ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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3章
44話


 

 

コガネシティの外れ。

コガネシティから南に行った場所に目的の場所はあった。

 

ポケモン育て屋さん。

少し大きな小屋に、広い庭を囲む柵。

この柵は預かったポケモンが逃げないようにするためかな?

ミカンの話だと、老夫婦がポケモンを預かってるらしいんだけど。

 

「お疲れ様、ミスタ。きららも警戒ありがとね。しばらくボールに戻って休んでて。」

 

乗せてくれたミスタと、移動中に周りを警戒してくれてたきららをボールに戻して、小屋についている呼び鈴を鳴らす。

すると、すぐに中から声が聞こえた。

 

「はいはい、どちら様ですかな?」

 

そう言って玄関を開けたのは、おじいちゃんだった。この人が育て屋老夫婦のおじいちゃんかな?

 

「ミカンと待ち合わせしてる者ですけど・・・。」

「おぉ、君がマシロ君かね。ミカンから話は聞いておるよ。若者にしては珍しく着物を着ているから、すぐに分かると。」

「あはは。友達に似合ってるって言われて、ずっと着てるんです。」

「うむうむ。よく似合っておるよ。ささ、もうすぐミカンもここに来ると思うから、中でのんびりしているといい。」

「はい。ありがとうございます。」

 

おじいちゃんに促されて中に入る。

廊下を歩いていると、奥の方でどったんばったんと、ポケモンバトルをやっているかのような騒音が聞こえてくる。

 

「奥が賑やかだけど、何かしてるの?」

「奥では預かったポケモンが運動をかねてバトルをしておるよ。なにせ、育て屋さん、じゃからの。・・・もっとも、今は旅の途中の少年が相手をしておるがの。覗いてみるかい?」

「・・・それじゃ、少しだけ。」

 

正直な所、赤の他人のバトルなんかには全然興味はなかったんだけど、勧められた事を断るのもあれかと思って見に行った。

 

家の奥では、檻のような部屋のなかでたくさんのポケモンと戦っているツンツン頭の少年。そして、その部屋の前で少年に助言をしているおばあちゃん。

あの人が育て屋老夫婦のおばあちゃんの方かな?

 

「ばあさんや、調子はどうだい?」

「なかなか順調じゃよ。あの小僧なかなか骨があるわい。オーキドが図鑑を託すだけの素質はありそうじゃな。」

「え、博士が図鑑を託した少年?」

「おや、その子は?」

 

聞きなれた単語に思わず口を挟んでしまった。そんな私を見て、おばあちゃんは怪訝な顔をする。

 

「この子は?」

「ミカンの友達じゃよ。さっき電話があって、ミカンとここで待ち合わせておるそうじゃ。ばあさんは逃げたポケモンを追いかけたり、少年を良いように使ってたから知らんだろう。」

「ふむふむ、成る程の。」

 

そう言って、私の事をじっと見る。そして。

 

「そっちの少年より、素質はありそうじゃな。」

「何の話?」

「こっちの話じゃよ。良かったら、お主もあの中でトレーニングしていかんか?」

「え、あの中で?」

 

檻のような部屋の中を見る。

中では少年がヒノアラシ、ヒマナッツ、エイパム、ウソッキー、ニョロモ、もう1体は知らないポケモンを入れ替えながら、大勢のポケモンの相手をしている。あの見たことないポケモン、ミカンが連れてたトゲチックと似てるなぁ・・・。

それはともかく、少年の方は苦戦してるけどよく戦ってるね。・・・でも。

 

「あれ、弱くない?」

「そうじゃな。だが、あの少年はまだ発展途上じゃ。これからじゃよ。」

「いや、そっちもだけど相手が、だよ。あれなら、シロガネ山の野生のポケモンの方が強かった。」

「・・・ホッホッ。シロガネ山を戦い抜けるトレーナーなら、こんな所でトレーニングなんてする必要はないの。」

 

一瞬だけ絶句したが、笑いながら同意するおばあちゃん。

でも、そんな私に檻の中から少年が噛みついてきた。

 

「オイオイオイオイ、中で聞いてりゃ好き勝手言いやがって。そう言うあんたはどんぐらい戦えるんだよ?」

「まぁ、あなたよりは戦えるよ。それなりに修羅場はくぐってきたしね。」

「ほぉ?言うじゃねぇか。だったらその腕、この中で見せてみろよ?」

「嫌だよ、私はミカンと待ち合わせしてるだけだし。何より面倒。」

「なんだとぉ~!!」

 

そう言って檻を掴んでがしがしと揺らす。

落ち着きのない少年だなぁ・・・。

そう思った瞬間、ヒノアラシの体がぶるぶると震えだし光が包み込んだ。

 

「うぉっ!なんだ!?」

 

そして、光が収まった時にはヒノアラシがマグマラシに進化していた。

 

「ふむ、マグマラシに進化したようじゃな。ちゃんと、強くなっとるじゃろ?」

「どこまでもついていきます、おばあさま!・・・だが、そこでふんぞり返ってるだけの、あんたの事は認めねぇからな!」

 

檻の向こうからおばあちゃんの手を握りながら私を睨んでくる。

 

「いいよ、別に。」

 

そんな相手に私は手をヒラヒラと振っておく。

 

「フン!・・・それじゃ、残りも片付けるからな、そこで見てろよ!」

 

少年は鼻を鳴らすと、残っているポケモンに向かっていった。

それを見送って、おじいちゃんとおばあちゃんに話しかけた。

 

「さっきオーキドって言ってたけど、オーキド博士の事?2人とも、博士の知り合い?」

「うむ。昔は6人でよく集まって遊んでおった。進む道も決まっておらず、只々気ままに集まって騒いでいたわい。ほれ、これがその頃の写真じゃ。」

 

そう言うとおじいちゃんは、廊下にあった写真立てを取って手渡してくる。

受け取って見ると、そこには5人の少年少女が写っていた。

 

「真ん中がわしで、その横の女性がばあさんじゃよ。で、わしの反対側の男性がオーキドじゃ。」

「確かに、言われてみると面影があるねぇ・・・。ん、1番端の女の人って、もしかしてキクコ?」

「ほほう、キクコとも知り合いなのかね?」

「えーっと、うん。まぁ・・・知り合い、かな?」

 

おばあちゃんに知り合いかと聞かれて口ごもってしまう。

流石に始末されそうになった仲、とは言えないし。

 

「それより5人しか写ってないけど、さっき6人って・・・。」

「・・・色々あっての。」

「・・・そっか。」

 

そう言って私は写真を返す。

 

「何も聞かないのかね?」

「色々話したくないこともあるでしょ?私でもあるんだから、私の何倍も生きてる人なら、それこそ山のように。」

 

私がキクコのことを口ごもったように、おじいちゃんにも言えないことや言いたくないこと、言いにくいこともあるでしょ。

 

「ホッホッ。年の割には悟ったような事を言いおる。」

 

なぜか、おばあちゃんには笑われたけど。

そんな時、隅っこに置いてあるラジオから臨時ニュースが流れてきた。

 

『臨時ニュースです。先程、エンジュシティで震災が発生しました。大規模な地盤沈下が発生した模様です。原因は不明。現在、住民の避難が始まっています。くれぐれも、震災地域へ近づかないようにお願いします。繰り返します・・・。』

 

このニュースを聞いた瞬間、私達の顔色が変わった。

 

「ねぇ、エンジュシティってもしかして・・・。」

「うむ。ミカンが通りかかっているかもしれん。もしや、巻き込まれているかも・・・。」

「いや、しかしまだ巻き込まれたと決まった訳じゃ・・・。」

 

ちょうどミカンが通りかかっているタイミングで震災が起きたみたい。実際、巻き込まれたかどうかはわからない状況だけど、可能性があるなら行かない理由なんてないよね。

 

「ちょっと行ってくるよ。もし入れ違いになったら連絡するように言っておいて。」

 

そう言って外に出ようとすると、おばあちゃんに呼び止められた。

 

「待て。あやつも連れていってくれ。何かの役に立つかもしれんし、人手は多い方が良いじゃろ?」

 

そう言うと、おばあちゃんは檻を開けて中の少年に声をかける。

おばあちゃんが少年を呼ぶ間に、おじいちゃんに声をかけておく。

 

「おじいちゃん、まだミカンが巻き込まれたって決まった訳じゃないよ。だから、落ち着いて待っててよ。」

「・・・すまんの。ミカンの事、よろしく頼む。」

「うん、任せておいて。何かあったとしても、私が助けるよ。」

 

おじいちゃんと話していると、おばあちゃんが部屋の中から少年を連れてくる。

 

「ほれ、この女の子じゃ。この子を探して来てほしい。」

「えー、なんでオレが?さっきまでトレーニングやってて疲れてるんスけど?」

 

写真を見ながらぼやく少年に、少しだけ苛つく。

何かあってからじゃ遅いんだけどなぁ・・・。

 

「ならいいよ。私だけでいくから。」

 

少し角が立つ言い方になったかもしれないけど、いいよね。

急いでるし、やる気のない奴の事を待つ理由なんてないし。

 

「ムカッ。いいぜ、行ってやるよ。」

「無理しなくていいよ。あてにしてないから。」

「ゼッテー行くからな!」

 

何故か対抗心むき出しなんだけど、足を引っ張られないといいなぁ・・・。

 

「ホッホ。ゴールドの扱い方をわかっとるのぉ。」

「君、ゴールドって言うの?」

「・・・おう。」

「私はマシロ。短い付き合いだろうけど、よろしくね。」

「後でゼッテー吠え面かかせてやるからな!」

 

ゴールドとは気が合わないような気がするよ・・・。

 

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