ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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65話

 

 

「さて、ここがウバメの森ね。祠は森の中央・・・。急ぐわよ、シルバー。」

「あぁ、背中は任てくれ。」

「フフッ、言うようになったじゃないの?」

「マシロに鍛えられたからな。」

「あの子、戦いを教えるのは苦手って言ってたんだから感謝しなさいよ?」

「止むを得ず、といった所だろう。それに、苦手というより不慣れ、という感じだったがな。」

「そう・・・。」

 

まぁ、仮面の男と会ったことすら報告してこなかったぐらいだし、色々あったんでしょうね。シルバーを鍛えてたのは意外だけど。

 

「ありゃ、ホントにやって来たよ。」

「あの人が来ると言ったんだ。来るに決まってるさ。」

「誰だ!?」

 

森の中から2人分の声が聞こえてくる。

その声にシルバーは叫び声を上げるが、あたしにはその声に聞き覚えがあった。

 

「ブルー、こわいかお!」

 

ボールからブルーを出し一点を指さすと、そこに向かってこわいかおをしたブルーが睨みつける。すると、そこから飛び出してきたのは2人組の男女。

 

「イツキがふざけて声をかけるからバレただろ?」

「アハハハハ、カリンそんな怒んないでよ〜。」

「まぁ、いいさ。元々姿を隠す気なんてなかったしね。久しぶりだね、ブルー、シルバー。仮面の子供(マスク・ド・チルドレン)がこうして顔を合わせるのは初めてだね。」

「聞き覚えがある声だと思ったら、やっぱりそうなのね。ブルー、とっしん!」

「ブラッキー、だましうち!」

 

ブルーとブラッキーの体がぶつかり合い互いに弾かれる。

 

「ヒュ〜ヒュ〜、やるねぇ〜。流石は同じ仮面の子供(マスク・ド・チルドレン)ってとこかな?でも、今日に限ってはここを通すわけにはいかないんだよね?」

「今日、あの人がようやく時をとらえる日だからね。だから、誰も通す訳には行かないのさ!」

「時をとらえる・・・。やっぱり!」

「そりゃ知ってるよねぇ・・・。知ってるからここに来たんだろうし。それなら・・・、脱走した時にあの2枚の羽を持っていったのも偶然じゃないってことかな!?ネイティオ!」

「・・・ッッ!鳥・・・ポケモン!?」

 

イツキが唐突に繰り出した鳥ポケモンの姿を見て、一瞬身体が硬直する。でも・・・。

 

「ニューラ!」

 

横からシルバーがニューラを繰り出してネイティオを切り裂く。

 

「シルバー!ありがとう、助かったわ。」

「言っただろう?一緒に戦うって。イツキはオレが引き受ける。義姉さんはカリンを!」

「・・・ホントに、頼もしくなっちゃって。そっちは任せたわよ、シルバー。」

 

アタシは少しだけシルバーと視線を交わし、カリンと向き合う。そして、シルバーはイツキのポケモンとぶつかり合いながらあたし達から遠ざかって行った。

 

「そういう事だから、あなたの相手はアタシよ?」

「いいわよ?修行の途中で逃げ出したあなた達と、あの人の元で訓練を受け続けたアタイ達。どっちが強いか、なんて明白だろうけどね!」

「だから何よ?それを言うなら、あんたの言うあの人を倒したマシロがシルバーの師匠なんだもの。シルバーの方が強いんじゃないの?」

 

言葉を交わす間に、あたし達の間でブラッキーとブルーが何度もぶつかり交差していく。

 

「・・・ッッ!!・・・だからあの人はたった1人のトレーナーに残党の大半を回したのか・・・。」

「あら?この事は知らなかったみたいね。まぁ、それもそうよね。自分が負けたことなんて言ったら、士気にも影響するもの。」

 

残党なんて主体性のない奴らは、強いからってだけで従っている者も多いはず。そんな中で組織のトップの敗北は、組織の崩壊に直結するかもしれないしね。

 

「ふん!それでも、途中で逃げ出したのはあんた達の方。今まであの人の元で訓練をつんだアタイ達が負ける訳ないのさ!」

「そう思うなら、好きなだけ思ってなさい!あたし達は今日、仮面の呪縛を解き放つ!」

「ブラッキー!」

「ブルー!」

 

「「かみつく!!」」

 

あたし達が同時に叫ぶと、互いのキバがぶつかり合う。そして、もう一度弾かれたその時。

あたし達の上部を小さな影が通り過ぎ、それを大きな影が追いかけあたし達を通り過ぎる瞬間。

 

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「キャアア!!」

「うわぁぁ!!」

 

揃って悲鳴を上げながら上空を見上げると木々の隙間から一瞬だけ、大きな鳥ポケモンの影とそれを追う小さな影が見えた。

今の小さな影は・・・マシロ?

 

「今の大きな影はルギア・・・?なんで森の上で戦ってるのさ?セキエイを制圧したら、あの人の準備が整うまではアタイ達の所に来て、足止めをするはずじゃ・・・。」

「そういう手筈だったの・・・。ってことは、マシロがここに来たのは仮面の男にとってもイレギュラーってことね。」

 

マシロがここに居るってことは、仮面の男もここに来てるはず。だったら、急いで祠に向かわないと!

あたしはブルーをボールに戻す。

 

「本当は、仮面の男と対峙するまでは取っておくつもりだったんだけど、仕方ないわ。」

「いったい何を!?」

「見せてあげるわ!四天王との戦いの後、どうして自分でジョウトに来なかったのか。それは、やらなきゃいけない事。乗り越えないといけない事があったから。」

「だから!なんだと聞いている!?」

「あなた相手に3体は勿体ないわ。1つだけ見せてあげる。いきなさい、ファイヤー!」

 

繰り出したのはカントーに生息する伝説の鳥ポケモンの1体。

 

「伝説の鳥・・・、ファイヤーだって?あんた、鳥恐怖症だったはずじゃ・・・。」

「言ったでしょ?乗り越えたって。ファイヤー、ほのおのうず!」

 

カリンとブラッキーの周りを炎が取り囲み渦をまく。

 

「くそっ・・・。これじゃ、身動きが取れない!」

「それじゃ、少しだけ大人しくしててもらおうかしら?ファイヤー、ゴッドバード!」

「クソぉぉぉぉ!!」

 

叫び声を上げるカリンを、ブラッキー共々ファイヤーのゴッドバードで吹き飛ばすと、鈍い音をたてて木に叩きつけられる。

そして、ドサッと地面に倒れ込むと動かなくなった。

 

 

 

ーーーーシルバー視点ーーーー

 

 

「なんでそんなきばってるのさ〜。せっかく逃げ出したんだからさ、あの人に歯向かうなんてやめてもっと楽に生きなよ!」

「生き方、か。オレは自分の生き方を変えることなんて出来ない。それに、お前みたいに仮面の男にしがみつくような生き方はごめんだ!」

 

ニューラがネイティオを弾き飛ばす。そして、ネイティオにおいうちをかけるニューラの爪と、ネイティオの翼が交差し甲高い音を響かせ弾き合う。

 

「しがみつく、ね。そもそもボクたちは自分から弟子入りしたから、確かにそう見えるかもねぇ〜。」

「なんだと!?」

「ボクもカリンも天才すぎたんだよねぇ〜。小さい頃からどんな大人にも負けなかったし。だから、もっと刺激を求めて、もっと愉快な暇つぶしを求めてたどり着いたのがあの人の所ってワケさ!だから、この戦いだってただの遊び、レクリエーションみたいなものだね!」

「・・・遊び、か。」

「ん〜?怒ったぁ?」

「いいや、喜んでるのさ。同じ境遇のお前達と戦うことに、少しだけ躊躇いがあった。だが、今の話を聞いてそんな躊躇いは無くなった!」

「そうかい?それなら来なよ、シルバー坊や!」

 

そう言って互いに構えた時、オレ達の上を小さい影が通り過ぎ、それを大きな影が追いかけていく。そして、その影が通り過ぎる瞬間。

 

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「ひゃあああぁぁ〜〜!!」

「ぐああっっ!!」

 

オレは上を見上げると、森の隙間から過ぎ去っていく大きな影。そして・・・。

 

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今のはルギアのエアロブラスト!それに、マシロか!?

イツキの方に視線を戻すと、メテオビームに当たったお陰で、酷くボロボロになっていた。

今のは・・・。狙ったものじゃなさそうだな。なら、流れ弾に当たったのか・・・。不運な奴だ!

 

「ニューラ、おいうち!」

 

運悪くメテオビームの直撃を受けたネイティオに、ニューラがおいうちをかける。

 

「ネイティオ!?」

「これで終わりだ!オーダイル、おんがえし!」

 

オレはニューラを引っ込め、オーダイルを繰り出すと、ネイティオを木に叩きつけた。

 

「まってよ〜。ポケモンがなついてないと威力の発揮しない、おんがえしであんなパワーを出すなんて聞いてないよ〜・・・。」

「お前達にとっては遊びかもしれない。だが、オレにとってこの戦いは、自分自身の運命に決着をつける戦い。その為に手にした力だ。」

「こんなの、全然楽しくないよ〜。元々、あの人にそこまでする義理はないし、ボクもうサヨナラするから〜。」

 

そう言ってイツキは、この場から逃げ出して行った。

 

「お前達とは、覚悟が違うんだよ。」

 

そう呟くと、オレは義姉さんと合流するために駆け出した。

 

 

ーーーーブルー視点ーーーー

 

 

 

「これで、しばらくは起きてこないでしょ。」

「義姉さん!」

 

ちょうどその時、シルバーもイツキを倒したのか戻ってくる。

 

「シルバー、そっちは片付いた?」

「あぁ。倒した・・・、と言うか、流れ弾が当たってな。運の悪いヤツだ。」

 

さっきのあれ、シルバーの方にも降ってきたんだ。当たらなかったのは運が良かったわね。

 

「片付いたのなら、なんでもいいわ。それより、早く祠に向かいましょ。」

「上は放っておいていいのか?ルギアが相手なら、手を貸した方が・・・。」

「駄目。仮面の男が祠にたどり着いたら、その時点で終了なのよ?それに、あたし空中戦はまだ苦手なのよね・・・。だから、マシロに加勢しようと思っても、かえって足を引っ張ることになるかもしれない。」

「そうか・・・。マシロには、1番キツい相手をさせてしまうな。」

「適材適所ってやつよ。それに、なにもしないとは言ってないわ。」

 

そう言ってあたしはボールを2つ取り出す。

 

「サンダー、フリーザー。出てらっしゃい!」

 

出てきたのはサンダーとフリーザー。ファイヤーとは別の伝説の鳥ポケモン。

 

「あなた達はマシロの援護をお願い。」

 

そう言うと、3体は飛び上がっていく。

 

「あの3体がいれば、マシロなら何とかするでしょ。それより問題はあたし達よ。仮面の男より先に祠に向かわないと。急ぐわよ。」

「分かった!」

 

あたし達は祠に向けて走り出した。

 

 

 

 

 

 

その直後、何か大きな物が墜落するような音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

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