ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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36話

 

大きいのを少しだけ降らせるより、小さいやつをたくさん降らせる方がエネルギーの消費が少ないらしいからそうしてもらったんだけど・・・。

 

さっきのワタルのはかいこうせんよりは確実に山を削ってるよ・・・。

これのどこら辺の威力が落ちてるって?

ワタルの横に倒れてるカイリューなんて、他のポケモンをその下敷きにしてるし。

 

・・・まぁ、いいや。

膝をついてるワタルとサカキの所まで行こうか。

 

「イエロー、歩ける?」

「ハイ。大丈夫です。」

 

イエローを伴い2人に向かって歩いていると、おもむろにワタルが口を開く。

 

「・・・トキワジムのジムリーダーだな?」

「そうだ。」

「えっ?ジムリーダー最強って言われてるあの?」

 

後ろのイエローが驚いている。

 

「多分、そのジムリーダーで間違いないんじゃないかな?」

 

私も話ぐらいしか聞いたことないけど、サカキってかなり強いしね。ジムリーダー最強ってのもあながち間違いじゃないと思う。

・・・というか、そんな人がロケット団のボスをやってたとかカントーってかなりヤバかったんじゃないの?

 

「そんな人を援軍に呼べるなんて、マシロさんスゴいですね!」

「いや、今回はたまたま・・・かな?それに、好きで呼んだわけじゃないんだよねぇ・・・。」

「??」

 

頭に?がたくさん浮かんでいる気がするけど、サカキに関してはイエローにあんまり説明したくはないんだよね。

この子、他人に妙に優しいからロケット団のボスとか言うと話がこじれそう。

 

「さっきはパワー不足だと言っていたが、こいつはどうだ?本来、地面以外は専門外だがこいつは特別でな。それに、マシロの追撃も効いただろう?」

「なんでサカキが偉そうなのよ。」

『そうだそうだー。』

 

サカキの後ろに追い付いて文句を言うと、きららも続く。

いや、きららの声は私以外の人には聞こえないから。

しかし、サカキは私の言葉を無視して指をパチンと鳴らすと、スピアーの針がワタルの喉元に突きつけられる。

 

「なにもそこまで!」

 

驚いたイエローがサカキを止めようと近づいたが、それを片手で制しワタルに話しかける。

 

「我が組織は不滅だ。今は壊滅状態だが、いずれ復活を果たす。だが、今カントーはお前達四天王の襲撃を受けている。いずれオレ達が制圧するはずの場所で、勝手なことは許さん!」

「サカキもかなり勝手なことを言ってるんだけど、自覚ある?」

「・・・我が組織ってなんですか?」

「流石は最強のジムリーダー。そこのガキとは迫力が違う。いや、ロケット団のボスと行った方がよかったか?サカキ殿。」

「え、ロケット団のボス!?」

 

イエローが驚いてサカキと私を交互に見る。

 

あーあ、ややこしくなりそうだから余計なことは言わないでほしかったなぁ・・・。

 

「マシロさん、このおじさんがロケット団のボスってどういうことですか!?マシロさんは知ってたんですか!?そもそも、マシロさんもロケット団なんですか!?」

 

ほら、面倒なことになった。

 

「イエロー、落ち着いて。あと、私をロケット団なんかにいれないでよ。」

 

あんな組織に入ってるなんて失礼にも程があるので、とりあえず額にでこぴんをしておく。

 

「あぅ・・・。ごめんなさい。」

「その辺は四天王が片付いてから説明するよ。まずはワタルから、だね。」

 

そう言ってワタルの方を見た瞬間だった。

 

「ククク・・・。ハハハハハ!!」

 

ワタルが声を上げて笑いだすのと同時に、サカキの胸元から眩い光が空に伸びる。

サカキの胸元から飛び出し、宙に浮かんでいるのは・・・グリーンバッジ?

いや、サカキだけじゃなくて私の鞄からも光が空に伸びてる。

 

そういえば、私もグリーンバッジ持ってたね・・・。

 

「集めるほどにポケモンを操る能力を高めるバッジ。オレも7つまでは手に入れていた。」

 

ワタルが口を開くと、カイリューの下からプテラが飛び出し、ワタルがその背中に飛び乗る。

 

「手にいれた7つは、この島の周囲から天に向かって突き出た石柱の下に隠してある。集めたバッジが共鳴し力が発揮できる位置に、な。炎・岩・草・電・毒・水・念・地。この並び、お前にも覚えがあるのではないか?」

「まさか!?」

「そう!この島自体がエネルギー増幅装置!さっきお前の胸元を離れて輝きだしたのが最後の1つ。あとはそれを島の中央に配置するだけでよかった。お前たちはオレを追い詰めたつもりだろうが、逆だ。この場所に誘い込んだんだ。」

 

あー、成る程ね。だからカンナは私をスオウ島に招待するなんて言い出したのか。

単に自分に有利な場所で戦いたいとかじゃなく、そもそもこの場所に来させることが目的だったと。

 

エネルギー増幅装置はよくわかんないけど。

 

「そして、立ち昇ったエネルギーを求めてやってくる巨大なポケモン。あいつを操り、ポケモンを人間から解放する!」

 

立ち昇った光の先には、大きな鳥のようなポケモン。

・・・ブルーが四天王に関わってたのはこれのせいか。こいつが自分を連れ去ったポケモンかもしれないから。

でも・・・。

 

ブルーを連れていったのはこいつじゃない

 

思わず右手をぎゅっと握ってしまい、痛みでハッとする。

 

「いたた・・・。でも、あの時のポケモンじゃないってことは、ワタルは仮面の男じゃないってことかな。」

 

小さく呟きながら、考えをまとめる。

とりあえず、別人と考えてよさそう・・・かな?

 

「まったく・・・。とんでもない仕掛けを用意してたもんだ。マシロ、借りの分は働いた。後は任せたぞ。」

 

そう言うやいなや、グリーンバッジを放ってサカキはきびすを返して走り去っていく。

 

「え?おじさん!?」

「いやいや、帰るの早くない?」

 

すぐに姿は見えなくなる。逃げるの早すぎない?

あれたけ逃げ足が早いんだから、そりゃ捕まらないよね。

 

「さあ、行くぞプテラ。あと、動けるのはハクリューとギャラドスだけか・・・。まぁいい。ついてこい!」

 

ワタルは、ハクリューとギャラドスを連れて上に飛んで行く。

あれ、カイリューの下敷きになったんじゃなくて、カイリューが庇ってたのか。

 

「あ!ワタルが行っちゃう!」

 

イエローが上空に飛んで行くワタルを見つめる。

そういや、イエロー飛べないって言ってたっけ。

うーん、どうしよう。ワタルもだけど、サカキも放っておけないし・・・。

 

「イエロー、ワタルのこと任せてもいいかな?」

「え?ボクに・・・ですか?」

「そう。ワタルの手持ちは半壊してるし、あれならイエローにも勝機はあると思うんだ。」

「マシロさんは、どうするんですか?」

「私はサカキを追いかけるよ。さっき聞いたと思うけど、ロケット団のボスだからね。流石に放置はしたくないし。」

「でも、ボクは飛べませんよ?」

「それは大丈夫。きらら、ミスタ。」

『はーい。』

 

ミスタをボールから出して、きららを呼ぶ。

 

「この子達をイエローに預けるから。だから、ワタルのこと任せたよ?」

 

少しだけ迷ったような表情をするが、それも一瞬。

 

「ハイ!わかりました!」

 

覚悟を決めた表情に、元気な返事。

うん。ワタルのことはイエローに任せても大丈夫そう。

 

「きらら、ミスタ。イエローのことよろしくね。」

「ーーーー」

『まかせてー!』

 

返事を聞いて、ミスタの背にイエローが乗る。

ふと、イエローの右手にギプスが巻かれているのに気付く。

 

「ちょっと、じっとしてて。」

「え?」

 

イエローの右手に左手をかざすと、淡い光がこぼれる。そして少しすると光が消える。

ワタルと戦うんだから、イエローには万全の状態で挑んでもらわないとね。ケガにつけこまれて負けました、なんて目も当てられないし。

 

・・・きららが心配そうな表情をしてるけど、気付かないふりをしておこう。

 

「これで大丈夫かな。」

「すごい・・・!ボクはポケモンのケガしか治せないのに!」

「え?イエローもポケモンのケガを治せるの?」

「ハイ!人間のケガは治せないんですけど・・・。」

 

そう言ってあははー、と笑う。

 

「そっか。まぁ、私もこの能力は多用できないんだけどね。それでも、女の子のケガは早めに治したほうがいいでしょ?」

「ありがとうございます!・・・気づいてたんですか?」

 

何故か恥ずかしそうに麦わら帽子を押さえる。多分、仕草とかで同じ女の子なら気付くんじゃないかな?

 

「うん。まぁ、隠してたっぽいから触れないようにはしてたけどね。それじゃ、ワタルのことよろしく!」

「ハイ!うわぁぁぁぁ・・・・。」

 

叫び声と共に飛び去っていくミスタときらら。

私も最初はあんな感じだったなぁ・・・。

しみじみと思いながらも、意識を切り替える。

 

「よし、私達はサカキを追うよ!かぷちー、グロウ。よろしくね。」

「チック!」

「グォウ!」

 

返事を聞いて一歩踏み出した瞬間、よろけて転びそうになる。

 

「おっとっと・・・。」

 

イエローを治したからかな?

体に力が入らないや。それに、腕の痛みも増してる気がする。

 

「でも、後少しだからね。もう少しだけ頑張ろう。」

 

でも、歩くのはしんどいや。グロウ、背中貸してくれる?

 

 

 

 

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