ポケモンSVがようやくエンディングを迎えました。皆さんはどうでしょうか?
私は図鑑は埋まってないし、対戦の準備もできていないので、まだまだ忙しそうです。
できるだけ週1では更新できるように頑張りますので、気長にお待ちいただけると嬉しいです。
『ごめん、マシロ!ヤナギに逃げられた!』
電話の第一声は、ブルーのそんな声だった。
「逃げだって、どこに行ったの?」
『時のはざまよ!そっちはホウオウとルギアは倒したんでしょ?ちょっと、そいつらの羽を毟って急いで祠に来て!』
え、時のはざまってどこ?それに毟って・・・?
「ホウオウとルギアはもう飛んでったよ?」
『ハァ!?あのゴールドってお馬鹿は一組しかない銀色の羽と虹色の羽を持って1人で時のはざまに行っちゃったから、それがないとヤナギを追えないのよ!!』
「え?ゴールドが1人で追っていったの?」
『そうよ。さっきの隕石のお陰でゴールドの手元に飛んでっちゃって、それを持ってそのまま追って行ったわ。』
ごめん、それきららだ。
『よんだー?』
「呼んでないよ。」
『よばれたきがしたんだけどなー。』
きらら、エスパータイプだからか偶に察しがいいよね。
「それで、毟れってことは羽が必要なの?」
『そうなのよ。時のはざまの中は空間が捻れてて、羽に守られてないとまともに動けないらしいの。』
ふむふむ、時のはざまっていう変な空間に逃げ込まれて、それを追うために羽が必要、と。
「それなら大丈夫かも。飛んでった時に、ちょうどその2枚の羽を落としていったから。」
『でかした!』
手元にある2枚の羽を見ながら答えると、ブルーは勢いよく叫んだ。
『マシロ、急いでこっちに合流できる?』
「できるけど、祠の場所知らないよ?」
『それなら大丈夫よ。そこにファイヤーがいると思うけど、その子にメールを持たせてあるからそれを見て。』
「あ、ファイヤー達はブルーが連れてきてくれたんだ。ありがと、助かったよ。」
お礼を言いながらファイヤーの懐に手を入れると、指先に何かが当たる。あった、これだね。
出てきたのははながらメール。これ、セキエイでシルバーが奪ってたやつだね。ふむふむ、祠の場所は森の中央辺り、か。
目を通すと、祠の場所や羽が必要な事、セレビィの事等、色々と詳細な事が書かれていた。
『それなら良かったわ。あたしも鳥恐怖症を克服したかいがあったってものよ。』
「え?ファイヤー達で鳥恐怖症を克服してたの?」
『そうよ。のんびりしてる暇はなかったもの。』
いや、ポケモンリーグのとき、博士のオニスズメで悲鳴を上げてたのにいきなりファイヤーとか、ハードモードすぎない?最初はイージーにポッポにしとけばよかったのに。
そんな事を思いながらファイヤーの背中に乗り込む。
「さて。ファイヤーお願いね。」
お願いすると、ファイヤーは飛び上がり森の中央に向かって飛ぶ。隣にはきらら、後ろにはサンダーとフリーザーがついてくる。
おお、ミスタより早いや。これなら直ぐに着きそう。
『いい?時のはざまでは羽に守られてないとまともに動けない。でも、それはヤナギも同じ。そして、ヤナギが時間を遡るにはセレビィというポケモンが絶対に必要なの。』
「メールに書いてた事だね。」
『そうよ。それで、ヤナギを守っているのは2枚の羽を使って作られ、セレビィを捕獲した特殊なボール。つまり・・・。』
言葉を区切ったところで、ブルーの言いたいことを理解する。
「つまり、そのボールを破壊すればセレビィを解放できて、なおかつ時のはざまでヤナギを無力化させられるってことだね。」
『そうゆうことよ。・・・現状、ヤナギにいいようにやられて、隕石でまともに動けるトレーナーはいない。情けないけど、最後の最後までマシロに頼ることになっちゃたわね。』
「気にしないでよ。それに、隕石に関しては私のせいだし。」
『・・・薄々、そんな気がしてたわ。』
そこまで話した所で、木々の間から開けた場所が見えた。そして、珍しいやら懐かしいやら。色々な顔が見えてきた。
「同窓会でもしてたの?」
「あたしも同じ事を思ったわ。」
森を抜け、広場に入って最初に顔を合わせたブルーにそんなことを聞いていた。思わず呟いた言葉に、手元のボケギアから私に視線を移すと、ブルーはそんな言葉を返してきた。
そこにいたのはレッド、グリーン、イエロー、シルバー、クリス。いや、ホントに同窓会だよね。
「あれ、イエロー帽子かぶるのやめたの?うんうん、ポニーテールの方が似合ってるよ。」
「いえ、そういう訳では・・・。」
「それも、あなたの隕石の余波で飛んでったのよ。ほら、そこに置いてあるでしょ?」
指さした方を見ると、祠に被せられた麦わら帽子。あ、それも私か・・・。
「えっと・・・ごめんね、イエロー。」
「いいのよ。レッドがボケっとしたまま戻ってこなくなっただけだしね。それに、あの隕石で砕けた氷は再生しないのは助かるわ。」
周りに散らばる氷の破片を見ながらブルーは呟いていた。
あの氷、再生するんだ。知らなかったよ。
「でも、それのおかげであたし達から援護も出来ない。だから、中に入ったら全部マシロに任せることになるわ。」
「分かった。その代わり、この子達借りてくね?」
「もちろん。その為にマシロの所に向かわせたんだもの。」
「じゃ、行ってくるね。」
「ええ、任せたわよ。」
最後に短く言葉を交わすと、私はファイヤー達と祠に飛び込んだ。
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祠の中は、1度見た事のある不思議な空間だった。
「これ、スイクン達が居た場所・・・?」
『みてみてー。あそこぼくたちがいるよー。』
きららの指さす方を見ると、私ときららが町の中を歩いている姿が映る窓のようなもの。
「昔の私達、かな?」
それが浮かんでは消えていく・・・。なるほど、確かにこれは時のはざまだね。
眺めていると見覚えのないものが増え始め、その中の1つにゴールドとシルバーが戦っているものがあった。今はバクフーンとオーダイルに進化してたけど、その中ではまだヒノアラシとワニノコの状態。
うーん、私の知らない事も浮かんでくるってことは、ここにいる人の出来事が浮かび上がってるって事かな?
そして、砕けた氷原に飲み込まれる2体のラプラスと、その近くで泣き崩れる青年の姿が浮かび上がる。
「今のは、私でもゴールドでもないよね?ってことは、ヤナギ?」
そう呟いたとき、視界の隅で迸る電気のような物が見えた。
「・・・あっちだね。行くよ!」
方向がよく分からないこの場所で、目印になるものがあると助かるね。
そんな事を思いながら光の弾ける方に行くと、ゴールドの持っていたであろう羽が燃え尽きる所だった。
「さぁ、その状態では最早抵抗すらできまい。この空間で私の氷に閉じ込められるとどうなるか、身をもって知るがいい。ヒョウガ、ふぶき!」
そして、ヤナギがゴールドに止めを刺そうとした瞬間。私達はその間に割って入った。
「フリーザー、ふぶき!」
氷には氷で。ヤナギの攻撃を相殺すし、その間にサンダーがゴールドを受け止める。
「待たせたね、ヤナギ。ゴールドも1人で追いかけるなんて無茶したねぇ。」
「うおっ!・・・助かったぜ、マシロ!」
助かったって言う割に元気そうだけど。それに比べてヤナギは人形の左側がなくなっている。ゴールドに大分やられたみたい。
「・・・ホウオウとルギアはどうした?」
「倒したからこの空間に入ってきたんだし、ここにいるんだよ?」
「チッ!セレビィ、早く私を連れて行ってくれ!」
「前に、逃さないって言ったよね?ファイヤー、ほのおのうず!」
何かしようとする前に、ヤナギをほのおのうずに閉じ込める。あとは、あの大事そうに握ってるボールがブルーの言っていたやつかな?あれを壊せば終わりだね。
「ゴールド、まだ戦える?」
「悪ぃが、相棒もエネルギーが残ってなくてな・・・。それに、再生する氷の盾がうざいのなんの。」
エネルギーに、再生する氷の盾、か。
さっきブルーが、きららのりゅうせいぐんで砕けた氷は再生しないって言ってたよね?ってことは、きららの攻撃は再生できないのかもしれない。
それに、ゴールドの相棒ってその頭の小さいピカチュウ的なポケモンのことなら、なんとかなるかも。
「ゴールド、その子でんきタイプ?」
「多分な。」
「それなら、エネルギーはサンダーから分けてもらって。氷の盾は、こっちで何とかするよ。」
ゴールドのちいさな相棒は、サンダーからエネルギーを受け取ると、バチバチと帯電し体に蓄積させていく。それを見ると、私もきららに声をかける。
「きらら、最後の1発。用意はいい?」
『いつでもいいよー!』
ヤナギを見ると、ほのおのうずの中で氷の盾を作り出し身を守っている。あの炎の中で氷の盾を維持できるんだ。流石、腐ってもジムリーダーだね。
でも、これだとボールを壊せるか分からないから、最後はゴールドに頼む事になるかも。
「ゴールド。氷の盾ごとボールを破壊しようと思うけど、外した時はお願いね。」
「ちょっ!マジかよ!?まだ心の準備が!!」
「きらら、メテオビーム!」
ゴールドの返事も聞かずに放ったメテオビームは、ほのおのうずと氷の盾を容易く貫き、残った氷の体を粉砕した。
「ぐあああっっ!!」
が、吹き飛んだヤナギは残った車イスに片手で掴まり、反対の手には未だにボールが握られていた。
「外したっ・・・!ゴールド!!」
「テメェはやることが全部急なんだよ!・・・やるぜ相棒!
ゴールドは、センスのない技名を叫びながら電撃を放つと、ヤナギが持っていたボールを正確に撃ち抜く。
そして、砕けたボールから飛び出した一体のポケモン。・・・あれがセレビィ?
「ゴールド、ちゃんとボールを壊せたのは偉いけど・・・。さっきの、何?」
「
「ダサい。」
「んだどぉ!?」
正直な感想を言ったら、偉く不服そうに文句を言われた。・・・いや、ダサくない?
それより、ヤナギは・・・っと。
ヤナギの方を見ると、車イスに捕まり苦しそうに胸を押さえている。
羽の加護が無いとああなるんだ・・・。
放って置いてもいいんだけど、ブルーとシルバーの事を考えるとヤナギは連れて帰った方がいいよね?
そう思ってヤナギを助けようとした時、セレビィがラプラスを過去が映る窓が沢山ある所に連れていく。
氷原の中を歩いている2体のラプラスが映る窓や、2体のラプラスが氷原に飲み込まれる窓。
他にもラプラス達が映る多数の窓がある中で、ヤナギのラプラスは2体のラプラスが氷原に飲み込まれる瞬間のその窓に飛び込むと崩れる氷原を凍りつかせ、ラプラス達を助けると、2体のラプラスの間に飛び込んでいく。
「おぉ・・・。セレビィが、私の気持ちを汲んでくれたのか・・・?」
その過去では、嬉しそうに寄り添う3体のラプラス。そして、それに駆け寄る過去のヤナギ。
「あなたがこんな事をしたのは、あれの為?」
ラプラスが過去に飛び込む間に、ヤナギの隣まで移動して問いかける。
「そうだ。私の過ちを正すために、生きてきた。その為なら、他のものがどうなろうと構わなかった。」
「はた迷惑な話だねぇ。」
と言っても、気持ちは分かるけどね。もし、過去に戻ってブルーを助けられたら私だって飛びついてただろうし。
・・・尤も、その原因は目の前のヤナギなんだけど。
「ま、それでも・・・。あなたのラプラスはあなたの事もなんとかしたかったんだろうね。」
「どういう意味だ・・・?」
「だって、沢山の過去の中からあの時間を選んだってことは、あのラプラス・・・ヒョウガって言うの?」
「ああ。」
「
「・・・ッッ!!」
詳しくは分からないけど、あの事故があってからずっと過去を追い続けていたんだとしたら、それはとてつもなく長い時間を費やした事になる。
それをずっと隣で見てきたヒョウガも、きっと思うところがあったんじゃないかな?しかも、それが自分の親の事がきっかけとなると尚更。
ーもういちどそこから見つめてほしい♪ー
「お、クルミちゃんの『ラプラスに乗った少年』じゃねーか!・・・ん?でも、声が違う?」
「こ、この歌は・・・!?」
その時、どこからともなく聞こえてきた歌声に、ヤナギは驚きとともに涙を流す。
「あの時は受け入れられなかった歌が、今は心に沁みるようだ。・・・そうか、
「あの時の事が何なのか知らないけど、そう思うならさっさと帰るよ。こんな所じゃ落ち着けないでしょ?」
「そう・・・だな・・・。」
1人で納得しているヤナギに手を伸ばすと、ヤナギも私の手を取ろうと手を伸ばす。が、その手は途中で止まった。
「いや・・・。どうやら、この老体はもう限界のようだ。」
そう言うと、ヤナギの体から力が抜けたように車イスを掴む手から力が抜ける。
そして、そのまま時のはざまに落ちていく。
「ヤナギ!」
「構わん。これは他人を受け入れられなかった私への報いなのだろう。」
落ちていくヤナギを助けようと飛び出しかけた私を静かに止める。そんなヤナギを追って、車イスからウリムーがぴょんと飛び降りる。
「お前も、私の事を愛してくれていたのか・・・?」
「ムー。」
「そうか。」
ヤナギはウリムーを抱き抱えると、時のはざまに消えていく。そして、それを追うようにしてセレビィも居なくなる。
『結局、私は最後まで他人の手を取る事は出来なかったな・・・。』
消える瞬間、ヤナギのそんな声が聞こえた気がした。
「最後まで、自分勝手だねぇ・・・。」
私は、何も掴むことのなかった手を見つめて呟く。
「さて、帰るよゴールド。」
「あぁ。・・・でもよ、ヤナギの事、助けなくて良かったのか?マシロなら無理矢理助けることも出来たんじゃねーのか?」
「まぁ、出来たとは思うけど・・・。本人がああ言ってたんだから、しょうがないよ。」
自分で報いだと言ってたんだから、それを私が止めるのもね・・・。ブルーかシルバーがここに居て、どうしてもと言うなら助けてただろうけど。
「しっかし、いいタイミングで助けに来てくれたもんだな。流石、『守る者』だぜ。」
「『守る者』?何それ?」
「ん?なんだ、知らねーのか?オーキドのじいさんにそう呼ばれてたぜ。・・・ほら、この手紙に書いてある。」
ゴソゴソとリュックを漁ると、中からしわしわになった手紙を取り出す。
差し出されたそれを受け取ると、中を読んでいく。
「いや、しわくちゃじゃん。読みにくいなぁ・・・。」
1枚目には、レッド達を『戦う者』『育てる者』等と表現している手紙。
2枚目にはゴールドの事を『孵す者』と褒める手紙。
そして、3枚目。
『そして、マシロくん。あの子は頑なにポケモン図鑑を受け取ってくれん。だが、実力や才能といったものは他の図鑑所有者と同じ・・・いや、それ以上だとわしは思っておる。
だが、ポケモン図鑑を受け取らない事から分かるように、名誉や名声といったものには興味が無い故に、今まで図鑑所有者の影に隠れておった。
そんなマシロくんが戦う時は、いつもブルーの為か、誰かを助ける時だったように思う。つまり、あの子は自分の為じゃなく、誰かの為にしか戦うことは無いのでは無いかと思う。
それは、あの子の過去の出来事から、そうなってしまったのかもしれない。だから、この表現はマシロくんの才能というのは間違っておるかもしれん。
じゃが、いつかマシロくんが自分の為に戦うことがあるまでは、あの子の事を「守る者」と呼ぶ事にしようと思う。
追伸。ゴールド、お主もマシロくんを見習って少しは他人の事を思いやって行動・・・』
そこからは、つらつらとゴールドに対する小言がこれでもかと綴られている。
とりあえず、私を図鑑所有者達に混ぜないでくれないかなぁ・・・。いや、それよりも。
「手紙の内容より小言の方が長いんだけど・・・。ゴールド、博士に何かやったの?」
「え?いやー・・・。よくあるこった、気にすんな!」
ジト目でゴールドに問いかけると、頭を掻きながら誤魔化し始める。
その反応、絶対何かしでかしてるでしょ。
ため息をつきながら手紙をゴールドに返そうとしたら、もう1枚手紙に何かが引っ付いていた。
「ん?なにこれ・・・アハハッ!」
「ん?どうした・・・ブハッ!」
それを見た私が笑うと、それを覗き込んだゴールドも笑い出す。
そこに描かれていたのは、赤い髪で目はギョロっとし、鼻はぺったんこでほっぺたは膨らみ、タラコ唇のブサイクな顔の手配書。
「ハハッ!あん時の手配書かぁ!よく残ってたな。」
「手配書って事は、これシルバー?」
「おう!会心の出来だろ?」
笑顔で答えるゴールド。って、これゴールド作なのか・・・。
いや、似てるか似てないかの話なら圧倒的に似てないんだけど。それでも、ヤナギが消えていった後の微妙な空気を払拭したという意味なら。
「フフ・・・。確かにそうかも。」