ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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45話

 

 

エンジュシティに向かう間に、ミカンのポケギアに電話をかけたけど繋がらなかった。

こうなると、震災に巻き込まれた可能性が高そう。

そう思ってミスタに急いでもらってエンジュに来たんだけど、意外なことにゴールドもあまり遅れずにエンジュシティに到着した。

 

「こりゃ、派手に崩れてるねぇ。」

「ゼェゼェ・・・。早すぎんだろ・・・!ハァ・・・ハァ・・・。」

「ゴールドも、スケボーにしては早かったね。」

 

でも、息も絶え絶えでしばらく話すことはできなさそう。

 

「さて、電話も繋がらないし避難所にも居なかったってことは・・・。」

「ハァ・・・ハァ・・・。オレが・・・着くまでに・・・避難所も・・・見てきたのか・・・?」

「1番最初に見てきたよ。」

「そう・・・かよ・・・!」

 

そんな状態でも返事を返すのは、意地なのか何なのか。

そう思いながら町を見渡していると、震災で傾いた塔の上の階から光が出ていた。

 

「あの光は・・・アカリちゃん?」

「知って・・・んのか?」

「うん、デンリュウのアカリちゃん。行ってくるから、ゴールドはそこで待ってなよ。疲れてるでしょ?ミスタ、お願い!」

 

私はミスタに乗ってスズの塔に向かった。

 

「オレも行くに・・・決まってんだろ!」

 

 

 

 

 

塔の上の方、光が出ている階の外側に着く。

 

「これだけ壊れてたらいいか。ミスタ、このまま突っ込んで!」

 

そして、そのまま外から窓を突き破って中に入り廊下を突き進むと、光を出してるアカリちゃんと、その横で倒れているミカンを見つける。

 

「ミカン!大丈夫?」

「マシロ・・・?どうしてここに?」

「育て屋さんの所で待ってようと思ってたんだけど、ラジオの臨時ニュースで地盤沈下が起きたって聞いてね。飛んできたよ。」

「ありがとうございます。正直助かりました。」

 

ミカンに肩を貸して体を起こす。

 

「急いで来て正解だったね。アカリちゃん、ミカンのこと乗せてくれる?」

 

そう言うと、アカリちゃんはかがんで背中を差し出してくる。その背中にミカンを乗せる。

 

「ありがと。それじゃ、早く出ようか。」

 

そのまま飛び込んできた廊下を戻ろうと振り返ろうとしたとき、人の気配を感じた。

 

「誰かいる・・・。逃げ遅れた人かな?」

 

崩れた廊下の奥に視線を移すと、赤い髪の少年が、ポケモンの彫像の前でなにやらごそごそしている。

 

「アカリちゃん、ミカンのことよろしく。奥にいる人に、ちょっと声をかけてくるよ。」

「奥にも人が・・・?わかりました。気を付けてくださいね。あちこち、崩れやすくなってるので。」

「わかった。ミスタ、いくよ。」

 

私はミスタに乗って廊下の奥に向かった。

廊下の奥では、さっきの少年が未だに避難せずに彫像の前でかがんで何かをしていた。。

そして、振り返らずに声をかけてきた。

 

「誰だ?」

「通りすがりの、正義の味方・・・かな?」

「なんだそれは?」

「君が逃げ遅れて困ってるなら、ついでに助けてあげようかと思ってね。」

「必要ない。」

 

そう言って振り返りながら立ち上がり、視線が交差する。

目付きが悪いなぁ。

 

「何か言いたそうな顔だな?」

「何でもないよ。それより、何をしてた・・・の・・・?」

 

どうやら、また顔に出てたみたいで思わず話を変えようと彫像を見た瞬間。

 

一瞬、呼吸が止まった。

そして、ドクンと自分の心臓の音が聞こえた。

 

()()()()。」

「何?」

 

あの時、ブルーを連れていったポケモン。

彫像のしたには『ホウオウ』と彫られたネームプレート。

 

「ジョウトのポケモンかぁ~。そりゃ博士の所で見つからない訳だよ。と言うか、前にジョウトに来たときに、もっと歴史を調べておくべきだったなぁ・・・。」

「何をぶつぶつ言っている?」

 

隣の少年の声に気づかずに1人で自己嫌悪に陥っているとゴールドが階段をかけ上がってきた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・。やっと、追い付いたぜ!」

「あれ?待っててって言ったのに来たんだ。」

「当たり前だ!オレだけのけ者にされてたまるかよ!」

 

そう元気に叫ぶゴールドが、赤い髪の少年の方を見た瞬間、また叫んだ。

 

「シルバー!?何でここに!?」

「うるさいのが増えたな。あんたもゴールドと知り合いなのか?」

 

うんざりした顔でゴールドを見たあと、私の方を見る。

 

「え、うん。知り合ったのはついさっきだけどね。」

「そうか。友達は選んだ方がいいぞ。」

「そうだね。私もそう思う。」

「けんか売ってんのかおまえら?」

 

意外と気が合いそうだと思いながら2人と話していると、ゴゴゴゴと地鳴りの音が聞こえてくる。

 

「話してる暇はなさそうだね。2人とも、早く出るよ。」

 

と言った瞬間、廊下に土砂が流れ込んできた。

 

「ミスタ!」

 

私は乗っていたミスタに声をかけると、ミスタは全力で廊下を戻っていく。そして、途中でアカリちゃんとも合流して廊下を駆け抜け、ぶち抜いた窓から飛び降りた。

 

「わわわわ。」

「グロウ、お願い!」

 

そのまま地面にぶつかりそうになるアカリちゃんとミカンをグロウが受け止める。

 

「あ、ありがとう。・・・グロウ、久しぶりですね。」

 

ミカンは、受け止めたグロウにお礼を良いながら撫でる。グロウも久しぶりにミカンと会えて嬉しそうだ。

 

「さてと。2人とも、無・・・事・・・?」

 

振り返りながら声をかけるとそこには誰もおらず、かわりに少しずつ沈んでいく塔の姿があった。

 

「いやいやいや、何してるのよあの2人は!?沈んでるんだけど!?」

 

思わず叫んでしまった。

どうしよう、残ってる塔の上だけでも吹き飛ばす?いや、掘り起こす方がいいかな?

と言うか、赤い髪の方は必要ないって言ってたじゃん!

 

「仕方ない、か。ミカン、あっちの方に避難所があるからアカリちゃんに連れていってもらって。避難所なら、手当てしてもらえるはず。」

「マシロはどうするんですか?」

「とりあえず、掘り起こそうかな。」

「え?」

「ま、ミカンは避難所で休んでてよ。アカリちゃん、よろしく!」

「わわ、アカリちゃんもうちょっとゆっくり!」

 

何か言いたそうなミカンを、アカリちゃんに無理やり連れていってもらう。

 

「さてと。かぷちーなら掘り起こせるかな?」

 

かぷちーをボールから出す。

かぷちーは元々洞窟に住んでたから、掘り起こす事はできる・・・はず!

そう思ってかぷちーを出した瞬間、塔から勢いよく水が吹き出し、水と一緒に取り残されていた2人が飛び出してきた。

ゴールドは私の前で尻餅をついたけど、赤い髪の少年は綺麗に着地した。

 

「お見事。」

 

思わずぱちぱちと拍手をしてしまう。

 

「フン。・・・さっきの子は?」

「先に避難所に行ってもらったよ。なにせ、2人が生き埋めになっちゃったからね。どうしようかと思ったよ。」

「助けは必要ないと言ったはずだ。」

「何言ってやがる。オレのニョたろうが居なかったら脱出できなかっただろうが!」

 

ゴールドの横にはニョロトノ、赤い髪の少年の横にはアリゲイツがついていた。

ふむふむ。

 

「地下水を使って、脆くなった地盤ごとぶち抜いた感じかな?地下に沈んだからこそ出来た荒業だね。」

「・・・。」

 

赤い髪の少年は答えなかったけど、少しだけ驚いた表情をしてたから間違ってはなさそうかな。

 

「ま、無事ならいいや。かぷちー、グロウ、避難所に帰るよ。」

 

かぷちーはグロウに乗って、私はミスタに乗ったまま避難所に戻ろうとしたとき、周囲を人影に囲まれていることに気づいた。その人影は、揃いも揃って胸にRのイニシャルを入れた黒い服を着ている。

 

「なんでジョウトにロケット団がいるのかな?」

「町の住人は全員避難したと思ったが、子供が残っていたか。」

 

そう言ったのは、したっぱとは違う服を着ている男。もう1人違う服の女の人がいるけど、その2人がリーダーかな?

 

「お前らは、アルフやヒワダで暴れてやがった残党ども!」

「よく知っているな。だが、姿を見られたからには。」

「そうね。ただで帰すわけにはいかないわね。」

「いや、出てきたのはそっちでしょ?」

「減らず口を・・・!総員戦闘体勢!」

 

叫んだ瞬間、周囲から色んな技やポケモンが飛んでくる。

 

「グロウ!」

 

グロウが私達の前でひかりのかべを張り攻撃を受け止める。

 

「かぷちー!」

 

かぷちーは正面以外の攻撃をはたき落とす。

 

「ミスタ!」

 

私はグロウの上に飛び移ると、ミスタが飛び上がる。そしてハイドロポンプを撃ちながらその場で回転して、周りのポケモンをなぎ払った。

 

「うわぁぁ!」

「ぐあぁ!」

 

吹き出したポケモンに押し潰されたり、ミスタの流れ弾が当たったロケット団から悲鳴が上がる。

 

「2人は大丈夫?」

「や、やるじゃねぇか・・・。」

「お前よりは腕がたちそうだな。」

「なんだとぉ!?」

「大丈夫そうだね。」

 

振り返って声をかけると、けんかを始める2人。けんかするぐらい元気なら大丈夫でしょ。

と言うか仲いいね。とりあえず、私はリーダー格の人に話を聞かせてもらおうかな。

 

「グロウ、いくよ!」

 

グロウに声をかけると、リーダーと思わしき2人の前に飛んでいく。後ろからミスタもついてくる。

 

「わざわざ1人で来たの?それなら、他の奴らは残ったガキの相手をやりな!」

 

リーダー格の女が部下に指示を出すと、他のメンバーはゴールド達の方に行ってしまった。

相手にする人数が減るのはちょうどいいね、話しやすい。

 

「あなた達に聞きたいことがあってね。なんでロケット団がジョウトにいるの?サカキはいないはずでしょ?」

 

もしサカキが戻ってきてるなら、ナツメがシロガネ山であんなにのんびりしてる訳ないし。

 

「今は別の首領が率いているのさ。もっとも、あのお方の目的は世界征服などではないがな。」

「・・・ホウオウと関係があるの?」

「やはり、噂通り油断できない相手のようだ。名前は・・・マシロ、だったかな?」

「よく知ってるね。」

「以前、ロケット団相手に色々と横やりを入れていたらしいじゃないか。その残党がいるんだから、あんたの話も聞いているさ。まぁ、聞いた話ではもっと質素な格好って聞いていたけどね。」

 

残党から私の事を聞いていたみたい。

質素なってことは、ニビシティ辺りの事かな。

まぁ、そこはどうでもいっか。

 

「その新首領って、仮面の男?」

「そこまで知っているのか。いや、そもそもお前の目的があのお方なのか。」

「目的の1つではあるかな。」

「なら、ここで始末しておくか。・・・と言いたいところだが、向こうの様子が芳しくない様だ。」

 

そう言って、リーダー格の女は私の後ろに目を向ける。

私も後ろをチラッと見ると、ゴールド達の周りに沢山のポケモンが倒れていた。

あの2人、意外とやるねぇ。

 

「総員、残りの全ポケモンを用意!」

 

ゴールド達と対峙していたリーダー格の男が、全体に指示を出す。・・・が。

 

「待て。ここにいるのはその2人だけじゃない。ここは引くべきだ。ホウオウの本能、我々の仮説が正しければ目的は果たされたも同然。」

「ぬぅ・・・。やむをえん、総員退避!」

 

男が叫ぶと、したっぱ達が一斉に逃げていく。そして、リーダー格の男が女の隣に駆け寄る。

 

「カーツ、あの女を足止めするぞ。」

「さっさと逃げた方がいいのでは?」

「悠長に背中を見せられる相手じゃない。ペルシアン!」

「分かった。ヘルガー!」

 

互いに3体ずつペルシアンとヘルガーを繰り出す。

 

「「ほえる!!」」

 

そして、そのうちの2体ずつがほえるを使う。すると、自分の体が重たくなった。グロウとかぷちーも動きにくそう。

 

「これは・・・!」

「相手の戦意を奪う技。我らが使えば相手の動きさえ封じる。今のうちに引くぞ!」

 

残ったポケモンにそれぞれがまたがると、踵を返して走り去っていく。

 

「まだ話は終わって・・・!あぁ、もう!」

 

思ったように動けずに悪態をつく。

 

「ミスタ!れいとうビーム!」

 

ほえるを使って無防備な4体をまとめて氷漬けにすると、ようやく体が自由になる。

ロケット団が逃げた先を見ると、大分背中が小さくなっているがまだ追い付けるかな?

グロウとかぷちーを一旦ボールに戻す。

 

「グロウとかぷちーは少し休んでてね。ミスタ、ずっと動きっぱなしだけど追える?」

「ーーーーー」

「ありがと。」

 

ゴールド達をチラッと見ると、疲れたのかその場で話し込んでる。。

あの様子なら、ほっといてもよさそうだね。

 

「きらら!」

『はーい!』

「ロケット団を追うよ!仮面の男を知ってそうだし、全力で捕まえる!きららの力を貸して!」

『わかった、まかせて!』

「いくよ!きらら、ミスタ!」

 

 

ロケット団を追ってミスタは飛び上がった。

 

 

 

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