ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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58話

 

焼けた塔から飛び出した3体のポケモンと対峙する私達。

 

「お、おい。こんなちっさい嬢ちゃんにも戦わせるのかよ。」

「彼らはそれを望んでいるようだ。」

 

静かに私の様子を伺う3体。

どうやら、本当に戦わないと駄目みたい。

ついこの前、スイクンと戦ったばかりなのになぁ。

 

「はぁ・・・、仕方ないか。かぷちー、ジム戦の後で疲れてる所ゴメンね。」

 

謝りながらかぷちーをボールから出す。

あまり無茶はさせたくないけど、相手は3体だからこっちも3体じゃないと勝ち目はないよね。

実際、スイクンには1対1でも負けちゃったし。

 

私の前にミスタ、グロウ、かぷちーが並ぶ。

 

「それじゃ、始めようか!」

 

私の声を合図にエンテイがだいもんじを放つと同時に、ミスタがハイドロポンプで迎え撃つ。

私達の間で激突したハイドロポンプは、水蒸気になって相殺される。

そして、その水蒸気を突き破り、電気を纏ったライコウが突撃してくる。この技はスパークかな?

 

「グロウ、コメットパンチ!」

 

ライコウの体とグロウの拳がぶつかり合い、周囲に電気が迸る。

拮抗したのは数秒だけ、押し合いに負けたグロウはバチバチと帯電しながらふっ飛ばされた。

 

「グロウ!?」

 

グロウを吹っ飛ばされるが、相手も休ませてはくれない。

いつの間にか水蒸気を飛び越したスイクンが、額の水晶を輝かせオーロラビームを放とうとしていた。

 

「撃たせちゃ駄目だよ!かぷちー。ふいうち!」

 

スイクンの体をかぷちーの大顎が穿ち、吹き飛ばす。

 

「ミスタ、いけるね?メテオビーム!」

 

そして、ハイドロポンプを撃ったあと、力を溜めていたミスタがライコウにメテオビームを放つ。

が、ライコウはその場を飛び退いてメテオビームを躱す。

メテオビームを躱したライコウはエンテイの隣に降り立つと、それと同時に吹き飛ばされたはずのスイクンもその隣に戻ってくる。

 

「おい・・・。あの嬢ちゃん、スイクンをぶっ飛ばしやがったぞ・・・。」

「静かにしていろ。」

 

後ろの2人の呟きが聞こえる。確かにふっ飛ばしたけど、そのスイクンは涼し気な顔で戻ってきてるんだよねぇ・・・。

でも、流石にノーダメージってことはない・・・よね・・・?

 

と、そんなことを考えていると吹き飛ばされたグロウが戻ってくる。

 

「グロウ、大丈夫?」

「グォォウ。」

 

小さく返事を返すが、受けたダメージは大きそう。それでもグロウは私達の前に出る。

すると、ライコウも合わせて前に出てくる。

どうやら、グロウの相手はライコウがするらしい。

 

「なら、ミスタはエンテイ、かぷちーがスイクンだね。」

 

そう言うと、不服そうにミスタが振り返る。

いや、そんな反応しないでよ。スイクンはミラーコートが使えるんだからミスタじゃ厳しいでしょ。リベンジしたいのは分かるけど。

それよりグロウ、大丈夫かな?さっきは押し負けてたけど・・・。

 

そんな事を思っていると、ライコウの体が電気を纏いグロウに突進する。

そして、グロウはもう一度それを正面から受け止めた。

 

基本的に真面目なグロウが、押し負けると分かってるのに、正面から受け止めるのには、きっとグロウなりの理由があるはず。

その証拠に、さっきは数秒しか保たなかった拮抗が、今はずっと続いている。だから・・・。

 

「信じてるよ、グロウ。」

 

ピカッ!!

 

私が小さく呟いた瞬間グロウの体が輝きだし、体が変わり始める。

鋼鉄の体はより一層大きく、ゴツゴツしたものに。

腕は2本から4本に増える。

 

「グオォォォオオオオ!!!」

 

進化したグロウ(メタグロス)が吠え、一回り大きくなった腕を振り上げると、コメットパンチを放ちライコウを殴り飛ばす。そして、振り切った腕とは逆の腕にエネルギーを集めると、殴り飛ばしたライコウに向かって銀色のエネルギー弾(ラスターカノン)を放つ。

 

「あのポケモン、今度は殴り返したぜ・・・。」

「それに、追撃のおまけ付きだ。たが・・・。」

 

ラスターカノンがライコウに届く前、その間に割り込むのはスイクン。ライコウを庇うようにミラーコートを展開し、ラスターカノンを受け止め反射させようとする。

 

でも、グロウを信じて待っていた(舞っていた)のは私だけじゃないよ!

 

「かぷちー!かみなりのキバ!」

 

ラスターカノンを受け止めるミラーコートに、電気を纏った大顎を叩きつけ、ミラーコートにヒビを入れる。

 

「このまま、ミラーコートごと叩き割る!」

 

それを見たエンテイが炎を纏ってかぷちーに突進してくる。

でもね、今からカバーに入っても遅いよ?

 

「待ってたのは私とかぷちーだけじゃない、ミスタ!」

 

かぷちーと同様、力を溜めていたミスタが前に出る。チャージ完了、だね!

 

「メテオビーム!」

 

瞬間、閃光がエンテイを飲み込み、それと同時にパリンと甲高い音が響くと、ミラーコートを叩き割ったかぷちーがスイクンを地面に叩きつけた。

 

そして、メテオビームの閃光と、叩きつけた時に巻き上がった砂埃が消えたときには、エンテイとスイクンの姿は無かった。

何処かに行った、かな?

 

ふぅ、と息を吐くと、さっきまでの騒音が嘘のように静けさに包まれた。

 

「ふぅ・・・。次は私達の勝ちかな。それよりグロウ、立派になっちゃって〜。進化のタイミングが分かってたから正面から受けたんだね。」

 

一回り大きくなった体をペタペタと触ると、照れたように体をよじる。

何かをするつもりだとは思ってたけど、進化するとはねぇ・・・。

ライコウも殴り倒すし、ラスターカノンも使えるようになってるしで、より一層頼もしくなったね。

 

「ーーー」

「いや、ミスタもグロウが進化したからって勝負を挑もうとしない。さっきまで戦ってたでしょ?・・・あーもう、ちょっと戻って。」

 

言っても聞かずにグロウに突っかかるミスタをボールに戻す。バトルの後ぐらい一息つかせてあげてよ、ミスタ。

 

「まさか、あの3体を倒すとは思わなかったよ。」

「はぇ~・・・。人は見かけによらないもんだなぁ・・・。」

 

後ろからさっきの2人組がこっちに歩いてくる。

 

「そっちも、怪我がなさそうでなにより。・・・ところで、ジムリーダーのハヤテさん、だよね?こんなところで何してたの?」

「少しばかり、トレーニングを。その時にたまたまこのおじさんに会ってね。なんでも、ポケモンの密猟をしてたとか。ちょうどその時にエンテイ達に会って成り行きで一緒に逃げてたのさ。」

「へぇ~、密猟ねぇ・・・。そんなの、ドサクサに紛れて逃げる途中で捨てちゃえばよかったのに。」

 

白い目でおじさんを見る。

 

「おいおい、物騒なこと言うなよ。」

「そうそう。それに、立場上、放って置くことはできないから・・・ねっ!」

 

カシャ、という音と、ねっ、という言葉に合わせておじさんの手に手錠がハマる。

 

「へ?」

「僕は警察官だからね。悪人は捕まえる義務がある。」

 

そう言ってハヤテさんは懐から手帳を見えるようにとりだす。

 

「なるほど。」

「一緒に戦った仲だろ?見逃してくれよぉ〜。」

 

一緒にって・・・あなた何もしてないでしょ。

ハヤテさんは、ハイハイ、大人しくしてろよーと言いながらおじさんをエアームドに乗せると、こちらに戻ってきた。

 

「君はマシロくん、だよね?」

 

何か用かと思ったら、何故か私の名前を知っていた。

 

「そうだけど、なんで知ってるの?」

「スイクンが各地のジムリーダーを回っている中で、同時期に同じことをするトレーナーが、噂にならない訳ないだろ?」

「あー・・・。確かにそうかも。」

 

そりゃそうだ。ジムリーダーを巡るスイクンが噂になるなら、それと同じことをしてるトレーナーが注目されない訳ないよね。

 

「なら、今日はキキョウジムに挑戦しようとしてたのかな?」

「そうなんだけど、流石に今日は疲れたから明日にするよ。」

「成る程ね。でも、それなら大丈夫だよ。今の戦いを見て君の実力を認めないトレーナーはいないさ。ウィングバッジ、持っていくといい。」

「あ、どうも。」

 

スッと差し出されたバッジを受け取る。

前もこんなことがあったなぁ・・・。またジムリーダーと戦えなかったよ。ま、今回は隣で戦いを見ることができたからいいか。

 

「あ、それと。」

 

ハヤテさんがエアームドに跨りながら思い出したように言った。

 

「今、ポケモン協会からジョウトとカントーのジムリーダー全員に招集がかかっている。まだ行っていないジムがあるなら急いだほうがいい。」

「招集?何かあったの?」

「詳しくは分からない。まぁ、君の事は噂になっているから、招集に応じるのをギリギリまで待ってくれるジムリーダーもいるだろうが、それでも入れ違いになるかもしれない。」

「そっか。それなら、急いだほうがいいね。」

 

私がそう言うと、エアームドはゆっくりと飛び上がる。

 

「それじゃ、健闘を祈ってるよ。」

 

最後にそう言うと、エアームドは飛び去っていった。

 

「さてと、ジムはあと2つ。急げば招集より先に回れるかな。それより・・・。」

 

私が言葉を区切ると、私の前に現れる3つの影。

 

「君たち、何処かに行ったんじゃなかったの?」

 

倒したあと姿が見えなかったエンテイ、ライコウ、スイクンが並んでいた。

 

「それで、私に何か用かな?」

 

そう言うと、スイクンは私の足元にある凍ったスーパーボールを指す。

 

「ん?もしかして、連れて行ってほしいの?」

 

コクリと頷く。ってことは、自分が選んだトレーナーに付いていきたいから各地のジムリーダーに挑んでたのかな?

 

「と言っても、空のボール持ってないし・・・。あ、そうだ!」

 

スイクン、エンテイ、ライコウ。

それぞれ水、炎、電気タイプ。それなら。

 

「カントーのジムリーダーなんだけど、カスミとカツラって人の所に行ってみてよ。カスミは水タイプ、カツラさんは炎タイプのエキスパートだから、私よりも相性はいいと思うんだ。電気タイプのエキスパートはマチスって言う人なんだけど・・・。あんまりオススメはできないけど、とりあえず会ってみてよ。」

 

それぞれのタイプのトレーナーとして見るなら、私よりも適任だしね。

そう言うと、スイクン達は少しだけ話をして、サッと飛び去っていった。

 

「ふぅ・・・。やっと一息つけるねぇ。」

 

私は3体が飛び去った方を見ながら、小さく呟く。

 

でも、少しだけもったいなかったかなぁ。

せっかくあの強さのポケモンが一緒に来てくれるって言ったのに。・・・空のボール、持っておいたほうがいいかな?

 

でも、きららを入れると7体になるし、だからってスイクン、エンテイ、ライコウのうち2体だけ連れて行くのも、除け者にしたみたいで嫌だし。

とりあえず、カントーのジムリーダーが認められて、連れてってくれるといいな。マチスが認められたら複雑だけど。

 

 

 

ハヤト

新米ジムリーダーで警察官。

最近就任したってことは、仮面の男の可能性はなさそうかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても、あの3体の方がジムリーダーよりよっぽど強かったよ。

 

 

 

 

 

 

 

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