ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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59話

 

エンテイ、ライコウ、スイクンとの戦いの後、チョウジシティにやってきた。

 

やってきたんだけど・・・。

 

「チョウジジム、なんでこんな辺鄙な場所に建てたんだろう。それに、ジムも氷で出来てるし・・・。」

 

しかも、すごく寒い。

 

町の郊外で地下の奥、さらには氷で出来た建物の前で1人愚痴る。

こんなとこにジムを構えるとか、バッジを渡すつもりないでしょ?

そんな事を考えながらジムに向かって歩いていると、ジムの中からパウワウが出てくる。

 

パウワウは、私の前で立ち止まると咥えていた手紙を差し出す。

 

「これ、私に?」

 

コクリと頷くパウワウから手紙を受け取ると封を開ける。中から出てきたのは1枚の便箋とアイスバッジ。

 

『手紙での挨拶になって申し訳ない。本当は君の事を待つつもりだったのだが、理事長が直々に招集に来てしまってね。だが、せっかく来てもらったのに手ぶらで帰ってもらうのも忍びないので、バッジを持っていくといい。なに、噂はかねがね。実力は申し分ない。気にせず持っていくといい。』

 

「あー、入れ違いになったかぁ・・・。ま、しょうがないか。」

 

ポケモン協会に招集をかけられたら、ジムリーダーは断れないだろうし。

でも、氷使いのジムリーダー。

状況的には仮面の男に1番近い相手だから、戦っておきたかった相手なんだけどな。

 

招集を口実に逃げた可能性もあるかもしれない。

 

でも会えないなら仕方ないや。最後のジムリーダーが招集に応じる前にさっさと次に行こう。

 

 

 

ヤナギ

会えなかった氷使いのジムリーダー。

相対的に他のジムリーダーよりも警戒度は高いかな?

というか、会ったことのないトレーナーにバッジをあげてもいいのだろうか?

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ジムリーダーが不在のチョウジジムはサッサと後にして、フスベシティにやってきた。

ジムの前降り立つと、私を待っていたようでジムトレーナーが現れる。

 

「マシロ様ですね?お待ちしてました。ジムリーダーのイブキ様がお待ちです。」

 

そう言って踵を返し、ジムの中に進んでいく。

話が早くて助かるけど、この人私が来るまでずっと待ってたのかな?

 

「ずっと待ってたの?」

「いえ、そこまで長い時間を待っていないのでお気遣いは不要です。」

「やっぱり待ってたんだね、お疲れ様。」

 

気遣いは不要と言われても、ねぎらいの言葉はかけておく。それにしてもここのジムリーダー、人使いが荒いのかな?

 

そんな事を考えていると、広間のような場所に出る。そこには、ボディスーツにマントを羽織った女性、ジムリーダーのイブキが立っていた。

 

そのカッコウ寒くない?チョウジタウンとか行ってみなよ、絶対風邪ひくから。

 

「待っていたぞ、貴様がマシロか。噂は聞いている、スイクンと同様にジムリーダーを倒して回っていると。」

 

初対面のハズなのに、すごい高圧的。

なんかこの人のことはあんまり好きになれそうにないなぁ。

 

と言うか、妙にピリピリしてない?

 

「妙に気が立ってる気がするけど、何かあったの?」

「以前、スイクンに敗れてからずっとこうなのです。そんなときに貴女の噂を聞いて、次は負けられないと意気込んでおられるのです。」

 

小さい声で尋ねると、小さい声で返してくれる。

 

いや、あれは意気込んでるんじゃないと思うんだけど。それより、スイクンに負けた腹いせにボッコボコにしてやろうって感じじゃない?

 

「何をコソコソ話している!」

「いえ、何でもありません!」

「ならいい。それより、早く始めよう。」

 

案内してくれた人を怒鳴ると、早く始めたいのかスグにボールからハクリューを繰り出す。

 

「さぁ、お前もポケモンを出すといい。それとも、隣のスターミーが相手をしてくれるのか?」

「そうだね。ミスタ、お待ちかねのバトルだよ。」

「ーーーー」

 

電子音を響かせ、意気揚々と前に出る。

 

「ハンデだ。先手はくれてやろう。」

「え?いいの?」

「構わん。好きなようにかかってこい!」

 

腕を組んで胸を張るイブキ。ミスタにそんな事を言って大丈夫?

 

「ねぇ、ホントにいいの?」

「はい。イブキ様は先手を譲ってもなお勝つことで、圧倒的な勝利で溜飲を下げ・・・なんでもありません。」

「ジム戦でそんな私怨を持ち込んでいいの?」

「スイクンに負けたことがよっぽど堪えたのでしょう。・・・失言でした。忘れて下さい。」

 

 

小声で隣のジムトレーナーと話すと、どうやら私怨モリモリでバトルしているようだ。

こんなのがジムリーダーでいいのかなぁ。いや、ロケット団がジムリーダーをやってるカントーよりましか。

 

「何をしている?早くかかってこい!」

「ハイハイ・・・。ミスタ、メテオビーム、全力で撃とうか。」

 

ミスタが光を集めて力を溜め始める。

 

「先に聞いとくけど、ジム壊してもいいの?」

「安心しろ。スターミー程度の攻撃ではビクともせん。」

「言質は取ったよ?」

 

さっき、()()()()()()()って言われたときミスタの体がピクッて跳ねてたから、多分怒らせたかも。まぁ、言質は取ったからいいか。

 

おぉ、ミスタの体が見たことないぐらい輝いてる。

戦闘中にこんな長時間溜める暇なんてなかったから、こんなミスタは初めて見たよ。

 

それじゃ、やっちゃおうか!

 

「ミスタ、メテオビーム。」

 

静かに告げると、極大の閃光が放たれた。

 

「なっ!」

 

一瞬だけ聞こえたイブキの驚く声をかき消し、ハクリューを飲み込むとそのままジムの天井をぶち破って天へと光が伸びていく。

 

おぉ、この威力ならスイクンのミラーコートも砕けそう。

・・・きらら、この威力のメテオビーム溜め無しで撃てるんだよね。やっぱりあの子だけ規格外だなぁ。

 

「バカな、なんだこの威力は・・・。スイクンの技なんかよりよっぽど強いではないか・・・!」

 

膝をついて項垂れるイブキ。

 

「傲慢な態度だからそうなるんだよ。ワタルといい、イブキといいドラゴン使いはこんなのばかりなの?」

「今、ワタルと言ったか?」

 

さっきまで項垂れていたはずのイブキがキッとこちらを睨みつけると、何処からか取り出した鞭を振る。

 

「ちょっ!あぶなっ!!」

 

私がその場から飛び退くと、さっきまでいた場所を鞭が通り過ぎる。

 

「イブキ様、やりすぎです。落ち着いてください!」

「黙れ!兄者の事を知っている者だぞ、落ち着いてなどいられるか!」

「ガッ!」

 

イブキの振るった鞭が、隣のジムトレーナーを弾き飛ばす。それを見て思わず目を細くする。

 

「ねえ、何があったかは知らないけど、この人は関係ないでしょ。流石にやりすぎじゃない?」

 

意識してなかったけど、自分で思っていたよりも低い声がでた。

 

「・・・っ、うるさい!」

 

自分でもやり過ぎだと思ったのか一瞬怯んだ様子だったけど、引っ込みがつかないのか、もう一度私目掛けて鞭を振る。

 

「ハァ、仕方ない。かぷちー。」

 

ボールから飛び出したかぷちーは、こっちに向かってくる鞭を大顎で挟み込むと思いっきり引っ張る。

 

「なっ!うわぁぁ!」

 

短い悲鳴を上げて私の方に引っ張られたイブキは地面を転がり、私達の前で止まる。

 

「はたきおとす。」

 

そして、イブキの頭目掛けて大顎を振り下ろす。

ように見せかけて、イブキの頭スレスレに振り下ろした大顎が地面を穿った。

 

「ちょっとは頭が冷えた?」

「なっ・・・めるなぁ!!」

 

少し脅しておけば大人しくなるかと思えばそんなことはなかった。

鞭を放り捨てボールを投げると、そこから現れたのはキングドラ。

 

「キングドラ、はかい・・・。」

「グロウ。」

 

キングドラがエネルギーを溜めきる前に、グロウの腕がキングドラを地面に叩きつけると、溜めていたエネルギーが霧散した。

 

 

「この距離ではかいこうせんみたいな大技撃つのやめてくれる?」

 

まぁ、人の話を聞かないみたいだしこの人の事は後回しにして、ジムトレーナーさんに肩を貸す。

 

「大丈夫?理由はよく分からないけど、災難だったね。」

「いえ・・・。イブキ様は兄弟子であったワタル様を慕っておりましたので、思わぬ所で行方の分からないワタル様の名前が出て取り乱したようです。」

「あぁ、ワタルと知り合いだったのね。」

 

ジムトレーナーさんに肩を貸して立ち上がらせると、悔しそうにしているイブキを見下ろす。

 

「心配なのは分かるけど、だからって鞭を振り回すのはやめてよね、危ないし。」

「・・・お前に何がわかる?」

「分かるよ、経験あるし。」

 

私の場合は、目の前で連れて行かれて何もできなかったけど。思い出すだけで落ち込むや。

そんな私を見て、何かを察したのか顔を伏せる。

 

「・・・すまない、取り乱した。お前にも申し訳ないことをした。」

「いえ、大丈夫です。お気になさらないでください。」

 

とりあえず、落ち着いたかな?

そう思って一息ついていたら、奥からおじいさんとスーツを着たおじさんが歩いてくる。

 

「フガフガ。」

「これでは、どちらがジムリーダーかわからんの。器が違うわい。とおっしゃっています。」

「「(おさ)!」」

 

長ってことは、長老みたいな立ち位置の人?

というか、隣のスーツの人は通訳?フガフガしか言ってないのによく分かるね。

 

「フガフガフ。」

「イブキはこの通り、未熟者だが謝っておる故、許してやってくれんか?とおっしゃってます。」

「私は何ともないし、こっちの人も気にしないでって言ってるからもういいよ。」

 

実際、鞭が当たったのこの人だけだし。

 

「ありがとう。・・・これがライジングバッジだ。受け取れ。」

 

イブキがお礼を言いながら立ち上がると、バッジを取り出し、それを受け取る。これで全部のジムを回ったかな?

 

「あ、ちなみにワタルの居場所は私も知らないよ?1年前に戦ったっきりだし。」

「そうか・・・。」

 

さて、用事も済んだし今日は休んで明日うずまき島に戻ろうか。

 

あ、きららにお土産買って帰らないと。いかりまんじゅうとキキョウせんべいでいいかな?

 

 

イブキ

短絡的で感情的。こんな人が何年も前から暗躍しているとは考えにくいかな。でも、短絡的ってことはなにをするか分からない、とも言えるし、白とは言い切れないかも。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

次の日、お土産を買ってうずまき島に戻ると・・・。

 

『うるさーーーーーい!』

 

というきららの叫び声と、島から放たれるメテオビームの閃光。

そして、それを受けて吹き飛ばされていく大型の鳥ポケモンの姿があった。

 

 

 

 

 

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