いかりの湖での戦いの後。
うずまき島に行くと、炎に囲まれたゴールドとシルバー、そしてそれを見守るエンテイの姿があった。
「ありがとね、お陰で助かったよ。」
そう言って頭を撫でると満足そうに頷き、エンテイは走り去っていった。
・・・結局、エンテイの目的はなんだったんだろう?
まぁいっか。とりあえず、今はゴールド達が起きるのを待とうか。それまでに少し仮面の男の情報を整理しておこう。
1.仮面の男はジムリーダーの可能性がある。
これは、ゴールドとシルバーの2人を倒してるし、デリバードのタフさからしてもほぼ確定と見ていいんじゃないかな。
2.コマを集めてる。
ロケット団の残党を集めてるし、コイキングを強制進化させてたらしいから、戦力的には質はともかく数は揃ってそう。
3.氷の人形を遠隔で操作してる。
これのせいで、いくら倒しても尻尾を掴めない。
この中でも、氷の人形ってのが問題だね。倒しても正体が掴めないし、代わりもきく。
それに、遠隔操作っていうハンデがあってもゴールドとシルバーを倒してるんだよね。
私はきららがいるし、相手にとっては意表をつかれた感じになったから完勝できたけど。仮面をつけてたり、氷の人形だったりで、かなり用心深い相手だし、次戦うときは対策されてそうだなぁ。
考えれば考えるほど、次に会ったら不利な戦いになりそう。
逆に言えば、対策がとれるまでは私の前には出てこないかも。
それなら、
相手はおそらくジムリーダー。なら、ジムに行けば会えるはず。ジム戦って言えば断れないだろうし。
まぁ、その前にゴールド達を何とかしないとね。
そう思ってたけど、ゴールド達が目を覚ましたのはそれから3日後の事だった。
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「・・・ん?ここは?」
「あ、ようやく起きた?」
薄暗い洞窟の中、体を起こしたゴールドに声をかける。
「助かった・・・のか。マシロが助けてくれたのか?」
「ギリギリだったけどね。あの時の通話が無かったら、間に合ってなかったかも?お手柄だったね。」
「役に立ったなら何よりだぜ。しっかし・・・。」
ゴールドは言葉を区切り、大きく息を吸い込む。、
「負けちまったぜええぇぇぇ!!!」
両腕を上げて思いっきり叫ぶと、そのまま後ろにパタンと倒れ込んだ。
「くそっ。シルバーと2人なら何とかなるかと思ってたが、マシロが来るまでの時間稼ぎしかできなかったぜ、チクショー!」
「湖ごと凍らせるとは、オレも想定外だった。」
ゴールドより先に目を覚まして、洞窟の隅の岩にもたれて座っているシルバーも話に加わる。
「んだよ、お前はもう起きてたのか。」
「ああ。起きてそうそう、お前は元気だな。」
「オレの取り柄の1つだ!」
「ゴールドも目覚めた。いい加減、こんなところに連れてきた理由を話してもらおうか。」
そう言って、シルバーは私の方を睨みつける。
2回も説明するのは面倒だから、ゴールドが起きるまで待っててもらったんだよね。
そのせいですごい不機嫌そうだけど。
「こんなところ?」
さっき目が覚めたばかりでゴールドが話についていけずに困った顔をしながらムクリと起き上がる。その様子を見て、シルバーが答える。
「ここはうずまき島だ。」
「はぁ!?なんでそんなジョウトの隅っこに!?」
「・・・それを今聞いてるんだ。」
そう言うやいなや、2人してこっちを向く。
そんな急かさなくてもちゃんと説明するってば。
「うずまき島はいかりの湖とは反対の場所にあって、仮面の男に見つかりにくい場所かと思って。ってのが1つ。」
「なら、こんな誰もいない島じゃなくてタンバシティとかでも良かったんじゃねぇのか?」
「私もこんな洞窟で、子守なんてしたくなかったんだけどね。」
「子守だとぉ?」
「ハァ・・・。いちいち突っかかるな、話が進まん。」
「ぐっ・・・。ハイハイ、分かったよ!」
シルバーに諌められると静かになるゴールド。
「じゃ、続けるよ?確かに、反対の場所って意味ならタンバでも良かったんだけどね・・・。仮面の男って、ジムリーダーの可能性があるんでしょ?」
「だから、ジムのあるタンバシティを避けたのか。」
「そゆこと。シルバーは話が早くて助かるよ。これが2つ目。」
「でも、仮面の男はいかりの湖にいたじゃねーか。ってことは、ジムはもぬけの殻なんじゃねーの?」
「ジムリーダーが仮面の男1人ならね。」
「・・・2人以上のジムリーダーが関与している可能性があると?」
「オイオイオイオイ、それは洒落になんねーなぁ!」
「ま、あくまで悪い方のパターンを想定した場合だけどね?」
「だとしたら、ポケモン協会真っ黒かよ・・・。」
実際にカントー、ジムリーダーの半分がロケット団だったからね。ほんと真っ黒だよ。いや、真っ青かも。
「それに、仮面の男が
「・・・どういうことだ?」
「・・・??実際にいたじゃねーか?」
シルバーは怪訝な表情をして聞いてくる。
ゴールドも意味が分からないと言いたそうな顔をしてる。
「あそこにいたのは、氷の人形だった。仮面の下にレンズの付いたポケギアをはめて、マントの下にゴースを隠して、あたかも人であるかの様に動かしてたんだ。」
「!!」
「・・・待て。」
絶句するゴールドとは裏腹に、シルバーは静かに制止してくる。
「お前が仮面の下見た、ということは。・・・倒したのか?仮面の男を。」
「うん。手強かったよ。」
「聞いていた以上の実力・・・か。」
「マジカヨ・・・。やっぱりあの時、マシロに頼んで正解だったぜ。」
「ま、そういうことだからジムのある町は避けたんだ。」
「成る程、理解した。」
「おーけー、事情は分かったぜ。」
とりあえず、ここに来た理由は理解してもらえたかな。
「で、ここからが本題。」
そう言うと、2人して首をかしげる。
「貴方達には、しばらくここで過ごしてもらうから。」
「ハァ!?」
「何故だ?」
「私は仮面の男を倒したけど、中身は氷の人形だった。ってことは、まだ本人は自由に動けるのは分かるよね?」
2人は頷く。
「で、自分の正体を隠してる様な奴が、1度負けた相手とまともに勝負してくると思う?」
「いや、それはねぇだろ。」
「なら、どうすると思う?」
ゴールドは少しだけ考え込むとすぐに答える。
「数を集める、か?仮面の男自身がコマを集めてたみたいだし。」
「50点、かな。仮面の男が氷の人形を使って自分で動いているぐらいだから、あいつらが集められる数って多分、ロケット団の残党ぐらいだと思うんだ。」
他に頼れる人がいるなら、自分で氷の人形なんて操作して動いたりはしないだろうしね。
「だが、ロケット団の残党ならオレとゴールドで蹴散らせる程度の強さだ。時間稼ぎにしかならないだろう。いくら集めてもマシロを倒せるとは思えん。」
「そゆこと。」
私の言葉にシルバーが続く。
ホントに話が早くて説明が楽だね。
「なら、どうすんだよ?」
「・・・弱味につけこむ、か?」
「お、シルバー80点。じゃあ、残りの20点。その弱味はなんだと思う?」
「いやいや、マシロの事なんてよく知らねぇよ。」
「それは仮面の男も同じだよ。」
そこまで言うと、シルバーがハッと気づく。
「・・・オレ達、か。」
「正解。シルバーは察しがいいね。」
「??どういうことだ?」
話に付いていけてないゴールドに、シルバーが説明を始める。
「仮面の男の視点に立ってみろ。オレ達に止めをさそうとした瞬間、マシロはオレ達を助けに入ったんだ。オレ達とマシロに、何らかの関係があることは想像できるだろう。」
そう聞いて、ゴールドが手を叩く。
「仮面の男からすれば、マシロが助けに入るような間柄の人間に見えるって訳か。」
ここまで説明すればゴールドも分かったみたい。
「そういうことだ。マシロを消そうとするなら、まずはオレ達を人質に使おうとする可能性がある。実際、オレ達は仮面の男に敗北している。狙うにはうってつけだ。」
シルバーは冷静に現状を把握してるね。
ゴールドは悔しそうな表情をしてるけど、文句は言わなかった。
「理解したかな?だから、2人にはここで特訓をしてもらって、最低でも仮面の男から逃げられる程度の実力はつけてもらうよ?」
「なるほどな、だから子守か。だが現状、仮面の男に敵わなかった今、願ったり叶ったりだ。」
「だな。それに、逃げられる程度なんて言うなよ。倒せるまで鍛えやがれってんだ!」
2人共、笑みを浮かべて答える。
ゴールド達の意気込みはバッチリみたいなんだけど、問題点が1つ。
私、誰かにポケモンバトル教えたことないんだよね。
・・・大丈夫かな?