タンバシティ。
海に囲まれた、海の町。うずまき島から1番近くて、ジムのある町。
辺りが暗くなった町外れ。何故か大型の4足歩行のポケモンと、2人のトレーナーが戦っていた。
「透き通った体に、4足歩行の大型ポケモン・・・。どう見ても、焼けた塔から飛び出したポケモンの1体だよねぇ・・・。」
前に会ったエンテイは仮面の男と戦ったときにゴールド達を助けてもらったけど、目的はよく分からなかった。ただ、仮面の男とは敵対してるっぽい。
こっちのポケモンはエンテイとはまた別の目的で動いてるのかな?よくわかんないや。
「あ、逃げ出した。」
そんな事を考えながら戦いを見ていると、大型のポケモンが踵を返して2人から遠ざかっていき、やがて見えなくなった。
何だったんだろう?逃げる姿を見た感じ、余力は残ってそうだし、本気じゃなさそうだったけど。スイクンの相手をしていたあの2人聞けば分かるかな?
「相変わらずなりふり構わねぇ戦い方をするなぁ、おまえは。そんなんだから弟子に逃げられるんだよ。」
「ああ。『トレーナー自身も鍛える』っていうオレの方針は、時代には合わんらしい。4年前にカントーに戻ったヤツが最後の弟子だ。しかし、そいつがトキワのジムリーダーに就任したって便りが来てな。オレのやり方は間違ってなかった、とも思ったよ。」
「お疲れの所悪いけど、さっきのポケモンとどういう関係?」
2人は一息つきながら話していたけど、辺りも暗くなってきてる。申し訳ないけど、本題から入らせてもらおう。
「なんだ、お前は?」
「おいおい、若者に対してはそんな刺々しくせずに、もっとおおらかにいこうぜ。またあんたの弟子みたいに逃げられんぞ?」
「ヌゥ・・・。」
上半身裸の胴着の人を、ジャケットを羽織った人が諌める。
と言うか、胴着の人ってジムリーダーのシジマさんじゃ・・・。
一通りジムリーダーの顔と名前は調べておいたから見覚えがあった。
「それで、嬢ちゃんはさっきのポケモンの事が知りたいってことでいいのか?」
「あ、うん。そんな感じ。」
「さっきのポケモンは、スイクンと呼ばれている。オレの前に急に現れたと思えば戦いを挑んできた。聞いた話だと、フスベジムのイブキのところにも現れたらしい。」
「そして、ジムリーダーであるオレ・・・か。」
「つまり、強いものを求めてさ迷っているって所だ。どうだ、参考になったか?」
「うん。ありがと。」
スイクンは強い者を探してさ迷っているらしい。
なんでそんなことをしているのかは分からないけど、今のところはジムリーダー並の相手の前に現れてるって事かな。
「それで、嬢ちゃんはあのポケモンとどういう関係だい?」
「えっと、特に関係があるわけじゃないんだけど・・・。」
「関係がないのに首を突っ込んできた、と?」
シジマに怪訝な目を向けられる。
まぁ、急に出てきて関係ないのにスイクンの事を聞いてくるとか、不審者でしかないよね。
「スイクンと直接の関係はないよ。少し前、スイクンと同じ焼けた塔から飛び出したポケモンのエンテイと会ってね。それで、あの子達の目的が知りたくて。」
「ってことは、嬢ちゃんもエンテイと戦ったのか。」
「いや、一緒に散歩しただけだよ?」
「ハァ?」
今度はジャケットの人にも怪訝な目を向けられる。
実際、仮面の男と対峙するまで一緒にいただけだしね。嘘は言ってない。
「だから、戦ってるのを見てどうしたのかなー、って。」
「つまり、エンテイはお前に目もくれなかった、と。」
「おい、シジマ言い方。」
「いいよ。実際、私はエンテイと戦ってないし。」
もう一度、ジャケットの人が諌めようとしたのを止める。この人の遠慮のない口調を毎回諌めてたら、話が進まなさそう。
「ところで、そっちの人はジムリーダーのシジマって人であってる?」
「そうだが?」
「話ついでに、もう1つ。ジム戦、受けてもらえるかな?」
「クックック・・・。ハッハッハッハッハッ!」
私の言葉を聞くと、シジマさんは次第に笑いを堪えられなくなったように大声で笑いだした。
「エンテイには相手にされなかったと言うのに、いっちょ前にジムリーダーに挑むか!良かろう、明日の朝、ジムでお前の挑戦を待つ。名前は?」
「マシロ。」
「マシロ、お前の挑戦を待っているぞ。」
そう言うと、シジマさんは1人で町の方に戻っていった。
置いていかれたジャケットの人は、申し訳なさそうに頭をかきながら謝ってきた。
「悪いな、嬢ちゃん・・・っと、マシロって言ったか。あいつはあんな感じで昔気質なところがあってな・・・。」
「いいよ、気にしてないから。それに、今はジムリーダーと仲良くする気はないし。」
「なにか訳アリってことか。」
「そんなところ。」
仮面の男の可能性があるジムリーダーと仲良くするなんて嫌だしね。そう言うとハヤテさんは渋い顔をしたが、それも一瞬だった。
「おっと、自己紹介がまだだったな。オレはハヤテ。よろしくな、マシロの嬢ちゃん。」
「よろしく、ハヤテさん。それじゃ、明日はジム戦だから、私はポケモンセンターにいくよ。」
「それなら一緒に行くぜ。オレもさっきの戦いで疲れたしな。」
ということで、ハヤテさんと一緒にポケモンセンターに行くことになった。
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次の日。
ジム戦を終えた私は、何故か高笑いしているハヤテさんとジムを出た。
「ハッハッハッハッハッ!!見たかあの顔?苦虫を噛み潰したような顔をしてたぜ!」
「いや、笑いすぎでしょ。」
というのも、ジム戦でミスタがはっちゃけた。
相手のニョロボンに対して空中から一方的に10まんボルトを浴びせ続けて、ニョロボンの攻撃はすべて躱しきった。
「あんたのスターミー、すげぇ綺麗な戦い方するんだな。あいつの攻撃を全部躱すとか、やるじゃねぇか。」
「いつもは躱したりせずに、正面からぶち破るんだけどね・・・。」
多分、昨日の『エンテイに相手にされなかった。』って言われたのが気に入らなかったのかもしれない。
だから、いつもなら正面から受け止めるような攻撃も全部躱して遠距離から一方的に叩きのめした。
「多分、実力を示したかったんだろうね。ミスタ、負けず嫌いだから。」
「ふぅん。よくわからんが、お宅のスターミーは納得したのか?」
「うん。ご機嫌だったよ。」
最後、『マシロ、お前の事を見くびって礼を失していたようだ。昨日は笑ったりしてすまなかった。』ってバッジを渡しながら頭を下げられた。
それでを見て満足したのか、ミスタは機嫌が直った。
「それで、マシロはこれからどうするんだ?次のジムに向かうのか?」
「うん。次はエンジュのジムに向かおうと思ってる。」
「エンジュと言うと、マツバの所か。でも、今あいつはエンジュにいないぜ?」
「え?まだ帰ってきてないの?」
エンジュ復興の時も不在だったし、どこをうろついているのやら。
ジムリーダーってこんな適当でいいの?
そういや、ミカンもウロウロしてたっけ。
「マツバは特別な力、千里眼の持ち主で、依頼を受けたら人やら物やらを探すためにあちこち出向いてるのさ。ま、人がいいあいつだから断れねぇんだろう。確か、今はエンジュから北西にある村に出向いてるんじゃなかったか?」
「そうなんだ。なら、そっちに向かってみるよ。情報ありがとね。」
「いいさ、あいつのあんな顔が見れたんだ。安いもんだ。」
そう言ってまたクックックッと笑う。
あの人の顔がそんなにツボに入ったんだ。まぁ、そのおかげで無駄足を踏まずにすみそうだ。
「でも、やけにジムリーダーに詳しいね。」
「あぁ、やっぱり気になるか?」
「そりゃ、ね。」
なんてったって、仮面の男に繋がる最短ルートだし。
「昨日訳アリって言ってたから、言い出しづらかったんだが・・・。実は、元ジムリーダーでな。少しばかり詳しいんだ。」
「元ジムリーダー、ね。そりゃ詳しいわけだよ。」
元ジムリーダーと言われて、色々と納得した。
と同時に、警戒度を上げておく。
「おっと、そう警戒しなさんな。こうなると思って黙ってたのによ。」
両手を上げておどけたように言うと、私から距離を取る。
「ま、その様子だと言っても聞かなそうだな。なら、オレは行くことにするぜ。ジムリーダーと仲良くする気は無いんだろ?」
「そうだね。ここで別れたほうがお互いに良さそうだ。」
私がそう言うと、ハヤテさんはエアームドを繰り出しその背中に乗る。
「それじゃあな!今日は良いもの見させてもらったぜ!」
私達はお互いに手を振りながら、ハヤテさんは飛び去っていった。
とりあえず、今日は休んでからエンジュ北西にある村に向かおう。
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シジマ
昔気質のおじさん。あのタイプは裏表がないから、仮面の男の可能性は低そう。
ハヤテ
気ままなおじさん。元ジムリーダーだから、可能性は無きにしもあらず、かな。まだジムリーダー全員と会ったわけじゃないから考えは保留。