なみのりをするサカキに付いてしばらく。
ようやくスオウ島に上陸した私達。
「大分かかったねぇ・・・。夜が明けるかと思ったよ。」
「奇襲には夜明け前が効果的なんだぞ?」
「相手が招待したのに、奇襲もなにもないと思うんだけどな・・・。」
と言うより、もっと激しい歓迎が待ってると思ってたけどなにもない。
となると、この島も結構広そうだし、何処にいけばいいのやら。
そう思って島を見上げると、島の一部が崩れている。
自然に崩れたものじゃなさそうだけど・・・。
「ふむ。どうやら先客がいるようだな。」
同じところを見てサカキが呟く。
ってことは、四天王はそっちの相手をしてて私達はすんなり上陸できたってことかな?
まさか、のんびり来るのが吉とでるとは思わなかったよ。
でも、こんな島に誰が来てるんだろう?
その時、ドカァン!と轟音が鳴り響き・・・。
火山が噴火した。
「え、噴火?このタイミングで?」
「どうやら先客はあそこにいるようだな。派手にやりあっているらしい。」
そう言っておもむろにサイドンをボールから出す。
「私はサイドンで最短ルートを掘り進む。マシロは上から行くといい。」
そして、サカキはそのままサイドンに乗って行ってしまった。
・・・確かに別行動をすれば、あわよくば挟み撃ちとかできるかもしれないけどさ、各個撃破される可能性もあるんじゃないの?
私の意見は聞かずに行っちゃったし。・・・。
まぁ、いいや。そういうことなら、私は上から行こうか。
「ミスタ、ゆっくり飛んでたけど疲れてる?」
「ーーー」
うん。まだ元気って感じだね。
「それじゃ、もう少しだけお願い。」
「ーーー」
いつもの電子音で返事をすると、私を乗せて上空に飛び上がった。
ーーーーイエロー視点ーーーー
「ピーすけ、ギブスを!」
バブルこうせんで折れた右腕を、ピーすけの糸で固定する。
溶岩に沈んだと思ったら、バブルこうせんの泡の中で身を守っていたのか・・・。
それに・・・太陽が登ったことで、光の反射を利用した見えないバブルこうせん。
とにかく、逃げ回りながら対策を考える。
見えない以上、動き回るしかない。
「ハァ、ハァ・・・。・・・ふぅ。」
見えないバブルこうせんに追われながら、周囲を走り回る。
そして、ある程度逃げ回った後岩を背にして息を整える。
よし、準備はできた。ボクはみんなに小声で作戦を伝える。
「いいかいみんな。さっき動き回った時に、ピーすけの糸を周りに張り巡らせた。細い糸だから、ワタルにはまだ気づかれてはいないはず・・・!」
一旦言葉を区切り、ワタルと周囲に張った糸を視線だけ動かして確認する。
「泡が糸に触れた瞬間、それを察知したラッちゃんがピカに合図して、ピカが電気を流す。その糸はオムすけがあらかじめ濡らしてある。」
説明中にラッちゃんが反応して、ピカが電気を流す。パンパンと、泡が破裂する音が連続で響く。
「そして、ワタルがこの仕掛けに気づいた瞬間。きっと一瞬だけ気が反れる。」
「む?この音は・・・?」
泡が見えないのはワタルも同じ。だから異常に気付いた時に、一瞬だけ周囲を見渡した。
「今!」
ボクが叫んだ瞬間、ゴロすけがドドすけをぶん投げ、一直線にワタルを守る大きな泡に突撃する!
「ドリルくちばし!」
そしてそのまま、大きな泡に突き刺さった・・・が。
「成る程。糸自体が身を守るのと同時に、オレの隙を作り出すための罠でもあったか。・・・だが。」
ワタルを守る、一際大きな泡を破ることはできなかった。
「悲しいかな。パワー不足だ!」
ギャラドス達が大量のバブルこうせんを吐き出す。
ワタルにばれないようにと細く張った糸は、そのまま吐き出した大量のバブルこうせんで、容易くぶちぶちと切れていく。
そして、それはそのままボクにも襲いかかってきた。
「うわああぁぁ!」
泡の量が増えたことによって、光の反射が上手く作用しなくなり目で見えるようになったが、結局避けられなかったら同じこと。
ボクはもう、迫ってくるバブルこうせんから逃げることしかできなかった。
そして、そのバブルこうせんがボクに当たる瞬間だった。
誰かがボクの体を抱えて、バブルこうせんから飛び退いた。
そして、バブルこうせんの範囲から逃れるとそこで下ろしてくれた。
「ぐっ・・・。誰か知りませんが、ありがとうございます。でも・・・ワタルはトキワのトレーナーじゃないと倒せないんだ。ボクが・・・なんとかしなくちゃ・・・!」
そう言って立ち上がる。
できる事はは全部やった。それでも、ボクはトキワのトレーナーなんだ・・・!ボクが諦めるワケにはいかない!
が、助けてくれた人はボクの肩をポンと叩くと、そのままボクの体を引っ張り前に出る。
「心配するな。オレもトキワのトレーナーだ。」
隣に立っているその人を見上げると、スーツを着たおじさんだった。
見たことない人だけど、誰だろう・・・?味方、なのかな?
そして。
「なにがトキワのトレーナーよ。一人で先に行かないでくれないかな?」
上から隣に降りてきたのは聞き慣れた声。
「待たせちゃったかな?遅れてごめんね?」
「マシロさん!」
ブルーさんが来ないといっていたはずの、マシロさんだった。
ーーーーーーーーーー
私はボロボロのイエローの隣に降りる。ミスタは一旦ボールに戻しておく。ずっと乗せてもらってたからね、少し休んでて。
それにしても、誰が来てるのかと思えばイエローだったんだね。見た感じ、大分無茶をしたみたい。
「でも、何でイエローがここに?」
「今、カントーが襲撃されていて。今ならここが手薄なんじゃ無いかってカツラさんと2人でこの島に来たんですが・・・。」
「え?今そんな事になってるの?」
四天王も本格的に動き出してるんだ。ってことは、私を誘い込んで邪魔が入らないようにしてたってことかな?
そうなるとイエロー達がこの島に来たのは奴らにとってもイレギュラーなはず。私にとっては追い風だね。
「話は後だ。貴様らは下がっていろ。」
イエローと話していると、サカキが間に割って入る。
「1人でいいの?」
「オツキミ山の借りの分だ。隙はつくってやる、期は逃すなよ?」
「オッケー。イエロー、下がるよ。ほら、ピカも威嚇しないで。」
ほっぺたから電気をピリピリ流すピカをなだめ、イエローと一緒に後ろに下がる。
「あの人、1人で大丈夫なんですか?」
「本人が大丈夫って言ってるんだから、大丈夫でしょ。それより、きらら。いつでも撃てるようにしておいてね。」
『まかせて!』
「ところで。大きいのを少しと、小さいのをたくさんってどっちの方が疲れる?」
『おおきいほうがつかれるかなー?でもそのぶん、ちいさいといりょくがさがるよ?』
「じゃあ、小さいのたくさんでお願い。」
『わかったー。』
そして、私の後ろに待機してるきららに声をかけておく。仕掛けるタイミングは、サカキ次第かな?
あ、指をたててちょいちょいと、挑発してる。
「なんのつもりか知らんが、誰だろうとこのワタルの邪魔はさせない。バブルこうせん!」
ハクリューとギャラドスからバブルこうせんが放たれると、それらはすぐに見えなくなる。
「まずい・・・。また見えないバブルこうせんが!」
「見えなくなる泡が・・・か。色の3原色ってやつを利用してるのかな?とりあえず、グロウ、かぷちー!」
私とイエローの前にグロウ、その上にかぷちーを出しておく。すると、ミスタの入っているボールがガタガタと震える。
ミスタはもう少しお休みしててね。きっと出番はあるから、そんなにガタガタしないでよ。
「ひかりのかべ、お願い。」
「グォォウ。」
うなるような返事をすると、グロウの前に壁が展開される。
見えないけど、何かが壁にぶつかり衝撃音と破裂音が響く。
「これで、前から来るのは大丈夫かな?それで、カツラさんと2人で乗り込んだの?」
「あ、それがですね。この島でグリーンさんとブルーさんとマサキさん。それと、元ロケット団の3幹部の人と合流しまして・・・。」
「え?ロケット団の幹部?それに、グリーンとブルーって・・・。同窓会でもやってたの?」
いや、それよりブルーが居るのはまずいなぁ・・・。
私がここに居るのがばれたら怒られるじゃん。
「えっと・・・同窓会かどうかはわかりませんが、ロケット団の方達もカントーを好き勝手されたくないみたいでしたよ?」
「えー、サカキと同じこと言ってるんだけど・・・。考えることは同じなのかなぁ・・・。」
「あの人、サカキって言うんですか?マシロさんとは、どういう関係で?」
「えーっと、腐れ縁みたいなものかな?」
一瞬、言葉に詰まるが無難な事を言っておく。
流石にロケット団のボスなんて言いづらいし、何でそんな人と知り合いなのかも聞かれたくないし。それに腐れ縁も的外れって訳でもないしね。
「それより、あの人すごく強いですね。」
イエローの視線を追うと、サイホーンが粉砕した岩を巻き上げて光を遮断し、泡を見えるようにした後に、ニドクインがそれらを全て叩き割る。
そして。
「そのまま本体も割ってしまえ!」
ワタルを守る大きな泡を殴りつけるが、そのまま跳ね返り、地面に叩きつけられた。
あれ、スゴい丈夫だねぇ・・・。
「溶岩にも耐えるこいつに、そんなものが効くかぁ!はかいこうせん!」
そして、ハクリューとギャラドスから、周囲を縦横無尽に駆け巡るはかいこうせんが放たれた。
ズガガガと、周囲の岩肌を削りながらサイホーンとニドクインを撃ち抜くだけでなく、そのままグロウのひかりのかべにも激突する。
「うわああ!!」
「グロウはそのままこらえて!かぷちーは流れ弾に注意して!」
「グォウ。」
「クチー!」
グロウは前から来るはかいこうせんを防ぎ、かぷちーは壁を避けてこっちに飛んできた分をはたきおとす。
そして、このはかいこうせんにさらされているサカキをチラッと見る。
すると、こちらを一瞬だけ見た後ワタルに分からないようにボールを落とした。
多分、仕掛けるってことかな?
「きらら!」
『りょーかい!』
私が呼ぶと、島の上に飛び上がる。
「マシロさん?一体何を・・・?」
「大丈夫。もうすぐ終わるよ。」
私が呟いたのと、サカキが口を開いたのはほぼ同時だった。
「真下がガラ空きだ!スピアー、ダブルニードル!」
ワタルの真下で開いたボールから飛び出したスピアーがワタルを守る泡を突き破り、ワタルが体制を崩す。
「チッ!これしきの事で!」
ハクリューの後ろに控えていたカイリューに飛び乗ろうとするが、それは私が許さないよ。
「真上もガラ空きだよ!きらら!」
『いくよー!』
きららの声と共に、拳程の大きさのりゅうせいぐんが無数に降り注ぎ、ワタルとその周りにいるポケモンを火口に打ち付けた。