ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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アルセウスが、終わらない。


23話

ダイゴさんと別れてから少し。

私はミスタに乗ってミシロタウン上空ににやって来た。

 

「なんというか、マサラタウンみたいな田舎だねぇ。」

『だねぇ。』

 

博士って、みんな田舎に研究所を建てるのが好きなの?単に広いからとか?

オーキド博士は広さがある方がいいって言ってたような気がするけど・・・。

オダマキ博士もそうなのかな?

 

「とりあえず、降りてみようか。多分、あの大きな建物が研究所だよね?」

 

ミスタに声をかけて、地上に降りてもらう。

とりあえず、ミスタもきららもボールに戻ってもらって、と。

アポなし訪問とか追い返されるかもしれないけど、その時はその時考えよう。

 

ピンポーン

 

「今日は来客の予定はないはずなんだけどなぁ・・・。はいはい、どちら様ですか?」

 

家の中から声が聞こえてくる。

そして、ガチャっとドアが開く。

 

「急な訪問でごめんなさい。先日はどうも・・・。」

「おや?君は・・・。マシロ君・・・だったね。こちらこそ、あの時はありがとう。君のお陰で大事にならなくてよかった。所で、どうしてここに?」

 

よかった。とりあえず、追い返されることはなさそう。

 

「少し、サファイアの事が気になって。」

「サファイアか・・・。あらから、妙に元気がなくてね。どうしたものかと頭を抱えてたんだけど・・・。もしかして、なにか心当たりが?」

「そうですね。多分、サファイアも自分からは話しづらいことだと思うんで、私から話します。」

 

 

 

ーーーーーーーー

 

「なるほどねぇ・・・。確かに、ルビー君が怖かったと言うのは、言いづらいか。だからお見舞いも・・・。だとするとルビー君はショックだっただろう・・・。あの子は大丈夫だろうか。」

「ルビーなら、きっと大丈夫ですよ。それより、サファイアはどんな様子ですか?」

「うーん。なんというか、心ここにあらずみたいな感じかな?普段は普通なんだけどね、ふとしたときになにか気が抜けてる、というのかな?」

 

ふむふむ。やっぱり少し様子がおかしいみたいだね。

とりあえず、お話してみようかな?

 

「話をしても構いませんか?」

「構わない。と言うよりむしろ、こちらからお願いするよ。身内なんかよりも、君の方が適任かもしれない。」

 

そう言うと、サファイアを呼びに家の中に戻っていった。

さてと、どう話したらものか・・・。

頭をひねっていると、サファイアを連れてオダマキ博士が出てきた。

 

「待たせたね。ほら、サファイア。」

「この前はありがとうございました。」

 

オダマキ博士に促されて、後ろから前に出てくるサファイア。

 

「私は仕事があるから、サファイアと二人で少し歩いてくるといい。ホウエンは詳しくないだろう?」

「そうですね。さっきついたばかりなんで、さっぱり。」

「と言うことなんで、サファイア。頼んだよ。」

「え?ちょっと・・・。」

 

そう言って、サファイアの話を聞かずにドアを閉じる。その際、今度は声を出さずに「頼んだよ」と、口パクで私に伝える。

オダマキ博士も、結構強引だなぁ・・・。

サファイアもあっけにとられてるし。

 

「とりあえず、その辺を歩こうか。サファイア、案内頼めるかな?」

「え?・・・うん。この辺りなら大丈夫。」

「それじゃ、よろしくね。」

 

私はサファイアの手を取って歩き出した。

 

 

ーーーーーー

 

ミシロタウンを出て、道なりを歩く。サファイアは私の手をぎゅっと握ったまま、話し出した。

 

「101番道路は、気性の荒いポケモンは少ないから、あんまり危なくはないけど・・・。」

 

そこで言葉が途切れる。

あ、そっか。前にボーマンダに襲われたから、どんなところでも安全とは言えないのか。

 

「大丈夫。今は私が守るよ。」

 

サファイアの前に屈み、空いている手で頭を撫でる。そして、少し迷ったけどこのまま話すことにした。

 

「・・・ねぇ、サファイア。ポケモンが怖い?」

「・・・!」

 

驚いた表情と、手を握る力が少しだけ強くなったことで、大体のことは察した。

ポケモンに襲われたら、そりゃ苦手にもなるよね・・・。

 

「よし・・・ミスタ、きらら!」

 

おもむろにミスタときららをボールから出すと、サファイアを抱き上げ、そのままミスタに飛び乗る。

 

「きゃっ!」

「ミスタ、できるだけ高くお願い!きららは回りを見てて!」

「ーーーー」

『わかったー。』

 

サファイアが驚いているけど、私は気にせずにミスタときららにお願いする。

そして、ミスタときららが返事をした瞬間、ミスタは急上昇した。

 

「きゃあああああぁぁぁぁ!!」

「大丈夫。掴まってて。」

 

叫び声をあげるサファイアに私は声をかけると、サファイアは私の首に腕を回してぎゅっと目を閉じた。

私も最初はこんな感じだったなぁ・・・。

そう内心で笑っていると、ミスタが上昇を止めた。

 

「急にごめんね?怖いとは思うけど、目を開けてみて?」

「・・・。うわぁ・・・!!」

 

今、私の視界にはホウエン地方の森や山、青い海が広がっている。

サファイアにも同じ景色が見えているはず。

 

「どう?」

「スゴい・・・。キレイ!」

 

うわぁ・・・、と景色に見とれているサファイア。そんな私たちの横を小さな鳥ポケモンが通りすぎていく。

 

「ねぇ、今のポケモンは何て言うの?」

「えっとね、スバメ!」

「じゃあ、あっちの青いのは?」

「あれはキャモメ!」

 

私の質問に意気揚々と答えてくれるサファイア。

やっぱり、怖いけどポケモンは好きなんだね。

 

「ねぇ、サファイア。今も、ポケモンが怖い?」

「・・・うん。」

「そうだよね。でも、ポケモンが嫌いな訳じゃないよね?だから、どうやって接したらいいか分からない。そんな感じ、かな?」

「そう・・・なのかな・・・?」

「まぁ、本人が分からないことを私が偉そうに言えないけどね。それでも・・・。」

 

一呼吸おいて、私は続けた。

 

「ポケモンはこんなにも素敵な所に連れてってくれるんだよ。怖がってるだけじゃもったいないよ。」

 

そう言って私は周囲を見渡す。

 

「ポケモンは人なんかよりもずっと強い生き物だから、怖い一面もあるよ。それでも、ボーマンダから守ってくれたのは男の子とその子の連れていたポケモンでしょ?」

「・・・うん。」

「そうやって、人を助けてくれるポケモンもいるんだよ。今のミスタときららみたいにね。だからね、怖い所も受け止めて、全部ひっくるめて。ポケモンを受け入れてくれると嬉しいかな。」

「・・・」

「あと、男の子の事も・・・ね。」

 

ちょっとむずかしいかもしれないけど、言いたいことは伝わったかな?

サファイアから返事がないけど、きっとこの子も迷ってる。あとは、この子次第。

なんか説教みたいになっちゃったなぁ・・・。

 

「それじゃ、降りようか。」

「待って。もう少しだけ・・・。」

「わかった。少しなんて言わずに満足するまで、ここに居よっか。」

 

 

そのあと私達はしばらくの間、ホウエンの景色を眺め続けた。

 

 

ーーーーーーーー

 

ホウエンの上空から降りると、サファイアは意を決したように喋りだした。

 

「あたし、お姉さんみたいな凄いトレーナーになれるかな?」

「ん?私?私は別に凄くはないよ。凄いって言うのは、サファイアを守った男の子みたいな事を言うんだよ。」

「そっか・・・。守ってくれた男の子が言ってた。11才でポケモンリーグを勝ち抜いた人がいたって。それぐらい強くなれば、ポケモンの事も怖がらずに受け入れられるようになるかな?」

「あー、うん。そうだね。」

 

11才でリーグを勝ち抜いた・・・?それって、レッドの事?

なんか、ポケモンを逃がした悪ガキみたいなイメージだったけど、そういやポケモンリーグでグリーンにも勝ってるんだよね。

そう考えると、トレーナーとしては優秀なのかな?

 

「お姉さん?」

「ううん、なんでもない。そうだね。それぐらい強くなれば、ポケモンだってへっちゃらだよ。」

「あたし、頑張る。」

 

そう言って体の前でえいっと、握りこぶしを作る。

子供って、立ち直りが早いねぇ。さっきまで落ち込んでたとは思えないや。

素直なのは良いことだね。

 

「それじゃ、帰ろっか。」

「うん!」

 

もう一度サファイアと手を繋いで歩き出す。

この様子なら大丈夫かな?

あのままポケモンを嫌いになったら嫌だし。

とりあえず、研究所に帰ろう。

 

 

ーーーーーーーー

 

研究所に帰ると、玄関の前をうろうろソワソワしながら行ったり来たりしているオダマキ博士と目が合うと、そのまま駆け寄ってきた。

とりあえず、じっとしていられなかったことはよく分かったよ。

 

「想ったより早く仕事が終わってね、手持ちぶさただったんだよ。」

 

いや、そんな取り繕わなくても。私はまだ何も言ってないよ?

まぁ、ジト目では見てたかもしれないけど。

 

「お父さん、あたしにポケモンのこと教えて!」

「お?・・・おう、任せろ!」

 

そんな様子には気づかなかったのか、サファイアはオダマキ博士の足に抱きつき、ポケモンの事を知りたいとお願いしている。

一瞬呆気に撮られてたけど、すぐに快く返事をする。

 

「なんか、問題解決っぽいんで私は帰りますね。」

「もう帰っちゃうの?」

「うん。友達との約束もあるしね。長居はできないかな。」

 

しゃがみこみ、視線を合わせてサファイアの頭を撫でる。

 

「なんだか、子供のお守りをさせただけみたいで申し訳ない。」

「いえいえ。私も急な訪問でごめんなさい。」

 

それに、私が勝手にやったことだし。オダマキ博士が気にする必要はないかな。

 

「それじゃ博士。サファイアにポケモンの事ちゃんと教えてあげてください。」

「そういうのは任せておいてくれ。そういうのは得意分野だ。」

「そうでしたね。それじゃサファイア。お父さんの言うことをよく聞くんだよ?」

「わかった。・・・お姉さん、また会える?」

「うん。また遊びに来るね。」

「いつでも遊びに来てくれ。フィールドワークで家を空けていることもあるが・・・。せめてものお礼に、木の実を持っていくといい。疲れたときにでも食べてくれ。」

「ありがとうございます!」

 

お礼を言って、私はボールからミスタを出す。

 

「じゃあね!」

 

一言だけ声をかけて、ミスタに飛び乗りそのまま飛んでいく。

後ろをチラッと見ると二人が手を振っているのが見えたので、私も手を振る。

通りかかっただけの私がでしゃばりすぎな気もしたけど、ルビーもサファイアも立ち直ったから結果的にはよかったかな。

と言うか、あの立ち直りの早さなら私が何をするまでもなく立ち直ってた気が・・・。

まぁ、結果良ければなんとやら。ジョウトに戻ろうか。

 

 

 

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