ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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47話

 

 

いけすかねぇなぁ。

 

オレはマシロに対してそう思っていた。

始めて会ったときにはオレの事を弱いといい、エンジュに着いたときは早かったねと皮肉をいわれた。

お前はオレが来るまでに避難所まで見てたクセに、早いなんて嫌味でしかねーよ!

オレとシルバーが塔の中でもたついていた時も、1人だけ素早く脱出してやがった。

多分、腕がたつのは確かなんだろう。

だからって・・・。

 

「言われっぱなしでいられるかよ!」

「むきになるな。冷静さを欠いたら、勝負にすらならないぞ?」

「わ、わかってらぁ。・・・でもよ、既に1体ずつ戦闘不能なんだぜ?焦るのも仕方ねぇだろ・・・?」

「・・・。」

 

そう言うと、シルバーの奴も黙ってしまった。

しかもあいつのアリゲイツも一撃って、どんな威力だよ。

 

「良かったら使って。」

 

そう思っていると、鞄から取り出した何かをこっちに投げてよこす。それを、シルバーと同時にパシッと受けとる。

拳を開くとそこにはげんきのかけらがあった。

 

「へっ、気のきいたことで。」

「・・・。」

 

オレ達がそれをバクたろう達に食べさせると、元気になった様でその場で跳び跳ねる。

 

「お、やる気十分ってか?」

「いくぞ。」

 

あいつのアリゲイツも立ち上がった。

 

「それじゃ、かぷちーとグロウ。よろしくね。」

 

マシロが、かぷちーと呼ばれた小さいポケモンと、グロウと呼ばれた大きいポケモンが前に出る。

さつき、バクたろうとアリゲイツをポケモンを倒した奴らだ。

 

「1撃で戦闘不能にされたんだ。気を付けろ。」

「分かってらぁ!」

「2人とも、あんまり壊さないでよ?復興するのも大変なんだから。」

 

あいつはさっきから町の事ばかり言いやがる。オレ達のことは眼中にないってか?

さっきからイラつかせやがるぜ。

 

「・・・ん?きららはお休みだよ。きららが戦っちゃうと、町が無くなるかもしれないし。・・・加減しても、地盤が脆くなってる町だからね。沈んじゃうかもしれないからダーメ。」

 

あいつ、あのフワフワ浮いてる奴と話てんのか?

 

「それじゃ、いつでも来なよ。」

 

話終わったのか、オレ達に声をかける。

 

「アリゲイツ、きりさく!」

「遅れんなよ!バクたろう、ひのこだ!」

 

マグマラシが放ったひのこの後ろを、アリゲイツが駆ける。

 

「グロウ、ひかりのかべ!」

 

だが、グロウと呼ばれたポケモンが前に飛び出し、ひかりのかべでひのこを受け止める。

ひかりのかべを貼ったそいつに向かって、アリゲイツが腕を振り上げる。

 

「ふいうち!」

 

が、アリゲイツを小さい方のポケモンがぶっ飛ばした。

 

「マジかよ!あの体でどんなパワーだ。ちっ・・・。バクたろう!」

 

ぶっ飛ばされたアリゲイツを受け止める為に、バクたろうがアリゲイツの方に飛び上がると、バクたろうを踏み台にしてもう1度小さい方のポケモンに飛びかかった。

 

「かみつく!」

「ほのおのきば!」

 

今度はアリゲイツの顎とかぷちーと呼ばれたポケモンの大顎がぶつかり合う。・・・が、苦しそうなのはアリゲイツの方だ。

 

「くっ・・・。やはり、体力が減っている分、厳しいか。」

「だったら、2人で倒すまでだ!バクたろう、かえんぐるまで援護だ!」

「ッ・・・!よせ、相手は1体じゃないんだぞ!」

「行かせないよ。コメットパンチ!」

 

アリゲイツの援護に向かうバクたろうを、大きい方のポケモンが横からぶん殴った。

 

「バクたろう!?」

 

バクたろうは、オレの足元まで吹き飛ばされる。

 

「かぷちー!」

 

それと同時に、アリゲイツも小さい方にぶん投げられて、シルバーの足元に叩きつけられた。

 

「アリゲイツ・・・!」

「ちっ!やりやがる・・・!」

 

体力が減ってるとはいえ、ここまで一方的にやられるのかよ!

 

「さて、まだやる?」

 

一区切りついたと言わんばかりに聞いてくる。

まだ勝負は始まったばかりだろうが!

 

「当たり前だ、まだ手持ちは残ってる。それに、あんたにまだ吠え面かかせてねぇからな!」

「次だ。ニューラ!」

 

シルバーはニューラを出して、スピード勝負に出るってところか?

 

「だったら・・・ウーたろう!」

 

オレはパワーで押すぜ!

 

「オレが小さい方の相手をする。お前は大きい方をやれ。」

「オーケー。今度は体力が満タンだ。さっきみたいにはいかないぜ!」

 

ニューラが小さい方、ウーたろうが大きい方と対峙する。

 

「ウーたろう、ばくれつパンチ!」

 

ウソッキーが地面を削りながら、相手に突っ込む。

 

「グロウ、受け止めるよ。てっぺき!」

 

そんなウーたろうを、相手は手を交差させて受け止め、地面に足を突き立てて堪える。

 

「へっ!そんなんで耐えられるかよ、いけぇっっ!」

 

ウーたろうのばくれつパンチは、相手の体を地面を削りながら数メートル後退させる。

その最中、破片が辺りに散らばりそのうちの1つがシルバーの腕につけていたポケギアを弾き飛ばした。

 

「おい・・・!」

「わりぃわりぃ。」

 

シルバーに睨まれる。

よくあることだ、気にすんな。

 

「それに、ウーたろうの攻撃はちゃんと当たってるじゃねえか。」

「そうか?オレには効いてない様に見えるが。」

「ないぃ!?」

 

砂ぼこりが晴れると、腕を交差させてばくれつパンチを受けきったポケモンの姿が現れる。

 

「マジかよ!」

「次はこっちの番だね!コメットパンチ!」

 

驚いた表情のウソッキーに対して、今度は相手の拳が振り上げられる。

 

「ものまねだぁ!」

 

とっさにものまねで、同じ技をそのまま返し、互いの拳がぶつかり合う。

が、その拳は弾かれ、そのままウーたろうの体を撃ち抜き、さっき後退した倍の距離、弾き飛ばした。

 

「嘘だろぉ!?」

 

同じ技でもここまで一方的に負けるのかよ!

 

「ちっ!ニューラ、いわくだき!」

 

一方、シルバーの方を見ると、ちょこまかと跳び跳ねる相手を捕まえられずに、しびれを切らしたのか、力業で突っ込んでいた。

 

「かぷちー、ほのおのきば!」

 

それを大顎で受け止めると、そのままギリギリと締め付ける。

 

「ニューラ!?ヤミカラスつばさでうつ!」

 

その姿を見たシルバーは、ヤミカラスを繰り出し、挟んでいたポケモンを弾き飛ばす。

大顎から解放されたニューラは、地面に着地すると片ひざを着いた。

弾き飛ばされた方は、空中で体制を立て直すとスッっと着地した。

 

「おい、シルバー!全然歯が立たねぇぞ、どうなってんだ!」

「それだけ力の差があるんだろう。・・・聞いていた通りの実力だな。」

「あん?お前、あいつの事知ってんのか?」

「・・・3年前と1年前にカントーで起きた事件を知っているか?」

「カントーっつうと、ロケット団と四天王の事か?」

「そうだ。その事件の解決に一役かっていたそうだ。」

「にゃろう、だからあんなに余裕なのか・・・!」

 

実力があるのは理解した。だが、オレはまだ諦めねぇ!

 

「1対1を何度やっても無理だ。息を合わせて2対2で戦うしかない。」

「言いたいことは分かるが、出来んのか?」

「勝つためにはやるしかない。行くぞ!」

 

ウーたろう、バクたろうはやられちまった。・・・なら!

 

「ニョたろう!」

「リングマ!オレが前に出る。お前は後ろから隙をつけ。」

「分かった!」

「かぷちー、グロウ、来るよ!」

 

リングマの後ろをニョたろうがついていく。

それに対して、大きいやつが前に出ると、リングマと組み付いた。

 

「今だ!」

「ニョたろう、ばくれつパンチ!」

 

リングマを飛び越え、上からばくれつパンチを叩き込もうとする。

 

「かぷちー!」

 

マシロが叫ぶと、小さい方がニョたろうに向かって飛び上がる。

 

「させるか、リングマ!みだれひっかき!」

 

組み付いていたリングマが飛び上がり、爪と顎が火花を散らす。

ナイス、シルバー!

 

「頭上ががら空きだぜ!」

 

邪魔者がいなくなったニョたろうのばくれつパンチが、青い鋼鉄の体を地面に叩きつけた。

 

「よっしゃ!」

 

喜ぶオレに対して、シルバーの顔色は悪い。

 

「戻れ、リングマ。」

「ん?いい感じなのに戻すのかよ?」

「よく見ろ。」

 

戻ってきたリングマの爪を見るとボロボロになっていた。思わず相手のポケモンを見るが平然としている。

 

「今の一瞬でボロボロかよ・・・。」

「ああ。それに、リングマだけじゃない。見ろ。」

 

シルバーに言われニョたろうを見ると、ばくれつパンチを叩き込んだ手が真っ赤に腫れている。

そして、叩きつけられたはずの相手はその場でムクリと起き上がった。

 

「まじかよ、あいつらどんな硬さしてやがる。」

「2体とも、鋼のような体だ。生半可な攻撃だと、こっちの首を絞めるだけだ。」

 

クソっ、オレの残りはエーたろう、キマたろう、トゲたろう。ニョたろうのばくれつパンチが通じなかった以上、あいつらに対抗できるポケモンはいねぇ・・・。

 

そう思ったとき、地面に落ちたシルバーのポケギアから声が聞こえた。

 

『シルバー、次の指示だ。いかりの湖に向かえ。詳細は不明だが、そこでポケモンに変わった動きがあったらしい。まずは現場を確認しろ、以上だ。』

 

それだけ言うと通話は切れた。

 

「おい、シルバー。今のは?」

「ゴールド、悪いが共闘はここまでだ。」

「なんだと?」

 

声の事を考えていると、シルバーはハイパーボールを取り出した。

 

「いけっ、バンギラス!」

 

声と共にボールを投げると、現れたのはバンギラス。

 

「オイオイオイ、お前こんなやつ持ってたのかよ!」

「ああ。だが、レベルが高すぎて、オレの手には負えないようなポケモンだ。だから、共闘は無理だ。」

 

ボールから出た瞬間、周囲にすなあらしが吹き荒れる。

酷いすなあらしに、思わず顔をしかめる。

 

「そう言うことかよ・・・!」

 

でも、これほどの力を持ったバンギラスだ。マシロの奴だって!

そう思い、マシロの方を見た瞬間だった。

 

「町の中で、自分の手に負えない様なポケモンを出さないでくれるかな?」

 

さっきまでとは違う一段低い声に、全身に鳥肌がたち、冷や汗が流れる。

なんだ?こいつ、急に雰囲気が・・・。

ちらりとシルバーの方を見ると、シルバーも同じ様子だった。

 

「きらら、メテオビーム!」

 

そんな中できららと呼ばれたポケモンが前に飛び出す。そして、はかいこうせんに似た閃光を放つと、すなあらしごとバンギラスを撃ち抜いた。

 

「なん・・・だと・・・。」

「まじ・・・かよ・・・。」

 

直撃を受けたバンギラスはそのまま倒れる。

そして、呆気に取られているオレ達に近づきながら、ポケギアを差し出す。

 

「ほら、負けたら出るって約束でしょ?」

「・・・そうだったな。」

「な、オレはまだ戦えらぁ!」

「今のを見て、まだ勝てると本気で思っているのか?」

「ぐっ・・・!」

 

言葉につまる。

確かに、ああもあっさりバンギラスを倒す事なんてオレにはできない。

つまり、それだけ実力の差があるってことだ。

・・・悔しいが、認めないといけねぇようだ。

そう思っていると、シルバーがポケギアを受け取る。

 

「もしもし?」

 

シルバーがポケギアを受け取った瞬間。

 

『もしもし?じゃないわよ!このばかシルバー!』

 

 

 

 

ポケギアから誰かの叫び声が聞こえた。

 

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