興味ないし。ミスタが満足してるから、それで十分かな。」
「わかりました。また、いつでも取りに来てください。」
「うーん、まぁ考えとくね。」
そのうち必要になったら取りに行こう。まぁ、今のところそんな予定はないけど。
「それじゃ、行ってくるね。」
「ホウエン地方までは、ジョウトとカントーの間に比べて長旅になるので。船旅を楽しんでください。」
「うん。いろいろありがとね。」
私は手を振りながら船に乗り込む。
ミカンも手を振り替えしてくれる。
短い間だったけど、いろいろあったねぇ・・・。
まぁ、思い返すのは後にしてまずは部屋に行こうかな。
ーーーミカン視点ーーー
「行っちゃいました・・・。なんと言うか、不思議な方ですね。」
ジムの前で悩んでいると思えば、灯台についてくるし、見たことないポケモンとお話してるし。
あ。それと、アカリちゃんの病気を治したって言ってました。嘘をつくような方ではないみたいですが、本当なんでしょうか・・・。
「うーん、不思議な事しかありませんでした。マシロも、ジムバッジが要らないと言っていたけど、トレーナーとしての腕はかなりのものでしたし。」
あれだけの強さでバッジに興味がなくて、変わった事が無いかって聞いてくる・・・。
「警察の人かな?あの若さでそれは流石にないよね・・・?」
船が見えなくなると、わたしはきびすを返してジムに帰った。
ーーーーマシロ視点ーーーー
船に乗って5日。
ジョウトからカントーに行くときと比べて大分かかったけど、ようやくついたね。
ホウエン地方、カイナシティ。人とポケモンが行き交う港町。
「きらら、船旅はどうだった?」
『うーん、まえよりもっとながかった!』
「そっかー、長かったかぁ・・・。」
感想が楽しかった、とかじゃなくて長かったって事は、自分で飛んだ方が早いんだろうなぁ・・・。
自分で飛べるポケモンは、きっと船旅は向いてないね。
船を降りてうーんと伸びをする。
私も、5日の船旅はくたびれたや。自分の足で歩きたくなるね。
とりあえず、きららはボールに戻しておこう。そう思ったときだった。
「おや?お嬢さん、とても珍しいポケモンを連れてるいるね?」
「え?」
不意にかけられた声に振り替えると、そこには、青っぽい銀色の髪にスーツを着ている人。
この人が声をかけてきたのかな?というか。
「きららの事、知ってるんですか?」
「きららというのは、その子のニックネームかい?そうだね。とても珍しいポケモンで僕も見たのは初めてだよ。なんたって1000年に1度、1週間だけ目覚めると言われているポケモンだ。名をジラーチと言う。」
「え?1000年に1度?1週間・・・?」
へぇ、ジラーチって言うんだ。
んん?でも、きららとは6年前からずっと一緒なんだけど・・・。どゆこと?
「どうかしたかい?」
「いえ、なんでもないです。それよりあなたは?」
「僕はダイゴという。君の名前も教えてもらってもいいかな?」
「マシロです。もう少しきらら・・・ジラーチの事教えてもらってもいいですか?この子の事を知っている人に初めてあったので・・・。」
「構わないよ。僕が知っていることでよければ。」
「ジラーチは1000年に1度、1週間だけ目覚めると言われているポケモンだ。その生態故に、出会った事のある人は非常に少ない。そして、どんな願い事も叶えてくれると言われている。」
「願いを叶えてくれる・・・かぁ・・・。」
「と、まぁ。僕もこれぐらいの事しか知らなくてね。すまない。」
「いえ、名前が分かっただけでもよかったです。」
私は隣に浮いているきららに話しかける。
「あなた、ジラーチって言うんだね。」
『そうなの?きらめきさまは?』
「きらめき様は、なんだろう・・・?敬称?まぁ、昔の人は呼び方が分からなかったからそう呼んでたんじゃない?」
『そっかー。ぼくはきららがいいやー。』
「きららはきららで、なにも変わらないよ。」
『わーい!』
喜びながら私の回りをくるくると飛び回る。クスッと笑うと、目を丸くしているダイゴさんと目が合う。
「マシロくん、君はポケモンと話せるのかい?」
「きららとだけ・・・かな。他のポケモンと話せたことはないですよ?」
「そうなのかい?それでも、通訳とかできるんじゃ・・・?」
「お願いすれば多分出来ると思いますけど・・・。やりたくはないですね。」
「どうして?」
「だって、最初からその子の事を理解しようとしてないみたいで、嫌じゃないですか?それに、通訳なんてなくても、なんとなく分かりますしね。」
「フッ・・・。なるほど。君は良いトレーナーの様だ。」
うーん。最近よく持ち上げられるけど、トレーナー界隈って良くないトレーナーがたくさんいるのかなぁ・・・。
これぐらい普通だと思うんだけど・・・。
「ところで、君はホウエンに来た所かい?」
「はい。少しやることがあって。」
「そうか・・・。時間があるなら、オススメの場所を案内するんだが。」
「へぇ~、そんな場所があるんですね。」
「ああ。石の洞窟と呼ばれる場所がムロタウンの近くにあるんだ。あそこでは珍しい石がよく採れるんだ。」
「え、石?」
「うん。石。」
聞き間違いじゃなかった。石が採れるからオススメって、ホウエンじゃ一般的なのかな・・・?
一応、時間があれば後で行ってみようかな。
「後で行ってみますね。」
「それがいいよ。それじゃ、僕はそろそろ行くよ。」
「あ、あとひとついいですか?」
「ん?なんだい?」
「オダマキって博士、どこにいるか知ってます?」
「オダマキ博士なら、ミシロタウンに研究所を構えてるよ。」
「そうですか。ありがとうございます。引き留めちゃってすいません。」
「構わないよ。それじゃ。」
片手を上げると、ダイゴさんは青いポケモンをボールから出す。
そして、それに飛び乗るとそのまま飛び去って行った。
「見たことないポケモンだったねぇ・・・。はぁ~・・・、カントーを出ると知らないことばかりだよ。」
小さくなっていく姿を見ながらため息をつく。
これでも6年間ずっと知識だけは溜め込んでたと思ったのになぁ。少し落ち込むや。
『ましろでもわからないことがあるんだね~。』
「ま、それだけ世界が広いってことで。あまり気にしないようにしよう。それじゃ、ミシロタウンに出発しようか。」
『ごーごー!』
ボールからミスタを出して、飛び乗る。タウンマップを確認して、ミシロタウンの方角に飛んでもらう。
「お願いね、ミスタ。」
「ーーーー」
最近はミスタに乗ることにも慣れたものだねぇ・・・。最初はあんなに怖かったのに。
でも、思わぬ所できららの事が知れたのは収穫だったね。
願い事を叶えてくれるポケモンかぁ・・・。
隣をふわふわと飛んでいるきららを見る。
「全然そんな感じしないけどねぇ。」
『なにがー?』
「なんでもなーい!」
私の呟きに首をかしげるきららに、私は笑いながら答えた。