ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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34話

 

ワタルとの戦いの後、クチバに戻った私は港の船着き場に座り足をぶらぶらさせていた。

 

「そろそろ時間だと思うんだけど、サカキはいつ来るんだろう?」

 

すでに日は暮れて、空には月が煌めいている。

 

『わすれてたりしてー?』

 

私の頭の上に乗っかってるきららが軽くショッキングなことを言う。

 

「それはないでしょー。」

 

・・・ないよね?

いやでも、ロケット団は信用できないし・・・。

え、それだと1人で乗り込む事になるんだけど・・・。

まだ待ちあわせまで時間はあるから、もう少し待ってみよう。

 

「ところできらら、ワタルが言ってたポケモンにとって人間は邪魔ってのはどう思う?ポケモン側からすると実際に邪魔だったりするの?」

『う~ん・・・。わかんない!』

「そっかー、わかんないかー・・・。」

 

というか、1000年に1週間だけ目覚めるようなポケモンに聞いても分かるわけないか。

きららには棲みか、みたいなものはなさそうだし。

 

私としては、ワタルの言ってることも分からなくもない。実際に、この前グリーンが特訓してた所も人間が開拓した結果だろうし。そのせいで棲みかを追われたポケモンもいると思う。

まぁ、だからって全部滅ぼすのはないよね。

 

「待たせたな。」

 

少し考え込んでいると、後ろから声がかかる。

 

「やっときた。すっぽかされたかと思ったよ。」

 

ようやくやって来た。文句を言いながら立ち上がり砂を払う。

うーん、右腕を使わずに立ち上がるの、結構つらいね。

 

「それじゃ、早く行こうか。面倒事は早く片付けたいし。」

「そうだな。」

「あ。それと、四天王が片付いたら次はサカキの番だからね?」

「次?」

「そうそう。四天王の次はサカキを捕まえるから。」

「そうか。期待せずにまってるぞ。」

 

サカキは興味なさそうに返事を返し、パルシェンを出してその背に飛び乗る。

 

勝者の余裕ってやつ?

確かにヤマブキでは負けたけどね、次は負けないよ。

顔に出さないように意気込みつつ、私もミスタを出してその背に乗る。

 

しかしまぁ、ロケット団のボスと手を組むことになるなんて思わなかったね。でも、毒を以て毒を制すとも言うし。

 

「行くぞ。」

「ミスタ、サカキについてって。」

 

サカキが私の前をなみのりで進んでいく。

 

 

この劇毒、取り扱いには気をつけないと。

 

 

 

ーーーーブルー視点ーーーー

 

スオウ島でイエローと合流したアタシとマサキは、鍾乳洞の洞窟を進む。

 

「ホントはレッドの行方を調べるだけだったんだけどね。マサキの家に行ったら手足の伸びるサワムラーに襲われて、仕方なく一緒に行動してたのよ。」

「なにが仕方なくや。ヒトん家の鍵、勝手に開けてからに。そのせいで家は壊れるし、戦いに巻き込まれるわでさんざんや!」

「おかげでレッドが生きてることは分かったじゃない。」

 

レッドが生きている、と聞いた途端イエローは嬉しそうに声を上げる。

 

「やっぱりレッドさんは生きてるんですね!タケシさんがオツキミ山で、レッドさんの氷の抜け殻?みたいなのを見つけてたんで・・・。」

 

なるほど、イエローの方でも何かしらレッドの情報は掴んでたみたいね。

それより、氷の抜け殻・・・か。マシロの忠告を聞いて、島に来てから上着を羽織ったのは正解かもしれない。

 

「ところで、イエローの方は大丈夫だったの?アタシ達がサワムラーに襲われてたのは足止めの為だと読んでるんだけど・・・。」

「えっと、クチバで四天王の1人に襲われました・・・。でも、偶然居合わせたマシロさんに助けてもらいました。」

「はぁ!?あのおバカ・・・。休んでなさいって言ったのに・・・。って、え?偶然・・・?」

「はい。マシロさんはそう言ってました。」

 

叫んだあと、思わずため息をつく。

まぁ、偶然なら仕方ないか。

 

「偶然ってことはあの子、クチバに何か用事があったのかしら?イエローは何か聞いてない?」

「いえ、何も・・・。」

「そう・・・。」

 

うーん、本当に偶然かしら?

あの子なら、私に止められたから表立って動かずに裏から守る、なんてこともやりかねないし・・・。

と、そんな事を考えていると、ピッくんが入ったボールがガタガタと震える。

 

「お、ピクシーやないかい。」

「この子、耳がいいのよ。きっと何か聞こえたんだわ。イエロー、お願い。」

「ハイ!」

 

イエローがピッくんの入ったボールを受けとり、両手をかざす。

すると、両手から淡い光がこぼれる。

 

「人の声が聞こえたみたいです。驚いてはいますが、怯えてる感じではない・・・。知っている人みたいですね。」

「知ってる人・・・か。味方だといいわね。マシロが来ない以上、戦力は少しでも多い方がいいもの。」

「え!?今、カントーが襲撃されてて、ジムリーダー達が動けないのに、マシロさんも来ないんですか?」

「そうよ。四天王3人掛かりで襲われて、ケガしちゃったみたいでね。流石に頼めないわ。それより、ジムリーダーの援護も難しい・・・かぁ・・・。」

 

少しあてにしてたんだけど、動けないなら仕方ないわね。

 

「はぇ~・・・。3人がかりで来られたら、ボクなんかはケガどころか瞬殺ですよ・・・。」

 

と、イエローが放心してる。

まぁ、そうよね。サワムラーだけで大分時間を取られたのに、四天王の3人を同時に相手にするなんてアタシだって無理だもの。

 

「ちょいまち!ってことは、ワイはマシロはんの穴埋めに連れてこられたっちゅー訳かいな!?」

「当たり前よ。さっきも言ったけど、戦力は多い方がいいもの。」

 

そう話ながら歩いていると、前方に人影が見える。

向こうもこちらに気付いているようで、近づくと向こうから声をかけてきた。

 

「ずいぶん賑やかな登場ね。」

 

声をかけてきたのは聞いたことのある、そしてあまり会いたくない、以前一度だけ戦ったことのある人物だった。

 

「ナツメ!?なんであなたがここに?」

「私だけじゃないわよ?」

 

ナツメの後ろにはキョウとマチス。

そして、その後ろにグリーンとカツラ・・・だったかしら?

ロケット団3幹部に、ジムリーダーと図鑑所有者。

いったいどういう集まりよ・・・。

 

「なんでグリーンがここに居るのよ?マシロからイエローを頼まれたんじゃなかったの?」

「そいつが自分から離れて行っただけだ。オレのせいにするな。」

「イエローくん、そっちの人は?」

「ブルーさんと、マサキさん。ボクをたすけに合流してくれました。」

 

アタシとグリーンが言い合いをする横で、イエローはカツラさんにアタシ達の事を紹介する。

 

「で、なんでロケット団の幹部なんかと一緒にいるわけ?」

「偶然ここで鉢合わせただけだ。」

 

グリーンにそう言われて、ロケット団の3人に目を向ける。

 

「別に難しい事はない。オレ達も四天王を倒すためにここに来た。そもそも、オレ達がここに居るということは、だ。」

「私達ロケット団は壊滅した訳じゃないわ。地下に潜伏して復活の準備をしていたのよ。」

「ところが、だ。四天王とか言うやつらが人間を滅ぼそうとしてるじゃないか。いずれ、オレ達の手中に収める場所で勝手なことは許さん。」

 

マチス、ナツメ、キョウの3人がそれぞれ憤りをあらわにする。

 

「つまり、私達の目的は同じって訳。どう?お互い邪魔しないのであれば、手を組んであげてもいいわ?」

 

そう言って、ナツメが私達に提案する。

上から目線なのは腹立つけど、ロケット団3幹部の実力は本物なのよね。実際に戦ったし。

でも、信用してもいいものかしら・・・?

 

「手を組んでやってもいい・・・か。それはこっちの台詞だ。オレはおじいちゃんと因縁のある四天王、キクコを倒す為だけに来た。その邪魔をしないなら、お前達が何をしようと知ったことじゃあない。」

 

グリーンはどちらでもよさそうだけど、アタシはできるだけ勝率は上げておきたいのよね。

 

「そうね。他のジムリーダーの援護が望めない以上、今できる最善の手をうちましょう。無いものねだりをしても仕方ないわ。」

「フフ、決まりね。フーディン!」

 

ナツメの後ろにいたフーディンが、各々にスプーンを配る。

 

「ナツメよ。運命のスプーン、というわけか。」

 

マチスが納得したように呟く。

 

「そうよ。アナタ達はカントーが襲撃されている今、この島が手薄だと思っているかもしれないけれど、どういう訳か四天王は全員この島から動いていないわ。敵は4人、こちらは8人。」

「つまり、2人1組の4チームで戦うのがベターってことねね。」

 

それにしても、四天王全員がいるとは思わなかったわ。カントーが襲撃されてるなら、1人ぐらいは居ないものだと思ってたけど・・・仕方ない。全面戦争ね。

 

「で、このスプーンはなんなのよ?」

 

そう言って、手元のスプーンに視線を落とす。

 

「そのスプーンを持ったら、戦う気持ちを強く念じるのよ。その念に対してスプーンがベストな相手を選んでくれるわ。」

 

アタシの戦う気持ち・・・か。アタシは四天王が大きな鳥ポケモンを操ろうとしてるって聞いたから、四天王を探ってただけなのに。なんでここまで大事になったのかしら。

ま、ここまで来ちゃったし、乗り掛かった船ね。マシロも巻き込んじゃったし、最後ぐらい責任はとらないと。

 

「1組目、決定ね。」

 

ナツメの言葉で顔を上げると、イエローとカツラさんのスプーンが曲がってお互いを指し合っている。

 

ちょっと、早くない?焦っちゃうじゃないのよ。

・・・そうね、アタシがこの中のメンバーで上手く肩を並べられそうなのは誰・・・?

 

「2組目、3組目決定ね。」

 

周りを見ると、キョウとグリーン。アタシのスプーンはナツメの方を指している。

 

「偶然だけど、シルフカンパニーで戦った相手になったわね。4組目は・・・。」

 

ナツメの言葉で未だにスプーンの曲がらない2人を見る。

 

「運命のスプーンは戦う意思の無い者や、組むべき相手が居ない時には反応しない。」

「と言うことは、オレの相手はここにいないってことか。キョウやナツメと同じなら、オレの相方はレッドってことになるがな。ワハハ。まぁいい。数あわせだ、来い!」

「なんやて!?」

 

そう言ってマチスはマサキを抱えると、1つの横穴に入っていく。

 

「行くぞ、イエローくん。」

「ハイ!」

 

カツラさんとイエローはまた別の穴に。

 

「じゃあな。」

 

グリーンとキョウも別の穴に。

 

「それじゃ、私達も行きましょうか。」

「そうね。頼りにしてもいいのかしら、お姉さま?」

「ジャマをしないならな。あと、お姉さまはやめろ。気色悪い。」

 

アタシ達も別の穴へ向かう。気色悪いはひどくない?

さて。マシロがいない状態だけど、予想外の戦力アップね。これならなんとかなるかもしれないわ。

 

でも、マシロがここにいたら誰と組むことになっていたのかしらね?

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

「・・・ねぇサカキ?」

「・・・何だ?」

「・・・パルシェンのなみのり、遅くない?」

「・・・そんな事はない。」

 

 

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