ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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41話

 

シロガネ山を探索して数日。

 

私は麓の温泉でのんびりくつろいでいた。

 

「いやー、ここのポケモンは手強いねぇ・・・。」

『そうなの~?よくわかんないや。』

 

返事をしたきららは、仰向けのまま湯船の上を漂っている。

 

「そりゃ、きららからすればあんまり変わらないかもしれないけどね。」

 

シロガネ山に来てから探索を始めてしばらくすると、きららは目を覚ました。

そのまま、きららにも秘湯を探す手伝いをしてもらった結果、意外と早く温泉が涌き出ている場所を見つけることができた。

 

できたんだけど・・・、1ヶ所目はまともに浸かれそうではなかったから、ここは2ヶ所目である。

と言うのも、ミスタが派手に野生のポケモンと戦うから、奥に進むにつれてどんどん野生のポケモンが増えていった結果、山奥で見つけた秘湯では野生のポケモンが集まってきて全く落ち着くことができなかった。

なので結局、そこは諦めて山を降りる途中の麓で見つけた秘湯で一息ついた。腕だけ浸けておくのも体制的にしんどいからそのまま服を脱いで浸かっちゃおう。

服を脱いでる間に、何故かミスタとかぷちーとグロウは山を登っていった。

 

だから、結局一息ついたのは私ときららだけになった。

 

「しかし秘湯が見つかるやいなや、ミスタは山に行っちゃっうのは分かるんだけど、グロウとかぷちーもなんでついて行ったんだろう?」

『なんかねー、しゅりょくじゃない?っていわれたことを、きにしてるみたいだよー?』

「主力じゃない?・・・あ、もしかして、サカキに言われたことかな?あんな奴の言うことなんか気にしなくていいのに。」

 

スオウ島で対峙した際、ミスタときららがいない時にそんな事を言われたっけ。

そもそもグロウは、サカキのニドキング倒してたじゃん。

ジムリーダー最強って言われてる相手に勝ち越してるんだから、気にする事ないのに。

 

「まぁ、ミスタに付いていったなら大丈夫でしょ。ミスタならこういう状況は慣れっこだろうし。それにしても、秘湯って言うだけあって浸かってる間は痛みも痺れもなくなってるや。・・・出たら元通りなんだけども。」

 

温泉に浸けていた右手を空に掲げる。すると、つけている間になかった痺れの様な痛みがじんわりと襲ってくる。私はそれを確認すると、そのまま温泉に戻した。

とりあえず、効果はありそうかな。

 

そう思った時だった。

 

「先客・・・?誰かと思えばマシロか。」

「・・・なんでナツメがここに?」

『だれ~?』

 

薄い霧の中、先日スオウ島で戦った相手ナツメが姿を現した。

 

声をかけられるまできららが気づかなかったってことは、きららはまだ本調子じゃなさそう。それに他の皆も山に行っちゃってるし。皆がいない時に来るなんて、タイミングの悪い。

私の考えていることが顔に出ていたのか、ナツメは片手を上げて続けた。

 

「待て、今は争うつもりはない。私もここで怪我を癒しに来た。」

「怪我?そう言えば、ブルーがナツメと繋がったままカンナと戦ったって言ってたっけ。」

「そうだ。・・・まぁ、あの女はメタモンで擬態した腕だったからなんの怪我もしていないがな。」

 

そう言うと、さっさと服を脱いで温泉に浸かる。

裸になるってことは、さっき言った通り敵対の意思は無いってことでよさそうかな?

 

「しかし、本当に効果はあるのか?」

「一応、痛みとかは引いてるよ。まぁ、浸かってる間は、だけどね。」

「そうか。なら、気長に療養を続けるさ。サカキ様がいない以上、ロケット団も実質解散状態で、急ぐ必要は無くなった。」

「そう、サカキはまた行方不明なんだ。私からすれば、2度と出てきてほしくはないんだけど。」

「そんな心配は無用だ。あの方は必ず戻られる。」

 

と、ナツメは自信満々に言い切った。

でも、私もそんな気がしてるんだよね。なんだかんだしぶとそうだし。

 

「そ。せっかく証拠不十分で見逃されてるんだから、大人しくしててよね。」

「フ。時が来るまでは大人しくしているさ。・・・まぁ、怪我が癒えるまでかなり掛かりそうだがな。」

 

そう言ってナツメは自分の左手をさする。

 

「早く治したいなら、山を登れば?上にも温泉はあったし。めちゃくちゃ熱かったから、ここよりは効果は高いんじゃないかな?」

「そうなのか。ん?そんな場所があるなら、なんでマシロは行かないんだ?」

「いやいや。熱いし、大量の野生のポケモンに囲まれるしで全く落ち着かなくて、温泉なんて浸かっていられなかったよ。」

「そ、そうか・・・。お前がそこまで言うんだ。私も止めておこう。」

 

おぉ。ナツメがびびってる。

ロケット団の元幹部のジムリーダーでも、大量の野生のポケモンに囲まれるのは嫌なんだね。

あれ?ジムリーダーと言えば・・・。

 

「ヤマブキの復興はいいの?」

 

ジムのある町は全部四天王に襲撃されていたはず。だとすると、ヤマブキシティも襲撃されてたはずなんだけど・・・。

 

「ヤマブキは、カントーで1番企業が密集している町だ。ジムリーダーがいなくても、各企業が復興に力を貸している。問題はない。」

「そっか。元々ヤマブキシティに住んでた身としては少し気になってね。」

「・・・マサラタウン出身ではなかったのか。」

「そうだよ?元々体が弱かったから、療養のためにマサラタウンに引っ越したんだ。」

「とても体が弱い様には見えんが・・・。」

 

ナツメは驚いた顔で私を見る。

まぁ、ロケット団や四天王と戦ってるのに体が弱いなんて思わないよね。

 

「今はそうでもないよ。むしろ丈夫なくらい。」

「そうか・・・。」

 

そう呟くと神妙な顔になり、なんだか微妙な空気になる。

一応、気を使ってるのかな?その空気を払拭するかのように、ナツメは聞いてきた。

 

「やはり、ヤマブキシティよりマサラタウンの方が体には良かったのか?」

「まぁ、ブルーに会うまではヤマブキよりはましかな?ってぐらいだったね。」

「・・・何か、含みがある言い方だな?ヤマブキで何かあったのか?」

「・・・遊びたい盛りの子供達の中に、毎回遊んでると途中で体調が悪くなる子供が居たら、どんな扱いをされると思う?」

「フン。子供のやることは分からん。」

「『お前と遊んでもつまんない。』って言われて、仲間に入れてもらえなくなるんだよ。」

「・・・」

 

今でもあの頃の事は鮮明に思い出せる。

 

体調が良いからって近所の子供達と一緒に遊んでても、毎回具合が悪くなって。

遊んでる途中なのに、私を家まで送ってもらって。

そんな事が続いた結果、冷たい目でお前と遊んでもつまんない、って言われるようになって。

それで私は家から出ることを止めて、体調が良い日でも部屋からあまり出なくなった。

それを見かねたからか、マサラタウンに引っ越すことになったんだよね。

 

まぁ、当時はなんで私の体はこんなに脆いんだろうって恨んだこともあったけど、ブルーに会ってからそんな事を思う暇はなくなったんだよね。

ブルーと会うのは楽しかったし、その後連れ去られるしで。

 

「でも、子供の言うことだよ。純粋につまらないからつまらないって言っただけで、そこに悪意なんてなかったよ。」

「・・・そっちのほうがよっぽど残酷じゃないのか?」

「そうかもね・・・。だから、当時は引きこもってばかりだったよ。ブルーと出会うまではね。」

「成程な。だからお前はそんな性格なのか。」

「性格?」

 

ナツメの言葉に首を傾げる。

 

「達観していて割り切りが早い。それに、排他的で親しい者には優しいがそれ以外には容赦がない。特に、敵対している者に対しては、な。」

「そう?・・・確かに。深く考えたことはなかったけど、言われてみるとそうかもしれない。」

 

そう言えば、カツラさんにも似たような事を言われたっけ?

ということは、他の人から見たら結構分かりやすい・・・?

 

「気を付けよう・・・。」

「分かりやすくて私は嫌いではないがな。」

「ナツメには嫌われる方が良いんだけど・・・。」

「フッ。そうか。」

 

嫌な顔をしている私とは対照的に、薄く笑うナツメ。

と言うか、なんでナツメとこんな話をしてるんだろう?

 

「そんな嫌な顔をするな。さっきも言ったが、ロケット団は解散状態だ。こちらに敵対の意思は無い。互いに怪我が癒えるまで長い付き合いになりそうなんだ。気を張ってばかりいると疲れるぞ?」

「・・・それもそうだね。とりあえず、ロケット団として動いてないならいっか。」

「・・・そういう所だ。」

 

 

・・・こういう所らしい。

さっき気をつけようって言ったそばからこれなんだから、この性格は直りそうもないや。

 

 

 

 

あー、多分こういう所だ。自覚した。

 

 

 

 

『むずかしいはなしはよくわかんな~い!』

 

 

 

 

ずっとナツメと話していたからか、きららに温泉をかけられた。

 

 

 

 

 

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