ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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33話

 

 

オツキミ山の戦いの後。

 

あの後、私は半日程かけて下山しながら腕の氷を溶かした。

 

ハナダの町にに着く前に腕の氷が溶け切ったのは助かった。

流石に町中を凍りついた腕で歩き回りたくはないよね。

 

そして、ポケモンセンターに着いて皆を預けると、そのまま丸一日寝込んでいたみたい。

 

『ましろ〜?だいじょうぶ〜?』

 

という、きららの声に起こされた私は

 

「今何時?」

『えっとね、まるいちにちねてたから・・・。』

「え、そんなに!?それじゃ、今日が落ち合う日じゃん!」

 

って飛び起きた。

 

体を起こして右腕をぐるっと回すと、鈍い痛みがはしり、顔をしかめる。

腕はまだ痛む。だけど、凍ってたときほどじゃない。

大丈夫、戦える。

他の皆も元気になってるし、準備はオッケーかな。

 

「ミスタ、クチバまでお願い。」

 

私はミスタをボールから出すと、その背に飛び乗った。

 

 

 

 

ミスタの背中の上からクチバが見えた時、私は思わず声を上げた。

 

「なにこれ?町にクレーターができてるんだけど・・・?」

 

海岸からジグザグに地面をえぐった跡と、その先で爆発があったかのようなクレーター。

何をしたらこんな事になるんだろう・・・。

メテオビームとか、はかいこうせんかな?でも、こんな無茶苦茶な軌道で撃てるものなの?

少し考えた後、きららをボールから出す。

 

『ふわぁ~・・・。うわぁ、まちがめちゃくちゃだねぇ。』

 

ボールの中で休んでたきららは、ボールから出て少し背伸びをすると、町の惨状に目を丸くする。

 

「お休み中、ごめんね?何があるかわからないから、一緒に行ってくれる?」

『わかったー。』

「ありがと。今、エネルギーはどれぐらい回復してる?」

『はんぶんぐらいー。』

「そっか。あんまり無茶はできないね。」

 

今晩スオウ島に乗り込もうって話なのに、その前にエネルギーを全部使っちゃうとお話にならないからね。

とりあえず、クレーターに続くジグザグの後を追いかけて海岸に向かおうか。

 

 

ーーーーイエロー視点ーーーー

 

イエローは町を破壊した男と対峙していた。

 

「なぜ町を?」

「探し物をしていたのさ。あぁすれば余計な手間が省ける。・・・まぁ、結果的には無駄足になってしまったがな。」

「ッ!そのために多くの人やポケモンが!」

 

言いながらクチバの惨状を思い出す。

あれだけの被害だ。きっと、被害は少なくない。

しかし、その考えを否定したのはその惨状を引き起こした目の前の男だった。

 

「死んじゃあいないさ。あのコンテストはクチバの一大行事だ。町は空っぽだったはず。」

「え?」

「まぁ、トレーナーの1人や2人、くたばったかもしれないがな。」

「ッ!」

 

そして、目の前の男はキッとボクをにらみつける。

 

「そして、お前もな。オレを追ってきたということは、次の朝日は拝めないということだ!」

 

そういうや否や、ハクリューがぎしっとボクの体に巻き付く。

 

「うぐっ!ロケット団のようにポケモンを悪事に利用するなんて・・・!」

 

ハクリューに締め上げられながら、ボクは言葉を絞り出す。

しかし、目の前の男はそれを鼻で笑った。

 

「フッ。悪事か・・・。そうか、あの行為はお前にとっては悪事か。だが、考えてもみろ。ポケモンにとっては、狭い町で飼い慣らされるよりも自然に暮らすほうが良いとは思わないか?」

 

ハクリューの締め付けを緩めずに言葉をつづける。

 

「ポケモンが生きやすい世界に人間は邪魔なのだ。この世界で優秀なトレーナー以外の人間を滅ぼす。それがドラゴン使いであり四天王の将、ワタルの目的だ!」

 

人間を・・・滅ぼすだって?

この男、ワタルを何とかしないとクチバみたいに他の町も滅茶苦茶にされてしまう・・・。そんなこと、させるもんか!

まずは、ハクリューから抜け出さないと!

 

「ぐっ!・・・ピカ?合図をしたら、みがわりでワタルを、ピカはハクリューを攻撃。できる?」

「ピカ!」

 

ハクリューに締め上げられながら、小声でピカに指示を出すと、ピカは頷いてくれる。

よし、いくよ!

 

「ピカ!みがわり!」

「ピッカァ!」

「フン。向かってくるか・・・。身の程を知れ!ハクリュー、はかいこうせん!」

 

ワタルは、ハクリューに駆けていくピカに向かってはかいこうせんを放とうとした。

その瞬間だった。

 

「目的を話してくれるのは助かるけど、先にその子を放してくれないかな?かぷちー、グロウ!」

 

はかいこうせんを放つ瞬間に、見たことのないポケモンがハクリューの体を突き飛ばし、ボクの体は宙に放り出された。

 

「うわっ!!」

「よいしょっと!」

 

よいしょの声と同時にボクの体を受け止めたのは、少し前から別行動だったマシロさんだった。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

私はミスタに乗ったままイエローを受け止める。

 

「いたた・・・。やっぱりこの腕で受け止めるのは無茶だったかな?イエロー、大丈夫?」

「はい、ボクは大丈夫です。ピカは!?」

「ピカは下に居るよ。」

 

サイコキネシスでキャッチしたきららが、ピカとみがわりを流されてきたサーフボードに下ろしている。

 

「よかった。ところで、今までは何をしてたんですか?すぐに戻るって・・・。」

「ごめんね、ちょっと四天王に絡まれてたんだ。」

「そうだったんですね・・・。それで、四天王は?」

「追い返したよ。・・・大分苦労したけどね。」

 

少し苦笑いをしながら返事をする。

 

「それにしても、よくここが分かりましたね。」

「偶然だけどね。」

 

 

 

ーーーー少し前ーーーー

 

 

 

海岸に行くと、焦って逃げる人が沢山。

砂浜に転がっている垂れ幕には、なみのりコンテストの文字。

そっか、今日はなみのりコンテストの日だったんだ。それで人がこんなにいるんだ。

でも様子を見る限り、なにかアクシデントでもあったのかな?

 

「おーい!」

 

下から松葉杖をついてる人がこっちに手を振っている。なんだろう?

私はミスタに砂浜へ降りてもらう。

 

「どうしたんですか?」

「あなた、ポケモントレーナーですよね?イエローくんを、助けてあげてくだサイ!」

「え、イエロー?なんでクチバに?」

 

なんでイエローがクチバに居るのか分からないけど、グリーンが一緒にいたはず。グリーンは一緒じゃないの?

 

「まぁ、それは後でいいか。それより、助けてってどういう事?」

「イエローくんが、町を壊した奴を1人で追いかけて行ってしまいまシタ!イエローくんは、なみのりをできるポケモンがいないのに、デス。どうか、イエローくんを助けてあげてくだサイ!」

 

そう言って私に頭を下げる海パンの人。

どうやら、イエローは1人だったみたい。今度グリーンに会ったら文句言っておこう。

と言うか、なみのりができないのに追って行ったってどうやったんだろうか・・・?

まぁ、追いかければ分かるか。

 

「頭を上げて、早く避難しなよ。その足だと歩くのも苦労するでしょ?イエローは、私が追いかけるから。」

「ッ!!ありがとうございマス!」

 

私が追いかけると言うと、頭を上げると、またお礼を言いながら、ペコペコと頭を下げる。

いや、だから早く避難しなよ。砂浜を松葉杖だと歩きにくいでしょ。

うーん・・・。私がここを去った方が早いか。私が居たらこの人ずっとペコペコしてそうだし。

 

「ミスタ、上に!」

 

ミスタが上空に飛び上がると、海を見渡す。すると、ある方向に雷雲が集まるのが見える。

 

「あっちだね。行くよ、ミスタ!」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「まぁ、そんな訳でイエローの場所が分かったのはその人のお陰ってこと。」

「海パンさんが・・・。あ。助けてくれて、ありがとうございます。」

「気にしないでよ。元々イエローの護衛がブルーのお願いだしね。」

 

話ながらピカの方に下りていくと、サーフボードにイエローを降ろす。

腕も痛くて抱き抱えるのもつらい。

 

「これは・・・?ピカのみがわりが水をはじいてる?」

「それじゃ、ピカをよろしくね。後は自分でなんとかなりそうかな?」

 

足元のサーフボードを不思議そうに見ているイエローに声をかける。

 

「はい。これなら大丈夫そうです。・・・マシロさんは?」

「そこの四天王の将って人が待ってるからね。流石にこのまま帰してはくれなさそうだし、ちょっとお話してくるよ。」

「ボクも一緒に!」

「イエロー、飛べる?」

「いえ・・・。」

「なら、先に逃げて。ちょっと今は庇いながら戦う余裕はないんだよね。」

「ッッ!」

 

そう言うとイエローは悔しそうに唇を噛み締める。

今、きららのエネルギーは半分しかないし、慣れない海の上での戦い。おまけに夜はスオウ島に乗り込む予定。

他人を気にする余裕はない。

 

「・・・分かりました。気を付けてください!」

 

イエローはそれだけ言うとサーフボードに乗って海を駆けて行った。

おぉ、綺麗になみのり出来てるね。あれなら逃げ切れそう。

 

「話は終わったか?」

「ご丁寧に待っててくれたの?」

「フン。貴様がマシロだろう?カンナが油断できないとこぼしていたからな。警戒するのは当然だろう?」

 

やっぱり私の事は他の四天王から聞いてるよね。

まぁ、おかげでイエローが逃げる時間が稼げたからいいかな。

 

それより、ここはどうしようか?

四天王の1人と1対1。各個撃破するには絶好の機会ではある。

となると、やらない手はないよね。

 

「まぁ、待て。少し話でもしないか?」

 

そう意気込んだ私の出鼻を挫いたのは、ワタルの言葉だった。

 

「私は話したいことなんてないんだけど?」

「お前は、オレの目的を聞いてどう思う?イエローと同様、悪事だと思うか?」

 

全然人の話を聞いてくれないし。

これは、話に付き合わないと駄目なやつかなぁ・・・。

 

「はぁ・・・。ポケモンの為に人間を滅ぼすってやつ?そりゃ、善か悪かで言えば悪でしょ。」

「ポケモンの住処を破壊しているのが人間だとしてもか?」

「そりゃそうでしょ。一部の人間がやってることに、関係のない人間も巻き込んで滅ぼすとか暴論にも程があるでしょ。」

 

と言うか、そもそもそんな事が可能なの?

とてもできるとは思わないけど。

 

「そんなにポケモンが大切なら、ポケモンだいすきクラブにでも入ったら?」

「フン。貴様ほどのトレーナーなら或いは、と思ったが・・・。どうやら、同士にはなり得ないようだな。」

 

なんか1人でがっかりしてるけど、なんで同士になると思ったんだろう?

 

「なら、ここで海の藻屑となれ!ハクリュー、はかいこうせん!」

「グロウ、ひかりのかべ!」

 

はかいこうせんに備えてグロウがひかりのかべを展開する。

が。

 

「無駄だ!」

 

ワタルが叫ぶとはかいこうせんの軌道が縦横無尽に変化する。そして、壁を迂回してグロウの後ろからはかいこうせんが迫る。

 

「かぷちー、後ろ!」

「くちっ!」

 

グロウの背中に乗ったかぷちーが、後ろから迫るはかいこうせんをはたきおとす。

はかいこうせんが海に沈み、水しぶきを上げる。

 

いやー、スゴいね。はかいこうせんってあんなに曲がるんだ。

きららとミスタもメテオビームをあんな感じでコントロールできないかなぁ・・・。

と言うか、町を壊したのもさっきのはかいこうせんかな?ギザギザの軌道も納得だよ。

 

「ほう、あれを叩き落とすか。聞いていた通りの実力だな。」

「コメットパンチ!」

 

軽口を叩き続けるワタルを無視してグロウが鋼の拳を叩きつける。

ハクリューはそれを尻尾で受けとめ、ガツッと鈍い音が響く。

 

「重たい拳だ・・・。だが、その状態からひかりのかべは出せまい。はかいこうせん!」

「ふいうち!」

 

ハクリューが額にエネルギーを溜めだした瞬間を、かぷちーの大顎が撃ち抜く。

 

「ぐっ!」

 

攻撃を受けたハクリューはそのまま吹き飛ばされ、溜め込んだエネルギーが霧散する。

 

「接近戦は不利か・・・。なら、このまま距離をとって戦うだけだ!」

 

崩れた体勢を立て直し、接近戦が不利とみると今度は距離を保ったまま、額にエネルギーを溜める。

この距離だと、グロウが近づくより相手の方が早いか・・・。

それなら!

 

「グロウ下がって!ミスタ、力比べだよ!」

 

かぷちーを乗せたグロウが後ろに下がり、ミスタが力を溜める。

 

そして。

 

「はかいこうせん!」

「メテオビーム!」

 

2つの閃光がぶつかり、辺りを覆い尽くす。

あまりの閃光に私はとっさに左腕で顔を隠し、目を閉じる。

弾けた閃光が収まり、目を開いたときにはワタルの姿はなかった。

 

「逃げた・・・?ワタルに逃げる理由なんてないと思うんだけど・・・。」

『いっしゅんだけど、おつきみやまでたたかったひとのけはいがしたよ?』

「ってことは、キクコって人が連れてったのかな?これは大分警戒されてそうだなぁ・・・。」

 

きっとこんなとこで1対1で決着をつけるより、自分たちのホームっていう有利な条件で戦おうって考えでしょ。

 

「・・・はぁ。ここで1人ぐらい倒しておけば楽になるかと思ってたけど、相手もかなり慎重だなぁ・・・。」

 

まぁ、逃げられたものは仕方がない。

イエローが無事に逃げられたし、それで良しとしよう。

 

「それじゃみんな。クチバに、戻って休もうか。今夜が決戦だよ!」

 

私の言葉にみんなはうなずいてくれる。

 

 

 

ありがとうね。頼もしい限りだよ。

 

 

 

 

 

ーーーースオウ島ーーーー

 

「何故邪魔をした?」

「フェフェフェ。マシロと戦うなら、できるだけ有利な条件で戦いたいだけじゃよ。」

「・・・あのままだと、オレが負けたと言うのか?」

「その可能性もあったの。なんせ、後ろに控えていた星型のポケモンが手を出さなかったということは、本気ではなかったということだ。」

「・・・。」

「まぁ、慌てることはないさ。近いうちにグリーンバッジを持ってこの島にやってくるわぃ。」

「何?あいつがグリーンバッジを持っているだと?間違いないのか?」

「フェフェ。実際に見せられたからの。間違いないさ。」

「そうか・・・。」

 

あいつがこの島に来ると言うなら、あの場で決着をつける必要はない。

むしろ好都合だ。

 

「それまで勝負は預けておくぞ、マシロ。」

 

 

 

 

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