「野生のポケモンだからって好き勝手やってるねぇ。この前会ったバトルマニアと言い、青い集団といい、ホウエンの人達って乱暴すぎない?」
「誰だぁ、テメェ?」
「・・・かぷちー?」
目の前の大男は私を睨みつけるが、横にいる女の方はなにやら呟きながら考え込んている。
そんなことよりプラスルは・・・。あ、無事にマイナンの方に向かってるね。
「なんでアンタがマシロさんの知り合いなんね!?」
「そんなの、キミには関係ないだろ!?」
ところで、後ろが賑やかなんだけどなにやってるんだろうか?
声的にはサファイアと・・・。誰だろう?まぁ、いっか。
「そんで、今日は赤い集団かぁ。ホウエン地方も碌でもない組織が多すぎない?」
「オレたちマグマ団を禄でもないだっテ?その小さいなりでよく言っタ!てめぇの後ろにいる2人と2匹ごと、消し炭にしてやるよっ!コータス、かえんほうしゃ!」
「ミスタ、ハイドロポンプ!」
相手のかえんほうしゃに対してミスタを繰り出しすと、ハイドロポンプをぶつけて一瞬で押し返す。
「うおっ!水タイプもいたのか!?」
「チッ。焼き尽くすのはアンタの得意分野じゃないだろ?引っ込んでな!キュウコン!」
と、今度はキュウコンがかえんほうしゃを放つ。
すると、コータスの炎を押し返したハイドロポンプがドンドン蒸発していく。
「え、嘘。ドンドン蒸発していくんだけど、何その火力。」
「ホムラ、今のうちにさっきの2人を始末してきな!」
「仕方ねぇな、この場は任せるゼ。」
そう言ってコータスに飛び乗ると、私の横をすり抜けようとする。
「かぷちー!」
それをもう一度、かぷちーが横から突き飛ばし、横を通らせないようにする。
「おわっ!?コイツもいたことを忘れてたゼ!」
「どこまでも世話が焼ける・・・。キュウコン!」
そう言うと尻尾の先に炎が灯り、かぷちーに向かって放たれる。かぷちーはステップを刻んでその炎を躱していくが、躱した炎が周囲にどんどんと燃え広がりかぷちーを囲っていく。
気づけば足のふみ場がほとんど無くなり、その場からほとんど動けなくなっていた。
「さぁて、周りは火の海。いつまで避け続けられるかな?」
「これは、不味い・・・かな?」
「ホムラ!今のうちだよ、サッサとしな!」
「言われなくてモ!!」
かぷちーの動きを封じて、ホムラと呼ばれた男がもう一度後ろに向かう。
「仕方ない、か。グロウ!」
私は後ろに向かってボールを投げる。
「マシロさんといえば、かぷちーの舞だろ!?」
「いいや!全部正面突破するミスタの強さったい!!」
そして、相変わらず賑やかな後ろの2人に向かってグロウが飛んでいく。
「ちょっと、後ろの2人!舌噛まないでね!」
「「え?」」
ボールから飛び出したグロウは、その背中にプラスルとマイナンを乗せると後ろの2人を引っ掴み、船の外に飛び出す。
「うわわわわ!」
「マシロさァァ・・・。」
そして、そのまま霧の中に消えていく。
これで、あっちは大丈夫でしょ。なんか叫んでたけど。
「チッ、逃げられたか。お前がチンタラしてるからだ。」
「あぁ!?オレが悪いってのカ?」
「仲いいねぇ・・・。」
『なかよしなの?』
「多分ね。」
追いかけるのを諦めたホムラが女の横に並ぶと、燃え広がる炎で2人の顔が見えるようになる。そして、女の方と目が合うと、ニヤリと笑った。
「ふぅん。たまたま同じニックネームかと思ったら、懐かしい顔じゃないか。ホムラ、ソイツを持って先に帰ってな。」
「カガリ、いいのかよ?今なら2人がかりでサクッとやれるゼ?」
「消化不良なんだ。このまま不完全燃焼で終わったらつまらないだろ?」
「そうかヨ。それなら、オレはさきに戻ってるゼ。」
ホムラと呼ばれた大男は、そう言ってそのまま船の外に飛んで行った。
「てっきり2人がかりで来ると思ってたよ。」
「言ったろ、それじゃつまらないってさ。それよりも、随分と久しぶりだね。何年ぶりだろうねぇ。」
「え?」
そう言われて相手の顔をじっと見る。が、全然思い出せない。
「ごめん、わかんないや。」
「まぁ、ジョウトで一回会っただけたからね。あの時はまだコイツもロコンだったか。」
ジョウト・・・、ロコン・・・?
2つのキーワードから、ふと思い出したのは初めてかぷちーと一緒に戦った相手。
「あぁ!!あの時の!!」
「思い出したかい?」
「思い出した!へぇ~、身長伸びたねぇ。成長期?」
「そう言うアンタは変わんないね。あの頃と同じちっさいままだ。」
「グッ・・・!」
地味に気にしてる事を・・・。
いや、それよりも。
「でも、始末とか物騒なこと言うようになったんだね。人が変わったみたい、反抗期?」
「誰が反抗期だ。・・・別に対したことじゃない。アンタに会ってホウエンにやって来て色々やってきたけど、全てを焼き尽くすのが1番楽しくて美しいって気づいただけさ。」
「人って変わるものだねぇ・・・。」
「今ではマグマ団幹部、三頭火のカガリって呼ばれてる。」
「そうなんだ、私はマシロ。残念ながら、マグマ団ってのは知らないんだ。」
「そうかい?まぁ、関係ないさ。アンタはここで、燃え尽きる。」
そう言うと、キュウコンの尻尾の先に炎が灯り周囲にひろがっていく。
そして、辺りをどんどんと炎の海で囲っていく。
あのキュウコン、グリーンのとは比べ物にならないぐらいの火力だね。まぁ、比較対象が数年前のグリーンだからあてにはならないかもしれないけど。
それよりも、だよ。
「ちょっと、ここプラスル達の家なんだから派手に燃やすのはやめてくれない?なんなら場所変えてもいいからさ。」
「はっ!なんで野生のポケモンなんかに遠慮しなくちゃいけないのさ!」
鼻で笑って、全く話を聞いてくれない。
「さぁ、覚悟はできてるかい?キュウコン!」
「ミスタ!」
キュウコンのかえんほうしゃとミスタのハイドロポンプがぶつかり合う。
そして、驚く事に少しずつミスタが押されていく。
「これだけ燃えてるんだ。相性なんてひっくり返るさ。」
「そうみたい、だね。」
これだけの炎に囲まれてたら、ミスタの水技も威力が落ちる。それに、このままだと船のほうが先に燃え尽きるかも。
・・・あんまりやりたくなかったけど仕方ないか。プラスル達には後で謝っておこう。
「きらら、お願いしていい?」
『やるぞー、ちょうやるぞー!』
「さっきも言ってたそれ、ホウエンに来るときに乗ってた船の中で見てたテレビのやつ?」
『そう!』
「そう・・・。」
相変わらずテレビの影響を受けやすい。
「とりあえず、超やるのは駄目だからね。船が沈んじゃうから。」
『わかったー!』
「何をゴチャゴチャと、言ってるのさ!」
「ミスタ、さがってて。」
そう言うと、大人しく後ろにさがったミスタ。
意地をはってそのまま戦い続けるかも、と少し思ったけどそんなことはなかった。
そして、遮るものがなくなり目の前に迫るかえんほうしゃ。
「きらら、メテオビーム。」
が、きららがメテオビームを放つとかえんほうしゃ飲み込んでき、そのままキュウコンごと船を貫通していく。
「なっ!?」
メテオビームが収まった後には、倒れたキュウコンに外まで続く通路が出来上がった。
・・・プラスル達、謝っても許してくれないかもしれない。
「・・・アンタ、そんなに強かったのかい?」
『どや〜!』
「まぁ、それなりにね。それよりも、まだやる?私としては帰ってくれたほうが助かるんだけど?」
「チッ・・・。このかりは今度返すよ。」
胸をはるきららを尻目に、キュウコンをボールに戻すとオオスバメに掴まれて出来上がったばかりの通路を飛び去っていく。
「ふぅ・・・。ミスタ、とりあえず残り火の消化お願い。」
ミスタはすぐに周りに水を撒いていく。
ミスタに消化を頼み周囲を確認していると、そのタイミングでグロウが帰ってくる。
サファイア達はどこかに置いてきたようで、背中に乗っているのはプラスルとマイナンのみ。その2体も新しくできた通路と惨状を見て目を丸くしている。
「あー・・・。赤いのは追い払ったけど、少し散らかしちゃって・・・。」
そう言うと、ぴょんと両肩に跳び移ってきてポカポカと叩いてくる。
「わっ!ゴメン、ゴメンってば!」
叩くと言ってもそれほど痛くもない。まぁ、怒るに怒れないプラスル達の精一杯の抗議って感じ?
「ちゃんと片付けもやっていくから!そんなに怒んないでよー!」
ーーーーーーーー
「マシロさんといえば、かぷちーの舞だろ!?」
「いいや!全部正面突破するミスタの強さったい!!」
マシロの後ろで言い合うルビーとサファリ。
「ちょっと、後ろの2人!舌噛まないでね!」
「「え?」」
そんな2人を、グロウが掴むとプラスルとマイナンを乗せて船の外に離脱していく。
「うわわわわ!」
「マシロさァァン!!」
そして、そのまま海の上を漂いながらも口論をやめることはなかった。
「アンタが譲らないから、またマシロさんに助けられることになったったい!」
「譲らなかったのはそっちだろ!?というか、またってなんだよ!!」
「それはアンタに関係なか!!」
グロウに掴まれながらグググと顔を突き合わせるが、そのさなかルビーがハッとする。
「ねぇ、えるるはいる?」
「え?呼べば来ると思うけど。」
「なら、早く呼んで。マシロさんなら大丈夫だとは思うけど、相手は2人なんだ。早くグロウを戻してあげないと。」
「ッッ・・・!!そうったいね。」
そういうやいなや、口笛をピーっと吹く。
しばらくすると、海の中から姿を現したえるる。
「グロウ、ここまででいいよ。・・・ボクの手持ちが混乱してなかったら、一緒に戦えたんだけど。」
グロウがえるるの背中にルビー達を下ろす際、そう呟く。
「アタシの手持ちですら大ヤケドったい。アンタなんか、助けにならんとね。」
「・・・戦う力を持っていることと、それを使うのは別の問題だよ。」
「・・・どういうことったい?」
「・・・キミには関係ない話だよ。」
サファイアは不思議そうに問いかけたが、ルビーはそれに答えなかった。
「またね、グロウ。プラスルとマイナンも、グロウと一緒なら戻っても大丈夫かな。ボク達は戦えないから足手まといになるけど・・・。」
「あたし達はよか!早くマシロさんの所に戻るったい!」
そう言うと、グロウはプラスル達を乗せて船に戻って行った。
「wonderful!!マシロさんのグロウ、たくましさコンテストにでたらブッチギリで優勝なんだろうなぁ・・・。ダイゴさんのメタグロスもカッコよかったし。」
「あー!!またダイゴさんの話しをしよんね!!ダイゴさんに会えんかったあたしへのあてつけったい!?」
「それはキミの被害妄想だよ。それより、ダイゴさん。追いかけなくてもいいの?」
「ぐぬぬ。・・・アンタと言い合いしとってもしょうがなか。えるる、出発するったい。」
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「全く、懐かしい奴に会ったと思ったら実はとんでもない奴だったなんてね。・・・でも、面白くなってきたじゃん。」
フードに付いた角の形をしたライターを引っこ抜くと、祇を炙り船で出会った人の顔をうかびあがらせる。
「帽子のガキだけは、顔が見えなかったか・・・。まぁいいさ、今はマシロの奴のほうが問題だ。あのアホみたいな火力・・・。少し、調べてみようかね。」
あーあ、こんなことならホムラのデクのぼうを先に帰すんじゃなかったよ。