ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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29話

ひと休みしてるといつの間にか寝ていたみたいで、日が暮れていた。

 

「ん・・・。少し休みすぎたね。少し、急がないと。」

 

うーんと伸びをしてから立ち上がると、周りを警戒してくれていたきららが戻ってきた。

 

「ありがと、きらら。カンナとか来なかった?」

『こなかったよー。』

「そっか、良かった。」

 

それじゃ川を下ろうか。のんびりしすぎたかもしれないけど、イエローの痕跡を見つけられるかな?

 

「ミスタ、お願いね。」

 

ミスタをボールから出すと、元気よく飛び出してくる。

さっき急いでもらったから、疲れてるかと思ったけどそんなことはなさそう。

なので、ミスタに乗って川を下る。

そして、しばらく川を下っていると、タマムシ近くの森に差し掛かったときになにやら騒がしい音が聞こえる。なんだろう?

 

「ミスタ、そっちに向かって。」

 

川から離れて森のなかに入る。

騒がしい方に向かうと、何故かボロボロのエリカがいた。

 

「エリカ!?なんでそんなケガしてるの?」

「マシロ?なんでここに?ジョウトにいたのでは?」

「ちょっとブルーに呼ばれてね。麦わら帽子の子を追いかけてたんだけど。それより、エリカは大丈夫?」

「私なら大丈夫です。それよりその子なら、ピカを連れ去った理科系の男を追いかけて行きましたわ。」

 

あれ?麦わら帽子の子と無関係でもなさそう?

 

「もしかして、そのケガも?」

「はい。レッドの格好をしていたので、完全に油断しました。匂いまで偽装していたので、ピカも気づきませんでしたし。」

「ふぅん。理科系の男・・・ね。エリカにこんなケガさせて。ただじゃ済ませないよ?」

 

私の胸に怒りが込み上げる。が、エリカにいさめられる。

 

「マシロ、落ち着いて。レッドの手がかりが見つかるかもしれません。」

「・・・そうだね。喋れる体力ぐらいは残しておかないと。」

「いえ、そういうことでは・・・。」

「とりあえず、ミスタに乗って。私が歩くよ。」

「ありがとうございます。二人はタマムシの方に行きました。」

 

私がミスタから降りて、エリカをミスタに乗せる。

その動作も痛そうで、また怒りが込み上げる。

やっぱり理科系の男は喋れなくなってもいいんじゃないかな?

 

「マシロ?何か悪いことを考えてませんか?」

「考えてないよ?ホントダヨ?」

「怒ってくれるのは嬉しいのですが、やり過ぎないでくださいね?」

「任せて!」

「不安になる程、気持ちのよい返事ですね・・・。」

 

大丈夫大丈夫。

それより、早く二人を追いかけよう。

 

 

 

 

 

 

タマムシシティに入ると、何やら嫌な音が聞こえてくる。

音の方に向かうと、イワークとスターミーに挟まれた眼鏡をかけた白衣の男。

あれが理科系の男かな?

 

「ありがとう。タケシ、カスミ。感謝しますわ。」

 

ミスタから降りながらお礼を言う。

イワークを連れている方がタケシ、スターミーに乗っている方がカスミって言うのかな?

ってことは、ジムリーダーの人?

 

「噂に聞く正義のジムリーダーか。だが、お前たち3人については一通り情報を・・・。そこの小さいのは誰だ?」

「それって私の事かな?」

 

小さいとは失礼な。まぁ、2年前から身長は伸びてないけど・・・。

150ぐらいしかないけど・・・!

 

「悪いが、4人でもないぞ。」

 

そう言って現れたのは、イエローを抱えたカツラさん。

お、ジムリーダー集結だね。これは流石に理科系の男も逃げられないでしょ。

 

「2年前、ロケット団に対抗していたのは3人だったはず。ぐぬぬ、5対1とは卑怯な。」

「あら?自分は安全なところに身を隠して影から狙い打つあなたと、どっちが卑怯かしら?」

 

へぇ~、そんな事してたんだ。エリカにケガさせるし、最低にも程があるでしょ。

そう思って男の方を見ると、何やら後ろでがさごそしている。

 

「きらら、サイコキネシス!」

 

何をやろうとしたかは知らないけど、問答無用で地面に押し付ける。

私の友達を傷つけるような奴は、地面とキスでもしてればいいや。

 

「マシロ?やり過ぎないように、と言いましたよね?」

「いや、何か怪しそうな動きをしてたんでつい・・・。」

「ハァ・・・。今回は多めに見ましょうか。状況が状況ですしね。でも、気を失ってしまった様で、話は聞けそうにありませんわ。」

 

エリカが怒りながら理科系の男の様子を伺うと、気を失ってしまったらしい。

ちょっと皆、白い目で見ないでよ。確かに、やり過ぎたかもしれないけど。

 

「ならここは私の出番だな。ガーディ。」

「どうするんですか?」

「こいつの鼻はよくきくんだ。だからこいつで、ピカも騙された匂いを探る。」

 

エリカの疑問に答えるとガーディに指示を出す。

そして、ガーディが理科系の男の匂いを嗅ぐと、北に向かって吠える。

 

「北って言うと、ニビ、ハナダの方かな?」

「少し待て。この男の着ていた物から成分を調べてみる。」

 

そう言って顕微鏡のような物を取り出すと、服を適当に千切って作業に没頭する。

 

「フム、わずかに月光線の反応がある。」

「月光線って、つきのいしが帯びてるあれ?」

「詳しいな、マシロくん。そう、その月光線だ。」

 

ここから北でつきのいしに関係している場所。

つまり。

 

「「「「「オツキミ山!」」」」」

 

五人の声が重なる。

オツキミ山かぁ・・・。山の中でたった1人の手掛かりを探すのはキツくない?

 

『ましろ、なにかくるよ!』

「え?」

『たおれてるひとのところ!』

 

きららに言われて理科系の男に目を向けると、理科系の男の身体に黒い霧が纏わりつき、宙に浮かべる。

宙に浮いた理科系の男は苦しそうな表情を浮かべる。

 

「イカン!このままでは死んでしまう。」

「引きずりおろすぞ!」

「はい!」

「ええ!」

 

カツラさんはガーディを前にだし、タケシはゴローン、カスミはオムナイトをボールから出す。

そして、そのタイミングでイエローが目を覚ました。

 

「あ・・・れ?さっきの・・・男は?」

「あ、起きた?あの男はあそこで宙ぶらりんだよ。口封じのために連れていこうとしてるのか、このまま殺そうとしてるのか。」

「そんな・・・。助けないと!」

 

さっきまでボロボロにやられてたのに、相手のことを心配するなんて、優しい子だね。

個人的には、エリカにケガさせたやつなんてどうなってもいいと思うんだけど。

 

「まぁ、ジムリーダーが集まってるんだから大丈夫だよ。」

「でも・・・!」

 

大丈夫と言っても食い下がってくるイエロー。

・・・ハァ。

 

「仕方ない。きらら、あれ引きずり下ろすよ。」

『わかったー。』

「イエロー?あの木の枝にいる子、任せていい?」

「え?あ、ハイ!」

「ミスタはメテオビームの用意。」

「ーー」

 

ミスタは短い返事をして、力を集め出す。

その間に、ゴローンのメガトンパンチ。オムナイトのみずでっぽうで霧を払う。

そして、2体の技で霧が途切れた瞬間、理科系の男の後ろにゴースが姿を表す。

 

「今だよ、きらら!」

『おっけー!』

 

ゴースが現れた瞬間、オムナイトとゴローンごと理科系の男をゴースから引き離す。

 

「うお!」

「これって!?」

 

なんか驚いた声が聞こえる。急に割り込んでごめんね?

ただ、タイミングは今がベストっぽいから許して。

 

「イエロー!」

「ハイ!」

 

イエローの名前を呼ぶと、ピカの入ったボールを釣竿を使い、木の枝に向けて放る。

へぇ~、上手だねぇ。

っと感心してる場合じゃないね。

 

「ミスタ、撃ち抜いて。」

 

ピカが木の枝に乗っていたポケモンを助けた瞬間、ミスタのメテオビームがゴースを撃ち抜く。

撃ち抜かれたゴースは戦闘不能になり、ドサッと地面に落ちた。

 

「ナイスだよ、イエロー。」

「ありがとうございます。・・・ところで、どちら様ですか?」

「あれ?私の事聞いてない?ブルーに頼まれて来たんだけど・・・?」

「いえ、全く。」

 

説明する暇がなかったのかな?

そういや、さっきも四天王のカンナに襲われてたし、きっとそういうことなんでしょう。

 

「ちょっと、加勢するなら一言声かけてよ。」

「そうだな。だけど、君のおかげで無事に助けだせた。」

「ごめんごめん。タイミング的に今しかないと思って割り込んじゃった。」

 

理科系の男がどうなってもいいとか考えてて出遅れたのは内緒にしておこう。

 

「あのぅ、あなた達は?」

「おっと、自己紹介してなかったね。私はマシロ。」

「私はカスミ、レッドの友達よ。マシロとは初対面ね。エリカから話は聞いてるからすぐに分かったわ。」

「オレはタケシ。二人とも、さっきは見事だった。」

「私はカツラ。マシロくんも、久しぶりだね。」

 

3人がそれぞれ私とイエローに挨拶していく。そのなかで、カツラさんと私は少し離れて話す。

 

「久しぶり、カツラさん。あの子は元気?」

「あぁ。君のおかげで元気にやっているよ。まぁ、色々と制約はあるがね。」

「ミュウツー、どこか悪いの?」

「いや。ミュウツーではなく私が、だな。未だに右腕が良くない。」

「そっか・・・。」

「君が気にする必要はない。私の過ちだ。」

「カツラさんがそう言うなら、気にしないようにするよ。」

「君は若いのに割りきるのが上手いな。」

「そうかな?」

 

カツラさんみたいな年長者に言われるぐらいなら、そうなのかもしれない。

・・・つまり、老けてるってこと?

まだ13なんですけど・・・。

 

「どうやら、オレの出番はなかったようだな。」

 

ショックを受けていると、懐かしい声が響く。

 

「あれ?グリーン、久しぶりだね。こんなところでどうしたの?」

「マシロのポケモンが使う技の光が見えてな。」

 

メテオビームのことかな?

確かに、夜に使うと目立つよね。

前にもそんなことがあったような・・・。まぁ、いっか。

グリーンは、地面に倒れるゴースをチラッと見る。

 

「おそらくそいつは、ゴーストタイプの使い手、四天王キクコの差し金だろう。」

 

また四天王。そのうち、あと2人も出てくるかな?

でも、目的がさっぱりわかんない。

レッドのピカチュウを追いかけたり、イエローを追いかけたり。何がしたいんだろうか?

というか、それより。

 

「グリーン、やけに詳しいね。」

「以前戦ったことがある。偶然だが、無人発電所でな。まぁ、キクコには逃げられたが。」

 

カンナも逃げたし、四天王ってみんな逃げ足は早いねぇ・・・。

 

「四天王の奴らは、手加減なんて物を知らない。事を構えるなら、せいぜい鍛えておくことだ。」

 

そう言われたイエローは少しだけ考えると、私に向かって頭を下げる。

 

「お願いします!ボクを鍛えて下さい!レッドさんを助けるために、強くなりたいんです!」

「え、私?うーん、私よりグリーンの方が向いてるんじゃないかなぁ・・・?」

 

そう言ってチラッとグリーンの方を見る。

 

「ねぇグリーン、イエローを鍛えてあげてくれない?」

「なんだと・・・?マシロに頼んでるんだから、お前が鍛えてやればいい。」

「えー?でも、私に借りがなかったっけ?」

「・・・チッ!貸した本人は気にするなと言ったくせに。」

「必ず返すんじゃ・・・?」

「分かったよ!好きにしろ。」

「ってことで、グリーンについていって。」

「ハイ!」

 

無理やりグリーンに押し付けたけど、私よりも適任でしょ。

私が育てたポケモンなんてかぷちーとグロウだけだし。

 

「オレのゴローンも連れていけ。」

「あたしのオムナイトも。3体で行くより心強いはずよ。」

「ありがとうございます!」

 

イエローは、カスミとタケシからポケモンを受けとるとリザードンに乗り込む。

それじゃ、私も付いていこうかな。ブルーのお願いだし。

ミスタ、お願いね。

 

「・・・マシロも来るのか?」

「ブルーのお願いでね。イエローのボディーガード。」

「あの女か・・・。まぁ、マシロなら四天王が相手でも問題ないだろう。と言うか、ついてくるなら自分で面倒を見たらどうだ?」

「聞こえなーい。」

「フン。調子のいいやつだ・・・。」

 

そのまま飛び上がるリザードン。

そして、それを後ろから追いかける。

しかし、今日は疲れたね。

四天王やら何やらで忙しかったし、早く休みたいなぁ・・・。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

リザードンの上で、ボクはグリーンさんに話しかけた。

 

「グリーンさん、ありがとうございます。」

「・・・何がだ?」

「ボクの事を引き受けてくださって。マシロさんに無理やり押し付けられたみたいだったんで・・・。」

「気にするな。イエロー、お前が悪い訳じゃない。」

「・・・借りがあるって言ってましたが、昔何かあったんですか?」

「2年前に少し助けられた。それだけだ。」

 

そう言って遠い目をする。

2年前って、ボクがレッドさんに助けられた時と同じぐらいの時期かな?

 

「ボクがレッドさんに助けられた様に、グリーンさんもマシロさんに助けられたんですね。」

「オレだけじゃない。レッドとブルーも同時に助けられたさ。もっとも、レッドの奴は気づいてなかったがな。」

「えぇ!?レッドさんとブルーさんも?」

「ブルーの事も知っていたか。」

 

ボクは、レッドさんが助けられたことに驚いた。

あんなに強い人なのに、助けられたことがあったんだ。

マシロさんって、レッドさんより強いのかなぁ・・・。

 

「先に言っておくが・・・。」

 

グリーンさんが言葉を区切ると、後ろをチラッと見る。

ボク達の後ろには、スターミーに乗って着物とツインテールをなびかせてのんびりとした表情でついてくるマシロさん。

 

「マシロはオレ達、図鑑所有者より強い。」

「え!?」

「なのに、バトルはポケモンがケガするからと、そんなに好きじゃないらしい。よくわからん奴だ。」

「そうなんですか・・・。」

 

ボクと同じ事を思う人がいて、少し嬉しくなった。マシロさんのこと、もう少し詳しく知りたいな。

 

「それに、あいつはいつも言っていた。私はなにもしてない。最初から強かったか、勝手に強くなった、と。それが本当ならイエローの鍛えてほしい、という頼みは難しいだろう。」

「そんなポケモン達が、マシロさんの言うことを聞くんですか?」

「不思議なことにな。それが、アイツの才能というやつだろう。」

「本当に不思議ですねぇ・・・。」

 

ボクと同じくらいの身長なのに、レッドさんより強いんだ。

ボクも頑張らないと。

 

 

 

 

 

 

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