「図鑑盗難、及びワニノコ強奪の件でお前の身柄を預かる。」
時のはざまから出た私達が最初に聞いたのは、そんなグリーンの声だった。
声のした方を見ると、シルバーを連れて行こうとするグリーンの姿。
さっき一段落ついたばかりなのに、相変わらず真面目でお硬いねぇ。戦いが終わったあとぐらい、肩の力を抜けばいいのに。
そのままシルバーを連れて行こうとするグリーンを見て、何故かゴールドが怒りだした。
「あのトゲトゲ頭、オレを差し置いてシルバーをしょっぴくだとぉ!?マシロ、その手配書よこせ!」
「これ?」
怒っているゴールドに、シルバーとは似ても似つかないおもしろ顔の手配書を差し出すと、ゴールドはそれをふんだくるように取る。
「おいおい、そこの兄ちゃんよぉ。慌ててしょっぴく前に、ちょっと確かめたほうがいいんじゃねーか?」
そう言ってゴールドは手配書を放り投げると、グリーンが空中を漂う手配書をパッと掴む。
「その手配書とそいつの顔はよぉ、笑っちまうぐらい全然違うぜ!」
ゴールドはサンダーから飛び降りると、グリーンの所に文句を言いながら歩いていく。
「ゴールドも元気だねぇ。ヤナギにいいようにやられてボロボロなのに。」
それを見て苦笑いを浮かべながらファイヤーから降りると、1人になった私にブルーが歩いてくる。
「マシロ、終わったの?」
「うん。」
「ヤナギは?」
「時のはざまに消えていった。」
「そう・・・。」
グリーンと言い合うゴールドを眺めながらブルーと話していると、言い合っている2人の所にクリスが歩いていく。どうやら、仲裁に入ったみたい。
「今まで、ありがとね。」
「そんな神妙な顔して急にどうしたの?」
言い合うゴールド達や、何故かお見合いでもしているかのような雰囲気のレッドとイエローを眺めていると、声のトーンが下がったブルーの声に視線を向ける。
「ほら・・・。マシロにはヤマブキで助けてもらったし、四天王の時も、今回だって頼りっぱなしだし。」
もじもじしながら、微妙に視線をそらしながらお礼を言うブルーを見てピンとくる。これは・・・。
「ん~?もしかして照れてる〜?このこのー。」
視線を合わせないブルーの頬を指でつつく。
思い返すと、面と向かってありがとうと言われたことはあまりなかったかもしれない。
確かに言い慣れない言葉って、妙に照れくさいよね。
「あぁ、もう!やめなさい!人が素直にお礼を言ってるのにこの子は・・・!」
私の手を払いながら文句を言うブルー。でも、その口調は先程までの様子より、幾分明るくなった様な気がする。
うんうん。ブルーにはそのほうが合ってるね。神妙な顔なんてらしくないよ。
そんな時、プルルルルとブルーのポケギアが鳴った。
「こんな時に誰よ・・・。って博士じゃない。ちょっと待っててね。もしもし?」
お、博士もこっちの様子が気になったのかな?まぁ、ゴールド達をセキエイに向かわせたのは博士だし、そりゃ気になるか。
「まぁね。大体はマシロのお陰だけど・・・。・・・いいじゃない。マシロ・・・。・・・面白そうじゃない。」
会話の中で何故か私の名前が出たり、面白そうと言ったり、何の話をしているのやら。
ポケギアに向かって話すブルーは、しばらくすると私に視線を戻す。あ、終わったかな?
通話を切ったブルーは、注目を集めるように手を叩く。
「はい注目!グリーンもシルバーの事は置いといて。レッドとイエローも、ポケギアを挟んでお見合いしない!」
いつの間にかレッドとイエローのお見合いに、ポケギアの向こうの人も加わっていた。
んー、あっちの通話相手は誰だろう。心当たりはないけど・・・。
そんな私を尻目にブルーは話を続ける。
「ここにいるみんな、3日後セキエイに集合ね。」
「どういうことだ?」
みんなの気持ちを代弁するかのようにグリーンが聞き返す。
「この事件で今回のポケモンリーグは中止らしいわ。でも、それだとつまらないじゃない?だから、あたしたちでエキシビションマッチをやるそうよ。」
「おぉ、面白そうじゃねーか。」
「それ、ボクも出ていいんですかね・・・?」
「いいのいいの。つまらないなんてのは建前で、実際は事態の収集させたトレーナー達の紹介みたいなものだし。協会側としても犯人はジムリーダーでした、ってのも格好がつかないでしょ?」
ジムリーダーがロケット団幹部だったり、今回の首謀者がヤナギだったり。そりゃ、協会も体裁を気にするか。・・・ジムリーダーの選別どうなってるの?
ん?今
「え、待ってブルー。それ、私も入ってるの?」
「そりゃそうよ。むしろなんで入ってないと思ったの?」
「いや、ホウオウとルギアの相手をして疲れたし。それに・・・。」
私は頭の上を指差す。そこには、スヤスヤと眠るきららの姿。
『zzz。』
静かだと思ったら寝ちゃってるんだよね。きららが寝るときってかなり消耗してるから、そういうのは遠慮したい。
「言ったでしょ?体裁を気にしてるだけなんだから、とりあえず出ておけばいいのよ。」
まぁ、出るだけでいいなら楽だからいいかな。バトルはミスタが喜んで引き受けてくれそうだし。
「詳しくは博士の方から連絡があると思うから。それじゃ、あとはお見合いなり言い合いなり好きにしなさい。帰るわよマシロ。」
「わわっ!」
そう言って3体の鳥ポケモンをボールに戻すと、私の手を取ってブルーは走りだす。
「「おみっ・・・!?」」
レッドとイエローがハモる声を背中に聞きながら、ブルーに引っ張られる形で、私も転ばないように気をつけながら森の中を駆ける。
「あの2人、なんであんな雰囲気なの?」
「レッドはイエローの帽子の下、知らなかったのよ。それがさっきの戦いで飛んでったら、可愛いポニーテールが現れて面食らったんでしょうね。」
へー、レッドはイエローの事をずっと男の子だと思ってたのか。・・・なんで今まで気づかなかったんだろう?男の子ってそんなもの?
「ま、そんな事よりマシロのお陰で肩の荷が下りたんだもの。今日はさっさと帰って、明日と明後日遊びつくすわよ!」
「え?ホントに!?」
ブルーが攫われた時から、・・・ううん。会った時からずっと、いつかブルーと一緒に色んな所に遊びに行きたいと思ってた。
でも、再開したブルーは色々なしがらみを抱えてて・・・。だから、私はずっとブルーのお願いを聞いて手伝い続けてた。でも、ブルーがそう言うって事はブルーの中では全部決着がついたんだと思う。
だったらもう、遠慮しなくていいよね?
「ブルーに会った時から、ずっと、いつか一緒に外の世界に遊びに行けたらと思ってたんだ。」
「何言ってるのよ。マシロはもう色んな所に行ってるじゃない。」
「そうじゃないよ。」
私はブルーを追い越し、今度は私がブルーを引っ張る。
「ブルーと一緒に行く事に意味があるんだよ。」
振り返りながらそう言うと、何故かブルーは顔を赤くした。
「ちょっと、笑顔でそんな事言われたら照れるじゃない。」
「お、今日は2回目の照れ顔だ!」
やめなさいって言われるけど、私の本音だからどうしようも無いから大人しく照れててよね。
さぁ、ブルーと何処に行こうかな?
楽しみだな!!