ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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42話

 

ーーーーーーーーーー

 

スオウ島の戦いの後。

目的を失ったオレは、カイリューに乗ったままあてもなくカントー地方を彷徨っていた。

 

「悪かったな、カイリュー。無理をさせたのに、目的を果たせなかった。」

「クゥ~ン。」

 

カイリューも、力及ばず・・・といった感じでしょぼんとしている。

そして、クチバ湾の上空を飛んでいる時、この場所で戦った少年達の事を思い出した。

 

『人とポケモンは共存できる!』

『ボクはそれを証明したい!』

 

人はポケモンの敵ではない、共存できると言った、黄色い髪の少年。

 

『ポケモンの為に人間を滅ぼすってやつ?そりゃ、善か悪かで言えば悪でしょ。』

『一部の人間がやってることに、関係のない人間も巻き込んで滅ぼすとか暴論にも程があるでしょ。』

 

少年とは違い、オレの行いをシンプルに悪だと言い切った白い髪の少女。

 

思えば、性格も行いも反対のような2人だった。

一方は諭す様に戦い、一方は断罪するかの様にこちらの考えを否定しながら戦っていた。

そう思っていたとき、ふと白い髪の少女が言った事が頭をよぎった。

 

『そんなにポケモンが大切なら、ポケモンだいすきクラブにでも入ったら?』

 

「・・・行ってみるか。」

 

自分の手で破壊した町に踏み入るなど、本来なら絶対にありえないのだが・・・。目的を失った今宛もなく彷徨うよりかはマシか。

そう思い、クチバの町に向かうことにした。

 

 

 

 

町の中にカイリューに乗ったまま入るとかなり目立つ為、町の外れで一旦カイリューをボールに戻しておく。

クチバシティに入ると、町の中ではあちこちで人とポケモンが行き交い復興に勤しんでいた。

 

(ジムリーダーの足止めの為に町を破壊したが、結果的には対した効果はなかったな。)

 

ジムのある町に手下をけしかけたが、結局スオウ島にはジムリーダーが4人集まり、招いてもいない図鑑所有者も集合。客観的に見れば過剰戦力にも見える。

 

(いや、サカキを含めるとジムリーダーは5人か。)

 

そんな事を考えながら、慌ただしく動く人達を尻目に町の中を歩く。

案の定というべきか、ポケモンだいすきクラブのクラブハウスにはデカデカト看板が掲げられていた為、あまり苦労することなく目的の場所に到着した。

 

「ここか・・・。」

 

建物の前で少しだけ立ち止まり看板を見上げると、

そのままクラブハウスのドアを開く。

 

「邪魔するぞ。」

 

そう言って開け放っだ部屋はシ~ンと静まり返っており、部屋の中には人っ子一人いなかった。

 

「フッ、それもそうか。町がめちゃくちゃなんだ。どいつもこいつも町の復興に忙しくて、こんなところでのんびりしている暇なんて無いか。」

 

気まぐれで来たものの、無駄足を踏んだと思いそのままUターンしようとしたら、後ろから声をかけられた。

 

「おや、お客さんですかな?わざわざ足を運んでもらったのに、おもてなしも出来ずに申し訳ない。ささ、どうぞ中にお入りください。」

 

声をかけてきたのはスーツにシルクハットのじいさん。

じいさんはそのままオレの背中を押して部屋の中に入り、部屋にある椅子に座らせる。

そして、じいさんも別の椅子に座った。

 

「申し遅れましたな。わしがここのポケモンだいすきクラブの代表をしております。どうぞ、会長とお呼びくだされ。さて、今日はどのような用件で?」

「・・・特に用件と言うものはない。知り合いに、行ってみたらと、勧められたから来ただけだ。」

 

つい先日、戦った相手を知り合いと呼んでも良いのかは分からないが、それ以外に表現のしようがなかった。

 

「なるほど。つまり、用がなくてもここに来るほどのポケモン好きと言う訳ですな。」

「どうしてそうなった・・・。」

 

オレは頭に手を当ててうなだれるが、このじいさんはこちらの様子を気にすることなく話を続ける。

 

「もうじき、会員の皆も休憩のために戻ってくるはずですじゃ。」

 

そう言ったそばから、クラブハウスの外が騒いくなっていき、老若男女様々な人が部屋に入ってくる。

 

「お宅のワンリキー、相変わらず大活躍ねぇ。」

「いえいえ。そちらのイシツブテの方が活躍してましたよ?」

「私とキャタピーは何も出来なくて、ゴメンナサイねぇ。」

 

といった感じで、自分のポケモンを自慢するかのように話していた。

そして、彼らはこちらに軽く会釈をすると、また自慢話に戻ってしまった。

 

「・・・いつもこんな感じなのか?」

「そうですよ?今は町の復興の手伝いに行ってますが、普段はここに集まって自慢のポケモンの話をしております。」

「・・・ポケモンバトルはしないのか?」

「いやー、恥ずかしながらここにいる者達は皆バトルはしたことがなくてですね。」

「なら、何のためにポケモンと共にいる?」

「・・・はて、そんなこと考えたこともありませんでしたな。」

 

目の前のじいさんは、オレの質問に心底不思議そうな顔をた後、当然のように答えた。

 

「人もポケモンも、互いに一緒に居たいから共にいるのでは?確かにわし達は皆バトルはでんし、ポケモンも強くはない。ですが、ポケモンに向ける愛情というものは他の誰にも負けないと思っております。だから、一緒にいるだけのトレーナーであるわし達にも、ポケモンはなついてくれるのです。」

「・・・。」

 

オレは、今までポケモンと共に居るためには同じ目的が必要だと思っていたが、ここではそんなものは必要ないらしい。

 

『人とポケモンは共存できる!』

 

あの時の言葉を体現している事に驚きつつ、この場所を口にしたのはオレの事を悪だと言い切った少女の方だという事に少しだけ笑ってしまった。

 

「・・・?なにかおかしなことでも言いましたかな?」

「いや、ただの思いだし笑いだ。気にするな。」

「ハァ・・・。」

 

そんな気の抜けた返事を返すじいさんをしり目にオレ立ち上がると、その横を通りすぎてクラブハウスを出る。

じいさんは、そんなオレを追いかけてきた。

 

「もう行かれるのですか?」

「ああ。オレの計画は早計だったのかもしれん。」

「何の話ですかな?」

「こっちの話だ。カイリュー。」

 

オレは、カイリューをボールから出す。

 

「ムホー!これは素晴らしいカイリューですな!育てるのが難しいと言うドラゴンタイプのポケモンをここまで育てるとは、もしや凄腕のトレーナーですかな?」

「そんなことはない。こいつの願いを叶えてやれなかった、駄目なトレーナーさ。」

「・・・なにかあったのですか?」

「・・・行くぞ、カイリュー。」

 

オレはじいさんの質問には答えずにカイリューに飛び乗ると、そのまま飛び立った。

 

 

 

 

「人間を滅ぼすのは、気が早かったかもしれんな。イエローの言った通り、共存は可能のようだ。」

「クゥン?」

 

カイリューは、これからどうするのかと聞いてくる。

 

「そうだな。しばらくはジョウトにでも身を潜めて、世界の行く末を見守ろうと想う。人とポケモンとの、な。」

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「フム、行ってしまったのう・・・。カイリューなんて、この先会うことはないかもしれないと言うのに全然触れなかったわい・・・。」

 

そう言ってショボくれている会長の背中に声がかかった。

 

「ねぇ、おじいちゃん?さっきの人誰?」

「ムム、そう言えば名前を聞いてなかったですな・・・。ところで、あなたは?」

 

会長が振り替えると、そこには黒いノースリーブのワンピースを着た女の子が立っていた。

 

「そう・・・。あたしのことは気にしないで。ただの通りすがりだから。」

 

名前を聞いてないと聞くと、短くお礼だけ言って誰かに電話をかけ始めた。

 

「遠目にしか見えなかったけど、今のってワタル・・・よね?なんでここにいたのかは知らないけど、飛んで行った方角は西・・・か。」

 

と、独り言を呟いていると電話が繋がる。

 

「もしもし、シルバー?・・・いや、何かあった訳じゃないんだけどね。ワタルらしき人物が西の方に飛んで行ったの。それで、先日の鳥ポケモンと一緒にワタルの事も追ってほしいのよ。・・・ありがと、ジョウトでの調査は頼んだわよ。」

 

電話を切って肩を落とす。

 

「・・・ふぅ。ほんとはマシロに頼みたかったんだけど、四天王との戦いの怪我が治ってないから仕方ないわね。その分、シルバーの負担が増えるけど頑張ってもらいましょうか。あたしも復興でしばらくは忙しそうだし。」

 

 

 

「それに、あたしにもやることがあるからね。」

 

 

 

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