ポケットモンスター 煌   作:うたたねここ

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80話

 

「あ~あ、見失った。」

 

あの後ろ姿を追いかけ海の上を飛んでいるが、追いつくことはできなかった。それどころか、辺りに霧が漂ってきて前後左右もよく見えない。

 

「これだけ霧が深いと仕方がない、か。」

 

そう呟くと、おもむろにきららがボールから飛び出してきた。

 

『ふぁ~、よくねたよ〜。おはよー!』

「おはよう、きらら。よく寝てたね。」

『わっ!なにこれまっしろ!!』

「うん。霧が深くて真っ白だねぇ。」

『なにこれ、おもしろーい!!』

 

と、何故か楽しそうなきらら。まぁ、怖がるよりは全然いいかな。

 

「ん?あれは・・・船?」

 

そう思っていると、霧の中からおもむろに見えてきたのはボロボロの船。こんなところにこんなものが・・・。

 

「ま、ちょうどいいか。この霧の中進むのも危ないし、今日はここで休もう。」

『おー。』

 

 

ーーーーーーーー

 

そうして船の中に足を踏み入れると、船の中は植物だらけ。これはまた、随分と長い間放っておかれたみたいだねぇ・・・。

 

「お、きのみもある。・・・ズリにブリー、セシナの実。ノワキの実もある。まるできのみ博物館だ。」

『あまーい!』

 

そんな中で、きららはブリーの実をかじっていた。手が早い。

まぁ、こんな場所だし誰かの所有物ってことはないだろうからいいか。

 

「それよりも、どこか寝られる場所を・・・ん?」

 

そう言いながら周囲を見渡していると、周りの草の中をゴソゴソと走り回る影。

何がいる。そう思った瞬間、その影は一直線にきららに向かって飛びかかっていった。

 

『ん?』

 

そして、振り返ったきららのサイコキネシスに弾き返されてペタンと床に尻もちをついた。

 

『やるかー?やるのかー?』

「きららに飛びかかるのは無茶だよ・・・。あと、きららもやらないからね?野生のポケモンかな?確か、プラスルとマイナン、だっけ。」

 

そこにいたのはでんきタイプのポケモン、プラスルとマイナン。どうやら、この2体の縄張りだったみたいで、急に襲いかかってきた。

 

「ごめんね。荒らすつもりはないんだけど、ちょっとお邪魔させてもらうね。」

 

そう言って進もうとすると、私の足にしがみついて止めようとする。なんだろう・・・。この先に行かせたくないような、そんな感じ。この先に、なにか大事なものでもあるのかもしれない。

 

でも私としても詮索するつもりはないけど、休めるところは探したい・・・。

ん?それなら、この子達に聞けばいいんじゃない?

私は足元にしゃがみ込むと、プラスルとマイナンに話しかけた。

 

「ねぇねぇ。この先には行かないからさ、どこかキレイで休めそうな部屋に案内してくれないかな?一晩で出ていくから、お願い!」

 

そう言って手を合わせると、プラスルとマイナンは顔を見合わせる。そして、今度は私の足を引っ張ってさっきとは別の場所に向かう。

お、案内してくれるっぽいね、良かった。今はこっちがお邪魔してる立場だし、追い出されることも考えたけどそんなことにはならなかった。

 

そして、案内されたのはそれなりにキレイな、あまり植物が生い茂ってない、一晩過ごすぐらいなら問題無さそうな感じの客室。

 

「おー、外に比べると全然キレイ。ありがとね。」

 

そう言ってボロボロのイスに腰掛ける。でも、プラスルとマイナンは部屋の入り口でジッとこちらを見続ける。

 

「まだなにかあるの・・・って、そうか。私がウロウロしないように見張ってるのか。」

 

よっぽど大事なものがあるんだねぇ。

プラスルとマイナンに気を使わせ続けるのも悪いし、夜が明けたら早いとこ出発しないと。

そう思って寝床の準備を始めると、プラスルとマイナンの耳がピーンと立つ。

そして、慌てたように顔を見合わせると部屋の外に飛び出していった。

 

「・・・どうしたんだろう?」

『おきゃくさんみたいだよー?・・・かんしょく!!』

「あぁ、うん。お粗末様。それより、お客さんって?」

『よにん、かな?ひとりはさふぁいあだね。』

「サファイア?あの子もこんな所に?」

 

もしかしたら、サファイアも同じように霧で足止めされたかな?

あっ!私がダイゴさんに追いつけなかったんだから、サファイアも手紙渡せてないよね?手紙どうするんだろう?

 

『あと、ひとりはしらないひとだけど、ほかのふたりはあったことがある・・・?』

「ん?会ったことがある・・・?知り合いってこと?」

『んー、わかんない。なんだか、すごくなつかしいきがする。』

「懐かしい、か。」

 

大分前に会ったことがある人物ってこと?ホウエンでそんな人物いないと思うけど・・・。

流石にダイゴさんはないよね?私より先に海に出てたのに、私の後にこんな所に来るはずないし。

 

「ま、会ってみればわかるか。サファイアにジムの事聞いてみたいし。きらら、それ食べたら私達も行くよ。」

『はーい!』

 

いつの間にか食べ始めていた2つ目をみながらそう言うと、元気に返事を返す。

が、食べるスピードは変わらずにのんびりとしたものだった。

 

 

ーーーーーーーー

 

「表だ。」

「ならあたしは裏。」

 

マシロが訪れたすてられ船の中。一組の赤いフードの男女がコイントスを行っていた。

・・・結果。

 

「クソっ。外れた。」

「ほら、サッサと行きな。」

「わーったよ。」

 

裏表を外した男が1人、船の奥に歩いていく。そして、後ろ姿が見えなくなった時。

 

「・・・さて、そこに隠れてる奴!あんたもサッサと出てきなよ!!」

 

おもむろに植物が生い茂った中に腕を突っ込む。すると、そこから飛び出してきたのはサファイア。

 

サファイアもダイゴを追いかけルビーと共にムロを飛び出したものの、マシロと同じように霧に阻まれここで足止めを食っていた。

 

「逃さないよ!」

「グッ・・・!こんのぉ!!」

 

女は飛び出したサファイアの顔を掴むが、サファイアはその腕を蹴り上げ腕から逃れる。

 

「ちゃも、どらら!」

「キュウコン!」

「いきなりなにするったい!顔を見せ・・・うあぁっっ!!」

 

急に掴みかかってきた相手の顔を見ようと目を見開いたした瞬間、目に激痛がはしり顔を抑える。

 

「フフフ、目があついだろ?からーいマトマの実をすりつぶした汁が出る仕掛けの手袋だ。この船に入った瞬間、隠れてるお前の気配を感じた。残って正解だったね。お、こっちもケリがついたね。」

 

直ぐ側でぶつかり合っていたちゃもとどららも、キュウコンの炎の前に倒れ伏していた。

 

「こん・・・のぉお!!」

 

地面をバァン!と両手で叩き、砂埃を巻き上げる。

 

「ちゃも!!どらら!!」

 

そして、2体をボールに戻すと周囲の植物の中に飛び込む。

実力的にも格上。まともに戦っても勝ち目はないとの判断だった。

 

「ちっ・・・。今度は完全に気配を消したか。」

 

赤いフードの女は、しばらくの間周囲をキョロキョロと見渡すと舌打ちをしながらその場を後にする。

それを木の上に隠れ場所を移したサファイアが見送るが、その顔は苦痛に歪んでいた。

 

「ハァハァ・・・。なんてヤツったい。最初から気づいていたってホントにやろか?あたしだって気配ば隠していたとよ。それに、あの強さ。」

 

ボールに戻した2体を見ると、どららどころか炎タイプのちゃもですら大やけどにされてしまった。

 

「目もあけられん・・・!敵の姿も確かめられんかった。それよりもマズイのはアイツったい!!」

 

見た目ばかり気にしたおちゃらけたルビーのことを思いだす。

もう1人の男と鉢合わせしてたらひとたまりもない。そう思い鼻をクンクンと動すと、ルビーを探し始めた。

 

そして、すぐにその姿を見つけることができたが、何故か地面に倒れ込んでいた。

 

「やっぱり・・・。ほら、しっかりするったい!!」

 

木の上からそっと手を伸ばすと、ルビーの体を木の上に引き上げる。

 

「うーん・・・。う、うわっっ!!」

「しーっ!」

 

ルビーからすれば急に目の前に現れたサファイアの顔に声を上げるが、サファイアがそれを諫める。

 

「いつつ・・・。ボクを後ろから殴ったのはキミか!?」

「なんば言うとるか!下を見いや!」

「あいつは・・・?」

 

ルビーが下を見ると、部屋の中を物色している男の姿。ルビーを殴ったのはあの男らしい。

 

「この船にある何かを盗りにきたらしい悪人ったい!あたしももう1人に襲われたとよ。」

「そうか。ん?それよりも、あの男がいるあの部屋はイタズラ好きな2匹が近づかせないようにしてた・・・。」

「ホムラ、ここか?」

「あ、あの女ったい!!」

 

木の上から様子を探っていると、先ほどサファイアを襲った女が現れる。その女は部屋の中の男をホムラと呼んだ。

 

「カガリ、やっぱりきたのか?でも、もう探知機は見つけてやったぜ、ほら!!」

 

そう言って手の中の機械をカガリと呼んだ女に見せびらかす。が、カガリはそれを一瞥するだけ。

 

「それより、女の子供がいなかったか?」

「女ぁ?ボウズならいたが・・・って、ヤロウどこ行った!?」

「チッ・・・。1人じゃなかったか、面倒だな。」

 

ホムラはルビーが転がっている場所を見るとだれもいないことに声を上げ、カガリは舌打ちしながら周囲を見渡す。

 

「今度見つかったらただではすまんとよ。」

「なら、逃げる?」

「悪党相手に背中を向けたくはないけど、うちの2匹は大やけどを負ってるとよ。」

「ボクの手持ちも3匹とも混乱してるんだぞ?勝ち目は無いんじゃないか?」

「何か手は・・・。」

「ちー・・・。」

「ん?」

 

そうつぶやくサファイアに、聞き慣れないポケモンの鳴き声が届く。

 

「他にもまだポケモンがおると?」

「ああ。手に負えない野生のいたずらっ子が2匹ね。」

「2匹ね、ちょうどよか。その2匹に協力してもらうったい。」

「え〜!?無理だって!!」

「無理でもやらんと。逃げるにしても、ここから下りないといかんけんね。さぁ、行くよ!」

「仕方ない・・・!!」

 

「「せぇの!!」」

 

声を合わせてイタズラっ子、プラスルとマイナンの隣に飛び降りると、小さな声で耳打ちをする。そして、プラスル達は小さくうなずくと、ルビー達の指示に従った。

 

「「かげぶんしん!!」」

 

プラスルとマイナンの分身がホムラとカガリを取り囲む。そして、驚いている2人の意表を突くようにバリバリと10まんボルトを浴びせる。

 

「がっ・・・!?」

「ううおおおお!?」

「今だ!」

 

そして2人が怯んだ瞬間、ルビーとサファイアはその場を離れ物陰に飛び込む。

 

「よか!野生のポケモンやけど、敵に勝ちたいけんからかあたし達の指示にしたがってくれとると!それにしても、目が見えんくても分かるすごか攻撃たいね!」

 

目の見えない状態のサファイアに変わり、ポケモン図鑑を開くルビー。

 

「プラスとマイナス。一緒に居るだけで特殊攻撃が強くなるだって!?・・・それにしても、さっきまでボクをからかっていた2匹なのにボクの指示に従ってる。あの探知機ってやつ、よっぽど奪われたくないんだな。」

 

ルビーがそう考え込んだ時だった。

 

「なめるな、ちび共!!キュウコン!!」

 

キュウコンが周囲一体を焼き払い、プラスルとマイナンのぶんしんをかき消し本体だけが残る。

 

「なにしとるね、次の指示を出さんと!?」

 

サファイアの声にルビーはハッとするが、気づいた時にはホムラのコータスによってマイナンが突き飛ばされていた。

 

「邪魔だな。」

 

そして、プラスルを踏みつけようとした瞬間だった。

 

「かぷちー!」

 

横の草むらから飛び出したクチートがコータスを突き飛ばした。

 

「野生のポケモンだからって好き勝手やってるねぇ。この前会ったバトルマニアと言い、青い集団といい、ホウエンの人達って乱暴すぎない?」

「誰だぁ、テメェ?」

「・・・かぷちー?」

 

現れたのは先に船に訪れていたマシロ。

そよ乱入者に対して睨みつけるホムラとは対象的に、カガリは怪訝な表情を浮かべながら小さく呟く。

 

「この声って・・・マシロさん!?」

「なんでこんな場所にマシロさんが!?」

 

「「え?」」

 

「あんた、マシロさんを知ってるっとね?」

「キミこそ、マシロさんを知ってるの?」

 

そして、それを後ろから見つめるルビーとサファイアは驚きの声と共に顔を見合わせた。

 

 

 

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