70話
仮面の男の事件が片付いた翌日。
あたしはマシロと一緒にキキョウ遊園地に来ていた。
というのも目覚めてそうそう・・・。
「ブルー!キキョウ遊園地に行こう!」
との一言で、行き先が決まった。
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「どれから乗ろうかな〜?ねぇ、ブルーはどれがいい?」
「あたしはどれでもいいから、好きなのに乗りなさいよ。」
「ん~・・・。ジェットコースターに観覧車。メリーゴーランドにその為諸々。悩むねぇ~。」
とか言う割に、向かっている先はジェットコースター。
やっぱり、1番目立つ乗り物に惹かれるのはどんな人も変わらないようね。
・・・というか、絶叫系のアトラクションは楽しめるのかしら?ホウオウとルギアとの空中戦のほうがよっぽどスリリングだと思うけど・・・。
「ほらほら、早く行かないと他の人が並んじゃうよ?」
「ハイハイ。今行くから慌てないでよ。」
急かす様にあたしの手を引っ張っるマシロを、落ち着かせる。
普段からは想像ができないほどのはしゃぎよう。一緒に来るだけでこれほど喜ばれるなら、普段からもっと遊びにいけばよかったわね。
ま、マシロのお陰で全部片付いた訳だし、あたしも目一杯楽しもうかしら!
この後、そう思っていたあたしの考えは甘かった事を痛感することになる。
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お昼前。
一通り乗り物を楽しみ、一息つこうと思ったあたしに。
「よし!もっかい行くよ!!」
と言って、あたしの手を引いて2週目に向かう。
はいはい。今行くわよ。
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おやつ時。
「まだまだ行くよ!!」
・・・・・・元気ねぇ。
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夕暮れ時。
「んー、次で最後かな?」
「ちょっと・・・待ちな・・・さい。」
「ん?」
常に手を引かれ、アトラクションを周回すること3回。息も絶え絶えなあたしとは対称的に、元気いっぱいのマシロを引き止める。
いや、あなたなんでそんな元気なのよ。なんで、どうしたの?って顔で見てるのよ。
「ちょっと・・・休憩に・・・しましょ?」
「でも・・・。」
「でもじゃない。」
「はーい・・・。」
渋々といった感じで、近くのベンチに座る。
ふぅ、ようやく一息つけたわね。
「なんであなたはそんなに元気なのよ?」
「だって、ブルーと一緒なんだよ?いっぱい遊ばないともったいないじゃん!」
「いやまぁ、そこまで慕ってくれるのはありがたいんだけどね?マシロは疲れてないの?」
「疲れてるよ?」
あっけらかんとマシロは言う。
でも、とてもそうは見えないのよね。ホントかしら?
「色んな人と戦ってきたからね。疲れてる姿を見せたら、つけこまれるかもしれなかったし。いつでも余裕があるように見せとかないと、女の子の一人旅ってのは危ないからね。ブルーも知ってるでしょ?」
「まぁ、ね。」
簡単そうに言ってるけど、一人旅ってのは楽じゃない。
あたしは生きていく為に色んな事に手を染めてきたけど、この子は違うのよね・・・。マシロが旅に出たのも、戦いの中に身をおいてきたのもあたしのせいだし・・・。
そう思うと、少し罪悪感が湧いてくる。
「お、売店がある。ブルー、行ってみようよ!」
そんなあたしの気を察したのか、偶然なのか分からないけど、近くにあった売店の屋台を指差す。
・・・・・・ホントに疲れてるのかしら?
「ハイハイ、行くわよ。」
笑顔を絶やさずにはしゃぎ続けるマシロを見て、思わず笑みを浮かべながら追いかける。
「お菓子にお土産、うわ〜!!色々あるよ!!」
「そうね。」
屋台を見渡すと、見た目が綺羅びやかなものばかり。
そんな中、ふとガラス玉のついたアクセサリーが目にとまる。
「ふーん、ストラップもあるのね。」
「青色のもあるよ!ねぇねぇ、これ!可愛くない!?お揃いでどう?」
あたしが手に取ったのは白いガラス玉の付いたストラップ。それに対し、マシロが手に取ったは青色のガラス玉が付いている。
それぞれ、相手の色のガラス玉を付けようってことね。
いいんじゃ「これくださ~い。」買うの早いわね。いつの間にあたしの手からストラップ持っていったのよ。
お店の人がラッピングするのを断っているマシロのツインテールを眺めていると、いつだったか、きららとお揃いにしていると言っていたのを思い出す。
『その髪、伸ばしてるの?』
『伸ばしてる、というよりきららとお揃いになるようにしてる、って感じかな?』
『お揃い?』
『うん、ほら。こうしてると、きららの羽衣っぽいでしょ?やってみたかったんだ、友達と、お揃いってやつ。』
「・・・ねぇ、ラッピングに使うリボンだけもらえるかしら?できれば青色のやつ。」
「あいよ。」
「ありがとう。」
「それ、どうするの?」
「マシロはそのまま動かないでね。」
あたしは、リボンを受け取るとマシロの後ろに回り込む。そして、髪を結んでいる飾りっ気のない髪留めの所にリボンを結んでいく。
んー・・・。
「似合ってはいるけど、子供っぽいかしら・・・?」
腕を組んで眺めると、マシロの身長の低さもあるからか子供っぽく見える。
「ありがと!後で鏡、見てみるね!それじゃ、これ。ブルーの分!」
それでも。あたしの言った、子供っぽいという言葉を全く気にすることなく振り返ってお礼を言うと、あたしの手にさっきのストラップを握らせる。
「見て見てー!ブルーから貰ったポケギアに、お揃いのストラップ!完璧でしょ!!」
そして、あたしに見せびらかすようにポケギアについたストラップを振る。
・・・付けるのも早いわね。それなら、あたしもポケギアにつけておきましょうか。マシロじゃないけど、お揃いってのも悪くないでしょ。
「・・・どう?」
「おぉ〜!いいねいいね!」
お揃いのストラップを付けたポケギアを見せると、嬉しそうに笑う。いや、ずっと笑顔なんだけど一段と嬉しさが上がってる感じ。
「ほら。満足したなら今日は帰りましょ。流石に疲れたわ。」
「むぅ・・・。満足してないけど、仕方ない。無理は良くないし、帰ろっか。」
普段から無理ばかりしてた気がするけど、どの口が言うのかしら?
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そして、戦いが終わった3日後。
あたしはマシロを引き連れてセキエイ高原に来ていた。
「昨日も楽しかったね!」
「満足したようで、良かったわ・・・。」
遊園地で遊んだ次の日も、当然のように連れ回される。しかもジョウト全域場所問わず。
流石に元気過ぎない?あまり覚えてないけど、この子引きこもりだった気がするんだけど・・・。
「でも、わざわざセキエイまで来てエキシビションマッチかぁ・・・。考えると面倒になってきた。もっとブルーと色んな所に行きたかったよ。」
「これが終わったら、また付き合ってあげるから。それに、マシロの晴れ舞台なんだから、そんな事言わないの。」
「やった!!・・・・・・晴れ舞台?」
「ほらほら、早く行きましょ!」
マシロに連れ回されて疲れたからかしら?口が滑ったわ。
ー69話の電話ー
「こんな時に誰よ・・・。って博士じゃない。ちょっと待っててね。もしもし?」
『おぉ、電話に出られるということは無事のようじゃな。』
「まぁね。大体はマシロのお陰だけど、ホウオウもルギアも開放できたみたいだし、首謀者のヤナギも時のはざまに消えたみたいよ?」
『そう・・・か。仮面の男の正体はヤナギじゃったか・・・。』
「ん?知り合いだったの?」
『うむ・・・。昔の知り合いじゃった・・・。キクコといい、ヤナギといい・・・、っと。電話したのはそんな事を話す為じゃなかったわい。そこにマシロくんはいるかの?』
「いるけど、マシロがどうかしたの?」
『今回のポケモンリーグ、中止ということで優勝者は無しという事にしようと話しておったんじゃが、バッジを集めた予選免除の選手が2人おっての。そのうちの1人がマシロくんなんじゃよ。』
「あら、あの子バッジ集めまでやってたのね。」
『じゃが、もう1人は選手登録をしていなくての。騒ぎの事もあってか、受付の人もこの人の事をよく覚えとらん。事実上予選免除選手はマシロくん1人ということになっての。今回の功績やバッジを集めた実力から、繰り上げ優勝という事にしてはどうかという話になってのじゃ。』
「ふーん。いいじゃない、実力は申し分ないし、マシロ新チャンピオンの誕生ね。」
『じゃが、マシロくんの実力を知らない者からすれば、バッジを集めただけで新チャンピオン・・・。中止にはなったが、他のリーグ参加者で納得しない者も出てくるはずじゃ。』
「あたしからすれば、バッジを集めただけですごい事だと思うけどね。」
『そうなんじゃがの、いつの時代も不平不満を言う人間はいるものじゃ。そこで、3日後。図鑑所持者でエキシビションマッチを開催しようかと思っておる。』
「なるほど。中止になったリーグの穴埋めと、マシロのお披露目ってところね。面白そうじゃない。それに頭数はちょうどここに揃ってるし。」
『じゃから、ブルーにはそれまでマシロくんを捕まえててほしいんじゃ。話を聞いたら間違いなく拒否するだろうし、最悪逃げ出しかねん。』
「オッケー。それならマシロ連れてジョウト観光でもしてくるわ。」
『うむ。よろしく頼む。』