ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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55話

 

ジム戦での疲れをとるため一晩休んだ後、ミスタに乗って私はマツバさんが来ているという、エンジュから北西にある村に向かっていた。

 

ちなみに、ポケモン協会が発行しているタウンマップには、基本的にジムとそれに隣接する町、ポケモンセンターのある町しか載せてないからこの村は載っていない。

だから、それ以外の町や村を調べたかったら、別の企業が発行するタウンマップを買わないといけないんだけど、このタウンマップには以前ジョウトに来た際にお世話になった。あれから何年もたったけど、ずっと仮面の男を追い続けてるのに、あまり進展した気がしないや。

 

そんなことを考えていたからか、私達に近づいてくるポケモンに気づかなかった。

森の中から飛び出したポケモンは、そのまま私達と並走してくる。

 

「わわっ、と・・・。え、・・・スイクン?」

 

森の中を進む私達に並走してきたのは、昨日シジマさん達と戦っていたスイクン。エンテイのときもそうだったけど、急に出てきて並んで走るのが好きなの?

ミスタとスイクンは少しだけ話をしたと思ったら、急にブレーキをかけて停止した。

 

「おっと・・・。ミスタ、どうしたの?」

 

慣性で前のめりになりながら声をかけるが、動こうとしない。ふと、スイクンを見ると戦闘態勢のように体をかがめている。

 

「ミスタ?もしかして、戦いたいの?」

「ーーー」

 

私の言葉にうなずくミスタ。

いや、このあとジム戦があるからあんまりやりたくないんだけど・・・。そう言えば、スイクンは強いものを探して彷徨ってるってハヤテさんが言ってたっけ?私も目をつけられた、と。

ミスタもやる気になってるし、こうなるとミスタは聞かないもんね、仕方ない。

 

「分かった。少しだけだよ?」

 

ミスタから降りて、少しだけ離れる。

それを見たスイクンは開戦の合図とばかりに、額のクリスタルを輝かせ、オーロラビームが放つ。

 

「れいとうビーム!」

 

それに対してれいとうビームをぶつけて相殺すると、ぶつかりあった中央から周囲一帯が凍りつく。

やや私側に偏ってる辺り、氷技の威力はスイクンの方が上だね。

 

「ミスタ、10まんボルト!」

 

続けてミスタに指示を出し、攻め続ける。

れいとうビームは相性的に良くないし、そもそも力負けしてる。ハイドロポンプは凍らされて終わりだろうから使えない。

結果、相性的にも有利な10まんボルトで攻めたてる。

 

が、スイクンは森の中に飛び込むと周囲を駆け回り、木の影に隠れながら射線から逃げ続ける。うーん、速いなぁ・・・。

こうも速いと、逃げるのを捕らえるのは難しいかな。

 

「ミスタ、ストップ。」

 

捕まえられないならしょうがない、違う手を考えないと。

森の中から出てこないと攻撃は当てられない。なら、次に森から出てきたとき・・・つまりスイクンが攻撃を仕掛けてきたとき。そこを狙う。

 

ストップというとミスタは10まんボルトを止めて、私の意図を理解したのか力を溜めはじめる。

 

そんな最中、スイクンが周りを駆けながら、かぜおこしを繰り出す。そしてそれに混ざって氷の刃が飛んでくる。

 

「ミスタ、こらえて!」

 

力を溜めているミスタは技が撃てないから耐えてもらうしかない。

氷の刃がミスタの体にぶつかり傷だらけになるも、ミスタは怯むことなく力を溜め続ける。

その様子を見てらちがあかないと思ったのか、スイクンが額のクリスタルを輝かせながら森の中から飛びだした。

 

「メテオビーム!」

 

瞬間、スイクンのオーロラビームとミスタのメテオビームがぶつかりあい、メテオビームがオーロラビームを貫いた。

そして、そのままスイクンに当たると思った瞬間。

 

スイクンの前に輝く半透明の壁が展開され、メテオビームが押し止められた。

 

「嘘でしょ、あのメテオビームを止めるの?」

 

いつもよりも溜め時間が長いメテオビームの威力は当然、普段のものよりも高い、はずなんだけどなぁ。

それを押し止めるあの壁、強度がスゴイ。

スイクンの前の半透明の壁を見ていると、ピシッっとヒビが入る。その時、気づいた。

 

あれ・・・?あの壁、グロウのひかりのかべとは少し違う?

まじまじと観察して、壁の正体に気づく。

 

あれ、ミラーコートだ!

 

瞬間、スイクンのミラーコートは砕け散るが、メテオビームが跳ね返ってミスタを飲み込んだ。

あまりの衝撃に顔を覆う。光と衝撃が収まり周囲を見ると、地面を穿ったクレーターの中で倒れているミスタ。

そして、その前に静かに降り立つスイクン。あー、これは完敗かな?

 

と思ったらスイクンもその場に倒れ込んだ。

 

あれ、スイクンもすごく消耗してる・・・?

もしかして、さっきのミラーコートって大分無理してた?

確かに、さっきのメテオビームはフルチャージって程じゃないけど、かなり力は溜めてたからミラーコートを維持するのにはかなりの体力が必要なはず。最後まで持ちこたえたとはいえ、結局砕けちゃったし。

ってことは、ミスタが力を溜め始めてからすぐに動いたのはメテオビームがヤバいことに気づいたからかも。

戦いながらその判断をしたってこと?

考えれば考えるほどすごいポケモンだねぇ・・・。

 

まぁ、でも今回は。

 

「今回は痛み分けって所かな?いや、ミスタが起き上がれないから私達の負けだね。」

 

起き上がれないミスタと、疲れ切っただけのスイクンではかなりの差がある。

ミスタはしばらく起き上がれないだろうけど、スイクンは少し休めば動けるようになると思うし。

 

「でも、なんで急にバトルを仕掛けてきたんだろう?ハヤテさんは強い人を探してるって言ってたけど、そのため?」

 

スイクンに尋ねると小さく頷いた。

ってことは、腕試しみたいなものかな?腕試しにしてはお互い死力を尽くしてる気がするけど。

そんな事を思っていると、スイクンは立ち上がり少しだけ見つめ合うとそのまま駆け出して行った。

 

「よくわからないけど、納得したのかな?お疲れ様、ミスタ。惜しかったね。」

 

ミスタをボールに戻しスイクンの後ろ姿を見送っていると、どこからかパチパチと拍手する音が聞こえた。

 

「見事な戦いだった。あのスイクンと互角に渡り合うとは驚きだ。」

 

音のする方に振り向くと、金髪の髪にバンダナを巻いた青年。

 

「あれ、もしかして・・・マツバさん?」

「ああ。オレはマツバだが、お嬢さんは?」

「マシロって言います。実はマツバさんに挑戦しようとここまで来たんだけど、ばったりスイクンと遭遇しちゃって・・・。」

「ふむ。塔から飛び出した3体のポケモンが各地のジムリーダーに挑んでいるらしいが、君もスイクンに挑まれたのか。・・・ん?オレに挑戦?」

「はい。ここにマツバさんがいるって聞いて来たんですけど、スイクンと戦っちゃったから・・・。」

「そうか。片方だけ連戦というのはフェアじゃないな。・・・だが、その心配はいらない。」

 

心配はいらない?どういうこと?

私が首をかしげると、マツバさんはファントムバッジを差し出した。

 

「今の戦いを見て、君の実力は分かった。戦わなくてもいい。このバッジを持っていくといい。」

「あ、どうも。」

 

流れでバッジを受け取る。

いやいや、受け取っちゃ駄目でしょ!

バッジが目的じゃなくて仮面の男かどうかを見極めたいのに、戦わないと分からないし、意味ないじゃん!

・・・ん?今の戦いを見てたってことは、いつから見てたんだろう?

 

「ちなみに、今の戦いどこから見てました?」

「オーロラビームとれいとうビームがぶつかりあった辺りからかな。それより、スイクンとの戦いで疲れただろう?この先の村で休むといい。」

 

そう言うとマツバさんは歩き出した。

私はその後ろを追いかけながら考える。

 

オーロラビームとれいとうビームがぶつかりあった所って、ほぼ最初から見てたってことだよね?

もし仮面の男の正体がマツバさんなら、後ろから刺すなんてことは普通に有り得そうなんだけど。

 

そうしなかったってことは、マツバさんは仮面の男じゃないと見ていいかな?

 

 

ーーーーーー

 

マツバ

千里眼を持っているらしい。スイクンとの戦いを察知して最初から見れたのはこの能力のおかげじゃないかな?

それだけ便利な能力を持ってるのなら、私に対して後手後手で動くことなんてないと思うから、仮面の男の可能性は低いね。

 

 

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