ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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60話

 

 

ふっ飛ばされていく大きなポケモンを見送り、そのポケモンがいた島に降り立つ。

 

『おひるねのじゃましないでよ〜!』

 

そして、怒りながら別の島から飛んでくるきらら。

 

「ただいま、きらら。」

『あー!おかえりましろー!』

 

声をかけると、嬉しそうに頭の上に飛び乗ってくる。

 

「おっとっと。それより、今のは何だったの?」

『しらない。おひるねのじゃまされたからとおくにいってもらったー。』

「そっかー、知らないかー。」

 

お昼寝をしてたなら知らないのはしょうがない。

それじゃゴールド達はどこだろう?

そう思い辺りを見渡すとさっきのポケモンがいた場所にゴールドとシルバー、それにもう1人見覚えのある人が呆然と立ち尽くしていた。

 

「・・・おい。オレ達が散々苦労したルギアをぶっ飛ばしやがったぞ。」

「アイツがいればなんとかなるというのは、比喩でもなんでもなくそのままの意味だったようだな。」

「今の・・・なに・・・?」

「3人ともボーっとしてどうしたの?というか、クリス・・・って言ったっけ?どうしてここに?」

 

私が声をかけるとハッとした様子で3人がこっちを見る中で、ゴールドが話し出す。

 

「いや、ポケモンの群れに襲われたら空飛ぶおっさんが現れてルギアにぶっ飛ばされたら海空陸のトライアスロンで吹っ飛んで行った。」

「あぁ、うん。意味わかんない。シルバー、説明お願い。」

 

混乱してるのか、要領を得ない。

 

「おそらくだが、ルギアが暴れ出したことによってポケモンの群れが大移動をしようとした所にオレ達がかち合った。」

「ふむふむ。」

「それで、群れに紛れるように島を出たらそこにレアコイルのひかりのかべで作った檻のようなものに乗ったおっさんが現れて、オレ達の鞄を差し出したんだ。」

「・・・宅配便?」

「違う!・・・そいつは、鞄等の道具と引き換えに仮面の男の情報を求めてきた。だから、奴について話していたんだが、その最中にルギアが現れて暴れ回った。」

「ルギアって、さっき吹っ飛んでったポケモン?」

「ああ。そして、どうにか地上に引きずりおろしたが、そのまま押しつぶされそうになった所で。」

「あんたの頭の上のソイツがぶっ飛ばしたってわけ。」

 

最後はゴールドが言葉を引き継ぎ、クリスはコクコクと頷く。

おっさんはよく分かんないけど、きららを置いていったのは正解だったかな。

 

「ありがとね、きらら。あ、これお土産ね。おせんべいとおまんじゅう。」

『わーい!』

 

私の手からおせんべいを受け取ると、私の周りをクルクルと飛び回る。

 

「お、キキョウ名物のキキョウせんべいじゃねーか。オレにもくれよ。」

「え?ゴールドの分なんてないよ?」

「なにぃ!?てめぇ、その手に持ってるのよこしやがれ!」

『あげなーい!』

 

自分の分がないことを知ったゴールドは、きららからせんべいを奪おうと追い掛けっこが始まる。

 

「あいつはいったい何をやっているんだ・・・。」

「あの・・・!」

 

それを見てシルバーは頭を抱えるなか、クリスが声をかけてきた。

 

「マシロさん、ですよね?スズの塔では助けてくれたそうで。ありがとうございました!」

「お礼なんていいよ。たまたま通りかかっただけだし。ところでクリス、だったっけ?なんでここに?」

「はい。わたし、オーキド博士からの依頼でポケモン図鑑のデータを集めてるんです。それで、まだ捕まえていないポケモンが多い南西部に来たんですけど・・・。」

「巻き込まれちゃったか。」

「はい・・・。」

「あだだだだだ!!!」

『あはははははーーー!!』

 

今度はきららがスピードスターを撃ちながらゴールドを追いかけていった。楽しそうで何より。

 

「おい、こっちだ。」

 

いつの間にか島の奥の洞窟を覗いていたシルバーが私達を呼ぶ。

 

「どうしたの?」

「これを見ろ。」

 

駆け寄った私とクリスに中を見るように促す。

洞窟の中には足跡や尻尾の後、それも大型のポケモンのもの。ってことは・・・。

 

「ここ、ルギアの住処?」

「うずまき島は、4つの島で成り立っていて地下で繋がってるって・・・。その広さならあのポケモンが住処にしていてもおかしくはないわ。」

「お前ら、そんなとこで何やってんだよ?」

 

きららからおせんべいを奪うのを諦めたゴールドがこっちに走ってくる。その後ろにはいかりまんじゅうを食べるきらら。

 

『おいしいね〜。』

「気に入ってもらえて何よりだよ。」

『ありがと!』

 

そのまま頭の上に降りるきらら。こぼさないでよ?

 

「なんだこりゃ!?」

「所々、暴れた跡もある。ルギアが暴れ出したのは、住処と自分自身を攻撃されたことによる怒りのためだろう。」

 

んー?それと同じ話、最近聞いたことあるんだけど・・・。

ロケット団がスズの塔を破壊したときと同じ状況じゃん。

ってことは、これをやったのはロケット団か仮面の男?

 

「これ見て!」

 

クリスが大声を出してポケモン図鑑の画面を見せる。表示されているのはエラーメッセージ。

 

なにこれ?

 

「なんじゃこりゃ?」

「追跡システム。あなた達もポケモン図鑑を持ってるなら知ってるでしょ?」

「「・・・。」」

 

クリス、この反応は絶対に知らないって。

どうやら、クリスも同じことを思ったみたい。

 

「嘘でしょ・・・?えっと、とりあえずルギアがどこに行ったかを追跡できるんだけど、エラーが出てるってことは・・・。」

「追跡できない状態。つまり・・・。」

「・・・捕獲された?」

 

シルバーの言葉を引き継ぐ。

 

「んな馬鹿なことあるかよ!さっきまでそこにいやがったんだぞ?オレも追う、シルバーお前もやれ!やり方教えろよ、・・・えっと、クララ?」

「クリスです!はぁ・・・。あなたはゴールドで、こっちはシルバーであってる?」

「おう!」

「操作は・・・。」

 

ポケモン図鑑を取り出し、カタカタと操作する3人。

 

「きらら、2人は強くなった?」

『なった・・・かな?まだ、みすたのほうがつよいよ?』

「まぁ、そうだろうねぇ。」

 

きららの強さを目指して1人で旅して、私の手伝いをしてロケット団や四天王と戦ってきたんだから、簡単に追い付かれたらミスタの立つ瀬がない。

 

「だぁぁっっ!!エラーだと!?壊れてんのか!?」

「いや、オレのもだ。」

 

ポケモン図鑑を振り回すゴールドに、シルバーは自分の図鑑をみせる。そこに表示されているのもエラーのメッセージ。

 

「3台同時に故障なんてあり得ない。やっぱり捕獲されたのよ!」

「あの一瞬でそんな事できんのかよ!?」

「多分、最初から捕獲が目的だったんじゃない?住みかを荒らして怒らせて、そこの主人を呼び込むって、全く同じ事をしてた集団がいたでしょ?」

 

私がそう言うと、3人がハッとして口を揃えた。

 

「「「ロケット団!!!」」」

「多分、捕獲したのはロケット団か仮面の男で間違いないかな。ってことは、ホウオウも捕獲するのが目的なのかもしれない。」

「そういえば、ホウオウの像が光るときはもうすぐホウオウが帰ってくるって、ミナキさんが。」

「それなら、スズの塔でホウオウを待ってたら仮面の男も来るって事だよね?」

「でも、近々としか分からないって・・・。」

「そっか。なら、ホウオウのことはとりあえず置いておこう。」

 

その時、プルルルとクリスのポケギアが鳴る。取り出したポケギアにはオーキド博士の文字。

 

「もしもし、博士?」

『クリス君、無事じゃったか。タンバ周辺に異常気象と聞いて慌てて電話したんじゃが・・・。』

「それが・・・。わたしは無事ですが、大きなポケモンに襲われてイエローさんとはぐれてしまって・・・。」

『はぐれたじゃと!?・・・いや、イエローはああ見えて危険には慣れとるから心配はいらんと思うが、一応そっちに向かっている気象調査隊に捜索を依頼しておこう。』

 

イエローもこっちに来てたんだ、無事だといいけど。

 

『それとは別に、新しい依頼がある。今からセキエイ高原に向かってほしいんじゃ。』

「セキエイ高原?」

『そうじゃ。同じ事をもう1人の図鑑所有者のゴールドに頼もうと思ってたんじゃが、連絡がつかんのだよ。あやつはどこで何をしているのやら・・・。』

「あの・・・、セキエイで何をするのかはともかく、彼なら今わたしの横にいます。」

「よっ!」

『な!』

 

まぁ、ゴールドのポケギア湖に沈んでたもんね。そりゃ連絡なんてつかないよ。あの時、回収しておいた方がよかったかな?でも、凍った湖に入るとか自殺行為だよねぇ・・・。それに、回収しても、壊れて使い物にならなかったかもしれないし。

 

『うおっほん!それなら、2人でセキエイ高原に向かってくれ。今年のポケモンリーグでは、エキシビションマッチという名目でジムリーダーを全員招集してある。そこで、君達に仮面の男を見つけ出してほしいんじゃ。』

「分かりました。」

『一応マシロくんにも頼んでみるが、あの子はブルーのお願いか最優先じゃからのぉ・・・、聞いてくれるかどうか。』

「え、私?別にいいよ。」

『は?』

 

あ、私の名前が出たから思わず口を挟んじゃった。

急に出てきたから博士も素っ頓狂な声を出してる。

いつ戻るか分からないホウオウを待つよりかは、セキエイに向かったほうが良さそうだから、引き受けよう。

 

『・・・マシロくんもいるのか?』

「・・・はい。」

『・・・珍しいこともあるもんじゃ。』

 

クリスと博士が同時にため息をついた。

 

『じゃが、マシロくんが手伝ってくれるなら心強い。やってほしいことはさっき伝えた通り、セキエイ高原で黒幕を暴いてほしい。』

「やることは分かったけど、もう1人の図鑑所有者には頼まないの?」

『・・・もう1台の図鑑は盗まれたんじゃ。だから、3台目の図鑑所有者には頼めん。』

「「ぬ・す・ま・れ・たぁ!?」」

 

クリスと私の声がハモった。

シルバーを見るとそっぽを向いて汗をダラダラと流している。

ゴールドも同じくそっぽを向いて汗をダラダラと流しながら口笛を吹いている。

 

この反応、ゴールドはシルバーが盗んだって知ってたね。

ブルーはゼニガメを盗むし、シルバーはポケモン図鑑を盗んだのか・・・。似たもの姉弟だねぇ・・。

 

私とクリスの白い目線に耐えきれなかったのか、おもむろにヤミカラスを出してその足に捕まって飛び去る。

 

「あ、逃げた。」

『ん、逃げた?』

「あぁ、いや。こっちの話。」

「そ、それじゃあ博士、わたし達はセキエイ高原に向かいますね。」

 

焦ったクリスが早々に通話を切る。

 

「いやー、シルバーが図鑑を盗んでたのは知らなかったなー。」

「そ、それはだな・・・。あいつはオレの手で捕まえたくて・・・。」

 

私の言葉に焦りだすゴールド。流石に犯罪者のことを黙っていたのは悪いことだと思ってたみたい。

 

「それに!バクたろうも、オーダイルになっちまったけど、ワニノコの事を自分で追いかけようと。」

()()()()()()()()?」

「あ・・・。」

 

言ってから失言に気づいたみたい。

なるほどなるほど。図鑑だけじゃなくて、ポケモンも盗んで行ったと・・・。

 

やらかしすぎでしょ、義姉よりもやんちゃじゃん。

 

「ハァ〜・・・。まぁ、いいや。とりあえず、セキエイ高原に向かおうか。ここからだと大分距離あるし。」

「そうですね。」

「・・・次は置いてくなよ?」

「・・・前は置いて行かれたの?」

 

 

 

 

そんなこともあったねぇ。

 

 

 

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